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ひきこもりを仕事につけるリクルート活動

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ひきこもりを仕事につけるリクルート活動

中小企業にはなかなか働く人が集まらず困っているという話を聞きます。
そういう事業者に30代、40代の真面目なタイプな人の募集に成功している実例を紹介します。
求人の対象者はひきこもりの経験者です。彼らの気持ちにフィットとする丁寧な求人方法をお知らせします。
場合によっては出向いてお話をするつもりです。何しろ対象者は多いです。
その概要を話します。お聞きください。

ひきこもりの当事者が仕事に就く前にいちばん分かってほしいことは「ひきこもっていたことによるいろいろな結果を平静に受けとめとほしい」ことです。
仕事についてはわからないことが多いです。
初めての仕事は誰でもそうでしょうが、社会経験の少なさが輪をかけています。
何がわからないのかがわからないので事前に聞くこともできません。
完ぺきでなくてもいいので、このあたりを事前に分かっていてほしいのです。
仕事に就いた後、いきなりわからない場面にぶちあたります。
そんなとき何もできずに止まったり、うろうろするだけになるかもしれません。
そこで「やる気がない!」と判断して怒鳴らないでください、おとしめないでほしいのです。
それがひきこもっていたことを平静に受け止めることです。
そんなときバカにされたり、ダメだしされることがあれば一気に落ち込みます。
立ち直れない気がします。こういう事情を分かってほしいのです。
立ち直るまでに相当な時間が必要になります。
そういう予感がしてこれまで動けなかったのです。
これらは履歴書には書きようがありません。
長いひきこもり経験があるとはそのように表れるのです。そこを理解してほしいのです。

昨年来、産業廃棄物業界の現場で働きながら、不登校情報センターに関わるひきこもり経験者のリクルート活動をつづけるエンジくんの働きかけで、数人が働くようになりました。
それを進めたエンジくんはひきこもり経験があり、知らず知らずのうちにこれらの条件を自然に織り込んだ働きかけスタイルを実行しています。
その前にエンジくんの会社を簡単に紹介しておきます。
従業員は600名を超える産業廃棄物の回収・再生する会社です。中規模のなかでは大きい会社です。
営業部門、廃棄物の処理工場、運送部などがあり、エンジくんは比較的大きな商業施設20か所での廃棄物の回収を担当し、そこは合計70人が働いています。
主力は60代の定年退職をした人たちです。
30代、40代の人は若手になり歓迎される対象です。
エンジくんは昨年8月からほぼ毎月「説明会」を開いています。
仕事現場の様子、会社の状態を話しながら出席者と顔を合わせる場です。出席者は1、2名です。
働こうという雰囲気が感じられればその場で、次に進む予定を組むこともあります。
産業廃棄物業界は、不況の影響が少なく成長産業というと言い過ぎかもしれませんが経営的には安定しています。
しかも「コンプライアンス順守」を強調する会社で、従業員の雇用保険、社会保険、交通費負担などがちゃんとしています。
問題は時給が安いこと(最低時給はクリアしています)、週休が少なく、週6日働くときの1日は残業扱いの25%増しの時給です。
1日の就業時間が短いところもあり、従業員は時間給なので週休2日の要求に積極的ではありません。
受け取り給与が減るからです(定年退職者が多いことが関係)。
それにもかかわらずエンジくんに勧められて数名が働き始めました。
彼らの働きぶりは高く評価されています。
真面目に働きます。いい加減ではなく横暴ではありません(謙虚すぎるところはあります)。
それはひきこもり経験者に接する人が感じていることがそのまま仕事場面に表われているのです。
なぜ働くようになったのか。
それぞれの事情がありますが、ここではエンジくんの進め方、取り組みを紹介します。
中小企業で働く人が集まらないという事業者には大いに参考になるはずです。
事業所にはそれぞれ事情があるので、エンジくんの方法がそのまま通用するとは思いません。
それぞれが工夫しながら参考にしてください。

エンジくんの方法の説明を簡略にするため3点にまとめます。
(1)説明会の場はそのまま求人の場ではありません。
ひきこもりから抜け出したいという相談の場です。
そこでは会社の様子、仕事の現場の様子を話します。
自分のひきこもり経験も含めて交流の場です。
この説明会の場に来ている人が働くつもりとわかると、その場で上司に連絡を取り面接の予定をします。
これができるのは、どの現場に働く欠員があり(欠員の予定を含む)、その要員として募集を考えられるからです。
働く現場は20か所あり、欠員があるところ、誰かが辞めそうなことを把握しています。
この情報把握は重要な要件です。
そうしてすすめた人員募集なので、会社面接にエンジくんが同席するのは不自然ではありません。
もちろんこれは制度化されているのではなさそうです。
(2)この会社の面接の前なのか後なのかも決まっていませんが、働く現場の下見を一緒にします。
「ここで働くことになる」と下見をし、一緒に働く人に紹介し、仕事をする環境や様子を実際に見てもらうのです。
これも制度化しているわけではなさそうですが、エンジくんは現場を見て回るのが仕事の一部になっていますし、これらの現場で働く人の上司にあたります。
仕事内容は難しくはなく重労働でもないので多くが「働けそうだ」という感触をもちます。
(3)仕事に就いた後、エンジくんはこれらの現場を見て回ります。
現場は20か所あるのですぐに全部を回れるわけではありません。
商業施設ですから休日のないところもあり、エンジくんは自分の休日をつかって働き始めた人の様子を見回る活動もしています。

この3点を挙げましたが、ひきこもり経験者には彼に感覚ではそういうフォローが必要であると感じて実行しているのです。
これらはすべて制度化されたものではありませんし、会社の方針ですすめているのでもありません。
それよりエンジくんの社内での職務にこのような社員募集があるかどうか明確ではないのです。
しかし、彼の活動は会社にとっても有益であり、初めのうちの黙認から少しずつ期待されつつあるようです。
求人募集広告よりもはるかに費用が掛からず、真面目なタイプの人が集まります。

不登校情報センターはひきこもり経験者の相談・居場所になっていますし、17年にわたり親の会も毎月開いてきました。
そこにエンジくんは昨年から毎月「説明会」をしています。この取り組みから彼が切り開いているのが、ひきこもりへのリクルート活動です。
不登校情報センター(代表の松田武己)は、エンジくんの方法をほかの会社やほかの業種にも広げていきたいと考えています。
まったく同じスタイルでできるとは思えませんが、それぞれの事情を勘案して工夫すれば実現の道は開かれるでしょう。
関心ある会社の経営者や求人担当者からの連絡をお待ちします。
それによって引きこもり経験者やニートと呼ばれる人が働けるようになれば素晴らしいです。
掛け声ばかりで空虚な“1億総活躍”の対象にひきこもりも入ります。
求人で困る事業所でひきこもり経験者も働けます。
それは会社が変わり、社会が変わることでもあります。彼らの持っている力を侮ってもいけません。

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