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葛飾区子ども・若者計画(素案)意見byO

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葛飾区子ども・若者計画(素案)意見 byO

私はNPO法人の代表として「こども食堂」、「いじめ防止教室」の運営に携わってきた経験をふまえ、葛飾区子ども・若者計画素案について、以下3点の意見を述べさせていただきます。
(1)計画終了年である2024年度には葛飾区の行政と区民の協働による子ども・若者支援の仕組みを作ることを基本目標として掲げてほしい。
(2)「家庭や学校以外で安心して過ごすことができる場」として、NPO法人など民間による「学習支援」「居場所」「こども食堂」を取組み主体として位置付けてほしい。
(3)「教育機会確保法(平成28年12月14日法律第105号)」、「いじめ防止対策推進法(平成25年6月28日法律第71号)」の2つの法律の理念をふまえた計画としてほしい。

以下、詳述します。
(1)計画終了年である2024年度には葛飾区の行政と区民の協働による子ども・若者支援の仕組みを作ることを基本目標として掲げてほしい。
素案P2「第1章 計画策定にあたって」「2計画策定の趣旨」では「状況に応じたきめ細やかな切れ目のない支援」を「地域全体で連携して推進」とあり、「3計画の基本的な視点」「視点4 地域全体で子ども・若者を支える」では「全庁的な連携はもとより、関係機関・団体を含んだ地域全体が有機的に連携」「そのような体制を構築」とあります。
このような視点は非常に重要だと思いますが、「第3章 計画の基本的な方向性」「1 基本目標」の「関係機関・団体を含んだ地域全体が有機的に連携し(中略)支えるまちを目指します」という表現だけでは、上記の趣旨、視点が具体的なビジョンとして見えてきません。
まず、「区民との協働による子ども支援」を行うという行政の姿勢をしっかりと打ち出していただき、「協働するための仕組みを作る」ことを目標として掲げていただきたいと思います。
P72「基本方針4 地域全体で支える環境を整えます」
「全庁的な連携はもとより、関係機関・団体を含んだ地域全体が有機的に連携する体制を構築」するとありますが、P73の「主な取組み」を見ますと、それぞれが並列しているのみで、どことどこが連携するのか、有機的な連携とは何なのか、見えてきません。
私自身、ここに掲示されている「葛飾区子ども・若者支援地域協議会」以外のすべての項目に関わって活動しておりますが、実際に一人の子ども、あるいは一人の保護者の困難な事態に遭遇した時には、関わっているすべての活動団体の人脈や情報を総動員して、ある時は「地域住民として」、ある時は「こども食堂運営者として」、ある時は「青少年委員など学校に関わりのある立場として」、問題解決のために走り回ります。
そんな時にやはり頼りになるのは「子ども総合センター」など区の窓口であったり、学校の先生など、専門家です。
区の窓口、専門家などと我々、地域のボランティアとの協働が、具体的な「困難」に立ち向かう、あるいは寄り添う、子ども若者支援施策に必要なものだと思います。
子ども・若者支援地域協議会のような各機関の代表者を構成員とする会議ではなく、地域単位で個別具体的なケースに区と区民が協働で取り組める仕組みをぜひ、作ってください。
江戸川区の子ども家庭部児童女性課成長支援係の取組みはたいへん参考になると思います。
社会福祉協議会と連携し、地域包括ケアシステムの拠点でもこども食堂を開催するなど、現在22カ所でこども食堂が開催されています。また教育委員会と連携し、全小中学校に「こども食堂マップ」を配布しています。
こども食堂への補助金支給だけでなく、社協への寄付金を活用し、こども食堂ネットワークのウエブサイトを開設しました。
また、有償ボランティアが支援が必要な家庭に出向き、調理などを行う「おうち食堂」の取組み、区内の仕出し弁当組合との協働で非課税世帯対象に手作りお弁当を100円で届ける「KODOMOごはん便」などは、直接的には食事支援でありながら、困難家庭の孤立防止、虐待の早期発見対応など、福祉行政との有機的連携の好事例だと思います。
葛飾区においては子ども応援課がこのような全庁を横断する施策展開のコーディネート、社協も含め、社会資本を活用した地域のボランティア活動支援の役割を担っていただきたいと期待しております。
具体策をすぐに提示することは難しいとしても、区と区民との協働の仕組みを2024年までに作るという姿勢を示していただきたいと思います。

