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カテゴリ:周辺ニュース

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不登校・引きこもり質問コーナー・部外者回答編   

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所在地 北海道さいたま市
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目次

周辺ニュース

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ページ名 ヒトトコ 香川県高松市 (ひきこもりの動き)
ひきこもり「後ろからそっと支えて」経験者語る支援の心構え オンライン講演会
ひきこもり状態にある人やその家族への支援を手がける香川県の「ひきこもりサポーター」のフォローアップ研修会が26日、オンライン上であり、
東京の一般社団法人「ひきこもりUX会議」の林恭子代表理事(53)が講演した。
自身も20年間のひきこもり経験がある林さんは「当事者はずっと続く一本道をひたすらに歩いている。そこを後ろからそっと支えてほしい」と支援の心構えを語った。
ひきこもりサポーターは現在、県が開く養成講座を受けた64人が登録されている。
この日の研修会は高松市のひきこもり支援団体「hito.toco」(ヒトトコ)が県の委託を受け、ウェブ会議システム「Zoom」(ズーム)を使って開催。26人が参加した。
ひきこもりUX会議は2014年から当事者の集いやひきこもりの実態調査などを手がけている。
林さんは講演で自身も高校2年から20年間のひきこもりを経験したことを明かした上で、「ひきこもりは生き埋めにされたような状態で、前後左右が分からず、光が見えない。
『人はなぜ生きるのか』といった哲学的な問いと日々向き合っている」と述べた。
ひきこもり支援で大切なこととして「ゴールは当事者本人が決める」と説明。
そのゴールは「人によっては就労かもしれないし、ボランティアをすることかもしれないし、ひきこもりを続けることかもしれない」とし、
「本人が幸せになるための道筋を(共にし)、後ろから支える支援であってほしい」と呼びかけた。
参加者からの「そもそも当事者は支援を望んでいるのか」との質問に答える形で、
「適切なサポートは必要だが、『支援してあげているのに』といった態度が見え隠れすると、上から目線に見えてしまう」とも助言した。
また、当事者を対象にした講演会やイベントを開く際に心がけている点にも言及。
「行けなかったらどうしようという思いが当日まで続くので、事前申し込みは不要にしている。
遅刻や早退、休憩も自由という雰囲気作りも重要」と述べ、参加のハードルを低くするための工夫を伝えた。
〔2020年7/28(火) 毎日新聞【金志尚】〕

周辺ニュース

ページ名 ひきこもる高齢者  (介護のニュース、新型コロナ)
コロナ禍に病院外で奔走している人 そばで支えてくれている人たちを知ってほしい
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
席についた皆さんが、微笑みますように。うんキレイ
長く生き、とらわれをなくした方々の、メッセージを聞いたことがありますか?
「そこには『幸せになる方法』がある」と、介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんは言います。
読めば、あるがままに生きるよろこびを思い出す、そんな「現役介護士の絵とことば」をお送りします。
【本編を読む】心地いい場所を作ってくれる あの人へ
コロナ禍となり、引きこもる高齢者が増えています。
引きこもると、体力気力が落ち、認知症が進む可能性があります。
そんな、引きこもり対策としても、かねてから役割をはたしているのが、デイサービス(通所介護)です。
デイサービスとは、主に高齢者が、介護や機能回復訓練を受けられる、通いの施設です。
デイには、自宅で暮らす高齢者が通ってきます。
つまりデイ職員は、コロナ禍の暮らしのなかで、高齢者が、どんなストレスを抱えているのか、敏感に感じてきました。
コロナ禍で高齢者を引きこもらせるのは、感染への不安だけではなく、社会の不寛容な視線です。
デイという施設が居心地の良さを提供することは、高齢者一人ひとりの暮らしと社会をつなぐことであり、精神の安定をはかることなのです。
今日もどこかで、職員の方々が奔走しています。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
〔2020年7/28(火) なかまぁる〕

周辺ニュース

ページ名 クリアアンサー 東京都新宿区(ひきこもりの動き、  )
ひきこもり「自立支援業者」を監禁罪などで刑事告訴…破産で賠償なし、被害男性「逃げ得許さぬ」
「ひきこもり支援業者」の被害者(2020年7月28日、弁護士ドットコム撮影)
「ひきこもり支援」をうたう民間施設「あけぼのばし自立研修センター」から、無理やり「拉致」されたとする元入所者が、運営する「クリアアンサー」(東京都新宿区)の元代表らを逮捕監禁致傷などの罪で刑事告訴し、警視庁牛込署に受理された。
ひどすぎる黒塗り「いじめ報告書」
元入所者や代理人弁護士らが7月28日、会見で明らかにした。
同社は民事提訴もされていたが、2019年末に破産。債権者らには支払いがなされない見込みだ。
元入所者らは「逃げ得を許さない」と訴えた。
●施設への「拉致」、精神病院での拘束
元入所者の30代男性高橋さん(仮名)への連れ去りが行われたのは2018年5月。
自宅にいた高橋さんを施設の職員らが乱暴にタクシーに乗せ、連れて行った施設の地下室に9日間、閉じ込めたとされる。
また、資格を有する指定医の診察などの医療保護入院要件を全く満たさずに、医療保護入院と称して精神病院で高橋さんの体を拘束したという。
同社の元代表の男性ら関係者計9人への暴行罪、逮捕監禁致傷罪、監禁罪。
そして、精神科病院の医師2人と看護師2人への逮捕監禁罪。
2つの事件について高橋さんは6月15日に告訴状を提出し、牛込署が受理した。
7月に入って、高橋さんへの事情聴取も始まった。
●逃げる引き出し屋、許してなるものか
「あけぼのばし自立研修センター被害対策弁護団」の団長を務める宇都宮健児弁護士によれば、高橋さんのケースは「引き出し屋」被害の氷山の一角とのこと。
「当事者に了承を得ないまま、家族や親族と契約を結び、事実上の拉致監禁を行い、従わない場合は精神病院に送り込む。
そのような手法をとる業者が『引き出し屋』と呼ばれている。
そのひとつが、あけぼのばし自立研修センターだ。内閣府調査によると、ひきこもりの数は100万人を超えている。
同じような業者は多いと思われる。不正業者の一掃につなげたい」
同社に対してはすでに、高橋さんらが、損害賠償請求などの民事訴訟を2019年2月8日に起こしている。
他の元入所者らも同様に提訴していた。しかし、同社が12月23日、突然破産を申し立てたことによって、訴訟は中断。
民事上の責任を問うことが事実上できなくなってしまった。
弁護団らは同社の破産手続きは「責任逃れ」だとして、「悪質な行為をしているのに、逃げ得を許してはならない。刑事告訴した」と刑事上の責任追及の意味を語る。
●元代表「同意ない連れ出し行為は事実無根」
同社の破産手続きをめぐっては、今年3月30日に第1回債権者集会が開かれ、7月27日に第2回があった。
債権者は元入所者の家族ら複数にのぼる。
入所者らが支払った料金は、3カ月で400~500万円のケースもあれば、1年で1000万円以上のケースまで明確な基準はない。
破産管財人の報告でも、被害者に対する金銭の支払いは見込めない状況だったという。
冒頭、破産者である同社代表の男性から、謝罪名目で簡単なコメントが発表された。
高橋さんが元代表の「謝罪」を振り返る。
「同社が入所者に対して支援の名の下に行ってきた同意のない連れ出し行為や監禁行為といった数々の違法行為について、全くの事実無根としたうえで、
メディアによる会社への偏向報道の結果、同社の事業環境が急速に悪化し、倒産に至った」との説明をおこない、「利用者および契約者に迷惑をかけた」と謝罪したという。
高橋さんは、「暴力行為の事実から目をそらし、暴力の被害者への謝罪を一切行っていない点で、謝罪として不十分であることはあきらか」と斬り捨てる。
高橋さんが起こした民事訴訟で同社は準備書面を提出。
そこで、拉致行為や監禁の事実を認めていたという。書面の内容は以下のようなもの。
「被告(同社)が原告の同意を得ることなく、原告を車に乗せて、原告宅から被告の施設まで移動させたことは事実である」
「被告が上記期間中(9日間)、原告を施設の地下で生活させ、逃げ出さないように監視していたことは事実である」
民事訴訟との言い分に「矛盾」があると憤る高橋さんは、暴行や監禁について、債権者への謝罪を改めて求めたが、元代表が何かコメントすることはなかったという。
●どうしても責任をとらせたい
高橋さんは「逮捕起訴を通じて、クリアアンサー社の傍若無人なふるまいを社会は決して許さないという毅然とした姿勢で示していただくようお願いしたい」と捜査機関に求めた。
宇都宮弁護士は、悪質業者がはびこるとされる背景として、ひきこもりに悩む家族への国や自治体による支援が弱いことを理由にあげる。
「その弱さが狙われている。捜査で支援の取り組みをうながしたい」
11月2日に第3回債権者集会が予定されている。
〔2020年7/28(火) 弁護士ドットコム〕

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ページ名 こどもネットワーク まなざしなんと  富山県南砺市(子育て、  )
子どもの権利知って 南砺市民有志が団体結成 子育て情報発信へ
11月に南砺市で開かれる「子どもの権利条約フォーラム」に向け、市内の有志が市民団体「こどもネットワーク まなざしなんと」を結成した。
フォーラムでは会場で子育て情報を発信するブースを運営し、終了後は会員制交流サイト(SNS)を活用した悩み相談などの活動を続ける。
子どもの権利への関心の高まりを一過性にせず、親と子が安心して暮らせる社会の実現を目指す。
  子どもの権利を保障する「子どもの権利条約」は1989年に国連総会で採択され、日本は94年に批准した。
フォーラムは14、15日、同市福野文化創造センターヘリオスで開く。
シンポジウムや分科会のほか、飲食物販ブースや体験コーナーも設け、子どもも親しめる内容にする。
県内での開催は2009年以来、2回目。
まなざしなんとは、子育てや引きこもり支援に携わる市民6人からなり、フォーラムで「なんとブース」を運営。
市子ども課や民間の自然教室、学習塾など官民の垣根を越えて連携し、子育てに関する情報を届ける。
その後も活動を継続し、ホームページや会員制交流サイト(SNS)を使って、メンバーが子育て中の親の悩みを聞くほか、母親や子ども同士が交流できる場を設け、子どもの権利に理解を深める取り組みを広げる。
団体の高橋佳寿江代表は「全ての子どもが安心して眠ることができ、明日を迎えるのが楽しみになるような南砺市にしたい」と話している。 
   〔2020年7/28(火) 北日本新聞(堀佑太)〕

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ページ名 就労の支援  (ひきこもりの動き、  )
「このままでは死ぬかも…」引きこもり経験者、就労までの道
人と同じように歩けなくても、立ち直りを見守ってほしい。社会にそう望む
引きこもりに悩む人や、家族に必要な支援とは何か。
21歳から4年間、自宅にこもった児玉光司さん(43)=福岡県飯塚市=は、立ち直りを無理強いしない支え方と、それを見守る寛容さを社会に望んだ。
引きこもり当事者の家族を前に講演する児玉光司さ
-引きこもり状態を脱し、現在はフルタイムで仕事をしている。どんな経緯で就労したのか。
「自宅にこもる中で『このままでは死ぬかもしれない』と不安になり、意を決して保健所に相談しました。
保健師さんは話をよく聞いてくれ、私の生活を脅かす危険もないので苦悩を吐き出すことができました」
「そのうち病院に行き、重度のそううつ状態と診断されます。
通院しながら、保健師さんの勧めで精神障害者向け作業所に通い始めました。
昼夜逆転の生活が続いていたので、作業所に通いだすとつらい。それでも工賃を得られるので、家にいるよりましでした」
「その後は県の就労訓練制度の一環で、食堂で朝に1時間の準備作業をしたり、午前中だけ工場で働いたり。
人間関係に悩み、年間2カ月ほど就労不能になることが何度もありましたが、職場も事情を理解してくれました。
その後、数年を経てフルタイム就労に。今もまだ、休日はぐったり倒れています」
-支援の多くは当事者を外に出し、就労させることを目指している。どう考えるか。
「本人の気持ちを考え、どうすれば外に出てくれるだろうかと努力する支援者はたくさんいます。
でも、私には本人の気持ちとギャップがあるように感じるのです。
引きこもりは、社会に適応できなかった人と強調されますが、逆に『家での生活に適した人』という点は意識されません。
まともな社会人なら、こんな生活を経験する機会はないから、家にこもる大変さが理解できないと思うのです」
-大変さとは。
「当事者の多くは、親が最低限の生活保障をしてくれる世界で、青息吐息で生きています。
そこでは緊張と不安を抱えながら、親子関係をうまく調整しなければいけません。親に対して、過剰なまでに気を使っています」
「例えば、ストレスに耐えられず家で暴れても、母親には直接暴力を振るわないように注意します 。
時には家事を手伝って機嫌を取り、閉め切った部屋で筋トレして健康を維持します。
ふとしたきっかけで父親が激怒するかもしれないと恐れ、部屋から出ないようにすることもあります」
「支援者は、その異常な世界の住人を外に出そうとします。
それは当事者にとって、努力して築いた生存環境を追い出されることを意味します。
『ちょっと外の空気を吸ってみないか?』と言われても、本人は『生存が保障される環境が崩れたら、責任を取れるのか』と反発し、支えてくれる人を敵とみなすのです」
-支援を拒むと引きこもり状態が続くのでは。
「その通りです。ただ、私は今の就労ありきの支援では、当事者は受け入れにくいと考えます。
多くの支援が就労をゴールとしているのは、日本社会ではサラリーマンが圧倒的に多く、会社に時間と技術と労力を提供し、給与をもらう生活が一般的だという認識があるからです。
それが多数派なので、就労こそ唯一の支援と考えるのは仕方ないことだと思います」
「就職氷河期世代で40代まで引きこもっていた人が就職し、14万円ほどの初任給をもらっても、逆に劣等感や生きづらさを感じるのではないでしょうか。
同年代の多くは責任ある役職となり、より高い収入を得ていることでしょう。
就労ありきの支援は、結果的に当事者を自暴自棄にさせ、犯罪や自殺の増加につながるのではと心配します」
「部屋を出ることと、定職に就いて自立することは別次元の話です。
就労ありきの支援は、当事者に『いまさら働いても人並みに稼ぐのは無理だ』と自覚させ、
支える側にも『無理に就労させても、すぐ辞めるので会社に迷惑をかける』と認識させます。
双方にあきらめを生じさせる危険性をはらんでいると思います」
-どうすればいいのか。
「本人が『ただ、社会の中にいてもいいんだ』と感じられる支援が必要だと考えています。
会社に毎日行かず、働かない。
代わりに『僕は時間があるから、姉ちゃんの子どもの面倒を見るよ』と声を掛けたり、『報酬を出すから、ちょっと仕事を手伝って』と頼まれたりする。
そんな生き方を社会が認めれば、暮らしやすくなります」
「当事者も『就職していないことはよくない』と感じています。ただ、フルタイムで延々と働けないだけなのです。
せっかく引きこもりを抜け出しても、支援者の『働き始めたら何とかなる』という考えや、
『もう少し頑張ろう』との応援に心が折れ、二度と働かなくなるケースもあります」
「引きこもりは放置すれば悪化します。しかし、無理をさせすぎれば絶望します。
無理ならゆっくり休んで次を探せばいい。
そんな支援こそ、苦しむ人をつまずきから立ち直らせ、社会参加を促すのではないでしょうか」 
  〔2020年7/29(水) 西日本新聞(聞き手は山下真)〕

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ページ名 しあわせの村 兵庫県神戸市北区 (障害者のニュース、  )
障害者にドローンの操縦技術を指導する教室 障害者の就労にドローンの翼 声や足で操縦 職域拡大目指す 神戸
趣味の空撮から物資の輸送、災害時の人命救助まで、さまざまな分野で活躍する小型無人機ドローン。
障害者にドローンの操縦技術を指導する教室が、神戸市北区の総合福祉施設「しあわせの村」で開かれている。
障害者の就労支援を目的とした取り組みだ。訪ねてみると、障害を持つ3人が自らの夢をドローンに重ね、大空に飛ばしていた。
◇「チャレンジしたい」
「Take off(離陸)」。重度脳性まひの福岡伸治さん(19)=同市中央区=が叫ぶと、ドローンが宙にふわりと浮かぶ。
7月11日に開かれたドローン教室。自ら体を動かすことができない福岡さんが声でドローンを操縦する。専用アプリが入ったタブレット端末に向け英語で指示を出す。
福岡さんは全身まひのため、声が出しにくい。
6月の初回講習では、ドローンが全く反応せず悔しい思いをした。
主催者からドローンを借り、自宅で毎日練習。
この日は映像の撮影に成功し、「ドローンは空から景色を見られるからうれしい。できることが増えればいいな」と語った
。 中学2年の宮崎美侑(みゆう)さん(13)=同市東灘区=は、両手欠損で生まれた。
普段は足を使って字を書き、パソコンを操作する。ドローンも、両足の親指でコントローラーを器用に操作した。
「いろんなことにチャレンジしたい」。夢は障害者の役に立つ機械を開発すること。
「ドローンは私が思ったように動いてくれるので楽しい」と目を輝かせる。
一方、永井弘樹さん(18)=同市灘区=は、発達障害の一つ、自閉症スペクトラム障害に苦しんできた。
対人関係が苦手でこだわりが強く、小中学校時代には同級生からいじめられた。校区外の公立高校に進学したが、なじめずに中退。
うつ病にもなり、ストレスを家の中で爆発させ、暴れた。
今春、永井さんを母万喜子さん(50)が散歩に誘い出した。
道中の風景や花、新型コロナウイルスの治療にあたる医療従事者を応援する建物のライトアップ――。
スマートフォンで撮影し、フォトブックにして知人に贈ると「すてきな写真」と褒められた。
それから写真家を志すようになり、「ドローンで映像撮影の技術も覚え、ユーチューブで発信して世界中の人とつながりたい」と夢を描く。
◇「動かなくても作業可能」
ドローン教室は、ユニバーサル・ドローン協会(東灘区)の主催。
ICT(情報通信技術)を生かした障害者の就労支援をしている社会福祉法人「プロップ・ステーション」(同区)の竹中ナミさん(71)が、
ドローンを使った計測の3Dデータ化などを手がける会社「空間情報」(大阪市北区)の高橋孝明さん(58)に呼びかけて2019年10月に設立した。
竹中さんは障害者を「チャレンジド(挑戦する人)」と呼んでいる。
「ドローンの最大の利点は、自身が動かなくても、さまざまな作業ができること。チャレンジドの職域拡大につながる」と語る。
教室では、協会会長に就任した高橋さんが20年6月から月1回、操縦方法のほか、ドローン規制法などの関連法について3人に教えている。
ドローンを人口集中地区などで飛行させる場合には国土交通省の飛行許可が必要で、まずはその前提となる「操縦経験10時間以上」を満たすことが目標だ。
一方、神戸市は条例によりドローンの飛行が禁じられている「しあわせの村」で教室が開催できるよう、特別に一部の使用を許可。
将来的には、リードをつけない犬の散歩などの監視にドローンを使うことを検討しており、障害者にその業務の一部を委託する案が持ち上がっているという。
高橋さんは「ビジネス面でドローンの活用はますます広がっていく。障害者の参入も十分可能だ」と指摘。
竹中さんは「後に続くチャレンジドの指針になるよう、就労を成功させたい」と話す。
次回講習は8月22日の予定。見学希望は事務局長の竹中さん(メールnami@udra.jp)。
〔2020年7/25(土) 毎日新聞

周辺ニュース

ページ名 才能  (発達障害のニュース、  )
「平均点教育」に殺される、「発達障害の子ども」が持つ才能
無限の可能性を秘めている発達障害の子どもたちは、現代の学校教育の場では生きづらさを感じている場合があります。
発達障害の個性が武器になるか、障害とされるかは、所属する社会環境に左右されるといえるのです。
※当記事は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。
最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
発達障害の子どもの「個性」は環境によって左右される
発達障害の特性が、社会に必要とされる「才能」になり得る時代がやってくる
限りない可能性を秘めている発達障害の子どもたちですが、現代の学校教育の場では生きづらさを感じている場合が少なくありません。
発達障害の個性が武器になるか、障害とされてしまうのかは、所属する社会環境に左右されます。
文字がない時代であれば、文字の読み書きが苦手という学習障害は「障害」になりえませんでした。
また、すべての人が等しく算数を学ぶことが義務づけられている社会でなければ、計算ができないという特性を持っていたとしても、「障害」にはなりません。
あるいは、人類が狩猟生活をしていたころであれば、ADHDの人間は有能な狩人だったことでしょう。
絶えず新たな獲物がいないか、あちこちに注意を向け、チャンスとなれば、危険を顧みずに先頭を切って飛び込んで行く。
現代日本では、注意力散漫といわれたり、空気が読めないといわれたりする特性が、狩猟生活では重宝される才能だったわけです。
今の子どもたちが大人になるころ、社会環境はどのように変わっているでしょう。
おそらく、科学技術がさらに発達し、AIやロボットの開発が進んで、求められる人材も従来とは様変わりしているはずです。
単純作業はどんどんロボットに取って代わられ、AIによって行われる仕事も大幅に増えていることでしょう。
そんな社会で人間に求められるのは、知識を組み合わせて新しいものを生み出すことです。
自分の興味のあることにこだわってそれをとことん究められたり、時代の波に乗り遅れないようなスピード感をもって行動できたり。
今まで「障害」とされてきたような発達障害の特性が、社会に必要とされる「才能」になり得る時代がやってくるのです。
これからの時代を生きる発達障害の子どもたちが、自分の特性を伸ばして武器にできるようにするためには、教育のあり方も変わっていかなければなりません。
すべての科目で「平均点クリア」をよしとする現代教育
その一方で、教育学者R・H・リーブス博士の著した「動物学校」という寓話があります。
昔々、動物たちは「新しい世界」のさまざまな問題を解決するために、何か勇敢なことをしなければならないと考え、学校をつくりました。
学校では、かけっこ、木登り、水泳、飛行を教えることになりました。
学校の運営を円滑にするために、どの動物も全部の科目を学ぶことになりました。
アヒルは、水泳の成績は抜群で、先生よりも上手に泳げるくらいでした。
飛ぶこともまずまずの成績でしたが、かけっこは苦手です。
かけっこの成績が悪いので、放課後もかけっこの練習をしなければなりませんでした。
水泳の授業中もかけっこの練習をさせられました。
そうしているうちに、水かきがすり減ってきて、水泳の成績が平均点まで下がってしまいました。 学校では平均点ならば問題ないので、アヒルの水泳の成績が落ちたことは、アヒル本人以外は、誰も気にかけませんでした。
ウサギは、かけっこはクラスでトップでした。
ところが水泳が苦手で居残りさせられているうちに、すっかり神経がまいってしまいました。
リスは木登りの成績が優秀だったのですが、飛行の授業で、木の上からではなく地上から飛べと先生に言われて、ストレスがたまってしまいました。
練習のしすぎでヘトヘトになり、肉離れを起こし、木登りの成績はCになり、かけっこもDに落ちたのです。
ワシは問題児で、厳しく指導しなければなりませんでした。
木登りの授業では、どの動物よりも早く上まで行けるのですが、決められた登り方ではなく、自分のやり方で登ってしまうのです。
学年末には、泳ぎが得意で、かけっこ、木登り、飛行もそこそこという少々風変わりなウナギが一番高い平均点をとり、卒業生総代に選ばれました。
学校側が穴掘りを授業に採用しなかったので、プレーリードッグたちは登校拒否になり、その親たちは税金を納めようとしませんでした。
プレーリードッグの親は子どもに穴掘りを教えてくれるようアナグマに頼み、その後、タヌキたちと一緒に私立学校を設立して、成功を収めました。
(スティーブン・R・コヴィー著『完訳7つの習慣人格主義の回復』キングベアー出版)
苦手な分野を人並みに引き上げようと注力することが、いかに才能を潰す可能性をはらんでいるかを、よく示した寓話だといえるでしょう。
さらに、イーロン・マスクが学校をつくったように、自分が必要だと思える教育を志して学校をつくる動きのことまで描かれています。
人と違う能力を持っている子どもを型にはめて均質化しようとする教育は、大量生産・大量消費で経済が回っていた時代なら、最適な方法だったのかもしれません。
しかし、その教育は、子どもたちの突出した才能を潰してしまう危険を併せ持ったものでした。
これからの世の中では、すべての科目でまんべんなく平均点をクリアできることをよしとするのではなく、得意なことがずば抜けてできることをよしとする教育の形をつくっていかなければなりません。
大坪 信之 株式会社コペル 代表取締役
〔2020年7/26(日) 幻冬舎ゴールドオンライン〕

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ページ名 供述弱者  (発達障害のニュース、介護のニュース、裁判のニュース)
無実なのに自白 孤独だった美香さんを救った恩師たちの証言 |#供述弱者を知る
連載「#供述弱者を知る」サムネイルデザイン=高田尚弥
発達障害という視点で、冤罪の可能性に新たな光を当てようと試みた私たちにとって、最初に手掛かりをくれたのは、西山美香さん(40)の彦根中学時代の恩師たちだった。
西山さんを知る元教師たちは「今なら発達障害だと考える」と明言し、取材は大きく前進した。
その経緯を伝える前に、退職後の恩師5人が2013年2月に「支える会」を立ち上げ、手弁当で教え子のために続けた救援活動を振り返りたい。
恩師たちが教え子の無実を信じて闘い続けたことは、他の冤罪事件にはない特筆すべき事柄と思う。
孤立無援だった両親 恩師たちが「支える会」を結成
恩師らは、それまで孤立無援の状態だった両親を助け、再審を求める署名集めに奔走した。
彦根中の教職員全員と退職者の団体、彼女の同級生、さらには国民救援会にも支援を仰ぎ、全国から約3万人分の署名を集めて、裁判所に提出。
7年の歳月を経て、西山さんとともに再審無罪の喜びを分かち合った。
冤罪を解く上で不可欠なものを真っ先に挙げるとすれば、それは、無実を信じてくれる人の存在だろう。
無実なのに、信じてくれる人がいない「孤独」ほど耐えがたいことはない。 雪冤が果たされた数々の事例を見ると、家族以外に、無実を信じてくれる人の存在が大きく影響している。
再審無罪へ、あきらめない気持ちを持ち続けることは、それほど難しい。
無実を信じてくれる第三者の支えがないがために、もしかすると、声を出すことをあきらめている人が今もいるのではないか、とさえ思う。
西山さんは投獄された後、自暴自棄になり、何度も「再審をやめたい」と両親に訴えた。
そんな彼女の支えになったのが、恩師から届いた励ましの手紙だった。
出所後、支援の会でマイクを持たされるたび、西山さんは恩師たちの支えの大きさを語っている。
「中学時代の私は、職員室に行って先生に文句を言って暴れたり、授業中に教室を飛び出したり、迷惑ばかりかけていました。
そんな悪い生徒だったのに、先生たちが支える会をつくって同級生たちにも声をかけてくれていることを知って、涙が出そうなほどうれしかった。
どれほど感謝してもしきれません」
西山さんは中学校時代に教師たちを困らせたわけを私にこう話した。
「勉強が難しくなり、ついていけなくなったからだと思う。勉強ができた兄たちを知っている先生に『お兄ちゃんたちは良くできた』って言われて傷ついたこともあった。
『教え方が悪いんや』って反発し、職員室で文句を言ったり、教室を飛び出したりした」
「2人の兄と同じように育てたのに、なぜ娘だけ?」
母・令子さん(69)は、娘の素行が原因でたびたび学校に呼び出されていた。
「先生たちには、家でのしつけや、育て方に問題があるのではないかと言われ、いつまた学校から呼び出しがあるか、と毎日、身が縮むような思いでした。
お父さんが、先生の前で美香をしかりつけて、頭をたたいたこともあった。
2人の兄と同じように育てたつもりなのに、どうして娘だけ落ち着かないのか、まったく思い当たるところがなく、途方に暮れていた」
西山さんの中学時代は発達障害支援法(2005年)ができる10年ほど前。
当時はまだ発達障害という言葉も教育現場で浸透しておらず、親はもちろん、現場の教師たちもこの障害の特性を理解できていなかった。
学校での素行の問題は「家庭の事情や親の育て方が原因」と見られるのが当たり前の時代だった。
彦根中学時代の恩師グループが「支える会」を立ち上げた2013年には、逮捕から9年が過ぎ、西山さんは獄中で33歳になっていた。
新聞記事で知った「教え子」の再審の訴え
その前年、中学時代の教頭だった吉原英樹さん(77)は教え子の西山さんが再審を訴えている新聞記事を読み、その弁護人が井戸謙一弁護士(66)であることを知った。
吉原さんの兄の故・吉原稔弁護士は滋賀県内の住民による原発訴訟の発起人で、亡くなった後を井戸さんが引き継いでおり、その縁で人柄もよく知っていた。
「井戸さんが弁護人なら間違いない。協力したい」
そう思い、井戸さんが事件について語る勉強会に出向いた。
そこで、教え子が虚偽自白に追い込まれた経緯を初めて詳しく知ることになった。
吉原さんは教師仲間が集まる新年会で、生徒指導を担当していた伊藤正一さん(72)に「教え子の美香のことなんだけど」と冤罪の可能性が高いことを伝えると、
2人は「救い出してやらないと。一緒に頑張りましょう」と意気投合し、彦根中時代の気の合う教員仲間3人に声を掛け、5人で支える会を立ち上げた。
5人の元教師はすぐに井戸弁護士の事務所に出向き、事件の全体像を詳しく聞いた。
「証拠が彼女の自白しかない。再審請求書を読めば、その自白の不合理さが十分納得できる」(伊藤さん)
「許せないのは、弱者を強圧的に丸め込んだ典型的な事件だということ。
美香の人間としての尊厳を守るためにも、元教員として関わる責任があると思った」(吉原さん)
両親と一緒に街頭に立っての署名活動や、西山さんの同級生らにも声を掛けるなど、地元で支援の輪を広げた。
和歌山刑務所に何度も面会を試みたが……
恩師からの手紙は、和歌山刑務所で孤独な日々を送る西山さんに大きな希望になった。
両親への手紙で、伊藤さんからの手紙への感謝をこんなふうに伝えている。
「この前の手紙で自殺してしまいたいと書いてしまったこと、あとから後悔しました。
伊藤先生の手紙に『美香がさみしいと思ったらその数百倍も両親はさみしい、
美香がくやしくてイライラした時はその分両親は数千倍くやしくてイライラしておられることを忘れないように!』と書いてありました。
それをよんで号泣しました。うれしかった。私の家族のこと思ってくれてやる(=いる)から…」 (2013年7月8日)
繰り返し試みた面会 直前で「やっぱりダメ」
面会も繰り返し試みた。刑務所側は、事前の予約などの対応は一切しないため、無駄足になる可能性もあったが「とにかく行ってみよう」と車を走らせた。
1回目は、支える会の結成から1年近くが経った2014年2月。
滋賀県を車で出発した一行は高速で一路、和歌山を目指したが、大雪のため、高速を降りて下道を走り続け、
和歌山県境まで来たところで時間的にも難しくなって断念し、引き返した。
2回目は翌2015年3月。3時間かかる道中を無事、和歌山刑務所にたどり着くことができた。
入り口で、面会の許可が下り、金属探知機での持ち物検査も通過したが、面会目前で不許可になった。
吉原さんが無念そうに振り返る。
「おそらくそのドアを開けたら面会できるという状況だったと思うが、直前で突然、やっぱりだめです、となった」
恩師なのに、なぜ認められないのか。理由を聞くと、弁護人、家族以外では相応の日常的な交流があることを証明しないと許可できない、という説明だった。
それでもあきらめず、その年の11月、3回目となる和歌山行きを敢行した。しかし、今度は刑務所の入り口で不許可。
前回の失敗の後、井戸弁護士に「また拒否されるようなことがあれば、その場で電話をください」と言われていたため、すぐに連絡。
井戸さんが電話で和歌山刑務所に抗議したが、かなわなかった。
「彼女なら、やっていないのに認めてしまうのでは」
美香さんの中学時代の行動 いま振り返ると
取材班が動きだした時、恩師たちの活動はすでに4年が経過していた。
2017年1月、角雄記(37)と井本拓志(31)の両記者が西山さんの障害の可能性を問い合わせるため、伊藤さんと吉原さんに会った。
中学校当時の西山さんの問題行動を、障害の知見を得た今の視点でどう見るか。
現場経験が豊富な教育者の客観的な視点は、障害を立証する有力な証言になる、と考えた。
西山さんが虚偽自白した経緯について、2人の見方は「あり得ると思う」との見方でほぼ一致していた。
「人と接するのが苦手でうまく伝えることができない。彼女の性格上、やっていないのに認めてしまうのでは、と思った。
上からガーンと強烈に言われたら、そのように言ってしまうところがある」(伊藤さん)
「アラームが鳴った、と言うと刑事が優しくなり、職場の不満まで話すようになる一方で、自分のせいで同僚の看護師が厳しい取り調べを受けることになって、
今度は『私がやりました』と軽く言ってしまったところは、彼女らしい」(吉原さん)
教え子を知る恩師ならではの的確な指摘だった。当時の行動について、いまなら発達障害だと考えるのではないか、との見方も、元教師らの間でおおよそ一致していた。
障害の視点から冤罪の可能性を問う報道に向けて、着実で大きな一歩だった。
「正々堂々と人生を送って、幸せになって」
それから3年が過ぎたことし3月31日、大津地裁の正門前で再審無罪に涙する教え子を見守る彼らの姿があった。
「美香さん、よく頑張りました!」
かつて生徒指導担当だった伊藤さんは、支える会の代表としてマイクを握り、涙声で40歳になった西山さんを褒めた。
まるで25年前の中学時代にタイムスリップしたような感動的なシーンだった。
懸命に努力した生徒を短い言葉ながら、力強く、心の限りたたえる教師らしい言葉が、ほほえましかった。
「何としてもこの冤罪を晴らしたいと思って活動を続けてきて、ようやくこの日が来た」
7年の活動を振り返りつつ、伊藤さんは「美香さんには、正々堂々と人生を送って、幸せになってほしい」と脇に立つ教え子に語りかけた。
そして、15年9カ月の長きにわたって教え子に辛苦を強いた者たちへの激しい怒りと非難の言葉が続いた。
「美香さんの人生の大切な時期を奪った取調官や検察官、真実を見抜けなかった裁判官には、強い怒りを感じます」
判決後、地裁近くで開かれた支える会の集会には、長い闘いを終え、ようやく肩の荷を下ろしてほっとする恩師たちの姿があった。
卒業して20年近くもたって、それでも助けなければ、という教師としての使命感。
その重みから解放された姿に胸が熱くなり、思わず声をかけた。
「先生、教師という仕事には、終わりがないんですね」
元生徒指導で支える会を引っ張ってきた伊藤さんが言った。
「うん、そうだよ。本当に、終わりがない」
教え子を救いだすため、現役を退いた元教師たちが手弁当で走り続けた7年に及ぶ支援活動は、感無量の思いとともにひとまず幕を下ろした。
〔2020年7/26(日) Forbes JAPAN 秦融〕

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ページ名 [[ ]] (  )
子どものスマホルール 子どものスマホルール。親が自信をもって「うちはうち」と決めて 子どもとスマホに関する疑問や不安を抱く親は少なくありません。ESSE読者の座談会を実施したところ「何歳からもたせるべき?」「ゲーム依存にならないか心配」などの声が上がりました。 そこで子どもの発達に詳しい医師の榊原洋一先生と、ITジャーナリストの高橋暁子さんに、子どもにスマホをもたせるときのアドバイスを聞きました。 子どものスマホルール。いつからもたせる?約束事は?

●スマホはいつからもたせるのが正解? <榊原洋一先生のアドバイス>「うちはうち」と自信をもって親が決めるもの! 子どもが何歳になったらもたせるべきといった明確な答えはありません。子どもにスマホをもたせる理由は、安否確認のためだったり、子どものコミュニケーションのために必要だと考えたり、それぞれです。 大切なのは、各家庭ごとに親が自信をもってルールを決めること。「周りがみんなもってるから」と言われても、まだ早いと考えるなら「うちはうち、よそはよそ」でいいと思います。

esse <高橋暁子さんのアドバイス>親の目の届くうちにもたせ、使い方を学ばせるのも手 数年前までは高校に入ってからスマホをもつ子が多かったのですが、ここ最近、中学入学を機会にスマホデビューする子が増えてきました。とくに、都市部では親の共働き率が高いこともあり、早くからもつ傾向があります。 必要になるギリギリまでもたせないという考えもありますが、中学入学前後の時期なら、まだ、子どものスマホの使い方に親の目が行き届く時期。「スマホの内容はいつでも親に見せること」といったルールのもとにもたせ、一緒に使い方を学んで、少しずつ本人にまかせるのもよいと思います。

●子どもがスマホを使うメリットとは?

<榊原洋一先生のアドバイス>優良なコンテンツがたくさん! 社会を生き抜く力になる可能性も スマホやタブレットなどで見られるデジタル絵本には、優良なコンテンツが多数。テレビとは違い、一方的に画像が流されるのではなく、双方向のやりとりが可能なのがメリット。 新しいツールなので、子どもの発達に及ぼす影響はまだ十分な研究はありませんが、わからないからとすべてを遮断するのはやめましょう。新しい時代には、デジタルメディアを使いこなす力も必要になるはず。親子一緒にどう使うのかを学ぶのも、大切だと思います。

<高橋暁子さんのアドバイス>言葉や映像で表現する力をつける機会に 幼い頃からパソコンやスマホが身近にあり、簡単に発信できる環境にある今の子どもたちは、自己アピールする能力が高まっている印象があります。 写真や動画、短い言葉で伝えたいことを効率よく表現する能力は、将来会社でプレゼンをしたり、自分の思いを多くの人に伝えたりする能力にもつながっていきます。 ただし、とくにSNSは危険と隣り合わせでもあるので、野放しにするのではなく、大人が見守りながら使い方を学んでいくとよいでしょう。

●これだけは親子で約束!

SNSトラブル回避の基本

・LINEやチャットでは、必要なやりとりだけにして人の悪口や、きつい言い方をしない ・自分や家族、友達の個人情報は書かない、言わない ・直接の知り合い以外とはつながらない

●教えてくれた人 【榊原洋一先生】 医学博士・小児科医。お茶の水大学名誉教授、日本子ども学会理事長、チャイルドリサーチネット所長。小児科学、発達神経学、国際医療協力、育児学などを長年研究。発達障害研究の第一人者。著書も多数。

【高橋暁子さん】 ITジャーナリスト。元小学校教員。Webの編集者などを経て独立。SNSやスマホの安心安全利用などをテーマとし、メディアなどに多く出演するほか、学校などを回って講演することも多い。1児の母。 <イラスト/深川優 取材・文/ESSE編集部> 〔2020年7/26(日) ESSE-online〕

周辺ニュース

ページ名 強度行動障害  (健康のニュース、発達障害のニュース、  )
「2秒でも目を離せない」隙あれば飛び出し、物壊し… 強度行動障害、孤立する家族
急に飛び出して命の危険がある、物を破壊する、人を傷つける-。こうした行為が頻繁に表れる「強度行動障害」。
知的、発達障害がある人の1%程度とされ、見守りが難しく、家族だけで孤立しがちという。
ほとんど知られていない当事者の暮らしを見つめ、配慮や支援のあり方を考える。
夕方、通所先から福岡市東区の自宅に帰ると、北古賀昌子(ひさこ)さん(56)の長男弘紀(ひろき)さん(28)は、リビングの布団マットの上に座る。
目の前には、ごみ袋いっぱいのチラシや広告の切れ端。1枚ずつ、取り出しては破り始めた。
「こうしていると落ち着くので。小さいころから暇な時はずっとそうしています」。傍らに座り、昌子さんが言う。
「あー、あー」。弘紀さんが何か問いかけ、その都度、相づちを打つ昌子さん。
弘紀さんは時折、はじけるように笑う。
「笑顔がすごく良いでしょう? 一緒にいると本当に楽しいんですよ」。
でも-。2階建ての4部屋のうち、親子は1階のこの部屋だけを使い、寝食を共にする。「2秒でも、目を離せないので」
隙あれば飛び出し
自営業の夫(60)、今は都内の大学に通う次男(23)と4人家族。
弘紀さんは3歳のとき自閉症と診断された。特異な行動を起こすようになったのは特別支援学校小学部4年のころだ。
まずは飛び出し。隙を見ればあっという間に家からいなくなった。
数キロ離れた車のディーラーやホームセンターまで、一心不乱に駆けていく。
都市高速道路の車道の上り坂も“逆走”した。
「たまたま見かけた学校の先生が車を乗り捨てて追っかけ、料金所でつかまえてくれました」。
警察に何度も保護された。
部屋で1人になると、エアコンを落とし、テレビを壊した。壁に穴を開け、布団の中綿をすべてぶちまける。
ドライヤーに「強いこだわり」があり、ホームセンターに陳列された商品をどんどん壊す。
「何回買い取ったか分かりません」
昌子さんと2人でいても、落ち着いていたかと思えば突然、「目が三角」になる。
たたき、けり、頭突きし、ひっかく。こうした「他害」はほんの数秒で終わったり、丸1日続いたりする。
自分自身の皮膚を傷つけ、筋状のあざが何本も残ったこともある。
昌子さんは一時、こうした行動の記録も続けたが「原因や因果関係が全く分からない」。
特別支援学校中学部のころ最も激しくなり、高等部への進学は諦めた。
トイレにも行けず
暮らしは一変した。玄関、勝手口、窓、部屋にはすべて針金を巻き付けるなどして鍵を掛け、雨戸も閉めた。
一度、2階の窓から抜け出して落ちたからだ。
弘紀さんは眠りも浅く、夜中も起き出すことがあり、気は抜けない。昌子さんは一人でトイレにも行けない。
自身も毎晩2時間しか眠れない日々が続いた。
真っ暗な部屋で、動きだした弘紀さんを遮ろうと手を伸ばし、左手指も骨折した。
脱走すれば追いかけ、帰るまいと路上にしがみつくようにして動かない弘紀さんを全力で引きはがす。
車に乗せ、連れ帰って部屋に入った瞬間、全身から力が抜け、座り込む。
パニックが収まらないときは、車に親子で乗り込み、夜でも数時間、あてもなくドライブする-。
通所や短期入所先が見つかっても、じきに施設側が対応できなくなり、断念することを繰り返した。
自閉症の人の多くは「一定の環境を整えた部屋で1人の時間を設ければ、クールダウンする」とされるものの、弘紀さんは常に信頼できる人がそばにいないと、たちまち施設の部屋も壊してしまった。
「(見守りの)定石が通じない」。専門家からも、そう告げられた。
先が見えない不安
弘紀さんの他害は次男には向かない。休みに帰省するたび、兄弟は仲良く手をつなぐ。
家族で旅行も楽しみ、笑い合う。5年掛け、弘紀さんを受け入れてくれる日中の通所先や短期入所施設も何とか確保できた。
「可能ならいつまでも、このまま自宅で一緒にいたい」-。それは昌子さんの本心だ。
半面、親は年を重ね、体力は衰えていく一方。いずれわが子を「手放さなければならなくなる」と覚悟もしている。
ただ、一時的な預かりと「生活の場」は別。
「一体誰が、どんなところであれば、息子が暮らしていけるのか。それが全く見えないことが今、一番不安なんですよ…」
【ワードBOX】強度行動障害
精神科的な診断ではなく、かみつきや頭突きなど直接的な他害や睡眠の乱れ、自傷行為などが、通常考えられない頻度と形式で出現している状態を指す。
周囲を困らせる行動ではなく、本人が困っているサインとされる。
重い知的障害や自閉症などコミュニケーションが苦手な人がなりやすいという。
療育手帳を交付されている人の1%程度(全国で約9600人=2016年)と推計されている。
〔2020年7/28(火) 西日本新聞(編集委員・三宅大介)〕

周辺ニュース

ページ名 トリプルケア   (発達障害のニュース、  )
認知症の父「延命措置は不要」で本当にいいの!?…サインする手が震えて
読売新聞(ヨミドクター)認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア
父さんの今後の生活を託す施設を探して約1年。
5月下旬に、地元の特別養護老人ホームに入ることができました。
入所の順番を待つうちに状況が二転三転したうえ(その間の紆余曲折は、旧連載「認知症介護あるある~岡崎家の場合~」をご参照ください)、
コロナ禍で一時は見通しが立たなくなっていたのですが、ありがたいことに、最初に第1希望と考えていた施設に落ち着く結果となったのでした。
入所当日は、施設の入り口でスタッフが待ち構えていました。
3段の整理ダンス二つ分の荷物を素早く台車に積み込むと、「では、岡崎さんのお部屋へ行きましょう」と、父さんを促します。
感染予防のため、私はこの先の居住スペースには入れません。
施設に到着して1分もしないうちに、父さんがエレベーターの扉の向こうに消えていきました。
漫画・日野あかね
何とも素っ気ない親子の別れの後、私は手続きのため、会議室へ。
入所契約書や重要事項説明書など、いくつもの書類が出てきて、施設のケアマネジャーが一つひとつ説明してくれます。
次々とサインをしていったのですが、途中で「うーん」とうなって手が止まってしまいました。
そこには、ざっくり言うと「施設で最期を迎えたいので、回復不可能な状態に陥ったときに延命措置を受けない」ということが書かれており、
それを「承諾する」か「承諾しない」かを選ぶようになっていたのです。
「承諾しない」場合は、医療機関に救急搬送されるとあります。
母さんは、20年近く前に卵巣がんになったとき、「私に万が一のことがあっても、延命措置は受けない!」とはっきりと言っていましたが、父さんの意思を聞いたことはありません。
「それ、いま私が決めるの?!」と激しく動揺してしまいました。
本人の意思は?
ケアマネさんは、「現時点でのご意向をおたずねするものです。お気持ちが変わったら、いつでも変更できますよ」と言います。
が、(仮)の選択だとしても、あまりの重圧にその場から逃げ出したい思いです。
ぐるぐる回る頭の中で記憶を探るうち、祖母(父さんの母親)が亡くなる直前、体中にチューブがつながれている姿を見た父さんが
「オレは、こういうのは嫌だな」と言っていた……と、母さんが話していたのを思い出しました。
30年以上前の話(しかも伝聞)ですが、この一件にすがり、「延命措置をせずに施設での看取(みと)りを希望」として、サインをしました。
20年以上に及ぶ父さんの介護生活で、いろいろな書類にサインをしてきましたが、このときばかりは手がわずかに震えていたように思います。
認知症でも聞いてみよう
「これでよかったのか」という思いが心の中でくすぶり続けていたのでしょう。
知人にこの話をすると「そういう重要なことは、認知症であっても、本人にきちんと問うべきだと思う。
認知症になったとたんに、周りが本人の意思を置き去りにして、いろいろ決めてしまうのはおかしい」と、ばっさりと切られました。
私は肉親ゆえ、そして「長年、父さんの全てを担って介護してきた」という自負もあって、
何事にも「きっと、父さんはこう思うだろう」と決めつけてしまっているところがありました。
それって傲慢(ごうまん)なんじゃないの?と、反省しきりです。
コロナ禍で、これまでの生活や死生観を考え直すような状況もあり、「私だったら……」と、初めて自分の問題としても考えてみる機会になりました。
今は結論は出ませんが、新型コロナの問題が収束して面会が許されるようになったら、まずは父さんの希望を聞きたいと思っています。
岡崎杏里(おかざき・あんり)ライター、エッセイスト
1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や
『みんなの認知症』(同)などの著書がある。
2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の日々を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。
岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。
〔2020年7/28(火) 読売新聞(ヨミドクター)〕

周辺ニュース

ページ名 先延ばし癖  (発達障害のニュース、生活リズムのニュース、  )
やることが3個以上あるとパニック…発達障害の「先延ばしグセ」に効くスゴ技
長期化するコロナ禍で「新しい生活様式」が推奨され、会社の方針や感染の状況で在宅ワークと出社が入り乱れているこの時期。
なかなか「生活のリズム」をつかめないまま、仕事に集中できない日々が続いてしまっている人もいるのではないでしょうか。
「あたりまえのことがあたりまえにできない僕らにとって、変化があるだけでも厳しい」と話すのは、発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。
早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。
その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。
近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。
働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。
仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。
この連載では、本書から特別に抜粋し「在宅ワーク」「休息法」「お金の使い方」「食事」「うつとの向き合い方」まで「ラクになった!」「自分の悩みが解像度高く言語化された!」と話題のライフハックと、その背景にある思想に迫ります(イラスト:伊藤ハムスター)。
●「先延ばし」と、「マルチタスク」が融合したパニック
やるべきことが「たくさん」あって、どこから手をつけていいかわからない。
気ばかりがどんどん焦るけれど、やるべきことの全体像を見渡すことすらできず、時間ばかりがどんどん過ぎていく。
しかもその間はひたすら焦燥感に焼かれ続け、何もしていないのに体力気力はどんどん削れていく。
やる気がないわけでは決してない、むしろそのタスクが発生したときにはやる気で満ちあふれていた。
でも、そういったやるべきことがいくつも重なって気づいたら「たくさんある」としか認識できなくなってしまい、どうしても手が出なかった。
そして気づけば、すべてが間に合わない時間になってしまった……。
これはADHD傾向を持つ人の困りごととして最も多く挙げられる状態でしょう。
僕はこの症状が非常に強く、それこそ1日に3つもやらなければいけないタスクがあるとパニックになってしまいます。
ガス代を払って、市役所で住民票を取って、仕事のメールを返す。
これくらいの量ですら、体調次第ではタスクのオーバーフローが起こってしまう。
人生というのは「つまらない用事をいかに効率よくこなすか」が大きな問題になってきます。
楽しくもなければ未来の足しにもならないけれど、やらなければ大きな問題が発生してしまう。
税金関係の手続きなんかもそうですし、これが仕事となれば「ちょっとした雑用」すらこなせない人間に大きな仕事が回ってくることはまずないでしょう。
●「自分でタスクを整理するタスク」ができない人へ
この解決方法は実のところそう難しくありません。
タスクを紙でもなんでもいいから書き出して整理する。
やってみると「あれ? 書き出してみるとこんなものか」となることのほうが多いくらいでしょう。
しかし、これを読んでいるみなさんの多くは「タスクを書き出すというタスクを処理できるのであれば、最初からこんなことにはなっていない」という気分になっているかと思います。
「たくさん」あってどうしようもないタスクに、さらに「タスクを書き出して整理する」というタスクをもうひとつ積み上げればさらなるパニックが襲ってくる。
残念ながら、そういうことはよくあります。
そこで、僕が提唱する対策は「週に1回、誰かに現在抱えたタスクをひと通り聞いてもらって、書き出して整理してもらう」というものです。
人間というのは不思議なもので、自分のことであればパニックになってしまう話でも、「他人ごと」であれば冷静に聞いて整理することができます。
・今抱えたタスクを全部いって
・それらの〆切はそれぞれいつ?
・それぞれはどれくらいの時間がかかるの?
・今入っている予定は?
こういったシンプルな質問でひとつずつ問われれば、たいていの人はすらすらと自分の抱えたタスクを洗い出すことができます。
聞いているほうはそれをただ書き留めていくだけです。
このライフハックは不思議なことに、バリバリのADHD同士でも有効に機能します。「他人ごと」ならできるのです。
だから僕は、同じくADHDの友人とよく「タスク整理」をZoomやDiscordなどのビデオ・音声通話アプリでやっています。
●頼る人への「お礼」を忘れずに
この話の最大の教訓は「他人ごとは素晴らしい」ということです。
自分のことであれば焦燥に支配されてしまうが、他人ごとであればシビアで冷徹な分析と整理ができる。
誰しも経験があることでしょう。他人の脳は、人類が持ち得る最も優れたツールなのです。
何をやるときにも「自分でできないときは他人の脳を使う」。
その選択肢を、ぜひ覚えておいてください。
なお、そういった親切をしてくれる人にはきちんとそれに見合ったお礼や報酬を忘れないようにしましょう。
「本当にありがとう、助かりました」という感謝の言葉も毎回しっかり添えて。
これは、本当に大切なことなのでくれぐれも忘れないようにご注意ください。
何度もお世話になるうちに感謝の気持ちが失せて「あたりまえ」になってしまうのは、最悪です。
誰かに「頼る」ことは素晴らしいことですが、「頼り方」というのは常に気を配るべきことなのです。
借金玉
〔2020年7/29(水) ダイヤモンド・オンライン〕

周辺ニュース

ページ名 成育医療等協議会  (医療のニュース、)
日本の小児医療の「心身を守る」という新たな課題
ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(7月26日放送)に、小児科医であり医療相談サービス「小児科オンライン」代表の橋本直也が出演。
成育医療等協議会について語った。
ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」
淵澤由樹(アシスタント):成育医療等協議会では、橋本さんが最も尊敬されている方が会長を務めているそうですね。
橋本:国立成育医療研究センターの理事長、五十嵐隆先生です。
私が小児科医として、国立成育医療研究センターで働いていたときからお世話になっている先生です。
私が病院のなかで、子供達との想い出をつくろうとイベントを企画したときも、「ぜひ、やりなさい」と応援してくださったり、「小児科オンライン」を立ち上げるときも背中を押していただきました。
いまの成育医療等協議会のなかで、私は断トツで若いのですが、「若いんだからしっかり発言しなさい」と、発言の機会を与えてくださっています。
淵澤:改めて、成育医療等協議会について教えてください。
橋本:成育基本法という法律の、基本方針を決める協議会です。
成育基本法とは、簡単に言えば「子供達を大事にしましょう」ということを定めた法律です。
そのなかで、どの分野を重点的に取り組んで行くのかという基本方針がまだ決まっていないので、いろいろな有識者の方々が集まり、話し合って決めています。
淵澤:橋本さんが感じる、成育医療の課題をお聞かせください。
橋本:これまで日本の小児医療は、世界に誇るものをつくり上げて来ました。
しかし、時代と共に子供たちの抱える問題は変化しています。
細菌による病気は減りましたが、反対に発達障害、虐待や不登校など、生活環境に依存するものが目立って来ています。
体は健康に見えるけれど、心身共に健康が達成されているのかどうか。
これまでの、いわゆる「病気」というものをしっかり克服して来た日本の小児医療は、素晴らしいものです。
しかし、今度は次のフェーズとして、心と体の健康を両方守って行かなければなりません。
〔2020年7/29(水) ニッポン放送〕

周辺ニュース

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コロナパニック 今も続くコロナパニック 不登校になる子供や恫喝する社長も 新型コロナウイルス感染予防のため、登校時に手を消毒する生徒(時事通信フォト) 新型コロナウイルスをめぐる状況は落ち着いているのかいないのか。毎日、その日の新規感染者数が発表されるたびに、不安な気持ちをかき立てられる人も少なくないのではないか。コロナをめぐる疑心暗鬼が、差別や偏見、パワハラを助長させる例が後を絶たない。必要以上に怖れることで地域ぐるみのパニックが学校や会社で起きている実態について、ライターの宮添優氏がレポートする。      * * * 新型コロナウイルスの感染者が、東京などの大都市を中心に再び増加している。そういった都市部では、実際に感染者が出た学校や会社ではパニックが発生し、人間関係が崩壊するようなトラブルも相次いでいる。 「隣の校区の小学校で感染した児童が出た、と噂が立ちました。最初は怖いね、で済んでいたのですが、のちに感染児童の兄が、私の子供と同じ中学のクラスメイトだと判明して大騒ぎに。噂は、学校はおろか隣の学区にまで拡がってしまい、商店街では私の学区の住人は来るな、と言われているほどです」

南関東某市の会社員・富永直輝さん(仮名・40代)は、自身の子供のクラスメイトに、感染者との「濃厚接触者」がいることが判明した。 徐々に聞こえてきた事情によれば、濃厚接触者だった感染者の兄やその家族に、結局、感染は確認されなかったという。ところが、富永さんの息子をはじめ、学校中、そして地域全体がパニックに陥ったと話す。 「小学校は数日間の学級閉鎖に入ったそうなのですが、親たちからは『全員を検査しろ』との声が相次ぎ、もう学校に行かせない、転校させたいとの申し出まであったそうです。うちの子供のクラスでも、感染者の兄がいるということで学校に行きたがらない子や、子供を学校に行かせないという親が出て大変でした」(富永さん)

このクラスメイトは、家族のコロナ感染が発覚した際、教師にこっそり耳打ちされ、泣きながら早退したという。そんな様子を見ていた同級生たちも状況を察し、ここから噂が拡がった。 「彼は感染していないし、潜伏期間かもしれないと様子を見る時期も過ぎています。だから、本当はもう学校に来ていいはずなんですが、行きにくいようで休んでいる。あまりにかわいそうだとは思いますが、私の子供は不安がっている。どうすればいいのか…」(富永さん) 神奈川県内の自動車販売会社勤務・森田悟さん(仮名・30代)も、つい先日、同僚の感染が発覚。社内がパニックに陥っていると訴える。

「元々うちの社長は『コロナは大したことがない』などと言って、営業自粛に反対していたんです。同族経営のワンマン会社でしたから、社長の意向は絶対。ただ、6月に入って社長の体調がおかしくなり、それと同時に社員の感染が発覚。二人は、朝礼などの際に対面で挨拶していたこともあったため、社長の感染も疑われました」(森田さん) すると社長の態度は一変。役員や課長級以上の社員には自宅待機を命じ、全社員に「お触れ」メールを送りつけてきたという。 「それは、間も無く支払われるはずのボーナスの減額、さらに冬のボーナスはないと思え、という恫喝のような内容でした。一部の社員がたるんでいるから、社長である自分にまで危害が及んだ、とも書いてありました。以前と言ってることが全然違うし、感染した社員はそのまま辞めました。あまりに居心地が悪くなって、辞めるしかないと泣いていたそうです」(森田さん)

感染者数が増えても、検査数に対する陽性率や死亡率を確認し「医療体制の逼迫はない」などと説明して経済活動の復旧を目指すのは、強引すぎるとまでは言えないのかもしれないし、緊急事態宣言を新たに発出する事態ではないとはっきり示されると、それを覆すに十分な確固たるエビデンスもない。だがその判断の先に実現してほしいと思い描く経済活動について、政府や経済界の重鎮たちは、あまりに単純に考えてはいないか。今のように、条件さえ与えれば人が動いて数字が回復すると本気で考えているのだろうか。心がついていかない人たちは、簡単に動き出してはくれない。

たとえば、前述の地域を巻き込んだ学校や職場でのパニックのように、子供たちや経済を担う働き手の間に、コロナに起因する深刻なトラブルが起きている。恐怖が勝っている人たちの気持ちを無視した施策では、たとえ表面的に経済活動が復活しても、期待する効果が得られるとは考えにくいだろう。 もちろん国もまったく無策だったわけではない。4月に「医療従事者等の子どもに対する保育所等における新型コロナウイルスへの対応について」という通達が厚生労働省から、「新型コロナウイルス感染症の感染者等に対する偏見や差別の防止等の徹底について(通知)」が文部科学省から出ている。他にも、ハラスメントに対する注意喚起はしているが、実効性がある具体的なものはとぼしく、結局は問題解決へ向けて消極的にみえる。

この歪みを放置することは、日本経済の再起を阻む、潜在的な要因になる恐れは十分に考えられる。実際に思い込みや偏見による差別や嫌がらせなどがすでに発生していることは、周知の事実でもあろう。「GoToキャンペーン」における「東京除外」も、政府の考え方には一理あるとはいえ、性急で拙速な方針の二転三転は都民などからは猛反発が起こり、他方の人々からはさらなる誤解が生まれている可能性がある。そして多くの国民が振り回され、疲労し、こんなことで本当に「ウイルスに打ち克つことができるのか」と不安になれば、日常はさらに遠のく。延期された東京五輪も、こうした負の連鎖を断ち切れないまま強行開催するつもりなのか──。 〔2020年7/25(土) NEWS ポストセブン〕

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ページ名 オンライン教材「すらら」  (オンライン授業、  )
不登校生にアニメで授業 オンラインでも出席扱いに 大分
対人関係が苦手だけれど勉強したい――。家から外に出られない引きこもりや不登校の児童生徒が、アニメのオンライン授業で学習できる取り組みを大分県教育委員会が始めた。
使用する民間の教材に教師役で登場するのはアニメのキャラクターで、人間は一切登場しない。
各学校の教育課程に従ってオンライン授業で学べば、登校しなくても公立小中高校で出席日数として認定する。
  県教委が導入したのはパソコンやタブレット端末を利用した民間のオンライン教材「すらら」。
熊本市教委が授業のライブ配信を始めるなど新型コロナウイルスの影響でテレビ会議システム「Zoom(ズーム)」を利用した授業は広がりつつあるが、「すらら」のポイントは人間が誰も登場しないことだ。
教材は全てアニメで作られ、教師役には著名な声優を使ったアニメキャラクター。
人の目を見たり、会話をしたりするのが苦手な児童生徒でも、気後れすることがなく勉強ができる教材と県教委は考えた。
児童生徒の学習状況は教員経験のある家庭学習支援員に送信され、学校と共有。
メールやチャットを通じて質問などにも答えることができる。
県教委によると、県内の2018年度の小中高の不登校児は2216人。
このうち教育支援センターやフリースクールなど学校とは別の教育の場とのつながりもない子供が約200人いた。
長期の不登校や引きこもりが多数を占めるという。
こうした子供への教育機会の提供を念頭に、県教委がオンライン授業について不登校児の家庭に聞き取りをしたところ「人が授業するのでなければ受けられる」「相手と直接話さなくてもいいなら」などの声が寄せられた。
今春、「すらら」での学習希望者を募集したところ、定員30人がすぐにいっぱいになった。
県教委学校安全・安心支援課の宮崎好治課長補佐は「学びたい子の一歩踏み出すきっかけになるといい」と話す。
文部科学省は05年、不登校生が自宅でインターネットなどを活用して学んだ場合、一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできるとの通知を出した。
だが、なかなか浸透していないのが現状で、文科省は19年10月にオンライン学習を出席扱いと認めるよう通知を改めて出した。
県教委の対応について、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「学校や先生の持つ空気感に恐怖や不信感を持つ不登校生にとって、そのイメージを払拭(ふっしょく)するアニメでの授業は面白い取り組みだ。
自宅にいながら出席が認められるのは、児童生徒にとってメリットが非常に大きい」と評価している。
〔2020年7/26(日) 毎日新聞【河慧琳】〕

周辺ニュース

ページ名 少年補導委員   (職種、非行のニュース、  )
押しつけず、心から話聞く 愛知県警の少年補導委員・野々山密雄さんに「協力章」
愛知県警の少年補導委員になって28年。
名古屋市瑞穂区の野々山密雄さん(72)は、通学路での子どもの見守りや街頭パトロール、少年少女の立ち直り支援に関わってきた。
その功績が評価され、警察庁長官が警察への協力者に贈る「警察協力章」の今年の受章者41人のうち、県内でただ一人選ばれた。
  原点は、自分の子どもたちが小学生の時に始めたPTA活動。
いじめ、不登校など、子どもにまつわる問題を身近に感じるようになった。
そんな時、PTAの先輩から誘われ、「子どもたちのためになるなら」と1992年から瑞穂区少年補導委員になった。
2004年には、瑞穂署と協力して子どもの居場所づくりと健全育成を目的とした、よさこい鳴子踊りチーム「AAA瑞穂」を設立。
「更生には考えが近い同年代の仲間が必要」として、地元の高校生らにも参加を呼びかけた。
補導された暴走族の少年は、チームに参加すると夜間高校に通うようになり、職も得た。
「新しい出会いは新しい考えとの出会い。踊ることでエネルギーも発散できて、社会規範を守っても楽しく過ごせることを知ってもらいたい」と熱く語る。
子どもたちと関わる時の信条は「相手を絶対否定せず、自分の考え方を押しつけないこと。間違っていてもまず受け止める」。
話を聞くことで、子どもに安心感を与え、信頼関係を築く。
「家庭の事情をくんでもっと踏み込んだ支援ができれば立ち直れる子どもがいる」。

こんな思いから少年院の仮退院者や保護観察中の少年らと定期的に面談し、助言を繰り返しながら更生を促す保護司も務める。
窃盗を繰り返していた高校生から「こうじゃないとだめ」「こうあるべきだ」という両親の厳しい教育方針がストレスとなっていることを打ち明けられ、「考え方のずれ」が非行行為に影響していると感じた。
少年の気持ちを両親に伝えると、親子関係は改善し、少年の窃盗癖が止まった。
「親は子を良くしようと一生懸命になるあまり押しつけがましくなることがある」として、「親子は距離が近く感情的になりやすい。第三者というワンクッションが入ることで冷静になれる」と話す。
今は子どもたちが性犯罪に巻き込まれないための啓発活動に力を注ぐ。
「家庭環境だけではなく、道を踏み外しても地域の受け皿や、心から話を聞いてくれる人がいれば、子どもは安心できるのではないか」と話す。
「1人が更生すれば他の仲間にも波及すると思う」。これからも子どもを温かく見守り続ける。
◇人物略歴
野々山密雄(ののやま・みつお)さん 1947年生まれ。
大阪府出身。名古屋市瑞穂区の津賀田神社の宮司の傍ら、瑞穂区少年補導委員会会長、愛知県少年補導委員会連合会会長を務めている。
〔2020年7/26(日) 毎日新聞【ガン・クリスティーナ】〕

周辺ニュース

ページ名佐世保市高1女子同級生殺害事件 長崎県佐世保市 (事件事故、  )
「一人にしてはいけなかった」佐世保高1同級生殺害6年 塾講師の男性、今も自問
男性は「一人一人に合わせた歩み方と向き合い方があっていい」と考え、子どもと向き合っている(写真はイメージ)
2014年に起きた佐世保市の高1女子同級生殺害事件は、26日で発生から6年。
同級生の女子生徒=当時(15)=を殺害した元少女(21)が事件前どんな心の闇を抱えていたのか。
「あの子を一人にしてはいけなかったのかもしれない」。
塾講師として元少女に接していた男性(57)は今も自問している。
男性は50歳の時、30年近く務めた教員を辞め、大手学習塾の講師になった。そこで元少女と出会った。
2012~13年、中学2年の冬から3年の夏にかけて約9カ月間、週に1回1時間程度、一対一で数学を教えた。
勉強のできる非常に優秀な生徒だった。常に淡々としていた。勉強以外の話はなかったが特段気には留めなかった。
塾で会えば「先生」と手を振ってくれた。ただ、一つだけ心に引っ掛かる出来事があった。
事件の前年の13年。病死した元少女の母親の葬儀に参列した時のこと。
彼女は涙を流さず「無表情に近かった」。感情を表に出さずとも、最愛の母を亡くし悲しみに沈んでいるのではないか-。
そう思った男性は「これからどうしていくの?」と気遣った。彼女の口から出た言葉は「留学しようと思います」。
男性は当惑した。進路の話を聞きたいわけではなかった。
どうしてその局面でそのような言葉を発したのか。胸の内を測れぬまま、それが元少女と交わした最後の会話となった。
男性は、元少女の事件を知人から聞いた。残忍な犯行は、男性が抱いていた元少女のイメージとは結び付かなかった。
もっと長い時間向き合っていたら、彼女の心の深淵(しんえん)を知ることができただろうか。
自分に何かができただろうか。男性は今も考え込む。そしてこう思う。 「心に闇を抱えていたことが分かっていたのなら、彼女を絶対に一人にしてはいけなかった」
男性は事件の年、大手塾を退職し、佐世保市内に個人塾を設立。小学生から高校生まで指導している。
これまで、心身の不調で不登校になりながらも学習や進学に意欲を持ち塾に通ってくる子どもを見てきた。
出席日数が足りず高校を退学せざるを得なかった教え子もいた。
悩みを抱える子どもたちから相談があれば、じっくり耳を傾ける。
事件を経て、それまで見えていなかった子どもたちの心のひだのようなものが見えるようになった気がしている。
「画一的ではなく、一人一人に合わせた歩み方と向き合い方があっていい。
子どもの可能性をつぶさないことが次の事件を未然に防ぐことにもつながるはずだ」。
男性は今、こう確信する。
毎年、事件の日が近づくと、男性はかつての「教え子」のことを思う。
社会復帰したのだろうか。もし彼女が望むならば会って話もしたい。
そして、更生を果たせたのか、自分の目で確かめてみたい。その時に再びこう尋ねよう。
「これからどうしていく?大丈夫か?」と。
〔2020年7/26(日) 長崎新聞〕

周辺ニュース

ページ名 シェアハウスひだまり  (住まいのニュース、  )
運営を手伝うと家賃が下がるシェアハウス!? 「フェロー制度」とは
マガジンハウス【Webマガジン コロカル ー ローカルを学ぶ・暮らす・旅する】
〈Hidamari株式会社〉は2012年に熊本で創業し、熊本、福岡、東京、神奈川など8つのエリアで、現在、40棟のシェアハウス〈ひだまり〉を運営しています。
〈ひだまり〉では、住人同士の個性を尊重しながら自立したコミュニティを形成するためのさまざまな取り組みを行っており、今回住人向けパートナー制度として新たに「フェロー制度」を導入しました。
フェロー制度とは、シェアハウスの住人がスキマ時間で運営業務を手伝うことで家賃を減額するというもので、なんと家賃が無料になるまで活用できるのだとか。
新型コロナウイルスの影響で仕事が減った住人がいたこともあり、「fellow=仲間」である住人の負担を軽減し、助け合う仕組みとしてスタートしたのだそう。
家賃という大きな固定費が節約できるのはありがたいですね。
フェロー制度は、例えば内見案内・退去立会い・シェアハウス巡回業務などを手伝うごとにそれぞれ1回3,000円分、内見案内プラス入居が決まると、加えてひとりあたり10,000円分を家賃から差し引くというもの。
現在、東京エリアのみの先行実施とのことですが、すでに家賃分お手伝いされた住人もいらっしゃるそう。
入居希望、または検討される方は一度事前にお問い合わせを。
フェロー制度について詳しくはこちらをご覧ください。
Hidamariの代表取締役・林田直大さんに話を聞きました。
「ゴミ出しひとつでも共同生活では問題になります。
運営者でできることも、やってみたいと思う住人がやる方が『役割』ができるし、住人同士の親睦が深まったり自立したコミュニティが生まれやすい。
フェロー制度はまだ導入したばかりで実験的な側面もありますが、困っている住人への支援策のひとつでもあります。
これをきっかけに僕らのシェアハウス運営に興味を持つ人が出てきてくれたらうれしいですね」(林田さん)
■原点は、居場所がなかった高校時代
Hidamariは、熊本出身の林田直大さんと同じく熊本出身で大学の後輩である中原琢さんとで立ち上げられました。
林田さんがシェアハウスを始めた原点は、高校時代の経験に遡るといいます。
当時、高校生活に馴染めず不登校になっていたという林田さん。
「高校に入った当初は、学校に自分の居場所がないと感じていました。親にはいい顔をする方だったので家は毎朝出てたんですけど(笑)。
学校に行かずに他校や誰もいない塾に行ってみたり……。
そうして外に目を向けたことで少しずつ人と関わるようになって心が大きくなったというか、徐々に学校に行けるようになって。
人と出会ったり居場所ができることで自分の悩みは解決するんだって気づいたんです」(林田さん)
■住人たちでつくるコミュニティの価値
“居場所をつくる”ことを大切にしてきた〈ひだまり〉。
先日私が福岡のシェアハウスにうかがった際、気さくに話しかけてくれたこちらの3人。
入居したばかりの住人同士ということを感じさせない、お互いに打ち解けた雰囲気の彼ら。
率直に〈ひだまり〉のよさを教えてくれました。
「人それぞれの人生があって、でも帰ってくる場所が一緒っておもしろい」(今井さん)
「ここは夢が集まっていて頑張れる感じがします。私は台湾人なのでみんなに日本語を教えてもらっています」(李さん)
「僕はバリスタになる夢が最近できたので、シェアハウスでコーヒーを淹れて気軽に飲んでもらえるとうれしいです」(川上さん) 出身地もばらばら、職業もそれぞれ異なる住人同士。
他者の人生の一部を共有しつつ交流を深められるのはシェアハウスならではのよさですね。
シェアハウスという、暮らしの選択肢
林田さんはシェアハウスの共同生活で大事なことは「ひとりひとりが寛容な心を持つこと」と、「自分とは違う価値観をひとは持っているんだということを、理解しようとする前向きな気持ち」だといいます。
〈ひだまり〉のよさは、シェアハウス生活を快適に楽しく過ごすためにさまざまな仕組みを住人に寄り添いつくりあげていること。
暮らし方も多様なスタイルが生まれる現代。
この機会に、自分に合った制度を利用でき、他者と関わることのおもしろさを気づかせてくれるシェアハウス生活を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?
information シェアハウスひだまり
writer profile Mayo Hayashi
林真世 はやし・まよ
●福岡県出身。さまざまな職種を経験後、現在はフリーランスのライターとして活動中。
デザイン・アートが好きで、作家やアーティストのインタビューを中心に執筆。
2020年に地元福岡に帰郷、東京と行き来しながら九州のおもしろいヒトモノコトを掘り起こし発信している。
【コロカルニュース】とは?
全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
〔2020年7/26(日) Webマガジン コロカル〕

周辺ニュース

ページ名 [[ ]]  (  )
箕面学園高校ラグビー同好会 【ラグリパWest】初めての秋。 箕面学園高校 [大阪府] 箕面。「みのお」と読む。 古くは大阪の北の奥座敷。今は国定公園の「明治の森箕面」。梅田から阪急電車で半時間ほどの街は滝や紅葉で人を引き寄せる。 その低い山並みのすそに箕面学園はある。 校門をくぐれば、右手には付属の幼稚園。園児の明るい声が響く。 この高校にラグビー同好会ができたのは昨年の暮れだった。

「生徒が話をもってきてくれた時は、うれしかったですね。一度はラグビーを教えたい、と思っていましたから」 監督の廣谷和平(ひろたに・かずへい)は破顔する。保健・体育教員でもある32歳は京都の東山から日体大に進む。FLだった。 同好会結成の大きな後押しは昨年9月、この国で開かれたワールドカップ。日本代表の初の8強入りは高校生たちの心をもつかむ。

主将の鳥居祐士(ゆうし)は2年生だった。 「ラグビーって、チームのために自分から進んで痛いことをやります。その気持ちって、どんなんやろう、と思いました」 同学年の大野光輝(こうき)も興味を持っていることがわかる。 学校は生徒会に権限を持たせている。その担当教員に廣谷は活動を相談した。 「おもしろいんじゃない」 危険性などを問わず、生徒の意志を尊重する。1年生だった横山響(きょう)を加えた3人で同好会をスタートさせた。クリスマスイブのことである。

厳密に言うとラグビーは「復活」になる。40年ほど前、部は存在したが、いつしかなくなった。廣谷は話す。 「学校は初めてという認識です」 箕面学園のグラウンドは人工芝ではあるが、狭い。 「ハンドボールコートを2つとればいっぱいのような感じですね」 ここはその競技とサッカーが占有権を持っている。広島の左腕・床田寛樹を育てた野球部は隣接する茨木に専用球場がある。

ラグビーの活動場所は猫の額。グラウンドの端、横20メートル、縦7メートルほどの二等辺三角形のスペースしかない。ボールを使った練習は朝6時30分に設定したりする。グラウンドを遠慮なく使えるからだ。 この春、新入生3人が入部する。 安西優豊(ゆうと)、小山隆翔(りゅうと)、横山拓海(たくみ)である。安西は吹田(すいた)ラグビースクール、小山は豊中四中での経験者である。廣谷は笑う。 「2人はラグビーがない、と思って入学してきました。だまされた、と言っています」

そこに最近、2年生の浅井優希が加わった。最初はハンドボールに所属した。中学時代はサッカー。182センチ、76キロと体があるにも関わらず、走れて、蹴れる。廣谷はFBでの育成を考えている。 チームは「侍」ならぬ、「7人のラグビーマン」になった。

箕面学園は終戦の翌年、1946年(昭和21)に創立された。今年75年目を迎える。 全日制普通科の私立共学校。不登校や支援学級出身の生徒も受け入れる。1学年は基本的に6クラスで1学級は30人。全校生徒500人ほどの中規模校である。 豊中にある箕面自由学園との関係はない。

この学校に廣谷は昨年4月から勤務している。大学卒業後は8年間、箕面や豊中などの中学で教べんを執り、経験は積んだ。 廣谷がラグビーを始めたのは東山に入学後。野球からの転部組だ。 「持って走るだけ。なんて簡単なんや、あれなら自分でもやれる、と思いました」 花園出場はないが、2年時の85回大会(2005年度)は府予選4強で伏見工(現・京都工学院)と激突。10-82と大差負けの中、2トライともに自分が挙げた。 伏見工は本大会決勝で桐蔭学園を36-12で破り、4回目の全国制覇を成し遂げる。

日体大では4年間、公式戦には出場できなかった。最終学年は同期と試合中に水分補給をするウォーターボーイの役を買って出る。一緒に戦っている気持ちになった。

同好会を作って痛感するのは、この大学のつながりのありがたさだ。 近鉄HOの高島卓久馬は同期。コロナでの休校中、オンラインで高校生たちに初歩的な体の鍛え方を教えた。鳥居は思い返す。 「タクマさんのメニューは毎回、違うんです。腹筋をする時には意識するポイントも教えてくれました。楽しくできました」 無報酬のコーチングは1日おきで1か月半ほど続いた。 ラ・サールで指導に励む同期の肥後勇介は、ジャージーなどを送ってくれた。 府内で合同を組むためのチーム紹介は廣瀬壽哉(としや)が引き受ける。二回り近く上の先輩は早稲田摂陵の監督でもある。 チームは週末の練習参加を考え、近隣の渋谷(しぶたに)、桜塚、東淀川に合流した。

記念となる100回全国大会の府予選の抽選は8月1日に行われる。 鳥居は大会の抱負を口にする。 「合同に入れてくれたみんなのために、試合に出られなくても、ウォーターボーイなど必要とされることをやって恩返しがしたいです」 コロナの影響がなければ、初戦は9月。箕面学園にとって、最初の試合になる。 7人による新しい歴史が始まる。 (文:鎮 勝也) 〔2020年7/27(月) ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)〕

周辺ニュース

ページ名 YouTuberゆたぼん   (  )
「小学生YouTuber」ゆたぼん、誹謗中傷に法的措置へ「学校では教えてもらえへんのか?」
「少年革命家ゆたぼんチャンネル」より
小学生ユーチューバーとして活動している「ゆたぼん」さんが、誹謗中傷に対して法的措置を進めていると、自身のYouTubeチャンネル「少年革命家ゆたぼんチャンネル」で明かした。
福永さんが公開した動画「【少年革命家】ゆたぼんの誹謗中傷と戦う」
■「自分が嫌やと思うことは人にしたらアカンやろう?」
ゆたぼんさんは「不登校の自由」を主張し、学校に通わずYouTube上で活動を行うという配信者。
2020年7月22日、「【速報】へずまりゅうより酷いアンチを訴えます!」というタイトルの動画を公開した。
その動画によれば、19年5月5日の琉球新報でその活動が報道されて以来、話題となった一方で多数の誹謗中傷も寄せられているといい、弁護士を通して誹謗中傷を寄せる人々を訴えるとしている。
「自分が嫌やと思うことは人にしたらアカンやろう? そんなことも学校では教えてもらえへんのか?」
ゆたぼんさんは動画内で、人々に対し誹謗中傷をやめるように、大きな声で叫び続けたほか、ユーチューバーの「へずまりゅう」にも言及した。
へずまりゅうは、他の人気ユーチューバーらに無理やりコラボを迫る「迷惑系YouTuber」として知られ、20年7月に窃盗容疑で逮捕された後、新型コロナウイルスに感染していたことが発覚するなどで話題となっている。
ゆたぼんさんは弁護士・福永活也さんに相談したとし、24日に公開した続編「誹謗中傷アンチをガチで訴えた!」で、訴える手順などについて福永さんに説明してもらっている。
福永さんは、芸人の「エッグ矢沢」さんや、ブロガー「はあちゅう」さんの誹謗中傷を訴える件でも協力したことで知られる。
なお、福永さんが17日にYouTube上に投稿した動画「【少年革命家】ゆたぼんの誹謗中傷と戦う」では、ゆたぼんさんの父が「死ね」「殺す」といった脅迫めいたツイートも寄せられていると明かしていた。
〔2020年7/27(月) J-CASTニュース〕

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ページ名 トランスジェンダーの子ども  (性的少数者、校則のニュース、  )
新型コロナで男女別の分散登校 追いつめられるトランスジェンダーの子どもと制服の選択制
GID(性同一性障害)学会会場で行われた「選択できる制服」の人気投票
男女別の分散登校に困難を感じる子どもたち 
  新型コロナウイルス感染拡大とともに,教育の現場ではソーシャルディスタンスを保って授業を行う必要があり,分散登校が行われた。
学年別やクラス別,あるいは出席番号による振り分けなどが行われる中,東京都や埼玉県など複数の自治体では,男女別の分散登校を実施していたとされる(注1)。
心の性と身体の性とが一致しないトランスジェンダー(性同一性障害を含む)の子どもにとっては,自身の希望しない性別で扱われることは非常につらいことである。
男女別に登校日を決められることで学校に行くことができなくなる子どももいる. 「制服の選択制」を訴える2つの署名活動
東京都江戸川区の中学校における男女別の分散登校の実施を知ったことを契機として,区内に住むトランスジェンダー男性(心は男性,身体は女性)の高校生が,スカートの制服がつらかった中学時代を思い出し,署名サイト「Change.org」で「江戸川区の制服を選択制にしてください!」と訴えている。
並行して仙台でも,すでに性別適合手術を受けて戸籍上も男性となっているトランスジェンダー男性が「宮城県でも中学校、高校の制服が選択出来るように要望致します」と署名活動を始めた。
トランスジェンダー(性同一性障害)の子どもたちの不登校や自殺
岡山大学ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者(トランスジェンダーのうち医学的な治療を求める人々)約1,000名のデータを見ると,半数強が物心ついた頃から,そして約9割が中学生までに性別違和感を持っている(注2).
特に小学校に入学すると,持ち物,トイレ,各種の活動などが男女別になることが多くなる.トランスジェンダーの子どもにとって,希望しない性別での学校生活を強いられることも多く,つらい経験となりやすい.実際に,ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者の約3割が不登校を経験している。
また,約6割が自殺願望(自殺念慮),約3割が自傷・自殺未遂の経験を持っている。
不登校や自殺願望は小学生から見られるが,中学生の頃には高率となる。これには,自身の身体が希望しない性の特徴を持ち始める二次性徴が起きることに加えて,自身の希望しない制服を着なければならないことが影響している。
学生服と自殺願望
中学生の頃の自殺願望の原因として「制服」を挙げたトランスジェンダー当事者は約25%にも及んでいる.特に,トランスジェンダー男性にとっては,スカートをはくことに大きな苦痛を感じるため不登校の大きな原因となっている。
このためトランスジェンダーの子どもが希望する制服を選択できるようにすることは不登校や自殺を防止することにつながる。
2015年の文部科学省の通知における「性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例」の中にも,服装への対応として「自認する性別の制服・衣服や,体操着の着用を認める」としており,早急な改善が求められている(注3)。
制服メーカーの取り組み
岡山は世界に誇るデニムの生産地であるが,学生服に関しても国内シェアの約7割を占めている.学生服の生産では大手と呼ばれる3社も全て岡山県内に本社を置いており,種々の研究・開発を行っている.現在,多くの学校で採用されているブレザータイプの制服も岡山発祥である。
ダイバーシティ(多様化)社会を反映し,トランスジェンダーの児童・生徒のため,「スカートとスラックス」「ネクタイとリボン」などを「選択できる制服」,あるいは「右前左前のないジャケット」「ユニセックスなズボン」などを組み合わせた「ジェンダーレス制服」などの開発が続けられている。
さらには,学校の教員がトランスジェンダーの児童・生徒へのサポートに関する相談ができる体制をとっている制服メーカーも見られる。

教員の意識は?
トランスジェンダーの児童・生徒の制服についての教員へのアンケート調査の結果を見てみると,「正規の制服を着るべき」との意識が強いことがわかる(図1).FTM(トランスボーイ:心は男性,身体は女性),MTF(トランスガール:心は女性,身体は男性)ともに,小学生までは5割弱の教員が「希望する服装」での登校を認めていたが,中学生以上になると約3割と低下する。
このように「全員が制服を着て来ることは重要」と考えている教員は多いことがわかる.このデータを前提とすると,「制服の選択制」,すなわちトランスジェンダーの子ども自身が選択できる多様なスタイルの制服を正式な形で採用しておくことが必要である。
図1.トランスジェンダーの子どもが希望する性の服装で登校することへの対応は可能か?(当研究室が実施した小中高校の教員への調査結果から)
  トランスジェンダーの子どもが望む性の服装で登校することを「対応可能・構わない」とする教員は,子どもが小学生の場合は5割弱,中学生以上の場合は約3割と低い。
図1.トランスジェンダーの子どもが希望する性の服装で登校することへの対応は可能か?(当研究室が実施した小中高校の教員への調査結果から)
  トランスジェンダーの子どもが望む性の服装で登校することを「対応可能・構わない」とする教員は,子どもが小学生の場合は5割弱,中学生以上の場合は約3割と低い。
「選択できる制服」は誰のため?
学校で制服を選択できるようにするためには,「なぜ,いろいろあるの?」という質問をしてくる子どもに対して,教員や保護者などが適切な回答を準備しておく必要がある。
このことは,大人が「性の多様性」について知り,そして考える契機になる。
制服の選択制は,トランスジェンダーの子どもへの特別な対応ではなく,全児童・生徒が対象となるべきである。
「寒いのが嫌」「パンツスタイルが好き」「足を見せたくない」などの理由でスカートをはきたくない子どもも多いと考えられる.誰かへの特別な配慮ではなく,ユニバーサルデザインの概念で,すべての人にやさしい制服の採用,あるいは多様な組み合わせを認めることが求められている。
また,トランスジェンダーの子どもが,学校の中で感じる困難は制服のことだけではない.この制服の問題を契機として,トランスジェンダーの子どもが生きやすい学校にするために,さらなる議論が広がることを期待する。
図2.学校におけるトランスジェンダーの子どもの課題と対応について書いた本の表紙(注2).子どもたちはどこに向かって走るのだろう。
図2.学校におけるトランスジェンダーの子どもの課題と対応について書いた本の表紙(注2).子どもたちはどこに向かって走るのだろう。
言葉の意味】
◆トランスジェンダー:身体の性(そして,それにより社会に割りあてられた性)と心の性(性自認)とが一致しない状態であり,自身の身体の性を強く嫌い,その反対の性に強く惹かれた心理状態,すなわち性別違和感を持つ。
◆性同一性障害:トランスジェンダーのうち,ホルモン療法や手術療法などの医療的対応を希望する人々が治療を受ける場合の診断名.2022年をめどに,「障害」という言葉がなくなり,性別不合との診断名に変更される予定。
【参考】
(注1)男女別登校は「人権侵害」と専門家が指摘.1人の母の疑問に賛同の声.ハフポスト日本版,2020年6月16日。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5ee818d4c5b6ddc7bdcaa8fb

(注2)中塚幹也:封じ込められた子ども,その心を聴く:性同一性障害の生徒に向き合う.ふくろう出版,2017年.http://www.296.jp/books/data_books/t1501583556/index_html (注3)文部科学省:性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について.2015年4月30日.
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/04/1357468.htm
【Change.orgに開設されている2つの署名活動サイト】
◆江戸川区の制服を選択制にしてください!
◆宮城県でも制服を選べるようにしてください
中塚幹也 岡山大学教授 産婦人科医 GID(性同一性障害)学会理事長
産婦人科医(岡山大学病院不妊・不育外来,ジェンダークリニックで診療)。
岡山大学大学院保健学研究科・生殖補助医療技術教育研究(ART)センター教授(助産師,胚培養士(エンブリオロジスト)等の養成・リカレント教育).GID(性同一性障害)学会理事長(LGBTQ+,特に「性同一性障害・トランスジェンダー」の医学的・社会的課題の解決に向けて活動).岡山県不妊専門相談センター,おかやま妊娠・出産サポートセンターセンター長.妊娠中からの切れ目ない虐待防止「岡山モデル」の創始,LGBTQ+支援,思春期~妊娠・出産~子育てまでリプロダクションに関する研究・教育・実践活動中.インスタ #研究科長のひとりごと
〔2020年7/28(火) 中塚幹也 岡山大学教授 産婦人科医 GID(性同一性障害)学会理事長〕

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川村真木子 バリキャリ金融女子が考察「学校で髪は黒染め」ルールがもたらすもの 現在外資系投資会社に勤務する川村真木子さんは、UCバークレーを卒業後、長く外資系投資銀行でマネージングディレクターとして活躍してきた「バリキャリ金融女子」。現在高校生のお嬢さんがいるワーキングマザーでもある。

政治から社会、スポーツに生活まで本音を鋭く語る「長文社会派インスタ」が人気の川村さんが、今「日本はこれでいいのか」と恐れていることとは……。

華美だから車通園禁止、だからこっそり遠くで車を降りる 公共交通機関で幼稚園に通える人だけが通園なさってください、というのと、差が生じるからやめてください、というのも違う。そして、禁止されたからばれないようにする、というのは子どもに「バレなきゃいいのよ」と教えていることになるが…Photo by iStock 某人気私立の幼稚園の送り迎えに「タクシー禁止」「自家用車もダメ」「ベビーシッターさんのお迎えダメ」というルールがあるとママ友から聞いた。車の校門に横づけは「道が混雑するからダメなんでしょ?」「ちゃんと歩いてくることを覚える必要があるんでしょ?」と聞くと、どうもそれだけではなさそう。

 クルマやタクシーは華美、ベビーシッターを雇うことも贅沢、そしてみんなが車に乗れるわけじゃないから配慮してください、ってことらしい。 ところが友人によると、この規則に沿って、学校から少し離れた場所でクルマを降りて子供と歩いて登校する親が続出したという。ちょっと待ってください、何かがおかしいですよね。子供にも何て説明すればいいんですか? 電車で来てるフリしようね。って感じ? だとしたらそれこそホラーです。 横ならび主義の幼稚園/学校に付き合うために、親が「控えめ」を演出しなければならないとしたら。例えば通学の仕方や、離婚したことなどを隠さなければならないなど、子どもにもウソをつかせなくてはいけないとしたら――もうその学校の方針は根本的に無理があると思う。

色素の薄い髪色を染めなければならない異常 元の髪の色が多様な海外では「黒く染める」はありえない。そして日本国内でも、多様な現在、様々な髪色、髪質の人がいるのは当然だ Photo by iStock ちなみにこの「控えめ横並び主義」はこの私立幼稚園だけの問題ではなく、「国民病」とも言える我が国に蔓延る慢性疾患でもある。小学生ぐらいからみんなと同じような「髪型」「服装」「行動」「思想」を求められ、期待され、「抜きん出るのは損」「目立つのは悪」と叩き込まれ刷り込まれる。生まれつき色素が薄く、髪の毛も茶色い友人のお子さんは医療機関発行の「地毛証明書」なるものを持ち歩いていて、いつなんどき先生が「なんだ、その髪色は」と迫ってきた時に水戸黄門よろしく「この紋所が目に入らぬか!」と見せられるようにしてる話を聞いたときは、恐ろしくて驚愕した。

この話、にわかに信じがたいほどの衝撃をうけたのでネットで調べてみると、NEWS23でも特集を組んでいたし、多くのメディアが報じていた。どんどん出てきますね、「黒染めルール」。

例えば2016年に大阪府で起きた話だと、生まれつき髪の毛が茶色かったA子さんに、学校は「ルールだから」と、写真撮影日など入学式の前から黒染めを強要。度重なる頭髪指導で精神的苦痛を受け不登校になったと、2017年、大阪府に対し裁判を起こした。府側は「学校の指導は適切」と請求棄却を求め、全面的に争う姿勢を示している。 えっと、もともと茶髪の人の髪の毛をみんなと同じにするために黒染めを強要するのって「適切な指導」どころか「虐待」みたいなものです。髪の毛にも心にも大きな負担がかかると思う。

自分らしい服装がわからない 制服があるのは日本だけではない。ただ、常に厳密なルールのもとにあるのと、自分で判断する修正がある人とでは、「ルール」という縛りがなくなったときに、服を選ぶことのできる余裕が変わってくるのではないだろうか Photo by iStock 「黒染めルール」みたいなものが存在するから、就活生のリクルートスーツが判で押したようにみんな同じになってしまう。学生は違和感を感じつつもやめることが出来ず、企業側も対応が後手後手に回っている。昨年、某化粧品メーカーが就活生宛に「あなたらしい服装で来てください」と呼びかけネットで話題になったが、一部の学生からは「自分らしく」と言われた際のTPOが分からないと「正解」を求める難民が続出。こんなことなら「リクルートスーツの方がラク」という声まで上がってしまった。

服装のTPOについては、多くの日本人は「自分のあたまで考える」ことに慣れていないのかもしれない。まさに「黒染めルール」の副作用とも言えるだろう。「自分らしい格好で来てください」と言われたからって、まるでサブカルそのもの鼻ピアスに緑の髪の毛、革ジャンで現れた学生がいたりした。こんなことが起きてしまうのも横ならび主義を強要し続けられ、考えるチカラを奪われてきたことの結果であり、言うならば私たちは「横ならび主義被害者」でもあるのだ。 横並び主義が暴走すると、人の心を少しずつ破壊し始める。何故なら人間は本来個別性が強い生き物なので、横並び主義に合わせようとするとそれなりの精神的苦痛を伴うのだと思う。前出のお受験幼稚園。電車で来たフリして先生にもママ友にも親子揃って毎日ウソついてたら、精神は確実に病んでくる。

高度経済成長期を支えたもの それでも横並び主義はかつては機能してきた。日本の経済活動の大部分が農業だった頃はみんなが同じような作業を分担し、協力し、チームワークで結果を出すのに横並び主義は必須。出来ない人はそのままチームのロスとなるのでリアルにお荷物だ。工業化が進んだ高度経済成長期も横並び主義は見事にハマった。殆どの人が言われたことを言われた通りに出しゃばり過ぎずに日々を回すことで経済がまわり、全体のパイが拡大、多くの国民が恩恵を受けた時代が確実にあった。 出しゃばらず余計なことを考えず、空気を読みまくりながら企業戦士に徹する。給料は右肩上がり、経済は拡大、沢山の人の生活が豊かになった時代が存在した。戦後のカオスを終えた1960年ぐらいから1990年ぐらいまでの景気拡大期のことだ。

2020年現在、日本経済は停滞している。1989に世界2位だったGDPは2010年に世界3位に転落し、2020年の日経平均株価は1989年のピーク時の約6割となった。日本に残されたオプションは大きく2つあって「自由な発想で突出してくる個人が一定量現れ、イノベーションを生み出す国( シリコンバレー型)」となるか「少ない人口でエコ先進国としてアジアのお手本となる国(北欧型)」のどちらかだ。北欧型の場合、GDPの追及はギブアップするが、地球へのエコ貢献度や社会福祉の充実度などが新しい物差しとなるような世界となる。

間違えてもどんどん発言する重要性 様々な場面で、自分で考え、意見を口にする必要が出てくる。その時に「完璧でなかったらダメだ」と思うと意見を発することはできない どちらのオプションでも自由でクリエイティブな発想および強力なリーダーシップが必要となるため、いずれにしても横並び主義は機能しない時代がやってくる。この時代に備えるためにも、まずは国民の発想の基礎を作る教育現場が変わって欲しい。そんな大切な場所で過去に幅をきかせた「控えめ横並び主義」が市民権を得ているようでは、日本の未来は大分寒いものとなるだろう。

先日、インスタグラムで知り合った20代の女子が自身のインスタグラムの投稿に「小学校の時の通信簿」を載せていた。そこには「慌てて手を挙げず、じっくりと考えられるようになるともっと良いと思います」という教師からのコメントが書かれていた。よっぽどの立派な内容じゃないと発言するな圧力。簡単に目立つな圧力。多分、この教育のせいで日本人の中からリーダーが生まれにくく、「完璧な答えでないとダメ」と思っているから、ビジネスの会議でもなかなか発言出来ない。 クリエイティブな発想などもディスカッションを通じて更に発展する傾向にあるから、一人で「じっくり考えてから初めて発言」する方法はまるで向かない。間違ってもいい、まだ考えてる途中でもいい、どんどん手を挙げて! という教育の方がずっといいのにと思う。どんどん手を挙げて、どんどん前に出て、前に出た人を突き落とさない。そんな活力ある社会が到来して欲しいと願う。まずは教育現場からのドラスティックな変化を切望する。

