Archive for the ‘詩’ Category

97  救われない人

月曜日, 11月 21st, 2016

妄信は
ある意
危うい
思考の停止

自覚なく
長いものに
巻かれる
安住

信じるか
信じないか
という問いが
発生する時点で
絶対は存在しない

信と
真とは
別物でもあり
それはときにたくみに
混合される

信じる者しか
救われないのか

救われぬ者は
どこへゆくのか

祈りのような
言葉を捧げて

悟りのような
無我を求めて

どこまで行っても
抜け出せない自己

どうにもならない
生の意義

96  月に見られる

月曜日, 11月 21st, 2016

窓をひらくと

月が見ている

 

見られる身にして

光の畏れ

 

  ☆

 

部屋の暗がり

ともす灯もなく

 

脳神経の

乱れるシグナル

 

  ☆

 

夜の孤独に

月の擬人化

 

闇を背に負い

思慮深げな

 

  ☆

 

濡れる抒情を

乾かして

 

やっぱり今宵も

月に見られる

95  目

木曜日, 9月 8th, 2016

瞳でつかんで
目蓋で嚙み砕く
その咀嚼は
深みにはまる

視覚優位の
神経系統
脳にブレーキ
危うく錯視

煙草のけむりを
くゆらせてると
火で目をつぶす
衝動が

他と他が見合う
映り方
真なるものは
みっつめの目で見る

94 時の中で

金曜日, 8月 26th, 2016

世界に
ひっかかっていた頃
一日がこんなにも
短くはなかった

めくるめく
ひと日ひと夜
濃密だった
日々過ぎて

今は
もう
たいらな時間の
うすい夢

過去と未来を
蹴とばして
近づく何かに
おびえつつ

刹那のような永遠
永劫のごとき一瞬
流れる空の
無の様相

93 ほころび

金曜日, 8月 26th, 2016

いま
ここ
この身に
起こっているコト

きて
ゆく
この世の
トキのほころび

きのうの脳内
傷に気付いて
痛みに至る

あしたを超した
時間の軸の
迷う真夜中

92 きざし

木曜日, 6月 16th, 2016

世界のくずれ
荒野をくぐれ

いずれの道も
はずれの行先

落ちるしぐれ
生きてるまぐれ

ひずむ宇宙
しずむ星々

非自己のきづき
無自我のねづき

とざす窓にも
きざす光

91 名の無き者

月曜日, 5月 9th, 2016

菜の花の咲く
野の道よ
橋の高みより
見る魚影

名の無き者の
乗る風よ
端の深みへと
身の射影

空気はたたずみ
見渡すかぎり
のっぺらぼう

勇気はあるか
漲るひかり
風来坊