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Center:2001年12月ーゼロからの居場所(当事者の会)づくり

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ゼロからの居場所(当事者の会)づくり

『ひきコミ』第11号(2001年12月号)

 本誌第5号に「居場所をどうつくるのか」を発表しました。
 これに関して数人から問いあわせがありました。当事者の会(居場所)をつくりたいので経験を聞かせてほしいというのもありました。
 第5号や第8号「引きこもりの理解と対応」など、これに関係する文章を読み返してみました。たしかに、第一歩から始めるにしては、糸口が見つからないかもしれない、と感じました。不登校情報センターで人生模索の会(当事者の会)になっているこの会の誕生から今日までを紹介する方法を考えました。しかし、長くなるし、必要なことが要領よく伝えられないとわかりました。
 そこで、5年ほど前に「通信生・大検生」の会として生まれ、いま「人生模索の会」になっている当事者の会をふり返りながら、ポイントを絞って、回答を書くことにしました。

 「居場所をどうつくるのか」のテーマにおいて、カウンセラー・相談員が中心になってつくる場合と、引きこもりの経験者や家族が中心になってつくる場合とでは大きく様相が違ってきます。ここでは、引きこもりの経験者や家族が中心になって「居場所=当事者の会」をつくっていくとき、どうするのかを、主に展開していきます。
 はじめに思い浮かぶのは、引きこもり体験の人にどうよびかけるのかです。どこにいるのか、どういう方法でよびかければそのよびかけは届くのか。それが皆目わからなければ、手も足も出ないことになります。
 心理相談室やどこかの講演会に行ってよく顔を見る人がいる。そういう人たちと継続的に話ができる機会になればいいわけです。それらのことを出発にしながら、不登校情報センターでこれまでどんなことをしてきたのかを紹介します。私たちは少しずつ形を変えながら、これらの取り組みを続けていくことになるに違いありません。

 (1)個人情報誌でのよびかけ――人生模索の会の前身である「通信生・大検 生」の会は、5年ほど前に初会合を持ちました。それは当時『じゃマール』という個人情報誌があり、そこに「通信生・大検生の会をつくりたいので、関心のあ る人は連絡ください」という文章を掲載し、それにこたえて連絡をくれた人に参加をよびかけて初会合をひらいたものです。
 『じゃマール』はなくなりましたが、『わぁでぃ』というのがあります。それを利用するといいでしょう。文章は短いものしか載せられませんが、掲載される率はかなり高いと思います。
 本誌『ひきコミ』もその個人情報誌の一種ですから、もし居場所(当事者の会)をつくろうというのであれば、主旨を書いて投稿して下さい。
 地域単位で発行されている雑誌やタウン誌などにも、個人情報が掲載できるものがあります。それらも小マメに利用することです。

 (2)新聞投書――全国紙・地方紙など多くの新聞には投書欄があります。そこに投書をするのもいいでしょう。自分の体験にもとづいて、引きこもりの人たちと連絡をとりたい、グループをつくりたい、などを書いて投書します。同一投書を複数の新聞に投書するのはルール違反です。投書の時期や投書文の内容を変えて、いろいろな新聞に投書をつづけるといいでしょう。
 投書の文章は比較的短く400~600字程度で、新聞により違 います。採用され掲載される確率は、個人情報誌ほど高くはありません。私は、自分が直接に見聞き、体験したことを中心に、一つアピールするように心がけて います。上の投書は2000年4月18日付朝日新聞「声」欄に掲載されたものです。
 新聞投書には個人的な連絡先は載りません。新聞社を経由して連絡が入ることがあります。上の投書では40人ぐらいの連絡があったと記憶しています。
 投書欄は、雑誌などにも設けられています。読者数が新聞に比べて桁違いに少ないので、それを読んで連絡をくれる人は少ないでしょう。

 (3)パソコンでつながる――パソコンのある人はホームページを作って、よびかけたり、掲示板(BBS)を開設したり、あるいは“引きこもり関係”のサイトにアクセスしていって、知人、友人を見つけ出す方法があります。
 私は、顔見知りでない人のメール友達は、あまりすすめる気がしません。できれば実際に話す機会を持ち、居場所(当事者の会)づくりを一緒にめざす、あるいはその場に誘うのがいいと思います。
 ある「当事者の会」は、ほとんどがこのインターネット経由で会員募集をして広がっています。いろいろな傾向の人が急速に集まってきたので運営はたいへんなことがありますが、それは次の段階の問題としておきましょう。
不登校情報センターのホームページを見て、人生模索の会や女性の会(社会参加を目指すひきこもり女性の会)に参加したいとか、内容の問い合わせがあります。比較的すぐに参加し始める人もいますし、それっきりの人、“忘れた頃”にやってくる人などいろいろです。引きこもり状態の深さなど状態の幅広さを感じます。インターネット経由で連絡のある人の一つの特徴で、やはり対面関係になってはじめて人物像がつかめる気がします。

 (4)情報出版物利用型――この数年、不登校関連の対応団体、学校などを掲載した情報提供型の出版物が各種発行されています。不登校情報センターでもそれらを編集してきました。それらの情報出版物には、引きこもり関係の居場所(当事者の会)や親の会なども紹介するものがあります。
 これを利用するのは、当事者の会をつくるときではなく、少なくともいくらかは形らしきものができた状態でないとできません。
 また、月刊などの発行サイクルではなく、年次発行など発行の時期が限られています。本になっていますので、一度掲載されるとかなり長い間継続して連絡が入ってくる可能性があります。そこに掲載する情報は、居場所(当事者の会)の運営者自身ですから、会の現状や方向性を文章化する作業になります。居場所(当事者の会)の到達点を客観視していく機会になるでしょう。
 このような情報出版物に、自分のつくる居場所が載ることは、取り組みの一つの結果であり、継続してきた証としても貴重なものになります。