川村 真木子(外資系金融女子) 〔2020年7/28(火) 現代ビジネス〕

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ページ名 ノーベル高等学院  (医療のニュース、発達障害のニュース)
「自閉症は大変だけど、不幸ではない」息子のために学校を作った一人のパパの話
長男が自閉症と診断されるとすぐに、その療育のために家族でアメリカに移住した、ある一人のパパ。
帰国後は息子の居場所作りに奔走します。
長男が自閉症と診断されるとすぐに、その療育のために家族でアメリカに移住。
帰国後は親として納得できる居場所を創りたいと発達障がいをもつ子どもたちのための放課後デイサービス(支援学校、支援学級、通級、不登校の生徒のための学童のようなサービス)を立ち上げた佐藤典雅さん。
「自閉症は大変だけど、不幸ではない」という佐藤さんは、あわてず、常に冷静に息子であるがっちゃんを見守り続けてきました。
2年前、突如として絵を描き始めたがっちゃんを佐藤さんはサポートし続け、2019年には初の個展、そして2020年3月には、ニューヨークでの個展を実現、がっちゃんは才能あふれるアーティストとして高い評価を受けました。
インタビュー前編では、アメリカでのがっちゃんの療育の話を中心に、佐藤さんが親としてどんな風に子どもと向き合ってきたかについて聞きました。
―――がっちゃんが自閉症だと気づいたのはいつですか?
  横浜市の3歳児健診のときです。「自閉症」と診断されました。
それまでも、例えば、ひたすらおもちゃを一列に並べたり、積み木を積み上げたり。
それが崩れると癇癪を起こして一向に治まらない。車が赤信号で止まったらものすごい勢い泣きわめく。
毎日2時間以上散歩しないと気が済まない。そんな大変な子どもでした。
実は今でも1日5回もシャワーを浴びるし、嫌いなものは決して食べない。そんなことが日常茶飯事です。
―――大変だとは思わなかったんですか? 
大変かどうかって言われれば、ずっと大変でした。
でも、不思議なことにだんだん慣れて、それが日常になっていくんです。
でも、大変だということと不幸は違うと私は思っていて、大変だったかもしれないけど楽しいことはいっぱいあって、不幸だと思ったことは一度もありません。
だから、「自閉症」と診断されたときも、悲しいとか泣くとかはありませんでした。
当時、私には自閉症についての知識がなかったので、「どんな症状でどう対応したらいいの?」ということがまず頭に浮かびました。
日本語で検索してもあまり役に立ちそうな情報がなかったので、英語で検索してみたんです。
そうするとやたら「ロサンゼルス」という言葉が引っかかってくるんです。
「それならロスに行ってみよう。何か糸口が見つかるかもかもしれない」と、すぐに渡米を決めました。
父が転勤族だったし、幸いなことに妻もあまり既成概念にこだわるタイプではなかったので、アメリカに住むことは抵抗がなかったんですね。
――― いきなりアメリカに!?
  アメリカ行きを決めて仕事を探していたら、たまたま東京ガールズコレクションを運営する会社がロスに子会社を立ち上げるという話を知り合いから聞いたんです。
これを逃す手はないと、「僕が行きます!」と手をあげました。
ほんと、奇跡的なタイミングでした。その後、住むところや子どもたちの学校を決め、家族4人でロスに引っ越しました。
療育という観点でみると、アメリカはとてもインフラが整っていました。その点はとてもラッキーでした。
例えば、がっちゃんは現地校の支援学級に通ったのですが、クラスの生徒8人だと大人は9人なんです。
担任の先生以外にそれぞれの生徒に専属のセラピストが付きます。
そして、放課後は毎日2時間、家にセラピストを無料で派遣してくれました。
また、1年に1度、保護者と校長、担当の先生、セラピストなどがIEP(個別指導計画書)を基に、言語能力や運動能力が目標に達したかを振り返り、次年度は何を目標に支援するかなどレビューしていました。
無理強いしない、アメリカの療育
――― アメリカでの療育は、がっちゃんにとってプラスになったと思いますか?
  多動症気味の息子にとって、完全な車社会であるアメリカはとても暮らしやすい環境だったと思います。
またアメリカ人は良い意味でアバウト、許容範囲も広いですし、社会的に「自閉症」の存在が認知されていますから、
外で自閉症の子どもと出会っても、「この子自閉症でしょ。だいじょうぶ、心配しなくていいよ」と言ってくれるんです。
また、アメリカ人のセラピストは、がっちゃんが予定しているプログラムに従わなくても、「ゲームやろうか」などと、無理強いすることなく遊んでくれました。
帰国後、私は息子の居場所づくりのために放課後デイを立ち上げたのですが、療育は「プログラムが良いか悪いか」ではなく、
「誰がそれをやっているか」が重要だということです。
がっちゃんに関していえば、彼の特性を理解して、無理強いできないラインをわかっている大人が毎日1対1で、ある意味アバウトに相手をしてくれたこと。
自分を理解してくれる人と楽しい時間が過ごせたということに価値があるんです。
がっちゃんのアメリカでの成功体験は、「理解あるおねえさんと毎日楽しく過ごせたこと」。その1点だったと思います。
――― お子さんが発達障がいと診断されて悩んでいるママ・パパの声が編集部に寄せられてきます。
繰り返しになりますが、大変なことは不幸ではありません。大変だったけど楽しいこともいっぱいあるから、がっちゃんも私たち家族も決して不幸ではありません。
特に自閉症のがっちゃんにとっては、今の生活が当たり前で、自分を不幸だなんてこれっぽっちも考えたことはないはずです。
だから、もし自分の子どもが発達障がいだと診断されたら、「あわてない。落ち着こう」が原則だと思います。
不安をもったまま衝動的感情で動くと、合理的でない決断をしがちですから。
自閉症の子どもをもつ多くの家族を見てきた私が皆さんにアドバイスできることがあるとしたら、何事も常識や価値観にとらわれたり、決めつけたりしないことです。
「普通ならこうあるべき」「親として子どもにはこうなってほしい」という思いが強いと、そこから外れると、無理矢理そっちのベクトルに戻そうとしたくなります。
その結果、無理が生じてきて、親も子もつらくなるんです。
取材・文・写真/米谷美恵 お話を終えて
佐藤さんがさらっと口にする言葉が実はとても大切で深くて……。
それは、障がいのありなしに関係なく、すべての子育てに共通することだと感じました。まだまだ続く佐藤さんの話。
後半では、帰国後に作った放課後デイ、そしてアーティストとして歩き出したがっちゃんのお話です。
がっちゃんの個展「byGAKU SETAGAYA2020」は2020年7月29日(水)~8月2日(日)まで、東京都の世田谷美術館で開催予定。
佐藤典雅さん Profile
子ども時代の大半をアメリカで過ごす。
グラフィックデザイナーからBSジャパンのコンテンツ企画、ヤフー・ジャパンのマーケティング・セールスを経て、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーとなる。
株式会社1400グラムの代表として様々な企業のコンサルを行なう。
プライベートでは、息子が3歳のときに自閉症だと診断され、アメリカでの療育プログラムを受けるためにロサンゼルスに引っ越す。
9年間のアメリカでの生活を経て、日本での自閉症に対する受け皿をつくりたいと、放課後デイアイムを設立、その後、一条校(学校教育法一条で定められた正規の高等学校)の通信制サポート校ノーベル高等学院を設立。
卒業生は高校卒業証書を取得することができる。
たまひよ ONLINE編集部
〔2020年7/29(水) たまひよONLINE〕

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荒れる学校統廃合 衝撃…多くの人が全然知らない「荒れる学校統廃合」その驚きの実態 嘘をつく教育委員会

現代ビジネス 筆者は前回、広島県福山市教育委員会が進めている大規模な小中学校統廃合(市教委は再編とよぶ)を、「嘘」や「欺瞞」、「虚偽」という言葉を使って説明した。 教育委員会が行う事業にこうした言葉を用いるのはもちろんよいことではない。 が、あえてこういう表現を使ったのは、筆者自身が福山市教委に「嘘をつかれた」と感じており、しかもその嘘を筆者自身が公開の場(講演会など)で広めてしまったという後悔の念があるからだ。

 筆者は弁明しなくてはならない。

 欺瞞を見抜けなかった筆者の立場を。それとも、福山市教委の「嘘も方便」にこそ理があるのか。

 ともかく福山市教委は、筆者から見れば「欺瞞」と思えるやり方で、この6月、ついに住民・保護者の反対を押し切る強引な学校統廃合を敢行しはじめている。

 そこでは「住民の総意」を教育長が決定するという暴挙までおこなわれた。

 筆者はこのやり方に戦慄を覚える。

 ここに筆者が見聞きしたものを提示し、読者の審判を仰ぎたい。

 まずは最初に、筆者がつかれた(と考えている)嘘を、丁寧に切り出すことからはじめよう。

今から3年前の2017年8月、筆者は福山市および福山市教育委員会に対してヒアリングを行った。同年10月には福山市教育委員会の室長と首長部局の幹部がわざわざ筆者の勤務する大学を訪れてくださり、3時間も意見交換を行った。 知人も同席の中、筆者はその中で、学校統廃合は丁寧にやらないと地域社会を壊しかねないデリケートなものであること、できる限り統廃合しないですむ方法を考えた方がよいことをお伝えした。 そしてその場で次の点を確認させていただいたのである。

(1)福山市に小中学校の再編計画はあるが、決まってはいない。住民たちとはこれから話し合っていく。

(2)再編の理由は、小規模校の教育に関わる問題である。財政は関係ない。文科省とも関わりはなく、再編計画は市教委独自の判断による。

筆者はその後、ここで確認した(1)(2)を、そのまま現地の講演会などで地域住民に説明していた。ところがである。

(2)の財政問題は、その後の市教委による地域説明会で、統廃合に反対する住民に「財政のことも考えて欲しい」との説明があり、あっさりと裏切られてしまった。 また、文科省とは関係がないという点についても、市教委が住民団体向けの公文書で「文科省の新しい学習指導要領を実施するには再編しか方法はない」との説明を行っていることは前回紹介した。いまや市教委は、文科省の方針に従って仕方なく統廃合を進めていると主張している。 もっともこれらは、「筆者に嘘をついた」というのではなく、とにかく廃校を迫るため、反対する住民たちに言うべきでないことを言っているのだと筆者は理解している。この規模の都市で、財政を理由に学校を廃校化するはずはなく、また文科省の学習指導要領は、学校規模と直接関係はないからである。

では、なぜそんな嘘になる発言をするのかといえばやはり、(1)が重要なのである。 異様な統廃合を決定し、話し合わない市教委 筆者はこの問題に、住民側にどの程度の「話し合いの余地」があるのかが最も大切だと考えたので、この点はとくに何度も福山市教委に確認した。そして市教委は筆者に、「計画はあるが、決まってはいない。住民たちとこれから話し合っていく」と何度も言っていたのである。

さて、その「話し合い」がどんなものだったか。 筆者はそれを入手した資料から公開し、これが本当に「話し合い」なのかを世に問いたいと思う。そもそもこういうことを、子どもを預かる教育委員会がやってよいのかと。

ここでは、小中学校7校による「(仮称)千年小中一貫教育校」への大規模な統廃合で、平成合併前の旧内海町からすべての小中学校を失う、内海地区(内海小・内浦小・内海中の学区)の事情に絞って報告する。 旧内海町は二つの島、田島・横島からなる。田島と旧沼隈町をつなぐ内海大橋で架橋されているが、橋一本でつながるだけの瀬戸内海に浮かぶ離島である。

2019年11月に日本弁護士会が平成の大合併の影響の深刻さを警鐘して話題になったが(シンポジウム 平成の大合併を検証し、地方自治のあり方について考える)、この規模の合併自治体で小中学校すべてを解消されるのは、ここで調査している水準(人口2000人以下)をさらに超えた異常事態になりそうだ。 本稿での分析は、2020年2月に、福山市教委がおこなったこの内海地区への住民説明会の様子から入っていく。市教委はここで、内海地区の住民・保護者たちの、統廃合に向けた「総意」がとれたと主張する。その総意を確認したという生の様子を報告したい。

怒号の中、強引に話し合いの幕を引いた市教委 2020年2月27日、市教委が呼びかけた説明会に、傍聴者7人を含む94人が参加した(人数は市教委発表。傍聴者にはメディアが含まれ、説明会は公開されたものである)。

19時半から22時までに及ぶ長い会合の最後の場面は、こんなふうに締めくくられた。

住民:信頼関係がどれほど大事か分かっていない。 住民:教育長、「ありき」で全ては解決しませんよ。 住民:千年中学のグラウンド(小中一貫新設校の予定地)の土地買収はもう始まっている。 住民:もう終わっている。 住民:内海から小学校をなくすというのは決定しているのですね。 市教委:教育委員会としては、その方針でいる。 住民:(ならば)住民投票してください。(住民投票をしてから決定してください) 教育長:今日この場で申し上げたのは。 住民:その決定をしたのは誰か。 教育長:それは教育委員会だ。 住民:教育長か。 教育長:教育委員会という行政の一つの…… 市教委:申し訳ないが、会場の都合もあるので今日はこれでこの会を終わらせてもらう。 住民:(学校を閉校にする)権限はない。私たちはあなたたちを選んでいない。 住民:会を何回開いても意味がないではないか。 住民:選ばれた人ではない。 住民:代わってください、教育長。 住民:こんな状況で強行してはいけない。 教育長:我々の考え方を伝えて、新しい学校をつくる方向でいきましょうというお願いを今日はしている。 住民:反対だ。 住民:住民に対する2回の説明で“はい、これで学校をなくす”というのはおかしい。 教育長:この場は2回目だ(2回もやっている)。住民の皆さんの思いは教育長も個別に聞こうとして、昨年の10月から(聞きたいといってきた)……もう過ぎた(ことだ)が、そういう所への話し合いにいる。 住民:それは問題ではないだろう。地元の我々(の合意が必要だ)…… 市教委:もうすみません、ここで切らせてもらう。 市教委:以上で閉会させて頂く。よろしくお願いします。

もめたのは別にこの最後のところだけではない。 この2月27日の説明会は終始この調子で、内海小・内浦小・内海中の3校の閉校を地域住民・保護者たちに認めさせようとする市教委と、認めまいとする住民・保護者たちの考えのすれ違いに終わっている。

実は1年前の2019年5月に1回目の会合があり、そこでも「話し合い」は実現しなかった。これが2回目の住民説明会であった。 「話し合い」が実現しない理由は簡単である。住民は学校の児童数減少に伴う問題について考え、市教委と話し合おうと集まっている(現実には移住が進み、児童数の下げ止まりが実現しつつある中、小規模校のメリットの方を重視する保護者が増えている)。 これに対し、福山市教委は時世の変化を見ることなく、当初に計画した統廃合を「話し合い」で強行に住民に押しつけようとしているからだ。

この説明会の異様さはともかく目に余りある。その議事録にその全体を掲載しておいたので、福山市に住んでいる方は必ず一度目を通して欲しい。そして関心ある読者も一度ご覧になって、筆者の分析が正しいかどうかご判断いただければと思う。 ともかく市教委は、この会合をもって、住民・保護者の総意がとれたとした。 そしてそれによって、4月20日には「PTA役員の皆様」へという一通のスケジュール書を送り、2020年6月、千年小中一貫教育校(義務教育学校)の設立準備委員会を開設している。 すべてこのスケジュールが進むのは、この2月27日の会合で市教委がいう住民の統廃合にむけた「総意」がとれたからだが、だがはたしてこれは本当に市教委がいう「総意」なのだろうか。

念のため申し添えれば、筆者は福山市に何の関係もない。 だが、これはあまりにも道を外れたやり方である。住民の皆さん、なかでもこんな形で母校を奪われる子どもたちの心情を思うと、とても放っておく訳にはいかないと感じている。 皆さんにもじっくり考えてもらいたい。 自分でとったアンケートの結果を認めない市教委

まず最初に、この日の会合で、会議資料として住民たちに公表された、市教委による内海内浦学区の保護者アンケート(以下、市教委アンケート)の結果から見ていこう。

【内浦・内海】 (仮称)千年小中一貫教育校(義務教育学校)に係るアンケート(集計) 実施期間:2020年(令和2年)1月15日~1月24日 対象者:内浦小学校、内海小学校、内海中学校、内浦保育所、内海保育所の保護者 就学前及び校区外の市立小・中学校在籍の保護者 対象世帯数:94 回答世帯数:38

質問項目(回答数) ■学校再編について(複数回答可) (1)開校に向け具体的な話合いが始められるよう,早く決断してほしい。 9 (2)子どもたちの将来を考えると, 再編はやむを得ない。 8 (3)再編するのであれば,不安や心配を解消できるようにしてほしい。 22 (4)内海町に学校を残してほしい。 18 (5)教育委員会に任せる。 7 (計64)

94世帯の保護者のうち38世帯から回答を得て、回収率は40.4%である。 「学校再編について(複数回答可)」への回答のうち、(1)「(統廃合を)早く決断してほしい」は9世帯(23.7%)である。複数回答なので(2)や(3)とどう重なるのかは分からず、(3)は(4)(統合反対)の人も含まれる。「統合賛成」は(1)の9世帯のみと考えてよいだろう。

これに対し、(4)「内海町に学校を残してほしい」と統廃合に反対する意見は18世帯(47.4%)ある。(1)のちょうど倍である。 さてどうだろうか。これが「住民の総意が、学校統廃合を進めて欲しいというものだ」という根拠になるだろうか。 ふつうはこれを見れば、「反対が賛成の倍ありますね」と逆の評価をするものだと思う。それ以外にこの表の評価はできない。 ところがこのアンケートを、三好雅章・福山市教育長は、3月の福山市議会でこんなふうに説明しているのである。

「そういう先般の会もそうですけれども、反対の声は大きく出せる。それも外部の方も集めて。で、a外部の声をネットで集めて。b途中から住まれている人も含めて。諸手をあげて賛成ではないけれども、もう判断しないといけない、また子どもさんを抱えている保護者はとても不安だ。cみなさん(に、そう)聞きました。」(2020年3月6日予算特別委員会。福山市議・土屋とものり氏のブログに全文あり。下線とアルファベットは筆者)

これは千年小中一貫教育校への大規模な再編統合について、その根拠となるべきアンケート結果の解釈を市会議員に聞かれ、答えたものである。 ここで三好教育長はアンケートの結果については直接答えず、アンケートとは別の情報(文中のa~c)を埋め込んで説明している。それらについてはすぐあとで説明するとして、三好教育長はつまり自分たちでとったアンケートをこう解釈するのである。 「反対の声は大きく出せる」と。その反対の声に押されて、保護者たちは賛成の声が出せないのだと。だから自らとったアンケートを参照する必要はないというわけだ(後述も参照)。

驚きの発言だが、はたしてそんな解釈はありうるのか。ここでもう一つのアンケートの結果を紹介し、これと比較しておきたい。 次の表は、内海・内浦保育所保護者会が2018年9~11月に実施したアンケートを、2019年2月に集計・報告したものである(以下、住民アンケートとする)。 さきほどの市教委アンケートは回収率4割台と低かったが、こちらは6割台に達している。2022年に子どもが小中学校に通っている世帯41世帯から27世帯(65.9%)の回答を得たものである。 この住民自身によるアンケートでは、結果はよりはっきりと出てしまっている。

統合賛成はゼロ名。 それに対し、22世帯(81.5%)が、「内海町内にせめて1校は残す」という回答となっている。実に8割が統廃合に反対しているという結果だ。 この22世帯は、全世帯(41世帯)で除しても、53.7%で、半数以上が反対になる。 市教委は、このアンケートの結果も黙殺した。そこで地域から「ならば市教委でアンケートをとってください」との要請がでて、とったものが先の市教委アンケートなのである。 これら2度のアンケートで、この地域の保護者たちの考えははっきり出てしまっている。

だが市教委は、自分がとったアンケートの結果さえ認めず、むしろ「内海は統合賛成の意見は出ない地域なのだ」と、そういう説明に使うのである。 しかし、そんな主張が通ってよいのだろうか。 「外部の声を集めて反対の声を大きくしている」と教育長はいう 三好教育長は、「内海地区の人は周りが怖くて本当のことがいえない」という。 だから「内海地区でとったアンケートには意味がない」「これは本当は統合を進めてほしいという意味だ」と解釈するわけだが、住民を侮蔑してはいないだろうか。

だが話はそれで終わってはいない。 先の三好教育長の市議会での答弁に「a外部の声をネットで集めて」とあったことに注目してほしい。 これは何かというと、内海町で2020年1月からおこなわれている署名運動のことを指しているのである。 この署名は、先ほどの住民アンケートを実施した内浦・内海保育所保護者会によるもので、同会による『うつみっこ新聞第4号』(最新情報については、内海地区の保護者がつくるサイト・うつみっこを参照)によれば、福山市教育委員会に向けて次の二つの項目を要請するものである。

(1)内海町の小・中学校と(仮称)千年小中一貫教育校とを、選択できる環境を整備することを求めます。 (2)内海町の小・中学校を存続させるにあたっては、よりよい学校となるよう、保護者や地域住民と丁寧な対話をしながら、検討することを求めます。

(1)内海町内での小中学校の存続と、(2)保護者住民との丁寧な対話を求めるもので、2020年2月の提出時点で1649筆に及んでいる。この筆数は、単純に現在の内海町の人口約2400人で割れば、69パーセントになる。 さて教育長はこれを、「外部の声をネットで集めて、反対の声を大きくしている」という。だがネット署名は271筆にすぎず、また外部といっても出身者など関係人口がほとんどだ。いずれ島に戻ってくる可能性のある人たちである。

いやそれどころか、内浦・内海保育所保護者会によれば、島内(内海・内浦)の保育所・小学校・中学校の保護者世帯で80%以上、保育所・小学校のみだと90%をこえる高い割合で署名が集まったのだという。 ここでもやはり、"8割以上が統廃合に反対している"という数字となり、先ほどの住民によるアンケートと同じ案配の結果が出ていることに注意したい。 だが、この署名を教育長は「書かされたものだ」とし、「反対の声は大きく出せる」と否定するのである。しかもその声の多くは外部の声だと。

いや、それどころかこうも付け加えているのだ。 「b途中から住まれている人も含めて」と。 本当はもっとここを明るく紹介したいのだが、内海町の移住の状況については実は特筆すべき点が多い。内海町は住民が地域の将来を真剣に考え、熱心に活動をしている全国でも有数の素晴らしい地域である。

その結果として、いわゆる移住者家族が大勢いるのだが、三好教育長はそうした移住者たちを「途中から住まれている人」と差別し、かつその人々を「地域の本当の問題も知らずに(ただし、こちらは書かされているのではなく、自分の意志で)統廃合反対に署名したのだ。そんな意見には意味はない」と否定するわけである。 あまりにも視野の狭い話ではないか。行政が住民のおこした移住促進運動を否定し、そうして集まった新しい住民の熱意や思いを無視して強制的に学校を統廃合し、新規に作り直すのだという。 だがそんな学校ではたして地域を担う人材を育てていけるのか。そもそも地域にそこまでして統廃合を強要する権限は、教育長にはないはずである。

そして筆者は大変心配する。こうした教育長の発言こそが、今後、内海町に「本当に思っていることをいえなくなる」雰囲気をつくっていくのではないかと。 「統合賛成と、本当の意志が言えない内海町」と教育長はいう が、話はそこでも終わらないのである。 先ほどの福山市議会での三好教育長の答弁にはさらに、こういう箇所があった。「子どもさんを抱えている保護者はとても不安だ。cみなさん(に、そう)聞きました」と。 この「cみなさん」とは誰なのだろうか。

実は福山市教委は、先ほどの市教委アンケートに先立って、2019年10月から、内海地区の保護者への個別面談をはじめていた。 市教委はすでにこの時点までに3回、保護者全員に対する説明会を行っていたのだが、全体の話し合いでは統廃合を押し切れないと考えたのだと筆者は推察する(そう考えること自体がおかしいのだが)。 市教委は保護者への個別面談(市教委はこれを「話合い」と表記している)を試みることとなった。 市教委によれば、この面談に応じたのは10数名だったという。それもなかなか応じてもらえず、市教委は11月、12月と2度にわたってお願いを繰り返して、面談数を増やしている。

だが、保護者の側に立って考えてみるとわかるが、この保護者面談は個別に、教育長と対面でおこなわれる。しかもこの面談の依頼文書には、この面談の結果をふまえて、市教委が「再編について判断する」と記載されている。 これは、統廃合に賛成でも反対でも、やはり会いにくい状況ではないだろうか。 しかも個別の面談だから、聞き取られた内容は教育委員会にしかわからない。統廃合に反対している立場からいえば、個別の話合いの結果が市教委に都合よく解釈され、利用される可能性が高いと疑っても仕方がないだろう。

そして事実、この10数名にしか実施できなかった面談の結果を、教育長は都合よく利用するのである。 福山市教委はこの面談の結果を、さきほどの市議会の同じ場でこんなふうに説明している。 「(面談をしてえた保護者の)意見としては、「できることなら内海町に学校を残してほしいけれども、再編するのであれば、はっきりと決めていってほしい」「子どもたちが困らないように具体的な話を決めて準備してほしい」といった前向きな意見がほとんどです」と。

実際には、この面談には、統廃合に反対する保護者も出て行ったらしい。ところがそうした声は一切取りあげず、統廃合に都合のよい声だけが市議会に報告されている。ここでも市教委アンケートの結果は伏せられている。 これでは市会議員も、「内海の統廃合反対は少数にすぎないのだな」と理解するのではないだろうか。 実は、この保護者面談の結果については、ここで問題にしている2月27日の住民説明会でも、教育長は住民・保護者にむかってこう説明していた。 「その中でですね、ここ(教育長との個別面談)に来るということもとてもしんどかったという、これもほとんど共通して言われました。

ある方は、もう自分は新しい学校に行かせたい。再編が反対とか賛成とかというよりも新しい学校に行かせたいという思いを持っていると言われる方もおられましたけれども、教育長と話をしたということがわかったら、わかるのが怖いとかですね、心配だということを言われました。 それは大丈夫、それは内容を含めて大丈夫です。誰が話したかとかですね、そういう意味で最大限の配慮はしたつもりです。ですから、お話のしやすい場所を指定していただいたら、役所でもいいしどこか別の場所でもいいですしということでしたけれども、(実際には)ここの(福山市役所内海)支所と内海中学校でした。そしてお話をさせてもらった。流れはそういうことです」

「緊密な人間関係の中だけに、家族の中でも反対賛成とかいうことになったら、分かれて、分かれて、それ(統合賛成)を表立って言うということがとってもしんどい。これも共通して声としていただきました」

「まるで私たちが悪者みたいじゃない」 三好教育長がこうした発言を公の場でしたことに対し、保護者のお母さんたちは口々に市教委は「卑怯」、「ずるい」という。

「まるで私たちが悪者みたいじゃない」と。

三好教育長は、こうして学校再編計画を何が何でも実行するために、こんな形で内海地区住民の学校統廃合の「総意」をとったことにし、再編準備委員会を設立してしまったのである。 自分と同じ意見が正しい意見である。子どもたちや地域のことを考えている正しい人の考え方であると。 これに対し、自分の意見に反対する住民や保護者たちがいる。この人々は、子どもや地域のことを正しく考えることができない人たちである。 内海という地域は、そうした人たちが非常に多いので、正しい人が声を上げることができない。

私がその人たちの代わりに、学校統廃合を決断してあげるのだと。 事実、先ほどの発言に続けて、彼はこう言って、内海3校の廃校化を宣言している。 「学校はあってほしい、あるにこしたことはない、残したいという思いはみなさん持たれている。それは、地域が好きだし、家族が好きだし、親戚とかみんな知ってる人が好きだから残したい。

しかしその、自分はこう(教育長に賛成)なんだけれども(聞きたいことが)聞けないとか、アンケートに答えるのもなかなか答えられないとか、(個別面談に)行くのももっとしんどいと言われてたとか、というふうな声を聞く。(略)子どもの将来のことやご自身として町のことを考えたご自身の意見や思いはあっても、家族だったり夫婦だったり兄弟だったり親戚だったりという関係の中でなかなかそれを表立って言えない。(略)そういうことも含めて、内海町が好きでみなさんが好きなんだなぁという思いをとってもしました。 しかし、そういうことも含めて、新たな学校を作るということ、そしてまちづくりについて話を始めたいということがみなさんの"総意"であるというふうに(統廃合を私は)判断いたしました」 地域の総意ができないので、私が地域の代わりに総意をつくる。あなたたちのかわりに、3校の統廃合を決断しますよというわけだ。

「悪いのは教育長・教育委員会で結構」 このあと延々と、「それは総意ではない」「市教委アンケート・住民アンケートの結果をどう思っているんだ」「署名こそが総意ではないか」「小規模校のメリットについてどう考えているのか」「予算の進捗は?」「空き家対策で少子化が止まったのに」「学校統廃合で戻ってくるはずの孫が戻ってこなくなった」「100回でも話し合いたいという、教育長の以前の言葉は何だったのか」「他では工夫して小規模校を残しているのになぜ福山市は駄目なのか」「統合が決まった時、いま反対していると怖い」「義務教育学校は、統廃合の促進を目的としていけないという文科省の方針に外れていないか?」など反対意見・質問が多数上がり(この日の議事録はこちらを参照)、外から見ても、「せめて旧内海町に1校だけでも残してほしい」というのが"住民の総意"に見えてきた中で、教育長はさらにこう言い放つのである。

「皆さんの思いが一つになるということはなかなか難しいと思う。それを全部行政のせい、教育委員会がこうしたと言われたらそれは、“申し訳ない”としか言いようがない。だから区切りをつけて新しい学校をつくること、まちづくりをどうするかという話し合いを始めさせてください」と。

いったいこれが「話し合い」なのだろうか。「地域の総意」が教育長が考えるものと違うからといって、全く違うものを強要して、いったいそれが「話し合い」であり、地域の「総意」の確認だと言えるのだろうか。 教育長は実は、この説明会のはじめにこう述べている。質疑応答がはじまってすぐに、反対多数のアンケーの結果や署名の数を問題にされた直後の答弁だ。

「それからもう一つ、今日はこのような会にするつもりはなかった。全体で集まると反対の人は発言できるが賛成の声は上げられない」 「だから私(教育長)が悪い、教育委員会がとんでもないということにしてください」 「はい。(悪いのは)私たちで結構だ。私たちだからそれも含めてそれをやる。結構だ。悪いのは教育長・教育委員会で結構だから」

実は2019年5月の最初の説明会も同じように住民に対して声を荒げており、そもそもそれ以前から福山市教委は、住民の考えや意見を聞く気はなかったようである。 市教委は実際には、統廃合について話し合う余地を一切もっていなかった。はじめからそうと知っていれば、内海町はもっと別の戦い方もできたのである。 筆者が、その市教委の本意を見抜けず、「話し合う」という言葉を信じ、説明してしまったことで、こんなことになってしまったのかもしれない。だとしたら本当に申し訳ないと思う。 とはいえおそらく、筆者よりも先に内海地区の住民の方が、市行政の意図することに敏感に気づいた。それで、この教育長による統廃合は絶対にさせてはいけないと、強硬な反対に変わっていったのだろう。

だがそれにしても、教育長が地域の反対を押し切り、自分が泥をかぶってまで進める強引な学校統廃合とはいったい何を目指すものなのだろうか。何かここには、隠さねばならない理由でもあるのだろうか。 ともかく、教育長の決断は強行された。 すでに開校準備委員会が設置され、これから校歌やその他、新しいことが決められていく。 だが今からでも遅くはない。こんな理不尽な統廃合は止めるべきである。

学校は市教委のものではない。そこに暮らす住民たちのものだ。 そもそも住民たちの心が伴わなければ、地域と学校は一体だから、学校の運営そのものが成り立たない。 福山市に限らず、もしこんな形で他の地域でも「地域住民の総意」をとられ、大事な行政決定を行政がするようになったら、住民も国民もたまったものではない。 行政の決定に反対しても、「他に声を上げられない人がたくさんいる」という反論一つで、証拠も何もなく、決定が正当化されるのだとしたら。

上に立った者の解釈次第で、何でもできるということではないか。 そして何より、筆者もまた同じく教育に携わるものとして、三好教育長のこうした言動を肯定することは絶対にできない。こういうことは、児童生徒を預かる責のある者がやってよいことではない。 学習指導要領が求める「主体的・対話的な深い学び」を実現するためといいながら、地域住民の「主体」も、人々との「対話」も認めずに、決定を強要する。この教育が求めているのは、上がおこなう決定に主体的に従う人格の形成である。

強行な学校再編で進める福山市教委の教育改革は、地域社会を否定し、自治を否定し、教育そのものを破壊することにつながるだろう。

平成の合併で、自治の仕組みが壊れている? だが、なぜ筆者のような部外者が、3年もこの事例に関わり、しかもこの場で全国の読者にむけて、広島県福山市教育委員会を断罪しなくてはならないのだろうか。 おそらくこの問題は、こう問わなくてはならないものだ。 なぜ、もっとはやく、もっと手前のところで福山市民はこうした行政の横暴をチェックし、止めることができなかったのか、と。 進行中の学校統廃合のあり方を具体的にチェックする機構として、私たちは次の二つを持っているはずである。

一つは市議会、もう一つが教育委員会だ。 いずれも住民の代表や有識者が、教育長よりももっと住民に近いところでこの問題を取り上げ、チェックし、行政による一方的な独断がおきないよう調整することが期待されている機構である。 とくに教育委員会には「レイマン・コントロール(素人統制)」の考え方が導入されており、専門家ではない一般的な市民を非常勤の教育委員とすることで教育の政治的中立を守るものであるはずだ。

だが今回、この調整機構が全く働いていない、と筆者は見る。 先ほどの市議会でも、統廃合に疑義を差し挟むのは共産党の議員だけのようだが、その市議への他の市議からのヤジがすごい。まともに住民からのSOSが議会で取りあげられていない。これではまずい。

が、何よりも問題なのは教育委員だろう。この一連の統廃合で教育長は大活躍しているが、その教育長の決定の基礎を担う教育委員は一体何をしているのか。市議会と同様に、事務局から知るべき事実を全く知らされていないのだろう。 福山市の事例がもし教育委員会の形骸化を示すものだとすれば、2014年度の教育委員会の制度改革が関わっているのではないかとも思う。が、そうなってくると問題は文科省にも関わり、福山市だけの責によるともいいがたいかもしれない。この点はまた別に稿を改めよう。

 以上、今回は福山市教育委員会が進める強引な統廃合の実例を紹介した。

 もっとも、この福山市の学校統廃合をめぐる問題はこれだけにとどまらない。

 問題はさらに派生して、矛盾はより大きなものになりつつある。

 続編ではさらに別の問題を取りあげる。不登校と特例校の問題である。

 またこの問題に関わって、いわゆる「小規模特認校」のあり方について考えたい。そこに筆者は、内海地区の学校存続がなお可能な、ほのかな希望が残っているように思うからである。

 そして福山市でも学校統廃合はなおまだ止められる。もう一つ、重要なチェック機構が残っていることに注意しよう。

 それは市長である。教育委員会と市長の関係もまた、この間の教育委員会改革で大きく変更されたところであった。    これらの点について続編で報告し、この福山市の事例を教訓に、全国の小規模校存続の道について、筆者なりの展望を示していきたいと思う。

山下 祐介(東京都立大学教授) 〔2020年7/29(水) 現代ビジネス〕

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岸見一郎 ストレスを感じる家族関係の見直し「いつも一緒、でなくていい」【岸見一郎さんインタビュー】 ベストセラー『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』の著者として知られる岸見一郎先生に、「コロナ禍をどう受け止めるか?」をインタビュー。「変わろうとしない人・社会との付き合い方」、「今こそ変わる幸福の価値観」について伺ってきました。今回は「コロナ時代に見つめ直す家族関係」についてです。

生きる勇気をもらえる岸見一郎さんの言葉

岸見一郎 1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。著書は『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(古賀史健と共著、ダイヤモンド社)、『哲学人生問答17歳の特別教室』『人生は苦である、でも死んではいけない』『今ここを生きる勇気』など多数。公式ツイッター:@kishimi 公式インスタグラム:@kishimi

家族だから一緒に何かをしなければいけないわけではない

――今回のコロナ禍ではステイホーム期間があったり、外出を控えたり、家で過ごす時間が増えています。そのため家族がずっと一緒にいることでストレスを抱えたり、DVが増えているという話も聞きます。家族関係においてはどうすればよいのでしょう?

