カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


「ありのままで」を認める人と認められない人の違い

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
移動: 案内, 検索
Icon-path.jpg メインページ > About Us/不登校情報センター > 松田武己 > 五十田猛・論文とエッセイ > 「ありのままで」を認める人と認められない人の違い

「ありのままで」を認める人と受け入れられない人の違い

〔2014年5月1日〕
ディズニーのアニメ「アナと雪の女王」が好評のようです。
社会現象になっているという人もいます。
主題歌Let it goの歌詞にある「ありのままで」というのは、不登校や引きこもりなど困難を持つ人が状態を改善する最も基本的な条件です。
私が26歳のとき「私は未熟であり不十分です。
それはみなさんと同じです」というこっそりと“居直った”気分を宣言したのも同じ部類です。

「そんなことはわかっている」というかもしれませんが、その言葉をすんなりと受け入れられる人は元々そう困難を抱えてはいないのです。
渦中にある人が聞くと、歌う松たか子さんやMay Jさんは「別格の歌のうまい美人さん」であり、自分とは住んでいる世界が違うのです。

それでも、このアニメが人気を博すことは喜ばしいことです。
自分を「ありのままで」受け入れることが事態を変える基本的なことであるというメッセージを広げているからです。

では何が違うのか。
「ありのままでいい」という自分を認めるには、心のうちにそれだけの条件があるからです。
その条件のないところで「ありのままでいい」と話しても、一種の強制に過ぎません。

必要なのはそのような心境の変化を生み出す環境をつくり、粘り強く応援することです。
そういう取り組みなしに「ありのままでいい」というのは軽はずみであり、無責任でさえあります。

たとえて言えば、歩き始めた人にアルプスの登山を勧めるようなものです。
10年の引きこもり生活から一歩家から出始めた人に就職活動をすすめるのもまた同じようなことです。

「ありのままでいい」が受け入れられない人は、周囲から自分の状態を守るのに最大のエネルギーを使わざるを得ないのです。
そこに思いをめぐらせなくてはなりません。
個人差はあるにしても、その状態から徐々に人慣れ、場慣れをします。
エネルギー消費にやや余裕が出たところで落ち着いて周りを見ていくことができます。

こういう環境をつくるうえで大事なことは、自分なりのやり方で試行錯誤するのを見守ってもらうことではないでしょうか。
すでに決められた規則とか手順に沿っていくのではなく、一つひとつの過程を納得していくことです。
いかに規則や公式が多数の人の経験を踏まえたものであったとしても、自分の経験、自分の物語がないものはしょせん借り物にすぎず、自分の力にはならないからです。

自分なりのやり方や試行錯誤には、迷いや失敗がつきものです。
それを経験することです。
そういうことなしに最速で何かを身につけようとすると、逆戻りし元の木阿弥の原因になります。

これは誰よりも本人が失った時間を取り戻そうとするから、そうなりやすいものです。
家族や支援者など周囲の人がそれを促進するのもまた同じことです。
その人のペース(準備、手順、時間など)を待たなくてはなりません。

ディズニー・アニメの「アナと雪の女王」の物語を私は知りませんが、そういう過程があると思います。
何よりも本人にとってのその過程、多くは失敗や混乱している時期があります。
そこを経験することなく飛び越えるのがいいとは思いません。

その過程で自分のペースを感じるのです。
自分の特徴や受けとめ方がわかるのです。
苦手なこととできそうなことの区別がついていくのです。
横から見ても不十分なものは見えるし、本人もまたそれがわかります。
そこでもその不十分なことを含めて自分なりのものを肯定すること、これが「ありのままでいい」と思えるときです。

そういうものがまだ出来ていない空白の時期に「ありのままでいい」といわれてもピンと来るものがないのは当然ではないですか。
その状態もまた本人にとっては「ありのまま」ですが、聞いた周囲の人に理解できない、納得できない「ありのまま」だからです。

自分がこう思っていても誰かからそれを承認してもらわなければそうは思わない、「ありのままでいい」とは思わないという当事者の言葉は真実をさしているのです。

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス