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ひきこもりの認定について

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ひきこもりの認定について

(会報「ひきこもり居場所だより」2023年6月号)

内閣府は、ひきこもりは15~39歳が54.1万人(2015年)、40~64歳が61.3万人(2018年)と発表しました。
特定地域で調べた数値を全国に推計した架空の実数です。
時期はずれますが合計115万人です。
この数え方はひきこもり当事者には悪くはありません。
自分はひきこもりと認定されないまま、ひきこもりの総数が示されます。これがよい点です。
なぜならひきこもりと認定されることによる利益は何もないし、レッテルを貼られたまま放置される事態を予測できるからです。
しかし、ひきこもりと個人認定される制度がないことはいい面だけではありません。
本当にひきこもりを認定する制度はないのか? そこから始めます。
医師(精神科)は、ひきこもりを認定する役割をもっていません。
ひきこもりは社会的行動の評価が必要であり、医師はそこまで視野を広げて判断できる条件はもちません。
医師のなかには「ひきこもり」と診断する人はいます。
しかしそれはその医師の視野(または関心)の広さによるものです。
医師は一般的には目の前の受診者が精神的病理、すなわち精神疾患か否かを判断するのであって、ひきこもりと特定することを求められてはいません。
厚労省が示す「ひきこもりの定義」はこうです。
「さまざまな理由から、学校への登校、アルバイトや仕事などの外との交流を避け、原則的に6ヶ月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態です。
他者との交わらない外出(買い物、ドライブなど)は可能なことがある」(厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」2010) 。
このように病理ではなく社会生活の状態を判断基準にしています。
これを判断する人は誰なのか? そこは決まっていないのです。
東京都江戸川区は2020年に、世帯数半数(約18万世帯)の実態調査により57.1%の回答を得、人口69.5万人住民のひきこもり数を7919人と発表しました。
当人には伝えられてはいないかもしれませんが、個人認定になります。
どういう判断基準により、誰が認定したのでしょうか?
報告書(2020)によるとこうです。
厚生省定義から期間要件を除き「仕事や学校に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしていない方」としています。
調査用紙を世帯主宛に郵送し、回答を求めます。
回答のない世帯にはインターネット回答、電話回答、さらに民生委員が訪問して回答を求めました。
合計回答数103648件(57.42%)、未回答は77307件(42.83%)です。
回答によるひきこもり数は有効回答の4.39%です。

さて私が問題にしているのは、誰が「ひきこもりを認定するのか」でした。
複数回答方式による判断をした人は調査を実施した江戸川区であり、個別には調査担当者になります。
しかし回答をそのままカウントしているので、回答者=世帯主、またはその代理者です。
私はこれをひきこもりの実務的判定と考えます。
世帯主回答の正確性には心もとない面もありますが、おおよそ肯定的にみます。
結果は103648世帯で7919人であり、これを全国的に広げると先のひきこもり数115万人と比較すれば大きな差です。
2020年国勢調査の全世帯数5583万世帯で計算すれば、4.39%は245万人! ひきこもり人数は倍以上です。
内閣府はより厳密に判定していますが、江戸川区の調査はひきこもりをより広く扱ったことになります。
私のひきこもり居場所運営の経験からすれば、「より広く」扱うのが好ましいものです。
深いひきこもり状態の人が集中するよりもいろいろなレベル・種類のひきこもり、準ひきこもりが混在する方が、対人関係づくりなどひきこもりの社会参加への道はより円滑にすすむからです(容易とは言えない)。
厚労省の定義は基本的に変えなくてもいいでしょう。
しかし実務的にひきこもりを判定するのはそれほど狭くないほうがいい。
そういう立場からの、誰がどうひきこもりを認定するのか。
認定者についての私見です。
(1)実際にひきこもりの支援、またはひきこもり当事者に関わっている団体・グループで、同一人物を数か月以上継続的に見ている人——これが認定者に必要な要件1です。
(2)認定者とするにあたり、厚労省の定義を含の研修機会の受講が要件2。
この2つの要件を満たす人を「ひきこもり認定者」として制度化します。
(3)「ひきこもりとして認定された人」には不利益ではなく、逆に認定されると利益が与えられます。
その方法として、一定の居場所(家族会や学習会などを含む)への交通費(または移動費)の援助を受けられる。
(3-2)多くの居場所等ではひきこもり当事者の参加費無料などが広がっています。
ひきこもりを認定できる居場所等に運営費支援が行われる。

不登校は学校と教育制度を変えつつあるます。
2016年には教育機会確保法ができ、フリースクールなども公教育と認められました。
不登校生は生徒数が減っているのに10年前よりも大幅に増えています。
学校はなくなりませんが、学校に代わる教育施設が生まれ公教育を受け持つ時代になりました。
それに続いて、ひきこもりは社会のあり方を変えていくと確信できます。
不登校は子どもに関わる社会を変えました。
ひきこもりは社会全体に大きく影響していくと推測できます。
「ひきこもりとして認定される」制度はひきこもり傾向の人が増える社会への対応を準備します。
たとえば障害者に適応される短時間就労はより広く認められると予測できます。
しかし社会変容の全体は実際の動きにゆだねるべきで、わたしには予言はできません。

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