岸見一郎先生(以下岸見):一緒にいるから何かをしなければならない、と思わないことです。それぞれがそれぞれの考えに従って、別にやりたいことをやればいいわけです。家族が一同に会すると一緒に何かをしなければならない、こう言い始めるとすごくストレスになってくるのです。

それは今に限ったことではありません。休みの日は家族でどこかに出かける。それはもちろん素敵なことだと思いますが、半ば義務化してしまっているところがありませんでしたか? たとえば妻が夫に「あなたはいつも仕事ばかりで家族に関心がない。休みの日ぐらいどこか連れて行ってちょうだい」と言うことは、よくあります。それが日常化、恒常化してしまうと、働く人がただ家にいる、ということが許されなくなってしまいます。 そうなると、たちまち夫の居場所がなくなるだろうな、と思うのです。 何もせずゴロゴロしている、それでもいいと思えるような関係を築くことが先決ではないでしょうか。

――ゴロゴロするのがダメというのも、コロナ以前のお金や地位といった成功を求めていた時代の価値観ですよね。 「今日は家族の存在が遠く感じる」という日があってもいい

岸見:前から薄々分かっていたけれども、今回のことをきっかけに「私たち家族や夫婦、親子の距離はあまり近くない」とはっきり気づいた人が多いかもしれません。

しかし、そもそも家族やパートナーとは、常に近く感じていなければならないものでしょうか? 私は、長年連れ添ったパートナーでも、ある瞬間には遠く感じることがあってもいいと思うのです。そして、ある瞬間には近く感じることがあってもいい。 付き合い始めたばかりのパートナーだって、絶えず近くに感じられるはずはありません。同様に、結婚し物理的に一緒にいるからといって近く感じられるわけでもありません。 だから、近くに感じることも遠くに感じることもあっていい、というふうに考えれば随分と楽になると思います。

――とはいえ冷え切った関係だと、やはり一緒にいて気づまりです。そもそも「近い」というのはどういう状態を指すのでしょう?

岸見:たとえばコミュニケーションを盛んにするとか、気が合うなと感じて話が盛り上がるとか、いつも一緒に過ごしているとか、必ずしもそういうことを言っているわけではありません。 ただ話をしているだけですごく楽しいとか、話をしていなくてもこの人と一緒にいれば自分を良く見せようと思わなくて居心地がいいとか、そう思える瞬間に人は「近い」と感じる。

……つまり、物理的な距離感で「近い」「遠い」と感じるのではなく、広い意味でコミュニケーションが上手くいっているかいっていないかで「近い」「遠い」と感じるわけなのです。

コミュニケーションが上手くいっている家族は、絶えず会話をしているわけではないし、絶えず相手のことを意識しているわけでもありません。「別に今日は遠いと感じる日があってもいい」とさえ思っている。そう居られると、同じ空間に生きていてもそんなに気づまりではないでしょう。

――多くの人は、家族だからといって心理的にも物理的にも近い状態を求め過ぎなのですね。

岸見:たまに一緒に出掛けるぐらいがちょうどいいのですよ。 今、ある夫婦を思い出しました。高齢になって結婚した夫婦なのですが、彼らはあるときたまたま出会い、話をしたら随分気が合うということで、結婚をされたんです。そして一緒に暮らし始めたのですが、食事の時間も共にしていないのです。

それぞれの部屋を持っていて、たまたま部屋から出てきたときにダイニングで居合わせたら、一緒に食事をする。そして「今日はいい天気だから散歩でもしようか」という話になれば、散歩をするときもある。でも「そんな気になれない」ということだったら、わざわざ二人で出かけることもしない。 限りなく同居人と言いますか、下宿人同士に近いような暮らしをして、それで結婚してから早20年が経つそうです。 人生の醍醐味というか、そういう人と出会えてそのように一緒に過ごせるということは、短い期間であっても幸せですよね。我々は今、そのような価値観の大きな変化を迫られている気がします。

価値観を変えざるを得なくなった今、家族との話し合いが不可欠

――新しい夫婦のあり方の一つですね。一緒にいる時間が増えて、言い争いの絶えない家庭はどうしたらよいでしょうか?

岸見:常に一緒にいることが理由で、ケンカになるわけではないのです。そのあたりは、原因が他にあるならきちんと話し合われたほうがいいと思いますし、もうちょっとお互い自由になってもいいのではないかと思います。

――勝手に「一緒にいると邪魔だ」と決めつけていたり、反対に「邪魔だと思われている」と思い込んでいるところはあるかもしれませんね。

岸見:相手が在宅勤務になったのであれば、これまでの通勤時間が、ある程度融通がきくようになったわけですよね。そうすると、混雑していない平日の昼間に一緒に出かけられるかもしれない。そういう喜びを共有することがあれば、一緒にいるのも悪くないなと思われるかもしれません。

これは子を持つ親にも当てはまることです。 私は不登校の子どもを持つ親御さんのカウンセリングをすることがよくありましたが、多くの親は「学校には行かなければならない」と思っているものです。 しかし自粛期間中は、全員が不登校児状態でした。これまで不登校児を他人事として見ていた親は、それが他人事じゃなくなってひどく不安になったことでしょう。我が子が家でゴロゴロしていたわけですから。でも不登校児を持つ親は、また違った心持ちでいたと思います。 そのように、何事も違う考え方、受け止め方もできるわけです。

世間的に見ますと、今、我々は全て病者です。そういう意味でも、価値観を変えていかざるを得ない。 ですからこのような状況の中では、一度家族でいろいろなことをきちんと話し合っていくことが必要だと思うのです。

次回は「コロナ時代に私たちが取るべき行動」についてお届けします。

取材・文/山本奈緒子 構成/片岡千晶

岸見 一郎 〔2020年7/29(水) webマガジン mi-mollet〕


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不登校でも逆転できる仕組みを 不登校でも逆転できる仕組みを。子供たちには自分で自分の人生を決めてほしい 翌年に迫った2020年教育改革において大学入試への英語民間試験導入が急遽延期に転じるなど、国の政策が迷走を見せる中、教育界のリーダーたちが教育の今と未来を語る。学校の中に外の人を入れるためにコミュニティスクール化を進め、広島県ではコミュニティスクール0%を100%にした。色んな人が民主的に話し合って学校経営をしていくのが大事だと平川氏が語る。G1中国・四国2019「新しい教育~新たな時代を生き抜く大人を育てるには~」ダイジェスト版Part2/3(肩書きは2019年11月23日登壇当時のもの)。 スピーカー 平川 理恵(広島県教育委員会 教育長) 〔2020年7/29(水) GLOBIS知見録〕

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ページ名 成育医療等協議会   (医療のニュース、  )
日本の小児医療の「心身を守る」という新たな課題
ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(7月26日放送)に、小児科医であり医療相談サービス「小児科オンライン」代表の橋本直也が出演。成育医療等協議会について語った。
ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」
淵澤由樹(アシスタント):成育医療等協議会では、橋本さんが最も尊敬されている方が会長を務めているそうですね。

橋本:国立成育医療研究センターの理事長、五十嵐隆先生です。
私が小児科医として、国立成育医療研究センターで働いていたときからお世話になっている先生です。
私が病院のなかで、子供達との想い出をつくろうとイベントを企画したときも、「ぜひ、やりなさい」と応援してくださったり、「小児科オンライン」を立ち上げるときも背中を押していただきました。
いまの成育医療等協議会のなかで、私は断トツで若いのですが、「若いんだからしっかり発言しなさい」と、発言の機会を与えてくださっています。
淵澤:改めて、成育医療等協議会について教えてください。
橋本:成育基本法という法律の、基本方針を決める協議会です。
成育基本法とは、簡単に言えば「子供達を大事にしましょう」ということを定めた法律です。
そのなかで、どの分野を重点的に取り組んで行くのかという基本方針がまだ決まっていないので、いろいろな有識者の方々が集まり、話し合って決めています。
淵澤:橋本さんが感じる、成育医療の課題をお聞かせください。
橋本:これまで日本の小児医療は、世界に誇るものをつくり上げて来ました。
しかし、時代と共に子供たちの抱える問題は変化しています。
細菌による病気は減りましたが、反対に発達障害、虐待や不登校など、生活環境に依存するものが目立って来ています。
体は健康に見えるけれど、心身共に健康が達成されているのかどうか。
これまでの、いわゆる「病気」というものをしっかり克服して来た日本の小児医療は、素晴らしいものです。
しかし、今度は次のフェーズとして、心と体の健康を両方守って行かなければなりません。
〔2020年7/29(水) ニッポン放送〕

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しない子育て 「しない子育て」のもたらすもの こどもたちが学校に登校できる毎日が再開してしばらく経つ。また不意に自宅学習に戻ることもあろうかという不安を携えつつ、親子がばらばらに過ごす時間があるという日々の健全さを改めて感じる。

コロナ禍の自粛期間中の親たちは、こどもたちが果てしなくだらだらする光景を見続けることになった。長らく親子でいられる状態は珍しく、それを味わうように暮らす良さがありはするものの、自粛が長引くほどに目の前にいるこどもへの関心が強まってくたびれる親も少なくなかったろう。こどもは、親が望む姿でいてくれることなどありはしないものだ。 大学生、高校生、小学生という子らを育てる筆者は、自粛期間中はさまざまな立場にある親たちと状況の報告をしあっていた。 小学生の子を育てる親は、たいていプリプリ怒っている。「起きる時間も寝る時間もどんどん遅くなる」「自分から何もしないで堕ちるだけ堕ちる」「夫は不要不急だから行かせるなって言うけど、塾は要で急!最後に困るのはこどもなのに」など、現場を回す苦労があふれている。そして、小さいこどもを育て、教育熱心な親ほどこうした社会変化への不安は強いことが分かる。

一方で、こどもの年齢が上がると、一緒にいて感じることの質が変化する。大学生の親たちは口を揃えて「食事はまだ?とこどもに言われるたびに、おかしいよと思ってしまう。もういい加減大きいのに」と嘆く。また、下の子が中学生という友人は「受験が終わってみたら、こどもが自立できるか不安になった」とこぼしていた。彼女はこどもの受験を成功に導き、誰もが羨ましいと感じる状態にある。その上で「育て方を間違えたのでは」と悩んでいた。 こうした話に耳を傾けながら、愛情深くいろいろなことを「する子育て」をしてきた親たちが、ある瞬間に「本当にするべきだったか」と振り返り、「しなかったらよかったか」と悩み始めることに気が付いた。コロナ自粛での親子の向き合いは、普段追い立てられるように暮らしていると考えることのなかったことに思いを馳せる機会だったのかもしれない。

今回は、こどもの将来、そして親の将来を考えたところから逆算し、「する子育て」のあれこれから少しずつ離れてみることを提案する。それは決してネグレクトではない。子育ての断捨離である。 称賛される「する子育て」のもたらす弊害 愛も手間も惜しみなく与えていく「する子育て」は、基本的に称賛される。こどもの幸せを願う親の心は尊いものだからだ。親の愛をたっぷりと受けた子は健やかに育つ、ということに疑念を挟む余地はない。愛の量は見えないが、手間の量として“見える化”することで子育てへの熱心さを示すこともできる。 たまに親世代などが「昔はこどもは働き手として親を手伝ったものだ。そんなに手をかけて、過保護ではないか」とぶつぶつ言ったとしても聞く耳は持ちにくい。時代が違う、今のこどもは忙しくて時間がないから手伝ってやらなければ立ち行かない、学校の先生も塾の先生も保護者が手伝ってくださいと言っている、などと「する子育て」を正当化する理由はいくらでもある。

 ただ、実は親たちも、「する子育て」がもたらす弊害を察知していないわけではない。こどもが一人でできることを脇から手伝ってしまっているのも分かっているし、それが本質的にはこどものためになっていないのではないか、と頭の片隅で迷うこともあるのだ。しかし自分のサポートとこどもの成功が不可分になっていればいるほど、それを正当化せずにはいられない。

 親がこどもの人生からフェイドアウトするタイミングには個人差があるだろうが、遅くなりすぎるとこどもの自立を阻害する。大学で教えていると、「先生が用意しなさいって言わなかったから」「だって〇〇がないからできなかったんです」としれっと伝えてくる学生をたまに目にすることがある。少し先を予想して自ら用意するという発想や努力ができず、できなかったことを人のせいにするという幼稚さからは、「お膳立ては誰かがしてくれて当然」という環境で育てられたことが想像できる。そのまま社会人になり、言い訳のきかない大人社会の中で恥ずかしい思いをすることを、親は決して望まないはずだ。 それだけでない。長引きすぎる子育てによって親の精神的自立も阻害され、こどもが巣立った時に「エンプティネスト(空の巣症候群)」に陥ることになる。筆者の母も子育てに熱心で、娘たちが結婚して家を出た後の鬱症状に苦しんでいた。苦しむ親を見るこどもも辛い。

「しない子育て」でできることは? こどもの自立と、親の自立。この両方を目指した「しない子育て」を日常に少しずつ組み込んでいくのは、楽しい試みでもある。具体的に家族の様子に変化をもたらすものだからだ。その一例を紹介してみたい。

(1)助け続けない 「ちょっと助けて!」というこどもの声には反射的に応じたくなる。遅刻しそうな時に「今回だけだからね」と車で送ってあげたり、自分がするべき用意が間に合わない時に「前もってしておきなさいと言ったでしょ」とぶつぶつ文句を言いながらやってあげることなどあるだろう。「ごめんお願い!」「次はやるから」とその場をしのげたことにほっとするこどもの顔に、親もほっとする。 しかしそれがルーティンになると、様子も意味も違ってくる。親の都合などでできない時に、あろうことか「なんでやってくれないの?」と責めるようになる。手助けが繰り返されることによって、まるでそれをしてもらうのが当然の権利かのように感じられてくるのだろう。

助け、助けられることは暮らしの中でごく自然に存在するが、助け続けるとそれは“依存”へと変質する。依存は、する方もされる方も、結果的に幸せにならない。失われた時に自分が立てなくなるからだ。こどもにとって親の助けもそうだし、親にとって“子を助ける自分”という存在意義も同様だ。 両親とも多忙な家庭で育つ友人の長女は、毎日の家族のお弁当を自分でつくり、たまにお母さんがお弁当をつくってくれると、「やっぱり美味しい!忙しいのにありがとう!」とInstagramに投稿している。友人は「自分がお弁当をつくっていると、料理の大変さや、人のために何かをした時に感謝される喜びも分かるんじゃない。わたしも娘につくってもらうたびに『ありがとう!』と言ってるよ」と話す。 豊かな想像力は、一生の宝になる。こどものためにすべきことは、先回って助け続けることではなく、そうした想像力を養う日常をつくることなのかもしれない。

(2)「できない」を「しない」に昇格させる 例えば、スキルが求められる家事といえば、料理だろう。料理をつくれると、他のどんな家事ができるよりも自立感が出るとも言えるし、それだから料理ができる人に役割が偏るとも言える。

とりわけこどもは「ねえ、食事まだ?」と当然のように親に言う。親しかできないことだからやってもらって当然じゃないか、といった具合だ。つまり、こどもたちもそのスキルを身につければ、当然食事づくりという役割も分散できるとも言える。 昨年、我が家では、こどもたちを置いて10日間の夫婦旅行を決行した。その間の家事はこどもたちが担うことになった。この計画が浮上した時点で、こどもたちに「料理ができるようになろう。さもなくば貧しい10日間が訪れるだろう」と申し伝えた。居る親に頼ることに躊躇はないだろうが、いない親には頼ることができない。そんなわけで必要に迫られたこどもたちは3か月ほどの修行を経て最低限の食事をつくるスキルを身につけた。

この時点をもって、筆者は「親が食事をつくってあげなければ生活が立ち行かない」という一択から解放され、「親がいなかったらこどもがつくるだろう」という選択肢を持ち合わせることになった。これはとんでもない価値を持つ。子を自由にし、親を自由にする価値だ。 それでも普段は親が食事をつくる。それはそれで構わない。「できない」から「しない」に昇格していれば、必要に応じて「する」ようになるわけだから。家庭内でそうしたコンテンツを増やしていけば、お互いが知らないうちに楽になっていく。 こどもの幸せを願わない親はいないだろう。そして親は、幸せの形を、自分の知っている範囲の中だけで想像しがちだ。

農業や漁業は儲からないし苦しい商売だというイメージしかもたない親は、机の上で学んで机の上で仕事する方が安定して幸せだと疑わない。YouTuberという職業がなかった時代に育ってきた親は、こどもがスマホをいじるのはすべて無駄な時間に見える。休日返上で働き続けてきた親には、成績を上げることに直結しない遊びの中にこそ人生を楽しく生き切るための大事なソースがあることに気づけない。 学級崩壊を起こしたことが原因で、その雰囲気に耐えられず不登校になった息子を持つ友人がいる。彼女自身は企業のエリート社員で、こどもに理解ある大らかな性格だったが、長く学校に行けない息子に対する悩みは深かった。最近、千葉県の南房総に暮らす友人に息子を預けることにした。畑づくりを手伝い、食事の支度を任され、DIYの腕を磨き、一風変わった大人たちと暮らしながら目の輝きがしっかりとしていく息子の姿を、預け先が投稿するSNSを見て知る。彼は将来起業したいという夢に向かって着実に歩み始めたようだ。

言葉だけでは決して伝わり得ない「多様な人生」や「多様な幸せ」を肌身で知った彼は、まさに無数の選択肢を手に入れていくだろう。メジャーな生き方と、成功、幸せは、それぞれ違うのだということも知っただろう。道を決めるのは、自分だということも。 こどもの人生の選択肢は、こどものものだ。バイアスのかかっていない状態で、そのままこどもに見えるようにする。道を外す可能性もあるが、親が知らない領域でこども自身が最善の道を見つける可能性も、決して小さくない。

(4)親が自分の人生を生きる

筆者の暮らしはさほど過激ではないが、仕事が大変で家庭運営がままならない時がたまにある。こどもが喋りかけてくれることが耳に入ってこなかったり、家事もそこそこで猛然とPCに向かう姿をさらすこともある。渦中ではそんな自分の態度を振り返るゆとりはないが、夜ふと「今日は心ここにあらずで申し訳なかったな」と反省する。

そんな状態があっても、こどもたちはわたしを責めない。「ママへ、お仕事がんばってね」というメモが置かれる時、自分以外の存在に情熱を傾ける親に対して純粋なエールを送る気持ちがあるのだなあと分かる。普段はこちらの事情などお構いなしでワガママを炸裂させる子らに手を焼いているので、突然素直に応援されるとギョッとするのだが。 親は親以前に、ひとりの人間であるということ。その輪郭が見える瞬間、こどもは親を相対視することができる。ママはママ、自分は自分。一緒にいても、互いを違う個人として認め、それぞれの人生を尊重する気持ちが生まれるのだろう。 仕事だけではない。仮に時間のゆとりができた時も、それをこどものためにだけ使うのではなく、自分自身のために使っていい。自分の人生を楽しめる親であることは、こどもにのしかからない親になるということ。双方に後々いい影響をもたらすからだ。

手間をかけなくても愛情は減らない 愛情や熱意は、分散させていい。分散させると、子にかけられる手間の量は減るが、愛情の量はそうそう減らない。そして、かけられなかった手間の分は、こどもが自ら補填していく。こどもの自立はそうして促されていく。 そう言い切れるのは、親には大きな覚悟があるからだ。

先日、これからこどもが欲しいという友人に「こどものために死ねる?」と聞かれた。その時に居合わせた(相当な)遊び人の友達も、そして筆者も「もちろん」と即答した。そこがぶれなければ、手間のかけ方はいかようにも調節できる。だからこそ、子育ての断捨離を勧めることができるのだ。 こどもにとって、親の存在は、人生の中で思うほど大きくない。そして、親にとってのこどもの存在は、子のそれに対してはるかに大きい。 「しない子育て」は、こどもの自立を促すのはもちろんのこと、その親子の思いの大きさの違いの中で親が溺れていくのを防ぐ意義も大きい。そして、親がしっかりと自立していることは、こどもが長く安堵して暮らせる礎となる。 馬場未織 (二拠点居住ライター) 〔2020年7/29(水) Wedge〕

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コロナと日本の経済…竹中平蔵 日本一人勝ちの条件…竹中平蔵「命を守るほうが先か、経済の復興が先か」 経済学者 竹中平蔵氏 世界中の経済をストップさせた新型コロナウイルス。日本では第一ラウンドが終わったようだが、すでに国民は疲弊している。一方で「日本が再び世界の先頭に立つ」チャンスもあるという。

■コロナの死亡率日本は実は高かった 緊急事態宣言が全国で解除され、経済活動が再開されました。約1カ月半に及ぶ日本の自粛期間は、世界的に見てどの程度新型コロナウイルスを抑え込めたのかを振り返ってみましょう。

2020年6月14日現在、日本の新型コロナ死亡者数は925人。11万5402人のアメリカ、4万2720人のブラジル、4万1662人のイギリス、3万4301人のイタリアなど欧米や南米と比べて低い水準で抑え込むことができています。日本のコロナ対策が効果的だったようにも見えますが、欧米諸国に比べるとアジア各国は全体的に死亡率が低い結果となっています。 アジアはMERS(中東呼吸器症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザなどが流行した過去があります。そのため、今回の新型コロナに対する免疫もある程度できていたのではないかという見方もあります。 要因はさておき、実は日本の死亡率はそのアジア主要国の中で比べると高い部類に属し、中国の2倍、シンガポールの1.5倍にものぼっています。中国の統計が本当に正しいのかはわかりませんが……。

■一部のパチンコ店が営業を続けていた なぜ日本の死亡率が高く出てしまったのか。諸外国が自粛「命令」を出して厳しく取り締まりを行っていた一方で、日本は法律上の理由であくまで自粛「要請」しかしておらず、コントロール力が弱かったのです。緊急事態宣言下にもかかわらず一部のパチンコ店が営業を続けていたといった話も記憶に新しいですね。

国民の自主性に任せられた緩い自粛期間だったにもかかわらず、死者数をむしろここまで抑え込めたのは、もともとマスクや手洗いの習慣があった、握手やハグが少ない、大声でしゃべる文化ではないなど、衛生管理の高さや文化的な要因も影響しているのかもしれません。 日本以外の多くの国では、罰則を伴った不要不急の外出禁止命令が出されていました。例えば、イギリスでは公の場に3人以上で集まることなどを禁止し、違反すれば警察から人と距離をとるように命令されたり、最低30ポンド(約4000円)の罰金が科せられたりする措置がとられていました。また、フランスでは、生活必需品の買い出しなどの一部の例外を除き、違反すれば135ユーロ(約1万6000円)の罰金が科されるほか、繰り返せば禁錮刑も適用されるという厳しい締め付けが行われていました。

加えて、多くの国では戦争も起こりうることと想定して法律が作られているので、今回のコロナ禍でも戦争のときの体制を取っていました。 アメリカは朝鮮戦争中の1950年に成立した国防生産法を引っ張り出して、ゼネラルモーターズに対して人工呼吸器を生産するように命令を出しました。国防生産法とは、戦争継続のために必要な兵器・物資の増産や調達先の拡大、それにかかわる企業の賃金、そして広く一般消費財への物価統制まで、幅広い権限を大統領に認める法律です。アメリカは戦争や自然災害が起こるたびに、この法律を使って危機を乗り越えてきました。

また、フランスのマクロン大統領は、20年3月16日という早い段階に、「これはウイルスとの戦争である」と明言して外出禁止を訴えました。世論調査によると、外出禁止や商店閉鎖などのフランス政府の感染対策に対する支持率は95%と高く、ほとんどのフランス国民が、コロナ禍は戦時中と同じくらいの非常事態だと認識していました。 日本では新型インフルエンザ等対策特別措置法に「緊急事態宣言」を盛り込むことに関して、あるアンケート調査によると、当初国民の3分の2は「首相にそれほどの強い権限を持たせるのは良くない」として反対したのです。

20年3月7日付の朝日新聞朝刊の社説でも「新型コロナウイルスを対象に加える新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が成立すれば、人権の制限を伴う措置が可能となる緊急事態宣言を首相ができるようになる。しかし、合理的な根拠と透明性に著しく欠ける意思決定を重ねる首相に、その判断を委ねるのは危ういと思わざるをえない」と否定的な意見が述べられました。 私は、日本に「危機に備える」という風潮がないことを反省するいい機会だったと考えます。この先も今回のような非常事態は起こりうるわけで、そのときにきちんと強い統制をしないと、国民全員が困ることになります。

■コロナ検証を日本はするか否か 日本は「物事を検証する」という行為をほとんどやっていません。一例として、バブル経済についての検証が挙げられます。バブルはなぜ起こったのか、バブル後の経済政策の良かったところと反省するべきところは何だったのか、などのあぶり出しを本来はやるべきだったのですが、行いませんでした。例外的に、日本は1回だけ検証を行ったことがあります。東日本大震災のときの福島第一原発事故についてです。それは、事故後に民主党から自民党に政権が代わったという理由もあります。検証というのは誰かの責任を問いただすことなので、与党はみんな尻込みします。だから、こうしたことは野党が言い出さないと前に進みません。 これと同じように、新型コロナについても検証を行うべきだと思います。国会が調査権限を与えた特別の専門家委員会をつくるのです。政府が自分のことを調査・検証しても限界があります。ですから、独立しており、かつ調査権限を持っている組織が必要です。与党はなかなか言い出しにくいですから、野党の存在が試されるところですが、今は野党の力があまりに弱すぎます。

20年6月14日現在、日本の新型コロナ感染者における死者数の割合は5%程度で、感染者の約20人に1人が亡くなっているという計算です。感染するとかなりの高い割合で亡くなります。 この理由としては、PCR検査数が圧倒的に少ないということが挙げられると思っています。検査がなかなか受けられない状況で、新型コロナの感染発見が遅れ、重篤化してしまうのです。 PCR検査数の多いシンガポールでは、感染した人が亡くなる比率は0.1%、100人に1人なのです。シンガポールの人口当たりの死亡率は日本の3分の2ぐらいに抑え込まれていますが、人口当たりの感染者の数は日本の実に70倍です。それだけたくさんPCR検査を行って、重篤化する前に感染者を発見できたということでしょう。 日本でPCR検査数が少ないのは、なぜなのか。安倍晋三首相は伸びない検査件数について「目詰まり」と表現しましたが、より具体的な説明が求められるでしょう。この点でメディアなどでは霞が関の官僚を批判する声がよく聞かれます。官僚を批判すれば国民の溜飲は下がるかもしれませんが、今の官僚を全員辞めさせられることなど、できません。だからこそ、政治家のリーダーシップが必要です。

このコロナ禍で世界各国のGDP(国内総生産)は軒並みダウンしました。例えばアメリカでは、米連邦議会予算事務局(CBO)が20年4~6月期のGDPをマイナス38%と見通しを立てています。日本の同時期のGDPも、日本経済研究センターが予測機関の数値をとりまとめ、概ね、マイナス21%という予測を示しています。かなり深刻な不況を覚悟しなければなりません。 緊急事態宣言が終わり、経済を再開させつつありますが、感染をしっかりと抑え込まないうちに段階的に経済を再開させてしまうと第2波が起こり、ウイルスとの闘いは長期化します。そのほうがダメージは大きくなってしまいますが、このまま経済活動を停止し続けるわけにもいかないので仕方ないという判断でしょう。 よく「命を守るほうが先か、経済の復興が先か」という対立がありますが、実は経済はとても大事なんです。経済が悪くなると、今度は自殺者が増えます。バブル崩壊後には年間自殺者が

一気に1万人増えたのです。経済による死者を少なくするためにも、経済を大幅に悪化させない措置が必要です。 先の見えない状況ですが、このコロナ禍を経て日本も再び世界の先頭に立つ方法が2つあると思っています。

■日本が再び世界の先頭に立つには 1つ目は、死亡者を総じて低く抑えることができたアジアの中で新しい地域協力を呼び掛けることです。アジア全体で検査基準や感染者の追跡方法、隔離方法を確立するのです。まずは、そのようにして信頼できるようになった地域についてのみ、人の行き来を再開させます。 そうすると、もともと深く統合されていたアジアの経済は早期に回復してくる。さらにはアジアが牽引力になって、世界全体の経済危機を救うことにつながるのです。そういった呼び掛けを日本が主導で行うことが、実は重要な外交戦略になります。

2つ目は、20年5月に参院本会議で自民、公明、維新などの賛成多数により可決されたスーパーシティ構想を活用し、生活をデジタル化していくことです。スーパーシティとは、人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用し、自動運転や完全キャッシュレス決済、ドローン配送、行政手続きのワンスオンリー化(1度提出した資料は、再提出する必要がない仕組み)、遠隔教育や遠隔医療など複数の分野にまたがってデジタル化を推進する最先端都市のことです。 全国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」をめぐって大混乱が起こったのは、デジタル化途上でマイナンバーがきちんと機能していないのが原因です。マイナンバーに紐づけられた銀行口座があればスムーズに給付ができましたが、現状そのようになっていないので人海戦術を余儀なくされました。

そもそも政府がまず行うべきだったのは、所得制限などは設けず、とにかくすばやく国民全員に低金額の現金を配ることでした。布マスク2枚と一緒に小切手で配ればよかったのです。そして、あとからマイナンバーを使って確定申告をしてもらい、新型コロナの影響を受けていない層や富裕層からは返納してもらう。そのような「とにかく配って、あとから返す」という迅速な対応を、マイナンバーを使って行うべきでした。そうすれば、これを契機にマイナンバーが一気に普及してデジタルシフトが進むメリットもあります。

新型コロナが長引けば、これからいろいろなことをデジタルで行わなくてはならない未来がやってきます。究極的にはインターネットで投票などもできるようにならなくてはいけません。1カ所に人が集まり、同じ鉛筆を使って投票することほど危ないことはないでしょう。インターネットでの投票を実現させるためには、個人認証制度が必須となってきます。マイナンバーはそのためにも必要です。

例えばインドでは個人認証制度が進んでいて、総人口約12億人のうち、11億人が指紋と瞳孔だけで認証ができるようになっています。日本でも生体認証を進める議論はありましたが、反対の声が強く実現には至りませんでした。 しかし、デジタル社会においては、個人認証システムこそが最も重要な社会インフラであり、それが日本の場合はマイナンバーなのです。 今、新型コロナを機に世界各国でデジタルシフトの波が起こっているにもかかわらず、今のところ日本は出遅れています。なんにせよ、アフターコロナに日本がするべきことはデジタライゼーション(情報・技術などのデジタル化)です。それには従来以上にスケールの大きい大胆な改革が必要になることは間違いありません。

