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ひきこもりの医学的な解明を期待します

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ひきこもりの医学的な解明を期待します

30代のNkくんを精神科に紹介して2回ほど診療を終えました。紹介したRi先生に手紙を書きました。
私が考えるひきこもりの医学医療的な面からの解明を頼んだつもりです。空振りになるか、何らかのものが得られるか…。
ここでは必要な省略と、必要な言葉を補足して手紙を紹介します。

  • ここで「マルトリートメント症候群」としていることは「愛着障害」とするのが適当であると思います。

Ri先生――Nkくんについて特別のお願い
3か月前からNkくんがRi先生に受診し始めました。思うに彼は診察を受けても、自分からこれといった話をするようには思えないし、これという振る舞いも期待できません。
それに服薬もないはずですから、何のために診療に行くのかよくつかめないかもしれません。
しばらく通って障害者手帳をもらえたら、就労移行支援B型作業所に行くことが目標になると話しています。
明確な返事はもらってはいませんが、拒否的な反応はないのでそのつもりでいると判断しています。
その作業所は中古のパソコンを回収し解体する、部品を分類する、そして再生し、販売もします。要はリサイクルするところです。
4月に一緒に見学に行ったとき、これまでの経過の中では珍しく「やっていることはわかるし、できそうかも…」と彼が関心を示したところです。
そのパソコンのB型作業所に行くのを動機づけにしています。ただそれだけが診療を受ける目的では全然だめです。
私にはこの際、医療の場において彼の言動をできるだけ引き出し、よく観察し、究明してほしいことがあります。
マルトリートメント症候群です。脳の前頭前野などが縮小し、また視野・聴覚も狭めているというのが、マルトリートメント症候群の身体症状です。
子ども時代に虐待やいじめを受けた人に表れる症状であることはすでにご存じのことと思います。
それとは別に子ども時代から胸腺の萎縮がある(免疫機能に影響?)、過敏性腸症候群(IBS)なども考えなくてはなりません。
彼の今日の状態の背景になる、埋もれているマルトリートメント的な記憶を呼び戻し、掘り起こしてほしいと思います。
ひきこもりが医学的にはマルトリートメントとその結果としてのマルトリートメント症候群であると病理学的に、解剖学的に証明したいわけです。
実に無理難題なお願いになることは承知しております。
彼に限らずひきこもり状態をつづけている、引きずっている人は個人的な特徴をもちますが、かなり多くがマルトリートメント症候群として理解できるのではないかと思うほどです。
そのメカニズムの明瞭化につながるのを期待しています。
Nkくんと私は断続的ですが長期に関わってきました。頼んだことのなかで出来そうなことはやろうとします。
しかし、それをきっかけに次の課題を見つけ意欲的に取り組み始めたことは思い出せません。
私に見落としがあるかもしれないと思う一方で、自分からは動こうとしていないのも確かです。
人と関わりながら関心を持ったことを継続する動きがみられないのが大きな特徴です。
それでいて周辺の人に特別な不快感を与えるわけではありません。
孤立しやすく、いつも孤独でいるのですが、それが苦にならないいのではないか? 
知的能力は低くはない、むしろ高いと思えます。
これらの状態が脳の前頭前野の縮小に関係すると証明できれば、ひきこもりへの医学医療分野での対応は格段に進むと思いますが、はたしてどうでしょうか? 
ある時期から私は彼にできそうなことを見つけては、呼びだして助けてもらう方式を取り始めました。
パソコンのハード面の補修と電気関係で助けてもらっています。
やることが明確でできそうだから呼ぶ、そういうことを繰り返してきました。
B型作業所の見学もその経過の中で実現したことです。
パソコンに関係する作業をするとき、彼は「本格的に習ったことがないので、できるかどうかわかりませんよ」と断っていますが、これまでは解決しなかった例はありません。
ひきこもり生活の間にパソコンや電気に関する本を読み、パソコンを分解して勉強したみたいです。
最近はわからないことでもあれこれやってみて何とか解決にこぎつけるようになったと感じます。
自分に関心があるテーマを与えられれば動くけれども、自分からは人と関わるような外出や行動はしません。
私の勝手な仮説ですが、彼には閉じ込められた記憶がある。虐待かいじめか、相当のマルトリートメントを受けたことがある。