(2)「家庭や学校以外で安心して過ごすことができる場」として、NPO法人など民間による「学習支援」「居場所」「こども食堂」を事業実施の主体として位置付けてほしい。
計画の基となった「葛飾区子ども・若者に関する調査結果報告書」P94「3居場所に関するニーズ」では、保護者のニーズとしては「自由に集うことができ、運動や工作などの活動ができる場所」等が最も多く、P97の子どものニーズとも一致しています。
この区民のニーズに応える施策としては、既存の児童館や学童保育、放課後わくわくチャレンジ広場などの取組みを充実、拡大することも考えられますが、同調査でヒアリングしていただいた子どもの居場所づくりやこども食堂に取り組む団体への支援という方向もぜひ、計画に入れていただきたいと思います。
調査報告書P94で指摘されているとおり、このような団体は区内でも増えてきており、「資金と人的体制が十分ではなく」、「ネットワークづくりも課題」「保健・衛生上の問題などが起きないようにすることが必要」です。
2019年1月現在、「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」が組織され、区内の「こども食堂マップ」作り、保険衛生面や組織運営面などに関わる学習会開催に取り組んでいます。
計画素案P51「第4章 施策の展開」「基本方針1 子ども・若者の健全な育ち、自立を支援します」「施策① 成長に応じた支援をします」
ここでは「こども食堂」等が取組み主体として登場していませんが、保護者が子育てに不安を抱えていたり、子どもが自己肯定感を持てずに暗い表情をしている時、実際に不安を打ち明けたり、ちょっとしたことで誉められたり認められたりすることで自己肯定感を回復する姿は、私たちがふだん、こども食堂で見ている風景です。
私たち一般の区民の立場では解決できない深刻なケースであれば、行政の窓口や専門家につなぐこともできます。
「取組みの方向性」の最後に「横の連携を図ることも大切」「必要な場合に子どもや保護者、家庭の情報の共有を推進」とありますが、もう一歩踏み込んで、「こども食堂など区民による自主的な支援と、行政による支援の協働を推進」という文言を入れてほしいと思います。
P52「主な取組み」に、新規事業として「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークとの連携事業」を掲げることはできないでしょうか。
すでに個別のこども食堂等に対する助成金制度は実施されていますが、ネットワークの「こども食堂(居場所も加えるともっと良い)マップ」作成と、全小中学校への配布(教育委員会との連携)、保険衛生面での指導・援助(保健所との連携)、支援スキルの向上を図るための研修・講座開催(子ども総合センター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等との連携)を区民との協働事業として位置付けていただければありがたいです。
P53「施策② 自立に向けた準備の支援をします」
ここでも私たち民間団体は登場していません。そして、P54「主な取組み」で子ども応援課の新規事業として「家庭や学校以外で安心して子どもが過ごすことができる場を提供」「保護者の・・・養育支援」「学習意欲を喚起する支援」「中途退学未然防止・・・学び直し、就学支援など」とあります。
いま同時期にパブリックコメントを募集している「葛飾区後期実施計画」を見ると、「家庭や学校以外で安心して過ごすことができる場」を2022年度までに7カ所作る等の計画が示されています。この計画では事業費が最初の2カ年にしか付いていません。
理由は分かりませんが、「家庭・学校以外の場」事業の立ち上げに際してのみ行政が補助金を出し、運営は民間に移行し、区と区民の協働事業ではなくす方向であるとすれば、「資金と人的体制が十分ではなく」、持続可能性に問題を抱える私たち民間団体が責任をもって参画できる計画ではありません。
子若計画素案P54「主な取組み」の子ども応援課新規事業を、区と区民との協働事業として位置付けてくださるようお願いいたします。 さらに、同ページの「スクールカウンセラーの配置」「スクールソーシャルワーカーの派遣」と並行し、「こども食堂など区民の自主的な支援と、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等専門家との連携」を、子ども応援課の全庁的なコーディネート事業として掲げていただけるとありがたいです。
P58「基本方針2 様々な困難を有する子ども・若者および家族を支援します」「施策①学校生活に関わる課題への支援をします」
この項は、私の3つめの意見「教育機会確保法、いじめ防止対策推進法の理念をふまえた計画としてほしい」にも関わるのですが、やはり民間団体による支援に目を向けていただきたいところです。