■日経平均は今後どうなるのか さて、今、新型コロナで急落した日経平均株価やニューヨークダウ平均株価が戻りつつあります。バブルのようにまた下がるかもしれませんし、集団抗体ができるであろう1年半後くらいまで株を持ち続ける自信が投資家たちにあるならば、株価は上がり続けるでしょう。どちらの可能性もあると思っています。 一方で、J-REIT(日本版不動産投資信託)はむしろ下がっています。これから在宅勤務や遠隔医療などが進んでいくのを人々が見越しているのか、八王子や多摩ニュータウンといった郊外ではすでに人口が減ってきています。「日本創成会議」座長・増田寛也氏が試算・発表した消滅可能性都市についての資料では、2025年に東京の人口が減ると警鐘を鳴らされていますが、郊外の人口も含めて考えないと意味がないでしょう。

■郊外に住む人々は東京に通勤・通学している 郊外の出生率は実は地方とさほど変わらず、決して低いわけではありません。そして、その郊外に住む人々は東京に通勤・通学しているわけですから、政府が言うほど東京の実質的な都市圏人口はさほど減らないでしょう。私は「東京の一極集中を改善せよ」という議論は誤っていると思います。 いろいろな人が集まり組み合わされる東京という場所のイノベーション力の大きさは、あなどれません。これから遠隔化が進んでも、東京の役割は続くと思います。 ただし、毎日東京のオフィスへ出社する必要はありません。私の知り合いには、ふだん軽井沢や山梨県の富士の裾野などにある広い自宅で仕事を行い、1~2週間に1度東京に出てきて小さなマンションに滞在するという生活スタイルの人がいます。実は、このような暮らし方・働き方を進めることも地方創生の1つの形だと思うのです。

日本では今後、都市の在り方も変わっていくでしょう。現在は企業も人も都心部に集中していますが、テレワークを機にどこでも働けるように整備が進めば、都市部を拠点にしてネットで全国どこでもつながれる社会が実現するのではないでしょうか。 働き方に関して、「ワーケーション」という言葉があります。ワーク(働く)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、リゾート地などで休暇を兼ねてリモートワークを行うことを意味しています。まだ導入企業は多くありませんが、今後テレワーク体制が整っていけば浸透すると考えます。新型コロナ騒動でホテルや旅館などの宿泊業界は厳しい状況が続いていますが、在宅勤務やテレワークの需要拡大を受けて、ワーケーションの宿泊プランを展開する動きも出ています。

19年の改正労働基準法施行で、高度プロフェッショナル制度が導入されました。高度な専門知識と一定水準以上の年収がある労働者について、労働時間や休日などの概念を外す制度です。この制度の導入の際に非常に多くの反対意見が寄せられたため、厳しい制約がついてしまいました。日本はなかなか成果主義には移行しづらいのです。しかし、今は多くの企業が在宅勤務の体制をとっていますし、今後ワーケーションのような多様な働き方を実現するために、労働を時間ではなく成果で管理するようなシステムに変えなくてはならない局面に来ています。アフターコロナに勝ち残れるのは、そのような変化ができる企業だと思います。

私は、アフターコロナの経済は悪くはないと予測しています。ただ、V字回復はありません。今後、U字型かL字型か、どのように回復していくかは今の備えにかかっています。アジア間の地域協力や、スーパーシティ構想をうまく推し進めていけば、日本はいろいろなフロンティアに躍り出るチャンスがあるということです。 アフターコロナは「どうなるか」ではなく「どうするか」なのです。

竹中 平蔵(たけなか・へいぞう) 経済学者 東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授。1951年、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒。博士(経済学)。

経済学者 竹中 平蔵 構成=万亀すぱえ 撮影=大沢尚芳 〔2020年7/24(金) プレジデントオンライン〕


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親子の新型コロナウイルス影響調査 自宅で過ごす時間が増える今年の夏は、親も子どももストレスを感じそう -新型コロナウイルス影響調査から- 気温が高い日も増えてきて、例年であれば、お子さまが喜ぶプールや海など、夏の計画を立てるご家庭もある時期ですが、新型コロナウイルスが収束していないいま、やはり例年どおりとはいかないようです。 特に、自宅で遊ぶだけでは時間をもてあましがちな年少~年長の幼児がいる保護者がどう感じているか、「新型コロナウイルス影響調査」の結果を見てみましょう。

■調査概要 調査名:親子の生活における新型コロナウイルス影響調査 調査形式:インターネット調査 調査対象:全国 47 都道府県在住の約 3,500 世帯(幼稚園の年中~高校 3 年生のお子さまがいる世帯) 調査実施時期:3/20頃~6/12頃の期間、毎週実施 ベネッセコーポレーション実施

幼児の保護者 夏の過ごし方については「何をするのか考えるのが大変そう」がトップ

<夏の過ごし方への不安・負担> 幼児の保護者に聞いた夏の過ごし方については、どの項目も不安や負担が高めという結果になりました。 年少以前~年長までの保護者全体で、自宅で過ごす時間が増えることで、「親が何をするか考えるのが大変そう」は「あてはまる」「ややあてはまる」を合わせて8割以上に。また「親がストレスを感じそう」「子がストレスを感じそう」についても、ともに8割近くになっています。

外出やイベントなど、今年の夏はできないことが多く、子どもの成長が心配 3月から続いた自粛生活で運動不足気味なのに加え、まだ思い切り外で遊べない状況が続いてきたため、この状況が続くと子どもの心身の成長も気になります。 「外出やイベントなどできないことが多くて、子どもの成長が心配」という保護者は、年少以前~年長までの全体で7割近くになっています。 今年の夏、旅行や遠方へのお出かけはまだ控えておこうというご家庭は少なくないと思います。また、例年は、夏休み中は、各地で子ども向けのイベントがたくさん開催されますが、今年は数や種類が限られ、新型コロナウイルス感染防止の観点で、参加するかどうか迷うご家庭も少なくなさそうです。

自宅で家ならではの体験をどうさせたらいいか迷う 外出やイベントは自粛し、子どもが好きなプール、海にも行けないのは、子どもが成長するきっかけとなる体験の機会が減ることにもつながります。 「プール・海などに行けない分、自宅で夏ならではの体験をどうさせたらいいか迷う」という保護者は、年少以前~年長までの全体で7割以上になっています。 家や、外出するにしても近所の範囲で過ごすことになりそうな今年の夏。家でできる体験を考えないといけない保護者のかたは、毎日「明日は何しよう……」と悩んでしまうかもしれませんね。

普段の生活の中でお子さんが成長する機会をつくりたい 家で特別な体験ができる計画を毎日考えるのは大変です。料理やお掃除など、普段の生活の中でも、お子さんが成長する機会をつくることはできます。小さなお子さんでもできることを見つけて、ぜひ一緒にやってみてくださいね。

料理は子どもたちにとって総合的な学びの機会 ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(12) https://benesse.jp/kosodate/202006/20200609-3.html

子育ての悩みナンバーワン「整理・整頓」が将来役に立つ力を育てる ベネッセ教育総合研究所が子どもの生活・学びの困りごとに応えるシリーズ(11) https://benesse.jp/kosodate/202006/20200609-2.html

自宅でできる工作やゲームのご紹介 <教育情報サイト>では、自宅でできる工作の作り方や、無料の知育ゲーム、ぬりえなどを提供しています。お子さんの興味や発達段階に合わせて、ぜひご活用ください。

ひらがなを覚えはじめたお子さまにオススメ!透明ひらがなカードゲーム【おうちで知育工作】 https://benesse.jp/kyouiku/202005/20200527-1.html

磁石の力を体感!手作りゲームで自然科学に興味をもつきっかけを【おうちで知育工作】 https://benesse.jp/kyouiku/202006/20200618-1.html

無料の知育・子供ゲーム しまじろうのお絵かきやぬりえ https://benesse.jp/contents/game/index.shtml

今年の夏は、家で過ごす時間が増えることで、幼児の保護者のかたは、悩んだりストレスを感じたりすることもありそうですが、ご自身を含めた家族の健康を第一に、どうぞ無理をしすぎないようにしてくださいね。

プロフィール ベネッセ 教育情報サイト 「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。 役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。 〔2020年7/12(日) ベネッセ 教育情報サイト〕

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習い事 子どもの習い事、どう決める 親がまず考えたいこと わが子の習い事をどうするか。英語にスポーツ、ピアノなど、あげればきりがありません。まわりと比べると、焦りを感じてしまう人もいるかもしれません。そんなとき、親はどうすればいいか。臨床心理士の中島美鈴さんが解説します。

■まわりには習い事をしている子が9割も… 習い事で才能を発揮している子どもを見て、我が子にも何か習わせなければと焦ったことはありませんか。塾通いも、お受験も……中には0歳から習い事を始める親もいるようです。 ADHDの主婦リョウさんもそんな不安を抱えています。リョウさんの娘の通う小学校のクラスでは、英語に体操教室、ピアノに水泳に塾と、習い事をしている子どもが9割を超えています。今日は、保護者同士の会話でこんなことを聞きました。「○○ちゃん、1年生なのにもう英検2級受かったんだってー!」リョウさんは焦りました。英検2級といえば高校卒業レベルです。一方、リョウさんは親子共に小学校という新しい環境に慣れるのに精いっぱいで、英会話教室に通う余裕なんてありません。 リョウ「小学3年生からは英語の授業が始まるっていうし……焦る」

■焦る気持ちの背景にあるものとは 初めての子育てで多かれ少なかれ焦る気持ちがあるのは当然です。しかし、この手の不安の強すぎる人もいるようです。なぜ焦りが過剰に生まれてくるのでしょうか? 焦りの背景(1) 「このままだと、~になるのではないか」という不安、恐れ

我が子に習い事をさせるべきかについて不安で焦る親の背景として、「マイナスの結果から逃れたい」という思いがある場合があります。例えば、「受験に失敗したら、人生終わりだ。」とか「自分は受験で大変な思いをしたので、我が子には少しでも楽させたい」といった思いです。この「マイナスの結果から逃れたい」不安は、「~しなくちゃ(大変なことになる)」と悲壮なメッセージを子どもに与え、子どもまで不安にします。そして、きりがないほど長く続くのも特徴です。なぜなら、子育ての結果が出るのには長い年月がかかりますし、実のところ、子育ての結果として何を求めるのかに正解がないからです。子ども側からすれば、親がいつも不安に駆り立てられて、「~しないと、こんな恐ろしいことになる」と脅かしくる。そして、それがいつまでも続くというのは、たまらないものです。子ども自身の人生観も不安に彩られた、味気ないものになってしまうでしょう。親の人生観は、驚くほど子どもに影響します。

焦りの背景(2) 一方で「~という結果が欲しい」というプラスの結果に向かう親も 「いい大学に行って、素晴らしい人生を歩ませたい」「この子の才能を伸ばしたい」などがそうです。ポジティブな結果に向かう動機なので、親の側にも熱意や活気があふれているでしょう。うまくいけば、子どもも人生におけるやりがいを見つけることができて、パワフルな親子になれることでしょう。

しかし、親からみて必要に見えることも、子ども本人にその受け入れ準備ができてなかったり、必要性を感じていなかったりするのであれば、押しつけもしくは時期尚早であるといえるでしょう。それがどんなに正しくためになることでも、です。私がカウンセラーとして働き始めた頃、なかなか自分の心の問題に向き合えずに薬物を使って現実逃避してしまう患者さんに出会いました。私は「この方には、自分の気持ちから目をそらさずに向き合うことがためになる」と思い、セラピーを進めていました。しかし患者さんは私のセラピーでだんだん落ち込んで、イライラするようになりました。その時に担当看護師さんに言われたことを今でも覚えています。「あなたが言っていることは正しいけれど、患者さんは今それができる? 患者さんが、それをしたいといった?」。そうなんです。どんなに正しいことでも、ためになることでも、相手がそれを必要だと思わなければ、そしてそれに取り組む準備ができていなければ、意味がないし、逆効果なんですね。大変反省させられた出来事でした。

教育とは押しつけなのだろうか?

■焦りを感じたら、親が自己点検を では、子育ても教育も、そもそも子どもに必要性を認識させて、子ども側の準備を見極めながら進めてきたのでしょうか? 教育現場では、子どもの発達段階や性格などの準備性を考慮しながら、授業のカリキュラムが組み立てられています。家庭における教育、子育てはどうでしょう? センスのよい親は、子どもの日々の様子からなんとなく子どもの今の好みや、できること、もうすぐできそうなこと、まだ無理そうなことを見極めながら、ちょうどいい課題を与えているかもしれません。しかし、我が子のことになると誰しもちょっと距離をとれなくなるもの。ついつい欲張って、「我が子ならこれぐらいできてほしい!」と高めのハードルを用意してしまいがちです。

ハードルが高いぐらいならいいのですが、子どもの生まれつき持っている性質からはまるでかけ離れた方向性に引っ張りたくなる欲も出て来ます。結局親も教育も、子どもが生まれつき持つ素質という頑丈な根っこ、伸びたい方向やスピードを変えられないわけなのですが、やはり我が子のこととなると違いますよね。自分に似ていればなおさらです。親は、子どもたちの伸びる様をそばで見ながら、外敵から守ることもやがてできなくなります。やがて水も肥料も与えたくても与えられなくなるし、与えたとしても育たなくなる日も来ます。この辺がカウンセリングとも似ているなあと思います。親は、こうした子育ての限界をわきまえて、親は習い事に関して期待しすぎず、何かヒットすればラッキーぐらいの心構えでいくのがよいのでしょう。くれぐれも子どもを自分の果たせなかった夢を代わりに果たしてくれるような、自己実現の道具にしないことも大事です。

長くなりましたね。まとめると、子どもの習い事で焦りを感じたら、「あ、今自分はマイナスの結果を避けようとしているのかな? それともプラスの結果をとりにいきたいのかな?」と自己点検することです。自己点検すると、結局は「子どものため」を考えながらも、自分の人生観や未解決の問題が色濃く反映されていることが多いのです。つまり、自分の問題がないか確認してから、子どもの歩み、意思に合わせて習い事を決めていくのがいいでしょう。 コラムの筆者・中島が時間管理×人間関係をテーマに、7月31日(金)「女性のための夢を叶える時間術セミナー」をオンライン開催します。詳細はこちらから。

https://dreamtimemana.peatix.com/(アピタル・中島美鈴) 朝日新聞社 〔2020年7/17(金) 朝日新聞デジタル〕


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ページ名 LITALICOワンダー   (新型コロナ、  )
重要なのは子どもたちとの信頼関係と目標設定 ~オンラインに拡張するLITALICOワンダーとコロナ禍でのプログラミング教育
LITALICOワンダー 公式サイトより
小学校でのプログラミング教育開始と、コロナ禍による休校が重なった2020年度の学校教育。緊急事態宣言が終了した今も、全国の教育機関で様々な余波が続いている。こうした中、いち早くオンラインでの学びを進めたのが、株式会社LITALICOが運営する「LITALICOワンダー」だ。同社では4月からオンラインのみで授業サービスを行う「LITALICOワンダーオンライン」もスタートしている。オンラインでのプログラミング教育や、授業運営の工夫などについて聞いた。
少人数&オーダーメイドのユニークな授業設計
Zoom上での授業風景(渋谷教室)
「こんにちは!」、「元気してた~?」
授業がスタートするや否や、子どもたちの笑顔が目に飛び込んできた。もっとも現実の世界ではなく、PCのモニタ越しだ。
ビデオ会議システムのZoomを活用し、メンターと子どもたちがコミュニケーションを取りながら、思い思いのプロラミングを進めていく。IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」の新しい授業スタイルだ。取材に伺った渋谷教室では、「ゲーム&アプリプログラミングコース」と「ゲーム&アプリエキスパートコース」の授業を見学できた。それぞれScratchとUnityを使用して、ゲームづくりを進める内容だ。90分の授業は、和気あいあいとした雰囲気で進行し、滞りなく終了した。
都内17箇所の教室で、LITALICOワンダーを展開する株式会社LITALICO。もっとも事業内容はプログラミング教育に留まらない。2005年に「障害のない社会をつくる」を掲げて創業以来、就労移行支援サービス「LITALICOワークス」、発達障害者向けのソーシャルスキル&学習教室「LITALICOジュニア」など、様々な学習支援を進めてきた。
2015年にはネット事業に乗り出し、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」、働くことに障害のある方向けの就職情報サイト「LITALICO仕事ナビ」をスタート。他に障害や特性のある人向けにライフプランの設計を支援する「LITALICOライフ」など、幅広い人々の支援を行なっている。2016年にマザーズ上場、2017年には東京証券取引所第一部に市場変更し、10期連続で増収を続けている。
中でも近年注目を集めているのがLITALICOワンダーだ。「考える、つくる、伝える」をテーマに、テクノロジーを活用した最先端のものづくりを横断的に学ぶことができるもの。公立小学校におけるプログラミング教育の開始に先駆け、2014年にスタートした。
コースは「ゲーム&アプリプログラミングコース」、「ゲーム&アプリエキスパートコース」、「ロボットクリエイトコース」、「ロボットテクニカルコース」、「デジタルファブリケーションコース」の5種類で、未就学児から高校生までコース別に幅広い年齢層を対象としており、生徒数は約3,000人にのぼる。 このように「幅広い意味での社会における障害の克服」を掲げる同社にとっても、コロナ禍による社会変化は想定外の出来事だった。
渋谷教室で教室長をつとめる河合貴氏も、「ロボット制作や3Dプリンタといった、実際にモノを使って学ぶコースが一部休止になり、PCとネットがあれば学べるゲーム&プログラミングコース/エキスパートコースがオンライン授業に移行しました。最も多い時期では10人程度のスタッフが教室からオンラインで各家庭に接続し、ビデオ会議システムを使って授業を継続しました。途中でツールを変えるなど、運営で試行錯誤がありました」と語った。 LITALICOワンダーのポイントは「少人数&オーダーメイド」の授業運営だ。1人のメンターが対応する生徒数は3~4人まで。特定のカリキュラムは存在せず、子どもたちがやりたいことをメンターが聞き出し、それを実現するための手助けを行なっていく。
授業は週1回と週2回のコースがあり、開始時期と終了時期は生徒によってバラバラだ。2年、3年と継続して学ぶ子どもたちも少なくない。テキストがわりのWebサイトや教材はあるが、最初からオリジナルのプログラムをつくりたがる子どもたちもいる。いずれもコロナ前からのスタイルで、オンライン化においても、このスタイルを守ることが前提となった。
実際、授業を見学した際も、「『青鬼』(インターネットで人気のあるホラーゲーム)のようなゲームがつくりたい」、「オリジナルの3DCGキャラクターがつくりたい」などと、参加者によってつくりたい内容がまちまちだった。 それに対して「いきなり全部をつくるのは難しいから、まずステージをつくってみたら?」、「3DCGキャラクターをつくるなら、このツールを使ってみると良いよ」といった具合に、メンターが適切に誘導。画面越しに話しかけたり、チャットで参考サイトを紹介していた。参加者はいずれも小学校低学年で、ScratchだけでなくUnityでスクリプト制作に挑戦している者もいて驚かされた。
対面授業をベースに4月からオンライン授業に拡張
保護者へのフィードバック風景
5月25日(月)に国の緊急事態宣言が終了し、徐々に社会生活が回復しつつある昨今。6月上旬に教室を訪れたときも、教室には少なからぬ生徒や保護者が見られた。しかし、オンラインでの授業継続を望む声もあり、当面は通塾とのハイブリッド形式で進めていくという。
このように渋谷教室では、もともと教室で対面授業を行なっていた生徒たちが、コロナ禍によってオンラインに移行した経緯があり、メンターとの信頼関係ができていた(これは他の教室でも概ね同じだ)。それでも当初はスタッフ側も保護者側もツールやネットワークなどで戸惑った部分があったという。
「最初はビデオ会議システムにGoogle Meetを使用していました。Googleアカウントがあれば誰でも無料で使用でき、導入がスムーズだったことと、オンライン授業で必須となる画面共有の操作がしやすいことが理由でした。ただ、同時接続者数や時間帯によって、画面が粗くなったり、音声が聞こえにくくなったりすることがありました。そのため、よりデータ容量の軽いZoomでの通話に切り替えました。今では通塾生の割合が増えてきたこともあり、特に通信面で大きな問題は発生していません。有線LANを使用していた時期もありましたが、今では無線LANでこと足りています」。
授業を見学する中で気づいた点があった。授業が始まると、メンターと子どもたちとの間で画面越しに近況報告がはじまり、今日の目標などがお互いに確認される。もっとも、実際の作業が始まると、メンターの使用するPCは主に生徒との画面共有や調べものに利用される。そのため、子どもたちの顔が表示されないことの方が多いのだ。
一方で大学でのオンライン授業などでは、ビデオ会議システム上で「顔出し」がルール化されている場合もある(主な目的は学生のサボり対策だが、講師側からも「学生の顔が見えないままの講義では、壁に向かって喋るような徒労感がある」とする声がある。一方で、このことが通信量の増加につながっているという指摘もある)。子どもたちの表情が映っている方が、授業が進めやすくはないのだろうか。
「そんなに子どもたちの表情を見ていなければいけない、という風には感じていません。むしろ画面共有を通して進捗を確認することの方が大事かなと思っています。もちろん、授業の開始と終了時に、画面越しに顔を合わせて挨拶したり、雑談したりすることは心がけています。コロナ禍で子どもたちも、保護者の方も、ストレスが溜まりやすいところがありますからね。そこはLITALICOワンダー全体で心がけているところです。ただ、いざ授業が始まってしまえば、そこまで必要ではないかと思います」。
座学ではなく、PCを用いた演習形式の授業を、すべてZoomで行う例は大学や専門学校でも珍しい。筆者が非常勤講師を務める教育機関でも、試行錯誤が続いている最中だ。少人数形式の授業という点を差し引いても、先進的なように感じられた。
一方でオンラインで困るのが機材トラブルだ。PCのセットアップやツールのインストールもさることながら、突発的に機材のトラブルが発生したり、通信状況が悪くなることもある。こうした問題を解決するために、保護者に相応のリテラシーが求められる。
「手順を記したマニュアルを作成して、お客様全員に配布しています。ある程度リテラシーがある方なら、それで進めていただけるようになっていて、中には子どもたちが自分でセッティングを済ませたりすることもあります。ただ、それでも4割くらいの保護者の方は、どこかしら不明点を抱えられるようです。そのため電話でサポートを行なったり、ときにはPCごと郵送してもらい、こちらで設定を済ませて送り返したりすることもありますね。むしろ1回オンラインで繋げられれば、そこで安心感をもっていただけるので、まずは1回繋げてみませんかと、お声がけしています」。
実際、子どもたちにとってはZoomを使用し、画面越しに会話するだけで、大きな挑戦だ(これは大人にとっても同じで、特にベテランの講師ほど対応に手間取る例が見られる)。そのためコースに初めて参加する生徒には、ツールのガイダンスを兼ねて、様々なアイスブレイクが行われるという。わざとメンターがWebカメラの視界から外れておき、いきなり画面に飛び出してくる「Zoomかくれんぼ」などは好例だ。
他にWebカメラでメンターがジェスチャークイズを行い、答えをチャットで返してもらうなどもある。「それぞれの教室で、メンターごとに、様々なやり方が考案されています」。
デバッグを学びの機会としてメンターと共に成長
渋谷教室のデジタルファブリケーションコースでつくられた作品
また(筆者も痛感しているのだが)、プログラミングにはバグがつきものだ。Scratchのようなビジュアルプログラミング言語ならまだしも、Unityのスクリプトを画面越しにデバッグするのは、かなり熟練度を要する。デバッグが上手くいかず、モチベーションが折れてしまう学生も少なくない。
また、子どもたちをサポートするためには、プログラミングのスキルだけでなく、高度なファシリテーション能力も必要だ。どのような研修やサポートが行われているのだろうか。また、どのような点に注意して授業運営が行われているのだろうか。
「メンターの多くは情報系や理工系の大学生で、最初にしっかりと研修を受けていただきます。そのため、ある程度しっかりとした知識があることが前提になっています。その上で、子どもたちがつまずきやすいエラーには傾向があります。変数名がちがっていたり、コンポーネントの追加でミスをしていたり、といった具合ですね。まず、そこをチェックするようにしています」。
「その上で、授業運営では子どもたちの目標設定がすごく大事だなと思っています。受講者の中には、初めてパソコンを使ってScratchをやる子もいれば、最初からUnityをやりたがる子もいます。自分が何かつくりたいものを設定して、それをつくりきることがゴールなので、そこに至るまでの道のりがどれくらい大変なのか。それが子どものレベルに合っているのか。それらをメンターがきちんと理解するようにしています。その上で『君の実力だと4コマくらい必要だね』、『じゃあ、今日はここまでやろうか』といった具合に目標を分解していく。そんな風に個別に調整してもらっています」。
「つくっていく過程では、様々なバグが発生します。ただし、バグを乗り越えていくことも学びです。ゲームをつくっていく上で発生するエラーは、その子自身がメンターと一緒に乗り越えていくべきだと思っています。エラーが起きたとき、ただ答えを教えるのではなくて、なぜエラーが発生したのか。どのようにすれば解決できるのか。自分で解決できる力を養ってほしいなと思っています。エラーは出て当たり前。Scratchに比べて、Unityが大変なのも当たり前。その上で、いかに丁寧にメンターがサポートしていけるか、というマインドでやっています」。
このように、スタッフと子どもたち、そして保護者の協力の下、オンライン授業に対応しつつあるLITALICOワンダーの取り組み。とは言え、オンラインだけで完結できないものもある。成果物の展示会などはそのひとつだ。
LITALICOワンダーでは毎年、子どもたちが成果物を見せ合う「ワンダーメイクフェス」を秋に開催していた。しかし、今年はコロナ禍で早々に中止が決まっている。ただし、アウトプットの機会創出はモチベーションの面でも重要だ。そのため、今年は下半期にオンラインでの開催が検討されている。
「また、完成した成果物を共有するだけでなく、制作中のものを気軽に公開できるようなことも、できれば良いと思っています。自分も趣味でものづくりをしているんですが、制作過程のものをアップして、それにリアクションがつくと、モチベーションになりますからね」。
「制作途中で詰まっている箇所を公開すると、それに対して解決策が得られるような場所がオンラインでつくれれば、プログラミングの家庭学習にもずいぶん役立つと思います。プライバシー的な問題をはじめ、様々な課題がありますが、何かしら良い方法が見つかればと思っています」。
カリキュラム担当者に聞くオンライン化のねらいと工夫
和田沙央里/Saori Wada 東京本社LITALICOワンダー事業部 サービス開発グループ マネージャー
このように各教室で試行錯誤をくり返しながらオンライン対応が進められているLITALICOワンダー。その一方で本年4月から、全てオンラインで授業を行う「LITALICOワンダーオンライン」もスタートした。LITALICOワンダーと同様に、自分の好きなペースでプログラムを進める「スクール(月謝型)」スタイルだ。取り組みのねらいと現状について、サービス開発部グループ マネージャの和田沙央里氏に聞いた。
CGWORLD(以下、CGW):簡単に業務内容のご説明をお願いします。
和田沙央里氏(以下、和田):はい、主にLITALICOワンダーで新規カリキュラムの開発と教材の開発、そして内部の研修の開発を行なっています。昨年はゲーム&アプリエキスパートコースのカリキュラム開発に注力していました。初心者だったお子さんが、自然にスキルアップできるようなコースの開発を行なってきました。
CGW:オーダーメイドの授業運営とカリキュラムの組み合わせについて、具体的に教えてください。
和田:そうですね。ご指摘の通りで、私たちの授業のサービスは一斉の講義形式ではありません。3~4人の子どもたちに対して1人のメンターがつき、それぞれの子どもたちが興味に従って、様々な取り組みをします。そのため、一人一人に合わせて個別の課題を出したりだとか。アレンジをしたりなど、オーダーメイドの授業をすることが必要になっていきます。ただ、そうはいってもベースとなる教材も必要です。そのため、ScratchでもUnityでも、大きく3段階に分けています。 ひとつ目は横スクロールアクションゲームのように、ベーシックなゲームのつくり方を、ひとつずつ段階を追って説明していくものです。これらはWebサイトとして用意していて、子どもたちが自由に参照しながら進めていけます。次の段階では移動やジャンプといった具合に、ゲームで必要なアクションや機能について、個々にまとめられたカードを用意しています。それぞれのカードにプログラムが記されていて、これを組み合わせることで、様々なゲームがつくれるようになっています。 最後はテーマだけが設定されていて、シューティングゲームをつくろう、〇〇ゲームをつくろう、といったものですね。こうした教材やカリキュラムを使いながら、メンターが子どもたちを支援していくスタイルになっています。
LITALICOワンダーオンラインを通して広がる学びの環境
CGW:それは興味深いですね。徐々に拡充されていったかたちでしょうか。
和田:はい。2014年にLITALICOワンダーがスタートして以来、ベースとなる部分は同じですが、細部で徐々に変化しています。ひとつはScratchからUnityに移行する過程で、開発環境が変わっても同じものがつくれるという点が、大きなポイントになることがわかりました。実際、Scratchを使いこなしている子どもで、Unityに上手く移行できず、再びScratchに戻ってしまう子どもたちがいます。もちろん、本人がScratchをやりたいのならそれでも良いのですが、上手くサポートできるに越したことはない。そこでポイントになるのが、「どちらでも同じように、自分の作りたいものが実現できる」ということ。そのための支援に力を入れるようになっています。 また、ScratchにしてもUnityにしても、プログラミングだけではなくて、その周辺領域も重要であることがわかってきました。例えば絵を描いたり、音楽をつくったり、オリジナルの3Dモデリングをしたり、といったことですね。こうした周辺領域もあわせて取り組むことで、はじめて子どもたちの表現力や、創造力が伸ばせることがわかってきたんです。そのため、授業を進めるときも寄り道したり、メンターと子どもたちが一緒に学びながら進めていくといったことが、コースの特徴になってきたと思います。
CGW:こうした中、4月から新たにLITALICOワンダーオンラインがスタートしましたね。この背景とねらいについて教えてください。
和田:コロナ禍によって自宅で学びたいというニーズが増えたことが直接のきっかけでしたが、もともと授業をオンラインで実施する考えはありました。これまで17箇所で教室を展開してきましたが、いずれも首都圏のみで、渋谷などターミナル駅の周辺に展開していたので、興味はあるけど教室に通えないというお子さんの声が、これまでも上がっていたんですね。また、地方在住の方や海外の方にも弊社のサービスを届けたいという思いもありました。 CGW:4月からスタートしたばかりですが、何名くらいの方が学ばれていますか?
和田:LITALICOワンダーオンライン単独では、まだまだこれからといったところなのですが、LITALICOワンダー全体で見れば、2,000名以上がオンラインで受講しています。中には関西・九州・そしてアジアやアメリカなど海外学ばれているお子さんもいます。これらはLITALICOワンダーオンラインならではのものですね。
CGW:オンラインとオフラインで受講者にちがいはありますか?
和田:全体としてはあまり変わらず、小・中学生に幅広くご受講いただいています。その上で教室では未就学児童から小学3年生までのお子さんが多いんですが、オンラインではもう少し年齢層が上がって、小学2年生から5年生くらいのお子さんも多いですね。男女比は6:4から7:3の間で、これはどちらも変わりません。ただ、オンラインだと周りの男の子の多さを気にせずに、気兼ねなく参加できる女の子がいるといった声を頂くこともあります。必要であれば、女の子にはまず、女性メンターをつけるといった配慮をすることもできます。
CGW:ゲームやCGクリエイターの男女比は世界的に見ても8:2と言われているので、それよりも多いですね。これが今後、どのように推移していくか楽しみですね。ちなみにメンターの男女比はいかがでしょうか?
和田:男性の方が多いのは事実ですが、それほど変わらないですね。
CGW:オンラインコースと通塾でカリキュラムに何かちがいはありますか?
和田:いえ、基本的には同じものです。
CGW:渋谷教室ではカリキュラムや授業運営もさることながら、メンターと子どもたちの信頼関係が重要だと言われていました。一方でオンラインコースでは、リアルでの信頼関係がないまま、最初からオンライン授業が始まることになります。どういった工夫をされていますか?
和田:オンラインでもメンター1人に子どもたちが最大3人という構成は変わらないのですが、いきなり他の子どもたちと一緒に学ぶのではなく、最初の2ヶ月間はメンターと1対1で授業を始めて、ある程度お互いを知り、関係性をつくってから、コミュニティに交ざってもらうようにしています。子どもたちだけでなく保護者の方からも、それまでのプログラミング体験や、特別に配慮が必要なことなどを電話でヒアリングするようにしています。 また、メンターと子どもたちだけでなく、子どもたち同士で繋がりがもてて、みんなで学んでいる感じがもてるように、授業内で発表したり、作品を見せ合うような時間を、オンラインでは長めに取るようにしています。 一方で対面だと発言がしづらかったり、手を挙げにくかったりするお子さんでも、オンラインだとチャットでどんどん発言してくれる......そういった面もあるようです。人によって、文字だけのコミュニケーションの方がやりやすい場合があるようですね。
メンターと保護者で求められる関係性の構築
CGW:保護者のITリテラシーも千差万別だと思います。
和田:そのとおりですね。仕事でPCを使っている方もいれば、セットアップからお手伝いするような方もいます。Zoomをインストールするところから始まるのですが、中にはカメラがついていなかった、マイクがついていなかった、といった方もいらっしゃいます。その都度、電話でサポートをしています。
CGW:Scratchであればまだ、PCもそこまでスペックが必要ではありませんが、Unityだと「うちのPCでは動きませんでした」みたいなこともありそうですね。
和田:そうですね。あとはUnityのセットアップにすごく時間がかかるんですね。工程もたくさんありますしね。お子さんと保護者のサポートをもらいながら、スタッフが手伝うようなかたちで取り組んでいます。中にはPCを宅配いただいて、こちらでセットアップして送り返す、といった場合もあります。
CGW:自分も専門学校で30人のクラスと2人のクラスを受けもっているのですが、それぞれメリット・デメリットがあると感じています。少人数クラスならではのモチベーションの保たせ方について、何かコツはありますか?
和田:メンターとお子さんの信頼関係に加えて、子どもたちそれぞれの課題設定が大事になってきますよね。そのためモチベーションが低い生徒に対しては、いきなり何かをやらせるのではなく、その子が一番やりたいことや、好きなことをちゃんと聞いて、目標設定をすることが大事かなと。その上で、だんだんモチベーションが上がってきて、制作に取り組めるようになっていったら、他の人と繋げていくような順序があるのかなと思いますね。
CGW:まさにメンターのファシリテーション能力が重要ですね。ただ目標設定について、学生でもなかなか言語化が難しいところがあります。小学校低学年の子から、上手く「自分のやりたいこと」を聞き出す上で、コツはありますか?
和田:難しいですね。最低限、お子さんの声をちゃんと聞く、尊重して聞くというところは、どのメンターにも強調しているところです。90分授業がある中で、最初の10~15分ほど時間を取って、今日やることを個別に話していく時間を取るんですね。ただ、対面だったら口頭でできることでも、オンラインだと会話が......特に低学年のお子さんは難しいところもあります。そのときは事前につくりたいゲームの絵などを描いてもらって、それを見せてもらったりだとか。逆にメンターがタブレットに絵を描いて見せたりだとか。そういう視覚的なものも併用しながらコミュニケーションを取っています。
CGW:なるほど。絵を描かせるというのは、良いやり方ですね。
和田:特に低学年のお子さんには有効ですね。そんなふうに描いた絵を基に、メンターが「今日はこれこれこういうことをやろう」、「この主人公の動きをつくろう」といった具合に、コミュニケーションを取っているところはあります。
CGW:学生は得てして自分の力量がよくわかっていなくて、グループ制作などで風呂敷を広げたがる傾向にあります。そこでたいてい失敗するんですね。まあ、失敗するのも経験だと思うんですが、そこでモチベーションが折れては逆効果です。何か良いやり方はありますか?
和田:確かに、いきなり『マインクラフト』みたいなものをつくりたいだとか、すごい世界観のものをつくりたいなどと、よく子どもたちは言ってきます。そんなときでも上手いメンターは、具体的に『マイクラ』のどの部分が好きなのかを聞き出して、要素を細分化して、そこだけをゴール設定にするというやり方をしていますね。
CGW:そこは自分も真似していきたいですね。ちなみに大学や専門学校では、常勤の講師はまだしも非常勤だと、講師同士で横の繋がりがあまりなかったりします。メンター同士のつながりや、メンターをフォローするしくみはありますか?
和田:そうですね。メンターが授業中で子どもたちを対応する一方で、授業全体をディレクションできる社員スタッフがチャットの方で常駐しています。授業を進める上で困ったことがあったら、チャットベースでヘルプを求めることができるような体制になっています。
CGW:メンターにとっては、子どもたちとの信頼関係もさることながら、その背後にいる保護者の方との連携も重要になってきそうですね。
和田:授業の最後に必ず、保護者の方にカメラに映っていただいて、授業内容の共有を行う時間を設けています。1人ずつ、この子は今日はこういうところを頑張っていたとか。次回はこんなことをやる予定だとか。そういったコミュニケーションを取っています。
CGW:保護者にもいろんなタイプがいそうですね。上手くメンターと二人三脚で子どもをサポートしていける保護者もいれば、そうではない方もいると思います。保護者の立場からすると、メンターとどういった関係を結べるようにしていくと良いのでしょうか?
和田:お子さんの成長は、保護者の協力なしには支援できないのが事実です。そこ上手く協力関係が結べるように、お子さんに対する関わり方を、保護者の方にも常にお伝えするようにしています。 例えば、私たちはお子さんが「自分でできるようになること」を重視しているので、答えをすぐに言わずに、すごく待つんですね。じっと待ってみて。その子が失敗するところも見て。そこから成功に導くといったことをやっています。 ただ、親御さんの中には、目の前で子どもができないと、かわりに自分がやってあげたくなることがあるんですね。そんなときには、お子さんが失敗しても良いから、自分でできるようになることが大事だという意図を説明した上で、もう1回お子さんにやり直してもらったり......。そういった関わり方をしています。
CGW:主役はお子さんだということですね。お父さん、ちょっと待って、というか。
和田:そうなんですよね。特に教室とちがって、ご自宅ではお子さんの手元が見える分、その傾向が強いようです。
CGW:そんなふうに、どんどん前のめりになってくる方もいらっしゃると思うんですが、その一方で、何もわからないので先生全部お願いしますみたいな方も多いのかなと思います。
環境の変化に伴い自ら卒業していく受講者たち
和田:子どもたちが何をやっているかまったくわからない、という保護者の声を聞くという話は、メンターから良く耳にします。プログラミングにしろ、3Dモデリングにしろ、専門領域ですからね。そのため、今やっていることのどの部分がすごいのか。どの部分が子どもが一番こだわってつくったポイントなのかを、専門的用語を排して、わかりやすい言葉に置き換えて説明したり。ときには、お子さん自身から保護者の方に伝えてもらったりしていますね。
CGW:メンターの指導や、メンター向けのカリキュラムの作成は、お子さん向けのカリキュラムと同じくらい、あるいはそれ以上に重要になりそうですね。オンラインならではのチェックポイントであったり、メンター向けのカリキュラムを作成するときに重視されていることはありますか?
和田:いろいろありますが、画面のレイアウトはそのひとつですね。1台のPCで、Scratchも教材もビデオチャットも全部表示させようとすると、けっこう大変じゃないですか。そのため、適切なウィンドウ配置について、全員がちゃんとレクチャーできるようにトレーニングしています。
CGW:実際、Unityだと色んなレイアウトがありますね。
和田:そうなんですよね。それが揃っていないと、教材とPCが揃っていても難しいですからね。授業に入る前に、必ず全部できるようにしています。
CGW:メンターの採用と育成ではどのようなことをされていますか?
和田:基本はOJTになりますが、毎回授業の記録を取るように指導しています。今回やったことと次回やることだけではなくて、個々のお子さんが中長期的にどういう目標があって、そのために今日何をやったか、というようなことですね。例えばオリジナルゲームをつくる、といった目標があって、それに対してやることは何かを擦り合わせ、その上で次回やることを決めるなどです。この記録をきちんと取ることで、目標設定の精度を高めていくような指導をメンターにはしています。
CGW:つくりたいものを子どもたちが自分で決めるということは、終了条件も自分たちで決めるということですよね。何をもってお子さんたちはLITALICOワンダーを卒業されるんでしょうか。
和田:本当にそこは、個々のお子さんにおまかせしています。見ている限りだと、LITALICOワンダー以外の場所でも技術的なコミュニティに所属してモノづくりをするようになると、卒業も近いのかな、などと思います。一方で小学校から中学校という風に、ずっとLITALICOワンダーでプログラミングを続けているお子さんもいます。また、専門的なことをもっと学びたいから、より上級の学校に進学するようなお子さんもいますね。そんな風にして、徐々に離れていくというか。
CGW:自分の環境が変わることで、節目が生まれてくるということですね。平均でどれぐらいの期間、続けられるんでしょうか?
和田:人によってバラバラなんですが、多くの方は2年くらい通われます。長い方だと4~5年通われていますね。
CGW:2年でどれくらいのアプリやプログラムがつくれるようになりますか? 和田:開始時の学年にもよるんですが、高学年であれば2年もあれば、Scratchでまったくの初心者から始めて、Unityである程度は作れるくらいになります。4年ぐらい通うとゲームをアプリ化したり、チームを組んでU-18向けのコンテストに出場したりします。
CGW:Scratchに比べてUnityはデバッグが大変ですよね。何か良いデバッグのやり方はありますか?
和田:そこはまだまだ改善の余地があるところですね。子どもたちにデバックをさせる上で、どういう手順で問題解決をしていくのかみたいなところは、これからつくっていくのかなと思っています。モチベーションが折れやすいところでもありますし。ずっとデバッグに取り組めるお子さんもいれば、もうダメだ~みたいな感じのお子さんもいるので。ただ、自分で取り組む力や、自分で解決する力を身につけるチャンスでもあるので、良いやり方を考えたいですね。
CGW:メンターがデータを引き上げて、自分でデバッグして、子どもたちに戻すといったこともあるのでしょうか?
和田:そういうときもありますね。ただ、その際も単にデバッグされたデータを渡すのではなくて、原因をきちんと説明したり、解決策について話し合ったりしています。いきなり答えを言うようなかたちで戻すことはありません。
CGW:ワンダーメイクフェスのように、オンラインコースだけの発表会や、参加者同士のコミュニティをつくったりする予定はありますか?
和田:まだ具体的には決まってはいませんが、オンライン上での発表の場みたいなものは、お子さんにとってもすごく価値があるので、やっていきたいと思っています。作品を投稿するだけのオンラインコンテストのようなものであれば、実際にイベントを行うよりも短い期間でできると思うので、実際に発表する場と、コンテストみたいなものを、あわせて検討したいなと思っています。
子どもにあったオンライン授業を選ぶ
CGW:対面形式の塾やプログラミング教室がどんどん増えています。その中でオンラインに移行していくものも増えていますし、最初からオンラインのものもあります。対象もお子さんから社会人の学び直しまで本当に幅広いですよね。
和田:そうですね。
CGW:しかもビデオ会議システムで行うものもあれば、動画教材中心のものもあって、本当に多種多様だと思うんです。ただ、なかなか外から見てるとよくわからないのも事実です。こうした現状をどういうふうに見ていらっしゃいますか?
和田:仰るとおりで、今までオンラインコースの受講を通して、保護者の方からお話を聞く中で感じているのが、オンライン授業といっても多種多様なのに、ひとくくりにされがちなことなんですよね。一斉配信の講義型のものもあれば、Webサービスで完結するようなものもあって。その中でも弊社はビデオ会議システムを使って、対面型でやっている訳なんですけれども。
CGW:それぞれ長所と短所がありますよね。
和田:そうですね。我々のような対面型だと、時間が固定にはなりますが、わからないときにすぐに聞ける良さがあります。また、最初の環境設定でつまずいたときでも、ちゃんとサポートしてもらえます。そのため、より初心者から始められる部分があるのかなと思います。 他に、よりリアルに近いコミュニケーションが取れる点も大きいかなと思いますので。そんなふうにサポートの手厚さや、コミュニケーションを含めて重視される方であれば対面式をオススメしたいです。
CGW:逆に決まった内容を切り出してパッケージにまとめて、動画教材にするといったことも、ひとつの考え方としてありかなと思います。
和田:何か良い方法があれば今後、試していきたいと思います。ただ、弊社ではお子さんにあわせてオーダーメイドで授業を提供していくことをすごく大事に思っているので、そこに反しないかたちであれば。例えば先に動画教材を配信して、後から個別対応するような、いわゆる反転授業の形式ですよね。そうしたアイデアを組み合わせることで、授業の体験を向上させていけるようなものであれば、取り組んでいきたいなと思っています。
CGW:確かに反転授業はプログラミング教育に向きそうですね。他に何かコメントなどはありますでしょうか?
和田:他の形式とちがって、弊社のような対面形式は、実際に体験してみないと良さがわからないところがあるんですね。そのため、もし興味があれば一度、お子さんと一緒に体験授業に挑戦していただければと思います。特にオンラインでは教室に行かなくてもいいので、ハードルが下がるのかなと。公式サイトからお申し込みいただけます。
CGW:ありがとうございます。まだまだコロナ禍で教育機関の混乱が続く中、本日は学校の授業づくりや企業のオンライン研修などに応用できそうな話をたくさんいただきました。今後の展開を楽しみにしております。
小野憲史
重要なのは子どもたちとの信頼関係と目標設定 ~オンラインに拡張するLITALICOワンダーとコロナ禍でのプログラミング教育
〔2020年7/22(水) CGWORLD.jp〕