それが脳神経系に影響し、とりわけ意欲をつかさどる前頭前野の機能を著しく低下させているのではないか? 
そしてもう一つ、その影響は反対面では特殊な能力を伸ばしている可能性があるかもしれない。
彼の場合の、パソコンとか電気関係への関心と理解はそれにあたるのではないか。
マルトリートメントを提唱している友田明美さんは脳のMRIでその萎縮を観察し、子どもは「脳を委縮させて防衛してきた」と語っています。
この説を子ども時代から相当な期間が過ぎた生身の人の様子・症状との関係で解き明かしたいわけです。
Nkくんを離れて(?)ひきこもり経験者の状態や様子からいくつか気になることがあります。
仕事につくときに大きな壁があります。働けるのは1日おきになる(週3日就労)、1日3時間なら週5日働ける‥というような就労パターンになるケースが多い
(障害者の短期就労に当てはまります)。
日常的なことを挙げるといろいろ出てきます。
例えば「責任」です。仕事に限りませんが、彼ら彼女らに何かを頼むとき「責任を持ってやる」ということに大きな負担(ストレス)を感じると思います。
何かを頼むと、一生懸命にやります。それこそ陰日向なく誠実に行います。
これは顕著な特徴といっていいくらいなものです。
ところが、同じことであってもそこに「責任を持つ」がつくと、とても嫌がり回避しようとします。
ストレスを受けやすい体質になっていると推測するのですがどうでしょうか。
たぶんそれに似ていることです。期限(〇日までに、〇時までに)という時間制限がつくと、特にストレスを感じるみたいです。
それらを気にしなければ、かなり集中をして取り組みます。
不登校情報センターで作業をするのですが、「休憩 !」を呼びかけてもまともに休みません。
淡々とマイペースを続けます。メリハリがないともいえます。
とにかく作業にしても、仕事にしても、時間的な期限とか、納期が設定されていないといちばん集中して取り組めるのではないかと思います。
奇妙なこともあります。
歌を歌う、演奏する、絵を描く…どちらかというと人前で発表や表現するときです。
できる範囲で完璧を押し通すのでなく、最後にちょっとミスをしてみるみたいなことです。
意図的にそうしているのではないかと思うこともありますが、そうではないかもしれません。
なにか完璧性を避けたい気持ちがあるように感じて、そうしているのでしょうか? 
照れるというか、買い被りをされないように予防しているのか…。
これらも責任をベースにした行動や振る舞いかもしれません。
人と交渉して両者が折り合うところにたどり着く、そういうことが苦手です。
言われたこと、決まったことに従うが、少し気になることがあるとまったく手を出さない。
このどちらかになりやすいと思えます。関心がある、できそうだと思う。
けれどもあそこがどうも、この点が引っかかる。そこで条件を出してやりやすくする。
こういうやりとりを避けます。コミュニケーションが苦手という範囲で話しますが、よく聞くと交渉事です。
交渉事が苦手で回避するところがあります。
ストレスによる消化器系の異変はIBSの原因として知られています。前頭葉の関係はどうか。
マルトリートメントとストレスの関係はどのようなものになるのか。
これらの医学または身体科学の理解は私には手の届かないところです。
私が出会うのは、対人接触面での暴言(どなられる)、暴力(たたかれる・蹴られる・ふりまわされる)、指示命令で使いまわされる、などの経験談です。
それらが対人恐怖や対人不安の発生原因になっています。対人関係のエネルギーを使い消耗しやすいことです。
日常の相談というよりは、子ども時代を回顧して話すときに出てきます。
しかしまた、仕事についた後で「辞めたい」というときにも表れます。
ひきこもり経験者が就労するのに躊躇するのは、これらを予測できるからではないか。
言葉にする以前にからだの感覚で察知するのではないか。
私はこのあたりの問題意識をもって言動の少ない彼らの理由を解き明かしたいのです。
そういう観察眼をもって見ていただきたいのです。
診察においてはこれらの表現を読み取り、その理由と原因を考え、調べていただきたいと期待しています。
それは彼が意識していないかもしれないマルトリートメントに関係していないか。
そういうテーマをもって観察していただきたいのです。
可能ならば脳のMRI検査もできるように対処していただきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。

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