 (5)講演会を開く――相談できる人やグループがあれば、協力をして引きこもりや対人コミュニケーションに関係する講演会を開くのも一つの方法です。講師として自分が通っているカウンセラー・医師やこの問題に長じている教師、あるいは親の会の関係者などに頼んでみるといいでしょう。もし可能な条件であれば、私自身が出向いてもいいと思っています。
 このような講演会は、ある種のニュース扱いで新聞社などに連絡しておく と事前に告知記事を掲載してくれたり、当日取材に来てそれを記事として載せてもらえる場合があります。講演会の案内ちらしをつくり、全国紙、地方紙、ある いは自治体の広報編集部に送付しておくといいでしょう。
 また案内ちらしを、自治体の福祉関係の部局に持って行って協力をたのんだり、関係のありそうな団体などに配る、公共機関などに掲示してもらうなど、違った形の宣伝活動ができます。
 このような案内が一つの新聞に載れば十分と判断しないで、できるだけ多くの新聞社に情報として送っておくことをお勧めします。掲載される、されないは次の問題でしょう。
 なお私の経験の範囲ではテレビやラジオはあまり意味がないと思います。テレビ局の人が取材にこられたら、参加者の方で撮影お断りが続出して、あらぬ騒ぎになることもあります。
 講演会を開く場合、気をつけたいことは、そこに講師としてお願いした方と結びつきが強くなることです。それは悪いことではありません。ただ自立的な居場所(当事者の会)を予定していたのに、その会の参加者が講師を継続的な相談員と頼ってしまい、会としての自立性が育たないというリスクが生まれることがあります。
 それでも居場所ができれば一歩前進ということもできますが、最初にお願いした講師とより対等な関係で協力関係 をつづけるために、会員独自でレクリエーションを取り入れた動きをつくるとか、別の講師を招いていくなどの方法が必要になることもあるでしょ う。
 不登校情報センターの場合、人生模索の会として講演会を開いたことはありません。しかし、事実上、私が恒常的な 相談員(あるいは責任者)になっていますから、会の自立性がうまく育ちません。それでもしびれをきらしたメンバーがうごめき始めたり、親の会ができてきま したので、そこに何らかの機会が生まれることを期待しているところです。会の参加者には外部団体の講演会などへの参加も勧めていま す。

 (6)講演会便乗型――民間団体や公共機関が主催する講演会などに参加し、そこに参加し ている人たちと知りあいになったり、継続的に喫茶店でお茶会を開いたり、学習サークルをつくることです。一度居場所が形づくられたら、そういう会の参加者 を誘ってみるのもいいでしょう。
 注意事項は、もちろん講演会の主催者などを極度に刺激するやり方は常識的にさけるべきでしょう。あくまでも個人的知り合いになる延長として考えなくてはなりません。

 (7)専門機関(専門家)依頼型――引きこもり体験者や親が自ら居場所をつくるには力不足で自信がない、ともかくどんな形であれ居場所(当事者の会)をつくりたいときです。都道府県立の精神保健福祉センター(政令指定都市も設置)、保健所、自治体の福祉部局、親しくしている医師やカウンセラーに働きかけて、そのような場をつくる方法もあります。
 自治体や公共機関に対する要求運動であっても、自分なりに体験者を募り、 可能な姿で運営面にも協力するのがいいでしょう。専門機関や専門家もさまざまですから、でき上がる居場所(当事者の会)はその機関や専門家の雰囲気や人柄 に左右されます。働きかけても動き出さない、体験者や親の願うものとは違うなど、どうにもならないこともあるかもしれませんが、働きかけてみることをすす めます。一つの会づくりの練習にはなります。
 私は自分の手の届かない地域の人から居場所(当事者の会)に関する相談 をうけ、既存の居場所を知らないとき、まず精神保健福祉センターや保健所に出向き、そこの職員と親しくなることを勧めています。いまは何もしていなくて も、いずれ何かを始めるだろうと考えているからです。あまりにも不確かな事始めのように思える人もいるかもしれませんが、どこかに頼るとしたら、そこだと 思うからです。

 (8)カウンセラーや医師など専門家と協力関係をつくり、そこと連携しつつ、 専門家にとってそのクライエントが友人づくりの場に活用できるようにできる、居場所に集まる人の希望者がクライエントとしてその専門家を利用できる関係も 一つの目指す形でしょう。
 そのほかにある程度、活動が定着、向上すれば、その体験に基づいて、雑誌に投書をすること もあるでしょう。また新聞、雑誌、あるいは放送から取材申込みを受けることもあるでしょう。取材の場合は、受けて立つかどうかになるのですが、可能ならば 一つの機会として考えてもいいでしょう。
 雑誌への投稿は自分の意向でやるしかありません。採用の可否は何とも言えません。新聞、雑誌編集部などからの執筆依頼があれば可能な形で応えていくのも一つの方法だと思います。
 人生模索の会(当事者の会)に関しては、私の方から投稿して採用されたことがありますし、原稿依頼にこたえて、その取り組み記録をまとめて掲載されたこともあります。
 実際に居場所、というより少人数の人の集まりができたらどうするのか、次にはそれを話すことにします。

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