周辺ニュース

ページ名 [[ ]]  (  )
人見知りする赤ちゃん、しない赤ちゃん 人見知りする赤ちゃん、しない赤ちゃん 生まれながらにもった性格が影響 人見知りする赤ちゃん、しない赤ちゃん。人見知りは生後6~12ヵ月の間に起こる反応です。ただし、どうしても「生まれながらにもった性格」があり、たとえ同じ環境・状況で育った双子でも、人見知りの度合いには違いが出てしまいます。 それでも、「環境」が性格に及ぼす影響は大きなもの。人見知りが強いというのも個性ではありますが、「人に慣れる」というのはさまざまな面で大切になってくることです。 それまでは誰にでも抱っこされていた=誰なのかよくわかっていなかった 誰にでも抱っこされていた赤ちゃんが、急に人見知りを始め他人に拒否反応を示すようになると、まわりの大人も動揺してしまいますね。この子は人のことが嫌いなのでは、協調性がないのでは、と心配になるかもしれません。

しかし、本来赤ちゃんは、立体的で刺激があるものが大好き。ただ、「いつもと違う」という違和感を覚える力が強くなったということなのです。誰にでも抱っこされていた時期は、その「違い」を認識する力がまだ足りなかっただけ。人見知りは喜ぶべき成長の証だと言えます。 大切なのは「他人との距離感」、向き合って会話できる距離に慣れさせよう 重要なのは、ママやパパが他人と話すときの距離感を、赤ちゃんにも頻繁に体験させることです。とはいえ、毎日公園や児童館に行くのは大変なこと。日々の生活の中でできる人とのふれ合いを大切にしましょう。

たとえばお店で買い物をするにしても、向き合って会話できる距離を保ちます。お買い物中ずっとがんばる必要はありませんが、まわりが見える体勢で抱っこするのもいいことです。ベビーカーや、顔が内側に隠れる密着型の抱っこひも、フェイスカバーの利用は、人がいるところでは避けてみましょう。レジでの支払いもいいチャンス。お金を出すのは少し大変ですが...。 最初は泣きだすこともあるかもしれません。でも、諦めずに。ゆっくりでいいのです。 また、赤ちゃんは人に会うだけでも相当のパワーを使います。よく休ませ、しっかり食べさせてあげること、外に出られるよう体調をベストに保つことも、この時期を乗り越えるには大切なことですね。

監修:榊原洋一先生 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授、小児科医。東京大学付属病院小児科医長として発達障害をもつ子どもの医療に携わりながら、発達のメカニズムを研究する。1990年より東京大学医学部講師を経て、現在に至る。

プロフィール ベネッセ 教育情報サイト 「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。 役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。

※この記事は「ベネッセ教育情報サイト」で過去に公開されたものです。 〔2020年7/22(水) ベネッセ 教育情報サイト〕


周辺ニュース

ページ名 「生きるための交換日記」プロジェクト  (医療のニュース、  )
未来の医療従事者1000人がつづる「生きるための交換日記」
7月24日、Z世代、ETIC.、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、NHKエンタープライズなどが協働して行う、
「ウィズコロナの世界をよりよい世界にHack=書き換えよう」を目指すプロジェクト「Hack the World」の開会式が開催される。
フォーブス ジャパンは制作協力として関わり、7月22日発売のForbes JAPAN 8・9月号で記事を掲載。
また、オンライン開催される開会式に登場する、4つの取り組みの詳細についてウェブ記事で紹介していく。
その第一弾が、一般社団法人「Inochi未来プロジェクト」理事の寺本将行が行う「生きるための交換日記」プロジェクトだ。
「あの人の応援があって、夢を信じたからこそ、いまの自分がある」
「あのとき、勇気を出して言った言葉が未来を決めた」
志を貫く力になるような、社会が励まし支えてくれた経験を、コロナ禍という先行き不安や恐怖の中でこそ行いたい。
それらを目指す、高校生や大学生を中心とした次世代医療者1000人以上による一つのプロジェクトがはじまる。
「生きるための交換日記プロジェクト」だ。
これからの医療を担う医療従事者の卵たち1000人以上の、夢や、コロナ禍における「生きる意味」などの思いを綴った日記を、スマートフォンアプリで集めていく。
テーマは、「変わり果てた日常。これからのinochiを守る僕らはいま何に生きる意味を見出すのか」「僕らの生きる意味がヘルスケアの未来を明るく変える」。
一般社団法人「Inochi未来プロジェクト」理事で、今回のプロジェクトの発起人である寺本将行は次のように話す。
「これからの医療を担う『未来の医療従事者』を支援する取り組みです。
コロナ禍で、医療従事者は、自分の命を守りながら、他人の命のことを考えないといけないという困難な局面に立たされました。
かつ外出規制の中、毎日のように出勤し、24時間、感染者の治療にあたるという大変な状況でした。
その状況下で、若い彼ら彼女らの『医療従事者になるという夢』に対して、『危険』という理由で周囲から反対されたという声も聞きます。
いまだからこそ、『誰かの命を守りたい』という夢を、コロナによって奪われないために、勇気を出して言葉にしてほしい。
そして、その背中を押す言葉を集めたいという思いからこの取り組みをはじめました」
同プロジェクトの特徴は、「世界初」(寺本)の、次世代の医療従事者を支援する、全国若者1000人の「同世代との交換日記」である点。
それとともに、理化学研究所の網膜再生医療研究開発プロジェクトの高橋政代、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科教授の澤芳樹、
東京医科歯科大学発生発達病態学分野教授の森尾友宏らといった社会を動かしている先人たち、ならびに現役の医療従事者が応援の声を記入して返す「社会との交換日記」でもある点だ。
「彼ら彼女らの純粋な思いが、20年後、30年後のヘルスケア社会を築き上げると思います。
未来の医療従事者を支援することが、命を守り続けるために最も大切なことだと思っています」(寺本)
寺本によると、現役医学部生、高校生をはじめ、すでに500名近くの日記が集まっているという。
現代版『緒方洪庵の適塾』
寺本がこうした「未来の医療従事者」への支援を行う背景には、彼のこれまでの活動がある。
寺本は大阪大学医学部医学科時代の2014年、若者の力でさまざまなヘルスケア問題の解決を目指す団体「inochi学生プロジェクト」を立ち上げた。
現在、寺本が理事を務める、医療者、企業、行政、市民、患者などで「みんなでinochiの大切さと未来について考え、行動するプロジェクト」の一般社団法人「inochi未来プロジェクト」と連携している。
「世界で初めて、VR(仮想現実)とAED講習を掛け合わせて関心がない層にも知らせる目的の『AED360°プロジェクト』や、2025年の大阪万博誘致に向けた『若者100の提言書』などを行ってきました。
そして毎年、「inochi学生フォーラム」を開催してきました。
医療×異能人材を生む、現代版『緒方洪庵の適塾』を目指しています」(寺本)
「inochi学生フォーラム」は、ヘルスケア問題の課題解決型実践プログラム。
現在、inochi Gakusei Innovator’s Program(iGIP)へと名称変更した。
毎年、一つの医療・ヘルスケアの課題をテーマに選び、ヘルスケアを志す中高生の参加者チームに対して、特別講義やワークショップ、大学生のメンタリングをし、
それぞれの地域コミュニティで各自のプランを実行、成果を発表する一連の取り組みだ。
20年のテーマは「発達障害」。これまでも「心臓突然死」「自殺」「認知症」などで行ってきた。
日本を含めて7カ国、計600名以上が参加し、合計150を超える課題解決アイデアを創出してきた。
「パラオ共和国での疫病研究経験で、病院内だけでは解決できない問題に直面しました。
これからは病院の“外”でのヘルスケアによる課題解決策も必要になります。
私は『予防医療3・0』と呼んでいますが、『民主化されたテクノロジー』と『コミュニティ・リーダーシップ』が掛け合わさることで、
医療のイノベーションが起き、実現できることが多くなると思っています。
そうした課題解決志向の次世代の医療従事者人材の育成に携わる過程で、中高生に投資をすることの必要性を感じてきました。
今回の『交換日記』プロジェクトも、『未来の医療従事者』の可能性とその必要性を感じているからこそ、はじめたいと思いました」(寺本)
寺本自身は現在、大阪大学医学部にて疫病研究を続けている。
それ以前の19年にはWHO(世界保健機構)本部で世界のウェルビーイング政策レビューに従事。
20年9月からは、ハーバード大学公衆衛生大学院入学予定だ。
そして「inochi未来プロジェクト」では、医療者・企業・行政・市民・アカデミア・患者と皆で一緒になって命を守る社会の仕組みをつくるという価値概念「inochi CSV」を提案し、
ブロックチェーンやxRを用いた具体的な取り組みも行っている。
「私の志は、医師を志した時から一貫して『いま救えない命を救うこと』。
ただ、そのためには、一つのアプローチだけでは変えられません。グローバルでの活動、地域での活動、医師としての活動ーー。
それぞれが重要で、かつ、いかに多くの人たちとともに取り組み、その力をつないだり、助けを借りることで、実現できるか。そんな挑戦をしていきたいと思っています」
寺本も登壇する7月24日「Hack the World」の開会式は、こちら。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使を務めるMIYAVIをメインパーソナリティに招き、自らの意思で世界を書き換えようと行動する「Vision Hacker」たちとトークセッションを行う。
Forbes JAPAN | magazine
〔2020年7/23(木) Forbes JAPAN〕

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先生たちの負担 学校の働き方改革、どこ行った?コロナ禍で増える先生たちの負担、ビルド&ビルドをやめよ 授業は1日7コマ、授業のあいまの短い休み時間と放課後に大量の丸付けと添削。気になる子の保護者と電話でも相談。 勤務時間前からの消毒作業が当然のことのように入り、放課後も職員みんなで手分けしても広い校舎を掃除して消毒、30分はかかる。 「感染症対策やってますよ」とアリバイをつくりたいのか、書類作業も増えた。

部活動はコロナ前の熱血指導に回帰。「土日どちらかは休みにせよ」と自治体のガイドラインにもあるけれど、保護者主催の体にして、両日やるときも。 夏休みは言えば、大幅短縮で1週間ほどになり、疲れが抜けない・・・。あるいは名目上は2週間の夏休みだが、補習や模試などもあって、実質休めるのは1週間もない。生徒は休みでも、先生はGo To Schoolですか。 ひょっとすると、読者の近くにいる学校(小中高)の先生のなかには、このような日々を送っている方もいるのではないでしょうか。もちろん全国さまざまですし、校種によっても異なりますが。

■働き方改革、どこ行った? 多くの学校で共通していることとして、コロナ前はあれほど「働き方改革」と言われてきたのにもかかわらず、「災害時だから仕方がない」、「児童生徒のために、やらざるを得ない」、「休校中の遅れを取り戻せ」ということで、なし崩し的に、教職員の業務負担が増え、健康・福祉がなおざりな状態になっています。 わたしは、数多くの先生たちの過労死や過労自死、メンタルヘルス不調を調査、取材してきましたが、コロナ禍でさらに事態は悪化している、と見ています。とても心配です。 もともと(コロナ前から)学校や教育行政は、スクラップ&ビルドがとても苦手です。「子どものために」という殺し文句のもと、ビルド&ビルドで、仕事が増えています(次の図)。諸外国と比べても、日本の先生ほど、多種多様なマルチタスクにこなしている人たちはそういません。たとえば、外国もいろいろありますが、部活動や進路相談、カウンセリングは別のスタッフだったりします。日本の先生たちは、授業だけしておけばいい、なんてことはありません。しかも、土曜授業をはじめとして、その授業に関連する負担も増えています。

■先生の仕事にトイレ掃除も入る? 一度、県庁や市役所の職員さんにもお尋ねください。「新型コロナで日々の業務が増えて、大変ですよね。で、トイレ掃除はやられていますか?」 おそらく、よほど財政難など理由がある自治体を除いて、県庁等の職員がトイレやエントランスなどまで掃除をしている例は少ないだろうと思います(データを取って確認できているわけではありませんので、断言はできませんが)。おそらく、コロナ前から専門業者やシルバー人材センター等にアウトソーシングしていたものが、今回も拡充されて、回数を増やしたり、消毒もお願いしたりしているところも多いだろうと思います。

学校だけです。教職員(教員だけの問題ではありません、学校事務職員などほかのスタッフも含めて)にトイレ掃除や消毒作業までさせているのは。わたしは、コロナ前からも児童生徒を使って掃除させているのも、どうかと思って、見直しを提案しておりましたが。 次のデータは参考になるかもしれません。学校再開後の6月にわたしのほうで教員向けアンケート調査を実施した結果です。 公立小中高では、8割以上の先生が、消毒や清掃に従事しています。とりわけ、国の制度で児童生徒数のわりには教員数が少ない小学校では、「従事していない」という回答はわずかですし、消毒に30分以上かかっている小学校も約3割にも上ります。知人のある小学校長は、自身もトイレ掃除をしている、と言っていました。

小中では、事務作業もかなりありますし(コロナ前より増えたかはこの調査では判明しません)、登下校指導に付き添っている例も多いです。 小学校の先生の典型的な1日をお伝えします。 仮に、消毒、清掃、事務作業、登下校指導に1日それぞれ30分かかっていたら、合計で2時間になります。それとは別に、朝の会や帰りの会(学級活動)、それから、もちろん授業もありますので、担任の先生たちは、だいたい朝8時過ぎ~15時か16時くらいまでは、子どもたちに付きっきりです。

勤務時間の終わりまで、1時間~1時間半くらいしかありません(ほんとはいけないことですが、休憩時間を取らないとしても)。1時間~1時間半で、さきほどの2時間は収まりませんね。しかも、プラス授業の準備や宿題等のチェック、コメント書き、気になる子や保護者のカウンセリング、行事等の準備などなど、仕事は山積みです。 そもそも、勤務時間のなかで、収まる仕事量ではないのです。簡単な算数の問題です。ここがコロナ前からも学校の働き方の大問題でした。が、前述のとおり、コロナ禍のなかで、事態はさらに悪化している学校もあります。

■残業の見えない化 さらによくないのは、「時間外は月45時間以内にしないといけないから」とか「時間外が多いと、教育委員会から怒られるから」と言って、タイムカードを押したあとも、時間外や持ち帰り仕事が続いたり、校長や教頭から早く帰れというプレッシャーばかりが強くなったりする始末。 これでは、見かけだけの、やったフリをする働き方改革ですよね?だれも楽しくないですし、「残業の見えない化」が進むことで、教育委員会や校長は変に安心しちゃうわけです。「本校は働き方改革を進めまして、以前は21時過ぎても明々としていましたが、いまは20時前にはみんな帰っています」と胸をはる校長等が出てきます。問題を過小評価させてしまいます。

■労基法違反が当たり前 先日の毎日新聞(7月7日)では、ある小学6年生の担任に密着した記事が載っていました。多忙に拍車がかかった様子をよく描いていて、放課後に消毒作業を終えたその先生がつぶやいた一言が「僕、きょう、水分取りましたっけ?」。休憩、休息もほとんどない状況なのです。

公立高校に務めるわたしの知人も、昨日は夕方にやっとおにぎり(お昼ご飯)をほおばったと述べていました。 長時間労働も大問題ですが、労働の長さだけでなく、質にも注目していく必要があります。過密労働も深刻です。 2016年の教員勤務実態調査という国の大規模調査でも、教諭の休憩時間は1日3~4分程度しかないことが確認されていました。実は2006年調査のときも休憩がほとんど取れていないことは判明していました。この15年あまり、この状況はまったくと言っていいほど、改善されていません。しかも、コロナ禍で悪化している可能性も高いです。

学校はノンストップ労働が当たり前になってしまっているのです。これは明らかに労働基準法違反でもあります。(ちょっと専門用語を入れますが、ここの労基法の規定は、給特法は関係ないので、公立学校の教員にも適用されます。)

■ビルド&ビルドはやめよ こうした「過密過重労働」の日々で、なおかつ、新型コロナのことや熱中症のこと、あるいは、いじめ問題などで先生たちの気は張り詰めたままでは、近いうちに「ぶつん」と切れてしまう人が出てきても、不思議ではありません。 文科省は6月下旬にメンタルヘルスについて注意喚起する通知を発出しましたが、内容は、はなはだ踏み込み不足だと思います。 国も教育委員会も、過密過重労働に耐えてきた人たちが幹部になっているからかもしれませんが、人間はサイボーグではないし、もっと繊細でフラジャイルです。

文科省の支援と働きかけについても言いたいことは山ほどありますが、教育委員会や学校にぜひ行動してほしいことがあります。ここでは3点に絞って提案します。 第一に、教職員の専門性等が関係ない業務は、手放せるようにしたいです。本稿で述べた、消毒、清掃、登下校の見守りなどです。部活動も部活動指導員さんに来てもらったり、地域主体にしていく方向を模索したり、あるいは大会等を目指さない、ゆるい部活動運営にしたりする(「ゆる部」と呼ばれています)のも、選択肢です。 こうした業務は専門業者や地域の方等にお願いして、教職員は本来業務にもっと集中できるようにしていくべきですし、先生たちの空き時間を少しでも確保していくことが肝要と考えます。

掃除などについては、学校だけが予算を取らずに、教職員と児童生徒の「無償労働」に甘えていいわけがありません。教育委員会はぜひ予算獲得に動いてほしいですし、首長や議会の関係者はぜひ応援してください。 外部や地域の人を入れると、感染リスクが高まるという声も聞きます。地域の感染状況が危機的ならその心配はまだ理解できますが、教職員が掃除等をしているから、感染リスクがない、なんてこともありません。むしろ、疲れて免疫力の落ちた人が集まる職員室なら、感染リスクは高いのではないでしょうか。できうる感染対策は講じたうえで、外部の力を借りるべきです。

第二に、わざわざ、教職員の仕事を増やす施策はやめてもらいたい。必要性が高いものがあるなら、別のものをスクラップしてほしい。

1日7限目までとか、土曜授業はよく考えてほしいと思います。かたや、教員採用では教職の魅力をPRしようとして、その一方で、土曜も休みなく働かせ続けるのは、矛盾していませんか?子どもたちも疲れています。 学校によっては、授業動画づくりを再開後も課しているところがあります。ICTの活用はどんどん進めてほしいのですが、ICT活用は通常の授業や家庭学習で推進すればよいのであって、放課後に動画づくりをすることに優先度が高いとは思えません。その時間があるなら、授業準備を深めたほうがよいと思いますし、たまにはリフレッシュできる休養を取りましょう。あまり負担のないかたちであれば、授業風景を撮影して、不登校の子向けに配信したりすることはできればよいと思いますが。

第三に、児童生徒向けの相談窓口の周知を徹底してほしい、と考えています。子どもたちの悩みにしっかり耳を傾けてくれている先生は多いとは思いますが、はっきり申し上げて、忙しく見える人には相談しづらいもの。躊躇する子もいるのではないでしょうか。

コロナ禍で子どもたちのストレスも高まっています。SOSをキャッチできる仕組みは重層的に用意しておくべきです。 ほかの政策、支援も申し上げたいですが(よかったら、参考文献などをご覧ください)、最低限、この3点は検討されてはいかがでしょうか。子どものためといって、教職員の負担を増やす一方では、倒れる先生が出る可能性が高いですし、授業準備が十分にできない先生が増えます。そうなると、子どもたちに影響します。このままの学校では、子どものためにならないかもしれない、そこを忘れないでいてほしいと思います。

(参考文献)

神林寿幸『公立小・中学校教員の業務負担』(大学教育出版)

妹尾昌俊『教師崩壊』(PHP新書)

妹尾昌俊『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)

★関連記事

●このままでは、メンタルを病む先生は確実に増える 【行政、学校は教職員を大事にしているのか?(3)】

●週休3日の企業も増えているのに、学校は週休1日?【行政、学校は教職員を大事にしているのか?(2)】

●妹尾の記事一覧

https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/ 妹尾昌俊 教育研究家、学校・行政向けアドバイザー

