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いちよう作品集

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目次

いちよう作品集

短い詩達(俳句)

夢に咲く花を見たしと病室の中


父の書斎ぶあつき本をそっとめくる


肌ざむしけれど野山はもえている


目をあげて世界広がる青空よ


父隣ちょっとうれしい親近感


夏の夜笹の音する涼しさよ


山桜の孤独

うすもやの中 うつろに歩く 男1人あり

その男 女衣をはおりつつ

女衣は花衣

むなもとからほろりと浮き立つ白き肌

白昼夢は山桜

さくら さくら 君はつぶやく

夢見る目で 君なぜ悲し

君なぜ狂い 右手に持つは狂い笹

そしてひそかに永遠の眠りについた

その身は山桜となる

夜空にあやしくも生え、

その身は輝き花吹雪


その時ふと彼は臭気を感じた。


自分の体からだ。


いや違う本当はにおっていない。


それをわかっていながらも彼は幼き頃から、いじめられ、さげすまれて育った。


そういう何かぬぐいがたいひけめを持った彼がそのように感じることは容易に想像できるであろう。

気がつくと小道に立っていた。 ぼう然とした気持ちのままで。


歩く気力がないが歩かねばならぬ。


生きていくためには歩かねばならぬ。


闇の中白く細くえんえんとつづく


その道を歩く。


先も見えない。


一歩あるければ二歩目もあるける。


二歩あるければ散歩目もあるける。


そうして気力をふりしぼって進むしかない。


にちじょう

日常が怖い 怖い 怖い

あるのはテレビとおしゃべりだけ

それでも思いっきり 感覚を麻痺させて

生きながらえねばならぬのか

時のレールに身をまかせて意味もなく流れてく

日常という檻

毎日同じものをみて 同じことを聞いて

同じ事をする

そして、そのむなしさをごまかすためにお菓子を食べている


社会の常識というものがいかに、考えを固着させるか。
人は生まれたときにもうすでにまわりに社会がある。
幼年期はまわりのものを吸収するのに徹底する。
言葉を覚え社会のルールを覚えていく。
小さな頃はまだそういったことを疑うことを知らない。
本当にこの世界は正しいのだろうか。
世界はブラックボックスつまり使い方は解かっていても仕組みがわからないものだと思う。

皆社会の歯車のなかにいる。
生きるために社会がある。
でも、社会はどこに向かって進んでいるのか。
何のためにあるのか。
何を目的にしているのか。
誰もわからない。


修学旅行の夜に

あれは学校の修学旅行に行った時だった。

部屋に生徒達が集まった。
室内は電灯の黄色い光に満ちていた。
古くけばだった畳の上に皆しばしわらい合う。
田舎っぽいような明るさだった。
温かかった。


反対に窓を見ると外は闇だった。
それはいつかどこかで見た情景だった。
そう、幼き頃いところ一緒におばあちゃんの家へ行った時だ。
その闇を思い出したのである。


漆黒の窓に光にさそわれ、たくさんの蛾がとまっていた。
いまでもはっきりと覚えている。
大水青を見たぞっとする様に、又、青い幻灯のごとく美しかった。

窓の外をいとこと一緒に見た時のまなざし。
夢中に見る。幼き心に色どられし記憶。

なつかしかった。

みんなでお風呂に入った事もおもいだす。
お風呂のにおい。
キャッキャとさわいだ無垢な頃。
なつかしかった。
廊下をいとことどたばた走ったりしたっけ。


そこで清里に意識が戻った。
皆談笑している。
小さいころの感覚が体にしみついたままだった。
雨がふりだした。
それが部屋の灯りに照らされ、白い線に見えた。白い線が忙しく動く。
その様はキネマの映像に出るゴミのようだった。

たくさんの蛾がとまっている。幼い頃と同じだ。
電灯のあかりでほえる妖精たち、パタパタと羽を動かす踊り子たち。

小さい頃にかえった様に夢中で見た。
その日みんなで雑魚寝した。
雑魚寝特有の目がさえている時も、眠りつけた後も夢の中で私は、昔の甘ずっぱい空気に包まれていた。


こころ ころころ

私は心(感情)を落っことしてしまった。
駅の忘れ物係りにもないという。 お店に忘れ物はないかと聞いてもないという。
私は泣きたいのに心がないから泣けなかった。

寝台車に乗りながら茶っけた古本を読んだ。
そのかたすみに前の人の書き込みがあった。
前の人を空想し思いをはせながらよむ。
すると何故かなつかしくなった。

寝台車のゆれを感じスキットルをあおりながら
活字をおう。


時よ終われ

暗闇の中 時間という

歯車が追いかけてくる

ふりむいてはいけない

心の闇よどんどん深くなる

闇の中1人汚れぬ白百合が言う

幼き子目をつぶって走りぬけ

人間は幸福のどれいとなる


びんぼうリング

今は思い出

寒きし日

かいろがわりのコーンポタージュの缶のリング

君の指にそっとはめた

ぼくと君の愛のしるし


くらやみすみれ

トンネルの闇の中 1人すみれが咲いている

ひっそり咲いている

咲き場所をまちがえたみたい

誰の目にも止まらない

でも生きています

生きています


紅の中で

秋 秋 秋

乱れし日

落ち葉が舞う 紅が舞う

その中に私がそっと立つ

私の瞳に秋が映る

私の瞳に秋が宿る


美しき紅達よ 私のために舞え

冬は悲しき 裸になった木達がカラカラ

カラカラ

泣いている


こうら

年をとるのはいやなことじゃない

年の甲というとおりみんな人生という甲羅をしょっている

年をとるごとにこうらが重くなっていく

そのこうらの中には悲しみや苦しみがあるけれど

愛やら知恵やらすばらしいものがつまっている

年をとるのはいいことです


氷の音色

漆黒の夜空に凍る星ぼし

白い息をはいている

まるで凍えているようです

表どおり 裏どおり

だんだん近づく石油配りの車の音

寒さの中氷が割れるような音色

それは悲しくしみる「月の砂漠」

アスファルトの凍るような静寂の中

木造のすきま風吹くアパートで

一人子供がお留守番

母さん早く帰ってきて下さい

外には雪が舞い始めました


きんぎょ

彼は悔しくてたまらなかった。

夏の終わり頃である。

この時期になると夕方はもう寒々としていた。

彼は金魚ばちを洗っていたのだった。

金魚のいなくなった金魚ばちを。


かじかんだ手で1人さみしく洗っていた。

夏祭りで金魚をすくいきゃっきゃとよろこんだことに思いをはせながら。

たわしで金魚ばちをごしごしこする。

そうするうちに腕がだるくなってきた。

悲しみがこみあげてきた。

鼻のつーんとするのをこらえながら彼はいつまでもいつまでも洗い続けた。

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