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「気疲れ」経験を通して人との関係をつくっていく

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「気疲れ」経験を通して人との関係をつくっていく

あまり外出することのない30代の男性が親と一緒に来ました。
途中で「なぜ外出しない・外出できないと思いますか?」と聞いてみました。
沈黙の後のことばは「気疲れするから…」というものでした。
この言葉は、人がひきこもりになる要因を的確に示しています。
長く引きこもっていた人が久しぶりに外出すると想像以上に疲れます。
情報センターに来ている人にもそういう人は多くいます。
久しぶりの外出で1週間ほど寝込んだという人もいます。
しかし来つづけていると「そういえばいつの間にか疲れなくなった」と思うものです。
外出の頻度にもよりますが数か月から1、2年するとこのような強い疲れは感じなくなります。

なぜひきこもるのか、なぜ気疲れするのか…。
それは体質において感覚が優れている先天的なものが背景にあります。
自然によく見える・よく聞こえるのです。
それにより周囲の人の雰囲気や気分を強くキャッチするのです。
それに対処するために神経系が自然に反応する、それが気疲れです。
これは動物としても、人間としても生き抜いていくのに必要な能力です。
その能力は人並み以上で、この能力を下げることはできません。
その能力を生かせば特別な力を発揮できます。
超高性能な身体を持っているとたとえることができます。
しかし高性能な機械をうまく使いこなさないと、機械自体をうまく使えないようです。
同じように優れた感覚のある自分の身体を自分で上手く使わないと自分の能力を持て余します。
優れた感覚によりとらえる周囲の人の雰囲気にのみ込まれてしまうのです。
そうならないように気を張っていなくてはなりません。
その結果が気疲れになります。
他の人も同じように周囲の人の気分や雰囲気を感じているのにどうして平気なんだろう、と思うかもしれません(そのように言った人が実際にいます)。
他の人の感じ方を自分では経験できないのですから、これは当たり前です。
そういう違いに気づくのはかなり後のことですし、気づかないままの人も多くいると思います。
この優れた感覚をもつこと、感受性が優れていること、そういう自分の特色を知って、うまく使いこなしていきたいわけです。
これは特に思春期のテーマです。
周りのなかで自分を理解する(社会性の獲得)というのが思春期の壁になります。
感覚がすぐれ感受性が強い人には、高度の対応力がいるのですが、そう都合よく対応力は備わっていません。

いろいろな工夫や方法がありますが、多数の人に勧められるのは人と自然に接触する経験を多く重ねることです。
言い換えますと気疲れする場を少しずつ経験することです。
初めから多くの人のなかに入ることは抱え上げられない荷物を持ち上げるようなものでお勧めできません。
一緒にいて楽な人との接点をもつことから始めるのがいいのです。
居場所でみていると、新しい参加者は自然にそのようにふるまっています。
その人と面接のような形で接触をするよりは、遊びやゲーム、一緒に歩くなどの軽い運動、好きな作業、歌う…などです(カウンセリングは別物と考えます)。
話好きな人は話す機会を持つようにするのがいいと思います。
しかし、多くは話すのは苦痛です。
特に男性にとって話すことは苦手なことが多いのです。
目標を達成して終わりというよりも長く続けられるものがいいのです。
健康法と似ています。
そういうことを繰り返していると外出しても気疲れを感じなくなります(体の疲れは感じますが)。
そうなった時点ですでにひきこもりから抜け出る初期の課題を通りすぎています。
知らないうちに次の課題に取り組んでいるのです。
これは引きこもりの経験者に限らずどの人にも共通するのです。
ひきこもり経験者にはとりわけ知っておいてほしいことです。

〔つづき〕
「なぜ外出しない・外出できないと思いますか?」と聞いたところ、「気疲れするから…」という答えを見て、「私の場合は、傷つくのが怖い、バカにされるのがイヤだった」という声が上がりました。
このテキストを元に話をした不登校・ひきこもりの親の会の席のことです。
同じような言葉は以前にも聞きました。
ある人が就職し、職場での体験話を聞く会のときです。
人と話ができるようになり、特に親しくなるといろいろと詮索をする人がいます。
そうすると自分のこれまでを話さなくてはならなくなる、それがイヤだとなるのです。
さらに「就職して働くのはできそうだけれども、そのための面接という壁が高い、自分の貧弱な過去がさらされる」という人もいます。
気疲れ、傷つく、バカにされる、詮索される、貧弱な過去がさらされる…これらの根本的な背景は同じです。
先天的な繊細な感性をもつ体質をうまく使いこなせずに、周囲から自己防衛を図るのに精力を使い果たしてきた自分の経験が表われています。
気にしすぎるとか、自意識過剰と言われてきた人も少なからずいます。
そうせざるをえなかったわけです。
周囲のことがよく見えます、よく聞こえます。
においに敏感であったり、味覚にも敏感であったりします。
これらはいくぶんは個人差がありますが、共通することはその感覚を通して周囲の人の気持ちがわかるのです。
自室のドアを親が開ける仕方とタイミングで、その日の親の気分がわかってしまうのです。
親だけではなくいろいろな人の気分を一瞬で感じ取ってしまうのです。
よくわかる人ほど、慎重で正確な対応を自然に心がけるようになります。
何かを求められても、的を得ていながらざっくりとした答えがしづらいのです。
時間をかけてこまごまとしたことを織り交ぜて答えることが多くなります。
感受する情報が多いと情報処理が間に合わないパソコンのフリーズに似た状態になります。
反応が遅い(ない)、言うことが回りくどい、時にはヘンは人とされて、いじめの対象になります。
こういうことが子ども時代から繰り返されてきたと思わずにはおれません。
これらへの自分なりの対応が自己防衛の発揮です。
人との関係を少なくする、相手をチェックして選ぶ。
けれども結局これという人がいなくなります。
他方では家の外に出るよりも室内で趣味を見つけて熱中します。
絵を描いたり詩や小説を書く人もいます。
最近はゲームに熱中が断然多いです。
ひきこもってきた人の子ども時代からを振り返るとこのような個人史が浮かんできます。
個人差はありますから誰にでもそのまま当てはまるわけではありません。
人とつながることが少なく、社会経験が少ないとなるのはこれらの結果です。
これを徐々にその人にあった方法とペースで進むのです。

(2016年8月)


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