「葛飾区子ども・若者に関する調査結果報告書」P94「3居場所に関するニーズ」に再び戻ると、保護者は世帯年収が300万円未満の世帯では「低額・無料で夕食を他の人と食べることができる場所」ニーズが最も多いという結果が報告されています。
P97の子どものニーズでは「夜ごはんをみんなで食べられる場所」ニーズが保護者よりも多く、P98~99では「親しい友だちがいない子ども」は様々な集まりの場には行きたがらない傾向にあるものの、夕食を他の人と食べることができる場所には小学5年生25.0%、高校2年生14・3%が「行ってみたい」と回答しています。
また、P120「6まとめ」「(3)居場所に関するニーズ」では親しい友だちがいないと思う子どもは居場所へのニーズが低いと結論づけていますが、いじめの被害者やコミュニケーションが難しい障がいのある子どもにとって、子どもが集まる場が苦手なのは当たり前です。
一方、P117「過去に困難を経験した若者が子どもだった頃に必要だったと思う取組み」としては「家庭や学校以外で放課後や休日に過ごせる居場所の提供」を相当数挙げています。現在進行形で困難を抱えている子どもが緊急に必要としていることは、その時点では、学校を休んで家でゆっくり休むことであったり、傷ついた心を癒すこと、自己肯定感を取り戻すことだと思います。
そうしたニーズに応える活動をしている民間団体は葛飾区にもたくさんあります。
そうした活動は「居場所」という範疇では括れない、「寄り添い支援」とでも言うべき、一人ひとりの子どもをきめ細かくケアする活動を展開しています。
計画素案P58の「課題」一つ目は「不登校とならないためのきめ細かい支援」ではなく、「不登校となったときのきめ細かい支援」にしてほしいです。
その内容は「学校復帰に向けた支援策」ではなく、「登校できる環境作り」「長期ひきこもりの防止」であるべきだと思います。
課題二つ目の「いじめ防止対策」はいじめ防止対策推進法の理念に沿って、「区、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することをめざす」という姿勢を示していただきたいです。
三つ目の「日本語指導等が必要な子どもへの支援」でも、こども食堂など民間団体による支援の現場で遊びながら自然に日本語を修得したり、コミュニティに溶け込む様子が見られている現状をご指摘いただき、こうした自主的支援との協働を掲げてほしいと思います。
P59「主な取組み」に掲載されているものはいずれも既存の事業かと思いますが、私はいじめ防止については学校外の講師による「いじめ防止教室」を全小中学校で実施してほしいと考えており、この意見は「葛飾区いじめ防止対策推進条例(素案)」へのパブリックコメントとして提出する予定です。
ここでは子ども応援課の既存の助成金制度を「困難を抱えた子どもや保護者が安心して過ごすことができる場の提供」「行政窓口や専門家に相談しやすい環境作り」として位置付けることはできないでしょうか。
P60「施策②障害等に関わる課題への支援をします」
この項も今まで書いてきたことと同じで、障がいのある子どもや保護者が安心して過ごすことができる場、自己肯定感を取り戻す場、行政窓口や専門家に相談しやすい環境作りに資する私たちの取組みと、行政との協働を提唱していただきたいです。
既存の助成金事業の中で、こども食堂のボランティアスタッフ等の障がい理解、支援スキルアップにつながる研修・講座開催なども助成対象事業としていただきたいです。
P69「基本方針3 子どもが生まれ育つ家庭の事情に左右されない育ちを支援します」
この項についても同様の意見です。民間との協働を位置付け、「かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク」との連携を事業として掲示していただきたいです。

(3)「教育機会確保法(平成28年12月14日法律第105号)」、「いじめ防止対策推進法(平成25年6月28日法律第71号)」の2つの法律の理念をふまえた計画としてほしい。 P3「4 計画の位置付け」
この計画が「子ども・若者育成支援推進法」、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の2本の法律をバックボーンとしていることは理解できますが、これから6年にも及ぶ施策展開においては「教育機会確保法(平成28年12月14日法律第105号)」、「いじめ防止対策推進法(平成25年6月28日法律第71号)」の2つの法律の理念をふまえ、学校教育の機会を一時的にでも失った子どもが、それを理由として自己肯定感の喪失、障がいや病気、健康被害、健全な発達の阻害、就学や就職の機会喪失、引きこもりなど、「困難」のスパイラルに陥らないよう、適切な支援の手を差し伸べることが必要です。

以上、3点にわたって私の意見を記述させていただきました。
2019年1月9日

住 所 葛飾区青戸
氏 名 O(実名は伏せます)
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