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Center:2008年12月ー社内の異動を機に休み始めた青年を心配する電話相談

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(ページの作成: {{グーグル(広告)}} ==社内の異動を機に休み始めた青年を心配する電話相談== 「そちらは不登校だけの相談をするところですか」...)
 
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==社内の異動を機に休み始めた青年を心配する電話相談==
 
==社内の異動を機に休み始めた青年を心配する電話相談==
  
「そちらは不登校だけの相談をするところですか」という問い合わせに始まる、経営者を名乗る人から相談がありました。ソフトウェアを制作する会社で7年ほど前から働いてきた35歳になる青年にどう対処すればいいのか・・・と。
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「そちらは不登校だけの相談をするところですか」という問い合わせに始まる、経営者を名乗る人から相談がありました。 <br>
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ソフトウェアを制作する会社で7年ほど前から働いてきた35歳になる青年にどう対処すればいいのか・・・と。<br>
  
電話を受けたのは日曜日。先週の木曜日まで、その青年は通常に働いていたけれども、同じソフトウェア制作会社内の部署が変わる金曜日に突然に休みました。経営者は心配になり営業担当の人と一緒にその青年を尋ねました。そこでの事情です。
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電話を受けたのは日曜日。<br>
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先週の木曜日まで、その青年は通常に働いていたけれども、同じソフトウェア制作会社内の部署が変わる金曜日に突然に休みました。<br>
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経営者は心配になり営業担当の人と一緒にその青年を尋ねました。<br>
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そこでの事情です。<br>
  
その青年はマンションの一室に住んでいる。尋ねて行ったけれども自室に入るのを拒み、近くの喫茶店に一緒に入って話し合うことになりました。
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その青年はマンションの一室に住んでいる。<br>
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尋ねて行ったけれども自室に入るのを拒み、近くの喫茶店に一緒に入って話し合うことになりました。<br>
  
①青年は携帯電話を持っているけれども、もし会社を休むようになったばあい、毎日のように電話をしていいものかどうか。とりあえずはそれを聞きたい、というのが経営者の問い合わせの第一。
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(1)青年は携帯電話を持っているけれども、もし会社を休むようになったばあい、毎日のように電話をしていいものかどうか。<br>
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とりあえずはそれを聞きたい、というのが経営者の問い合わせの第一。<br>
  
② この経営者には、ある難病が(難病に認定はされていないが、患者団体が難病認定を求めているという)、それに伴ううつ病があり、現在は薬物治療中。自分の体調はいいけれども、この青年にも似たようなところある。それでうつ病治療のため医療機関をすすめ、本人は同意しているが予約日までの期間がむしろ心配。
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(2)この経営者には、ある難病が(難病に認定はされていないが、患者団体が難病認定を求めているという)、それに伴ううつ病があり、現在は薬物治療中。自分の体調はいいけれども、この青年にも似たようなところある。<br>
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それでうつ病治療のため医療機関をすすめ、本人は同意しているが予約日までの期間がむしろ心配。<br>
  
③青年は、親元を遠く離れて東京都内で一人暮らしをしている。ところが経営者には親元に自分の状態を絶対に知らせないでほしいと強く言われている。これはそうするしかないのか。
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(3)青年は、親元を遠く離れて東京都内で一人暮らしをしている。<br>
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ところが経営者には親元に自分の状態を絶対に知らせないでほしいと強く言われている。<br>
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これはそうするしかないのか。<br>
  
④青年がいうには、いまの会社に7年余り働きつづけているけれども、こういう状態(?・・・どの点を指しているのかは必ずしもはっきりはしないが)は、15歳のころ(中学校を卒業したころ)から続いていると言っている。
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(4)青年がいうには、いまの会社に7年余り働きつづけているけれども、こういう状態(?・・・どの点を指しているのかは必ずしもはっきりはしないが)は、15歳のころ(中学校を卒業したころ)から続いていると言っている。<br>
  
⑤経営者としては、青年は7年余り働き続けているし、この状態が続くとしてもすぐに辞めさせる気はない。
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(5)経営者としては、青年は7年余り働き続けているし、この状態が続くとしてもすぐに辞めさせる気はない。<br>
  
⑥青年にはあまり親しくしている知人や同僚がいるとは思えず、この経営者自身がいちばん身近かな人間になるかもしれない。
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(6)青年にはあまり親しくしている知人や同僚がいるとは思えず、この経営者自身がいちばん身近かな人間になるかもしれない。<br>
  
このほかに相談というよりも、事情をきいていくなかで、電話をかけてきた経営者と35歳の青年の状況がだんだんとわかっていきました。青年の状況は、ある程度は引きこもり経験者と共通していますが、それよりも若者の多くに共通する心身の状態が、この青年にも引きこもりになる青年にも共通している感じがしました。
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このほかに相談というよりも、事情をきいていくなかで、電話をかけてきた経営者と35歳の青年の状況がだんだんとわかっていきました。<br>
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青年の状況は、ある程度は引きこもり経験者と共通しています。<br>
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それよりも若者の多くに共通する心身の状態が、この青年にも引きこもりになる青年にも共通している感じがしました。<br>
  
私には、これといったアドバイスのようなことはできませんでした。直接にこの青年を見ていないので、青年の状態 を、この経営者以上に判断する材料はなかったためです。しかしそれ以上に、この経営者がいまされていることが、直接的な迫力には欠けるけれども、現実的な 対応になっていると感じたからです。
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私には、これといったアドバイスのようなことはできませんでした。<br>
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直接にこの青年を見ていないので、青年の状態を、この経営者以上に判断する材料はなかったためです。<br>
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しかしそれ以上に、この経営者がいまされていることが、直接的な迫力には欠けるけれども、現実的な対応になっていると感じたからです。<br>
  
携帯電話のやりとりにしても「私はちょくちょく連絡するけれども、きみの調子や気分で重苦しいと思ったら出なくてもいいから」と話しているのです。私にはこれに言いたすことはなさそうです。
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携帯電話のやりとりにしても「私はちょくちょく連絡するけれども、きみの調子や気分で重苦しいと思ったら出なくてもいいから」と話しているのです。<br>
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私にはこれに言いたすことはなさそうです。<br>
  
私が唯一加えたことは、「もしこの状態が長期化すれば、この携帯電話のやりとりと同じスタンスで、月1回くらいは青年を尋ねて声をかけてみてはどうか」といったことです。
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私が唯一加えたことは、「もしこの状態が長期化すれば、この携帯電話のやりとりと同じスタンスで、月1回くらいは青年を尋ねて声をかけてみてはどうか」といったことです。<br>
  
 
[[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|2008年12月]]
 
[[Category:不登校情報センター・五十田猛・論文とエッセイ|2008年12月]]

2011年8月7日 (日) 18:34時点における版

社内の異動を機に休み始めた青年を心配する電話相談

「そちらは不登校だけの相談をするところですか」という問い合わせに始まる、経営者を名乗る人から相談がありました。
ソフトウェアを制作する会社で7年ほど前から働いてきた35歳になる青年にどう対処すればいいのか・・・と。

電話を受けたのは日曜日。
先週の木曜日まで、その青年は通常に働いていたけれども、同じソフトウェア制作会社内の部署が変わる金曜日に突然に休みました。
経営者は心配になり営業担当の人と一緒にその青年を尋ねました。
そこでの事情です。

その青年はマンションの一室に住んでいる。
尋ねて行ったけれども自室に入るのを拒み、近くの喫茶店に一緒に入って話し合うことになりました。

(1)青年は携帯電話を持っているけれども、もし会社を休むようになったばあい、毎日のように電話をしていいものかどうか。
とりあえずはそれを聞きたい、というのが経営者の問い合わせの第一。

(2)この経営者には、ある難病が(難病に認定はされていないが、患者団体が難病認定を求めているという)、それに伴ううつ病があり、現在は薬物治療中。自分の体調はいいけれども、この青年にも似たようなところある。
それでうつ病治療のため医療機関をすすめ、本人は同意しているが予約日までの期間がむしろ心配。

(3)青年は、親元を遠く離れて東京都内で一人暮らしをしている。
ところが経営者には親元に自分の状態を絶対に知らせないでほしいと強く言われている。
これはそうするしかないのか。

(4)青年がいうには、いまの会社に7年余り働きつづけているけれども、こういう状態(?・・・どの点を指しているのかは必ずしもはっきりはしないが)は、15歳のころ(中学校を卒業したころ)から続いていると言っている。

(5)経営者としては、青年は7年余り働き続けているし、この状態が続くとしてもすぐに辞めさせる気はない。

(6)青年にはあまり親しくしている知人や同僚がいるとは思えず、この経営者自身がいちばん身近かな人間になるかもしれない。

このほかに相談というよりも、事情をきいていくなかで、電話をかけてきた経営者と35歳の青年の状況がだんだんとわかっていきました。
青年の状況は、ある程度は引きこもり経験者と共通しています。
それよりも若者の多くに共通する心身の状態が、この青年にも引きこもりになる青年にも共通している感じがしました。

私には、これといったアドバイスのようなことはできませんでした。
直接にこの青年を見ていないので、青年の状態を、この経営者以上に判断する材料はなかったためです。
しかしそれ以上に、この経営者がいまされていることが、直接的な迫力には欠けるけれども、現実的な対応になっていると感じたからです。

携帯電話のやりとりにしても「私はちょくちょく連絡するけれども、きみの調子や気分で重苦しいと思ったら出なくてもいいから」と話しているのです。
私にはこれに言いたすことはなさそうです。

私が唯一加えたことは、「もしこの状態が長期化すれば、この携帯電話のやりとりと同じスタンスで、月1回くらいは青年を尋ねて声をかけてみてはどうか」といったことです。

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