徳島県出身。野村総合研究所を経て2016年から独立し、全国各地で学校、教育委員会向けの研修・講演などを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文科省、埼玉県、横浜市等より委嘱)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員、岐阜市公教育検討会議委員等を歴任。合同会社ライフ&ワーク代表、NPO法人まちと学校のみらい理事。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』、『教師崩壊』、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法』、『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』など。4人の子育て中。 〔2020年7/22(水)妹尾昌俊 教育研究家、学校・行政向けアドバイザー〕


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中川翔子 中川翔子 母の店が閉店していた…コロナ禍に決断、6月末で幕 Copyright (C) 2020 Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved. 店のなかには人の気配はなかったが、《会員制》と書かれたドアには、店名のイニシャルをモチーフにした飾り文字がまだ残っていた。

「会員制クラブ“M”がクローズしたのは6月末のことだと聞いています。緊急事態宣言以降、私も通うことはできなかったのですが、桂子ママの底抜けに明るい笑顔を見られなくなるのは、やっぱり寂しいですね」 そう語るのは、Mをときおり訪れていた出版関係者だ。 緊急事態宣言が解除された後も客足が戻らず、全国で飲食店の閉店や倒産が相次いでいる。港区内の飲食店ビルの一室で営業していたMが歴史に幕を下ろしたのも、コロナ禍のためだったという。

Mを経営していたのは“しょこたん”ことタレント・中川翔子(35)の実母・中川桂子さんだった。 「しょこたんのお父さんで歌手の中川勝彦さんが白血病で亡くなったのは26年前の'94年。まだ9歳の娘の行く末が心残りだったことでしょう。夫の死去後、桂子さんは飲食店の仕事で、母娘の生活を支えたのです。桂子さんが港区内のビルに店を構えたのは十数年前、お客には芸能人やマスコミ関係者も多かったです。亡き勝彦さんの知人もいましたが、桂子さんの人柄に引かれて通っている人がほとんどでした」(前出・出版関係者) 26年間、母娘2人で支え合って生きてきた中川と桂子さんの絆は強い。 「'06年に開催されたしょこたんのファンクラブイベントには、スペシャルゲストとしてお母さんが登場し、モー娘。の曲を2人で踊りながら歌ったそうです」(芸能関係者) 本誌インタビューで、中川は桂子さんについてこう語っている。

■女手一つでフロリダのディズニーランドへ… 「小学3年生のときに父が亡くなってからは、母が1人で働いて育ててくれました。決して裕福ではないなか、16歳のときには、フロリダのディズニーワールドへ連れていってくれて……」('19年9月17日号) 毎年“貯金をはたいて”、母娘で旅行を楽しむことが、中川家のルールだったのだ。中川は少女時代に、いじめを受けて不登校を経験するなど、苦悩の日々を過ごした。繊細な中川にとって、母が働いている店は、ずっと居心地のいい場所でもあったようだ。Mの客たちはこう証言する。

「翔子ちゃんが20歳ごろだったかな、お店で何か勉強をしている姿を見たことがあります」(テレビ局関係者) 「しょこたんがまだ有名でないころ、よくMに来ていました。店では無口なんだけど、お母さんに誘われてアニメソングをカラオケで歌ったりね。ブレークしてからも、ときどき遊びに来ていましたから、彼女にとってもMは思い出深い店のはず。クローズはつらいでしょうね」(前出・出版関係者) なぜ桂子さんは、愛着も深いMを閉めることを決意したのだろうか? 電話で取材を申し込むと、ためらいながらも記者の質問に答えてくれた。

■「お客さんを感染させたら申し訳ない…」 「そうですね、店を閉めたのは事実です。今年3月から休業しており、そのまま6月末に(部屋の賃貸)契約を終了しました。理由ですか? お客さんが来なくなってしまって、経済的にいきづまってしまったから、ということではありません。 5月ごろからでしょうか、今後、お店をどうしようか迷い始めたんです。新型コロナウイルスの問題は長期化するかもしれないし、お店を再開したとしても、万が一お客さんを感染させてしまったら申し訳ないって……。 うちのお客さんは昔から通ってくださっている方たちが多いのです。閉めるのはつらいけれど、家族のような人たちの健康や命には代えられません。もしそういったことが起こったら、翔子にも迷惑をかけますしね」

――翔子さんもときどきお店に遊びに来てくれたそうですね。 「私の誕生日には駆けつけてくれました。夢を売るお仕事なので、“永遠の29歳”です。いまでは娘より年下ですよ(笑)。閉店のことを翔子に伝えたときは、ねぎらってくれました。『残念だけど仕方がないね。ママ、長い間、本当におつかれさまでした。コロナが落ち着いたら、おつかれさま会をしなくちゃね』って」

――今後のご予定は? 「長年働いてきましたから、いまはちょっと休もうかと思っています。ただ安全に旅行ができるようになったら、娘と2人で出かけたいですね。ハワイとか、国内の温泉とか……」 長年守ってきた店の幕引きに、少し気落ちしている様子の桂子さんだったが、娘との旅行の話題になると、声にも明るさが戻ってきた。中川家のルールだった毎年の旅行は、いまも母娘の“元気の源”なのだろう。 「女性自身」2020年7月21日号 掲載 〔2020年7/7(火) 女性自身〕

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山本太郎の都知事選 【都知事選】山本太郎の応援を「続ける人・続けない人」の声から見えた“課題” '20年6月下旬、都知事選に向け街頭演説を行う山本太郎 「生きててくれよ! 死にたくなるような世の中、やめたいんですよ」 昨年7月の参議院議員選挙では、世間にこう訴えた山本太郎氏率いる「れいわ新選組」が台風の目になった。私は支持者たちへの取材を重ねるうち、貧困・格差など今の社会を覆う“生きづらさ”が、れいわ支持の背景にあると知った。あれから1年。「総理をめざす」と言ってきた山本氏が突如、東京都知事選に立候補した。昨年同様の旋風を巻き起こすのか。巻き起こせていないとしたら、何が足りないのか。1年前に取材した支持者たちに現状の思いを聞いてみた。

「この人ならやってくれる」と40代女性 「とにかくワクワクしています。久しぶりのワクワクです。1年ぶりですよね」

そう語るのは東京都江戸川区に住む40代、岩井さゆりさん(仮名)だ。6月20日に5000円をれいわに寄付した。都内に住む友だちへの「声かけ作戦」にも力を注いでいるという。 「私のまわりには政治に関心を持っていない人がたくさんいるんです。その人たちに太郎さんの動画を紹介しています。選挙前に会える人の数は限られていますが、ひとりに理解してもらえたら家族や友だちにも広がります」

35歳で夫と離婚して以来、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。現在は飲料関連の職に就く。一応、正社員ではあるが収入は手取りで16万円。家賃など生活費でそのほとんどが消える。 政治に関心をもったのは昨年5月。山本氏が演説で「あなたが頑張ってこなかったワケじゃない」と語りかけるのを聞き、涙した。数千円を寄付し、十数年ぶりに投票所に足を運んだ。 最近、改めて“生きづらさ”を痛感したのが、新型コロナウイルスだ。感染が広がる最中も岩井さんの仕事は休みにならなかった。家計面では安心だが、そうすると今度は感染が怖かった。出勤には電車を使う。満員電車で誰かの咳にビクン、と反応してしまう。周囲の目が気になって、ため息ひとつつけない。神経を削られる日々だった。

「仕事があるだけマシだから贅沢(ぜいたく)なことは言えません。でも、やっぱり感染は怖いんです。貯金はほとんどないし、生きるためには働かなきゃいけない。“ステイホーム”と言われても、見合った補償がないんだから無理です」

大企業のサラリーマンたちはテレワークなどの準備も整っているのだろう。「未知のウイルスといっても、特に苦しむのは結局ギリギリの生活を送っている人だ」と岩井さんは思った。 そんな状況下での都知事選である。山本氏は街頭演説で、新型コロナ困窮者支援の経験談を話す。所持金ゼロで路上にたたずむ人、支援を申し出ると「私なんかが支援してもらっていいんですか?」と問い返す人……。出会った人びとを紹介し「いま、目の前で困っている人たちをすぐに底上げしたい」と訴えた。

「弱者を救おうという姿勢が揺るがない。この人ならやってくれると思えてきます。都知事選に立候補したのは確かに驚きました。でも、苦しんでいる人を見ると黙っていられない太郎さんの性格を思えば、その決断は理解できます」

「この夏も山本太郎を応援する」と答えた支持者は少なくない。一例を紹介したい。

《野党共闘を目指しながらも「消費税5%」は譲らず、黙々と全国街宣を続けた。軸がぶれず、熱も冷めず、頼もしく感じている》(東京都の60代男性) 《次の衆院選まで待つよりも、いま苦しんでいる人を救うために行動した点がすばらしい。食品関連会社に勤めているが、コロナで休みが増え、給料が減った。取引先では閉店が相次ぎそうだ。ケガに例えれば、大量出血している人がたくさんいる。急いで止血が必要だ。投票権はないが、寄付はもちろんする〉(千葉県の40代男性)

《都内でポスター貼りなどをしています。宇都宮健児さんを応援するつもりでしたが、困った人を助けたいという信念だけで立候補を決めた太郎さんを、やはり応援しようと決めました》(神奈川県の60代女性) 課題や違和感を指摘する声も 一方、心が揺らいでいる人もいる。都内在住の20代、岡本次郎さん(仮名)は「正直、迷っています」と答えてくれた。

岡本さんはバイセクシュアルだ。そのことを友人にバカにされ、不登校になった経験がある。れいわ新選組は昨夏、重度障害がある木村英子氏と難病を抱える舩後靖彦氏を国会に送りこんだ。弱者もマイノリティー(少数派)も生きていていい、という山本氏のメッセージだと感じた。 ところが、参院選後は少しがっかりした。

「次の衆院選の候補者を公募し、顔ぶれを発表しましたよね。それを見て“参院選のときと違って当事者性が薄いな”と感じたんです」 参院選におけるれいわ新選組の候補者は、何かしらの問題における「当事者」だった。上述の2人に加え元非正規・シングルマザーの渡辺照子氏や、コンビニオーナーだった三井義文氏らだ。「当事者の立場から社会を変えよう」という思いが伝わってきた。

「でも、衆院選の立候補予定者を見ると、元政治家や元スポーツ選手など、ほかの政党と変わらないと感じました。うつ病を患っている人、性被害のサバイバー、外国にルーツを持つ方、そしてLGBTQの当事者など、多様な背景を持つ人たちを候補に選んでほしかったな、と思いました」

関東地方に住む60代、寺原京子さん(仮名)は、彼を今回は応援しないと決めた。 昨夏は「誰もが生きていける社会」の構築を望み、れいわに5万円を寄付した。しかし、1年間の山本氏の動きを見て気持ちが動いていった。「消費税5%」に乗れない野党を、必要以上に敵視しているように感じた。

「山本さんはとても純粋な方だと思います。国民を救おう、という理想は分かります。ただ、考え方が相容れない相手と『対立』の構図を作ってしまうのは、どうなのかなと。山本さんにはもう少し、人間的な包容力があるといいのではと思います」 SNSで一部の支持者が他党のシンパ(政治的思想における共鳴者)と「批判合戦」をしていることも耐えられなかった。争いごとに辟易(へきえき)し、距離を置きたくなったという。寺原さんはそう語ったうえで、自身の近況も話してくれた。 「要するに疲れてしまったんですね……」

感染におびえる日々が続いた。夫と公園を散歩してバラや藤の花を楽しむことができず、初孫にも会いに行けなかった。そんななか、政府の対策は迷走を続けた。PCR検査を受けられない人が続出。医療従事者たちはマスクやガウン不足で苦しんだ。アベノマスクは送りつけられたが、定額給付金の10万円はまだ届かない……。 桜を見る会や検察庁法改正の問題もある。現政権にはうんざりすることばかりだ。政治を変えなければ、と思う。だが、疲弊した心身には「闘おう」という気持ちがなかなか湧かない。いつだってファイティングポーズを見せるのが山本氏の個性であり魅力だが、ついていく元気が寺原さんにはないのだという。

「参院選のときは頑張ったんですけどね。いまは疲れて、ダメですね」

貧困・格差に対峙する姿への共感 以上、1年前のれいわ支持者たちの声を紹介した。ここからは、都知事選で見えてきた山本氏への期待と課題について考えたい。   「引き続き支持する」と答えた人の多くは、新型コロナで一層、深刻化した貧困・格差の問題をなんとかしたい、という山本氏の姿勢に共感をおぼえていた。 《2週間、路上で命を繋ぐ自信がある人います? 無理ですよ。盗むか、餓死するかしかないでしょ。総理大臣めざすと言ってたけど、目の前にそんなに苦しんでいる人たちがいるなかで“ちょっと待ってね、次の衆議院選挙で自分たちの議席をちょっとでも増やして”という話にはなんないですよ。もしも東京都の知事という座をつかめるならば、すぐにでも予算を投下できるでしょ。手を差し伸べられるでしょ》(6月16日、東京・北千住で行われた街頭演説より) 確かに、困窮する人々への支援は最優先で行われるべきだろう。そのことを語る山本氏の言葉と表情には、昨年と同じ熱量、本気さが見てとれる。

一方、参院選のときのようには熱心に支持できないと語る人もいる。それは、なぜなのか。都知事選に向けたこの夏の山本氏の演説には「大切な何かが足りない」と私は感じている。昨年の参院選を振り返ってみる。 ひとりで政治団体を立ち上げた山本氏は、全国各地で街頭演説を行い、わかりやすさと熱さを兼ね備えた言葉で、人々の心をとらえた。その勢いをさらに盛り上げたのが、候補者の人選だった。前述の渡辺氏や三井氏をはじめ、元東電社員で拉致被害者家族の蓮池透氏や、創価学会員でありながら公明党に反発する野原善正氏が選ばれた。さまざまな問題の当事者たちが上げる切実な声は、聞く者の心を動かした。

もっとも象徴的だったのが、ALS患者の舩後氏と重度障害者の木村氏だ。2人に特定枠(比例代表で、政党が当選者の優先順位をあらかじめ決めることができる制度)を使って優先的に当選させたことで、山本氏の「生きててくれよ!」は単なるキャッチフレーズではなく「存在しているだけで人間は価値がある」という信念がベースにあることが示された。これは貧困、障害、性の悩みなど、現代社会にはびこる生きづらさをカバーする普遍的な言葉だった。例えば「お金はあっても心が満たされない」といった、うっ屈とした思いを抱える人まで射程におさめた。 新型コロナの悪影響は「お金」に関することばかりではない。自粛できない人に向けられる非難の目。感染者への差別。未知のウイルスは“疑心暗鬼社会”を出現させた。人びとは友だちと会う機会を失い、ゴールデンウィークに帰省することもできなかった。特にダメージを受けたのが、もともとケアを必要としている人だ。介護施設の入居者は家族と面会できなくなった。生きていれば誰でも享受できるはずのサービスが「感染対策」を理由にストップした。生きづらい人びとが、さらに生きづらくなった。

困窮者への支援は最優先だ。しかし同時に、社会を新型コロナが襲った今こそ「存在しているだけで人間は価値がある」という根源的なメッセージが必要とされている。山本氏は、これをわかりやすく発する素地(そじ)を持っているはずだ。だが、この夏の都知事選では、そのメッセージがやや弱いように感じる。心が離れた支持者のなかにも、同様の思いを抱いた人がいるのではなかろうか。 個人的には、山本氏が都知事選に出ると知り「巨大都市・東京」を解体させる議論を引き起こすのではないかと期待した。日本社会の最大の課題のひとつが「東京への一極集中」だと思うからだ。東京に人もモノも集まっているのは事実だが、かと言って「都民がいちばん幸せ」というワケでもない。家賃は高く、満員電車はつらい。新型コロナの問題で都市型生活の脆弱さを実感した人も多いはずだ。

いま方向性として目指すべきは、東京を富ませることではなく“地方への分散”だと思う。昨夏のれいわ新選組も同じ方向性を持っていたはずだ。わかりやすい例が「最低賃金全国一律1500円」である。賃金格差が一気に縮まれば、地方住まいのハードルは低くなるだろう。当面は目の前で倒れそうな人々を全力で救う。そのうえで、東京の魅力を高めるのはほどほどにし、地方との格差を縮めることに力を尽くす。このように既存の価値観を揺さぶる大胆な提案があってもいいのではないか。 私が考える「れいわ現象」とは、人々が生きづらい現状に「ノー」を突きつけることだ。彼が昨夏の参院選で、その火付け役を担ったことは間違いない。だからこそ、れいわ新選組と山本氏がどこに向かうのか。今後も注視を続けなければならない。

(取材・文/ジャーナリスト・牧内昇平) 牧内昇平 〔2020年7/3(金) 週刊女性PRIME〕


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よしあき よしあき「ちょっとずつ自分に自信をつけて」不登校から抜けられたきっかけを明かす よしあきさん 大久保佳代子がパーソナリティをつとめ、ゲストと一緒にリスナーのお悩みに寄り添い、癒しの時間をお届けするTOKYO FMの番組「KOSE Healing Blue」。7月12日(日)の放送は、モデル・タレントのよしあきさんが登場。リスナーからの相談に応えました。

<リスナーからの相談> 私はもともと同級生とうまく話が合わせられず、なんとなく学校が苦手だったのですが、コロナで学校が休校になり、それがキッカケで休校明けもまったく通えなくなってしまいました。 そんなこともあってこの前、親と言い争いになって、かなりひどいことを言ってしまいました……。親も泣いて、私も泣いてしまいました。 その後は家でも普通にしていますが、本当は「ごめんね」と謝りたくて……どうしたら自然に言えますか? 親は気にしていないようだけど、私が言いたいんです(ラジオネーム:ラムさん)

*  *  *

大久保:よしあきくんは不登校が6年間もあったわけだけど。この子も学校に行けないこともあるけど、まずは親に「ごめんね」を言いたい、と。

よしあき:そうですね。僕はお母さんと仲がいいので「ごめんね」って謝ろうとしても(逆に)ケンカになっちゃうんです。なので、僕は敢えてLINEとかで言うようにしています。

大久保:そっか、そうしたら余計なことは言わないから、「ごめんね」だけが伝わると。確かに言葉同士だと、言い合っているうちに「今の言い方が気に入らない」みたいなのが始まっちゃう場合があるもんね。

よしあき:そうなんです、論点がずれたりして。

大久保:でも自分からどうしても言いたいって思えるラムさんは偉いな、と思う。私も30歳過ぎてから親と1回ケンカしたときに「謝れないし謝りたくないな~」と思いながらムスッとして帰ってきたら、やっぱり親のほうから「昨日はいろいろ言ったけど、応援するから頑張ってね」みたいなことをぶっきらぼうに言ってくれて、「親って偉いな」と思ったことがあるのね。

よしあき:さすがですね、親って。

大久保:ラムさんは自分が言いたいと思っているだけでもすごく素敵だし、今よしあきくんが言ってくれたように、もし(直接)言えなかったらまずLINEで「ごめんね」を伝えて、そのあとにしゃべれるようになったらいいよね。

よしあき:そうですよね。LINEとかだったら緊張感とかも少なくなるので、言いやすいと思います。スタンプじゃなくて、文章のほうがいいかなと僕は思います。

大久保:それはちゃんと文章で送ったほうがいいですね(笑)。ラムさんは今、コロナもあって不登校になっているって言ってるけど、よしあきくんが不登校から抜け出せたのは何だったの?

よしあき:ちょっとずつ自分に自信をつけることですかね。本当に小さいことでいいので。不登校になると外に出ないので、本当に太陽の光を浴びなくなるんです。だけど太陽光は本当に浴びたほうがいいです。なので、まずは早寝早起きですね。朝ちゃんと起きたほうが……。

大久保:今、早寝早起きしてないでしょ!?

よしあき:そうなんですよ(笑)。夜起きているといろいろ考えちゃうじゃないですか、いらないことを。だから「考える前に寝る!」、これが1番だと思います。

大久保:ゲームもやらない!

よしあき:(笑)。そうです、はい。頑張ってください、僕も頑張るので。

大久保:そうね。大変だと思うけど、生活面のほうは立て直していただいて……お母さんに謝る話だけど、親って大丈夫なのよ。ひどいことを言ったとしても意外と受け止めているし、意外とラムさんが反省しているなっていうのも謝らなくてもわかっている気がする。

よしあき:僕も絶対にわかっていると思います。やっぱり血のつながりは強いですね。

大久保:血のつながりが大事だと。ちょっと参考にしてみてください。 (TOKYO FM「KOSE Healing Blue」2020年7月12日(日)放送より) 〔2020年7/17(金) TOKYO FM+〕


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「学びの空白を作らない」戦い 休校中に授業動画500本作った公立中の“奇跡”、新卒から60代まで全教員の「学びの空白を作らない」戦い 「オンライン授業をやってみて、予想していないことが多くありました。生徒の質問は増えたし、不登校だった生徒がログインして、授業動画を再生してくれたのは驚きましたねえ」 学校の再開を控えた5月下旬、中野区立中野東中学校(東京)の田代雅規校長(61)は、校長室で「これ、見てください」とノートパソコンを開いた。 そこに並んでいたのは、4月に社会人になったばかりの新米から、定年退職後に再任用された60代のベテランまで全教員約30人が参加して制作したオンライン授業動画だ。4月末から公開を始め、1カ月で500本の動画が生徒に届けられた。

田代校長は「英語の先生の授業動画を見て、今更ながら現在完了形をきちんと理解できました。60代の再任用の国語教師は、退職金でパソコンを買って動画制作に挑戦してくれました。IT機器は不慣れでも授業の質が高いので、内容がしっかり伝わっています」と一つ一つを再生して説明を続けた。 新型コロナウイルスの拡大で、日本は3月に一斉休校に入り、5月に緊急事態宣言が解除されるまで、子どもたちは自宅学習を余儀なくされた。 公立校の多くはIT化が進んでいなかったため、休校中の「学び」のフォローも十分ではなかった。その中で中野東中はなぜいち早くオンラインに切り替えられたのか、そして6月の登校再開後、感染症対策と教育改革のバランスをどう取っているのか。田代校長や「キーマン」となった教員に聞いた。

■最初に動いたのは民間出身の教員 今や全教員がIT機材を使いこなす中野東中だが、田代校長は「私はITに詳しいわけではないです。ただ、学校としてタイミングには恵まれていました」と話した。

同校は2019年度に教育現場のICT(情報通信技術)化を進める研究校に指定され、昨年からタブレット端末やプレゼンテーションソフト、アンケートを作成できるGoogle フォームを使った授業を実験的に行ってきた。研究校はICT化に3年間取り組み、成果を発表することが求められているため、校長も教員も「教育のIT化」への意識はコロナ前からあった。 新型コロナの市中感染がじわじわと増えていた2月、「何とかしないと」と動き出したのは青野祥人教諭(41)だった。 青野教諭は富士ゼロックスで13年間勤務し、2017年に中学教員に転身した。大学までラグビー選手として活動し、「ラグビーを続けるか教師になるかで迷って、企業でラグビーを続ける道を選びました」という。

だが教師の夢も諦めきれず、社会人ラグビーの選手を引退した後、一念発起して教職に挑戦した。教育の世界に飛び込んで3年が経ち、新たしい環境に慣れてきたころのコロナ禍だった。 「2月ごろから、同僚でつくったLINEグループで『休校になったらどうしよう』と議論していました。私自身もGoogleの学習管理ツール『Classroom』など、オンライン教育に役立ちそうなツール、手法の情報収集を進めました」 青野教諭をサポートしたのは、ICT主任の瀧澤哲郎教諭(35)だ。休校中のIT活用に向けて具体的な道筋を検討した青野教諭に対し、瀧澤教諭は教員と密にコミュニケーションし、IT導入への心理的不安を和らげる役割を果たした。

■「リモート歓迎会の盛況」がきっかけ 一部の教師による議論が、学校全体の取り組みに広がるきっかけは、4月の「リモート歓迎会」だった。 年度の変わり目で緊急事態宣言が出され、教員同士の歓送迎会が対面でできなくなった。そこで青野、瀧澤両教諭が中心となり、オンラインでの歓迎会を開催した。

教員は、「密」を避けるため各教室に分散してオンライン会議システムのZoomにつないだ。1人は運動場に配置され、周囲の様子を情報番組風に実況中継した。 「ものすごく盛り上がって、隣の教室から笑い声が聞えてくるんですよ。楽しすぎて、その日の夜は自宅から昼の続きでオンライン飲み会をしました」(青野教諭) 翌日、オンライン歓迎会に参加していなかった副校長が瀧澤教諭に「昨日は楽しかったらしいね。自分も出たかったなあ」と話しかけてきた。 当時、政府は休校期間をゴールデンウィークまでに設定していたが、東京での感染は落ち着く気配が見えず、5月も休校が続く可能性が高まっていた。副校長に「大変そう」ではなく「楽しそう」だと思ってもらえたことで手ごたえを得た瀧澤教諭らは、オンライン授業の導入を田代校長に提案した。

■プログラミングを学んだ新卒教員が即戦力に 田代校長は全教員が参加してのオンライン授業動画制作を即決した。生徒のネットワーク環境や端末保有状況、そして教員側のITスキル。課題は山のようにあったが、「ICT研究指定校として、やるべきだと考えた」(田代校長)。 Googleのプラットフォームを利用し、4月最終週を運用テスト期間とし、できる教師から動画公開を始めた。5月には通常カリキュラムに沿って、全教員が動画制作に着手した。 「当初は全てが試行錯誤でした」

田代校長が懐かしそうに振り返った。固定カメラをセットし、黒板を背に通常の授業形式で制作する教員、プレゼンテーションソフトを使う教員、多種多様なフォーマットの授業動画がアップされた。田代校長は時間を見つけて全授業を視聴した。 「オープニング動画を凝って作りこんでいるものは、『時間がもったいないからカットしたら』と言いました。黒い背景に白い文字、重要なところは黄色い文字で強調されていたスライドは、目がちかちかするので、改善を要望しました(笑)」 視聴者目線で感想を伝えるうちに、教員たちも互いの授業動画を視聴し、良い点を取り入れるようになった。決まった形式はなかったが、次第にトーンの統一感が出てきたという。 青野教諭は「パワーポイントの資料を画面共有する間、先生の顔を端っこに映すかどうかで、ちょっとした議論になりました。生徒の意見も『先生の顔が気になって集中できない』『先生が見える方がリアルに近くて安心できる』と分かれました」と語った。ちなみに青野教諭は「映す派」だ。

副教科を教える教員も、楽しみながら学んでもらえるよう工夫を重ねた。美術の先生はデッサン動画を制作し、音楽の先生はリコーダーの指使いを教えた。栄養担当の教諭は「タピオカミルクティー」のレシピを紹介した。 もちろん、皆が最初から前向きだったわけではない。田代校長も「拒絶する先生はいなかったけど、自分にできるのか不安だという声はありました」と語った。 それをサポートしたのは、大学時代にプログラミングを学び、2020年4月に教員になったばかりの技術教師だ。瀧澤教諭は「ちょっとしたトラブルの解決は彼がやってくれた」と感謝する。 緊急事態宣言下、新入社員の多くが研修もままならない中、中野東中学では新任教諭が「即戦力」として大活躍したのだ。

■不登校生徒のログインに感動 中野東中は、リアルタイムのオンライン授業を行うのではなく、各自の都合に合わせて視聴できる「授業動画」を制作し、モデル時間割を配布した。 オンライン授業動画は1コマ15分にした。生徒の集中力を考えてのことだったが、実際制作してみると、教室では50分で展開していた内容を15分に収められることも分かった。 国語を教える青野教諭は、授業にクイズ形式の問題を挟み「ここから5分で考えてください」と言って、生徒に再生を一時停止してもらう手法を取っている。 田代校長は、「オンライン授業動画だと、生徒による議論や発表がないので、時間が短くなるわけですが、それ以外にも教室での授業にはむだがあるとも感じました」という。 田代校長は、同じ内容をオンライン形式と実際の授業形式で実施して比較する実験も行い、オンラインは12分、教室での授業形式だと27分かかるという結果を得た。

「黒板に字を書いたり消したり、そういうことで思ったより時間を使っていることが分かりました」 田代校長が最もオンラインに可能性を感じたのは、不登校気味の生徒が授業動画を視聴してくれたことだったという。 「生徒のお母さんが学校に連絡をくれたんです。15分の動画を繰り返し再生して見ているって。その時に思いました。自分が現場の教員だった頃、勉強についていけない生徒の補習をしたくても、放課後は部活の指導があるからできなかった。でも、ITを活用すれば、学習が遅れている生徒や、あるいは通常授業では物足りない生徒に合わせた課題を提供できるかもしれないと、希望を感じました」

■家庭のサポートが十分でない生徒のケアが課題 オンライン授業をやってみたからこそ、課題も明確になった。 不登校の生徒がオンライン授業に参加した一方で、端末やネットワーク環境がなく、自宅から授業を視聴できない生徒も数人いた。これらの生徒は登校し、学校が保有するPCで授業を視聴してもらったという。

瀧澤教諭は「動画の再生状況をチェックすると、昼夜逆転していると感じる生徒もいました。家庭のサポートが不十分な生徒の生活をリモートで支えていく方法を考えなければ」と語った。 ネットワーク環境があっても、授業動画視聴のためのツールにうまくログインできない家庭も多発し、教員が手分けして100件を超える問い合わせに対応した。 授業内容への質問は、教室での授業より増えた。皆の前では質問をためらう生徒も、オンラインだと積極的に発言する。瀧澤教諭は「深夜でも質問が飛んでくるので、オンライン時代に合わせたルールは必要」と話した。

■登校再開後は感染症対策の負担が増加 4月最終週から5月末までに500本の授業動画を制作した中野東中でも、緊急事態宣言の解除を受け、6月から登校を開始。少しずつ日常を取り戻している。 しかし感染対策や行事開催の判断など、現場は試練の日々だという。 青野教諭は、「生徒と保護者の反応は『給食最高!』っていうのが多いです(笑)。ただ、給食時間の感染防止対策は大変。感染症対策と、教育面でのさまざまな取り組みをどう両立させるか。部活や行事は子どもたちにとっては重要ですが、感染リスクを高めてしまう。葛藤だらけです」と率直に語った。

感染防止対策に膨大な時間を取られ、田代校長も、保健室で人の距離を取るための衝立を自ら作っている。 それでも休校中に成果を得た「オンライン化の流れ」を止めないため、青野教諭は6月の国語の授業で「物語の予告CM動画を作る」課題を出した。 「自分たちが動画授業を作る中で体験したことを、生徒と共有したかったし、学習が進まない生徒向けに達成感を感じてもらう取り組みも進めています」 生徒だけでなく、保護者に「オンライン化」を体感してもらうため、感染防止対策も兼ねて、登校再開後の保護者会でオンライン参加も取り入れた。

■休校を「失われた期間にしてはならない」 東京都の1日あたりの新型コロナ感染者数は5月下旬には1ケタまで減ったものの、7月にはぶり返し、3ケタが当たり前になっている。

青野教諭は「私たちの学校は全員が4~5月にオンライン学活や授業を体験しているから、いつでもオンラインに変更可能、これは安心感につながっています。あとデジタル教科書が欲しいところですが、安くない(笑)。自分は学校内でしかできないことと、オンラインでもできることを仕分けしつつ、授業をつくり直しています」と話す。 現場は相当な苦労があるものの、田代校長は「『感染防止策としてのオンライン授業』ではなく、新しい教育スタイルを見つけ出す機会」と前向きに考えている。 教員たちの「休校期間を生徒にとって失われた3カ月にしてはいけない」という思いが、未経験で難しそうに感じるオンライン授業動画制作の原動力になった。 視聴者として教員の“進化”を目の当たりにした田代校長には、大胆な夢も芽生えている。 「授業は寄席でありショーでもあると感じました。最近、学校の勉強を教えるYouTuberの動画を研究し、自分ならこうすると考えるようになりました。校長を引退したら、数学を教える

YouTuberを目指そうと半ば本気で考えています」 中野東中は実は、2018年4月に2つの学校が統合して設立された。休校中のオンライン授業動画制作は、2つの学校から来た教員の垣根を完全に取り払う一大プロジェクトにもなった。 「中野東中は教員たちの頑張りで、休校中に一段と素晴らしい学校になりました。個人的には日本一の学校と思っています」 コロナ前から教員たちに「俺が責任を取るから好きなようにやれ」と言い続けてきた田代校長。現場がそれに応えてくれたことが、休校中の最大の喜びだったそうだ。 INTERNET Watch,浦上 早苗,坂下 彩花 〔2020年7/20(月) Impress Watch〕

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「対応は現場に丸投げ」 教員の嘆き 校内消毒“自腹“切り作業も…増える業務「対応は現場に丸投げ」 教員の嘆き 登校する子どもがランドセルに下げた健康チェックのシートをチェックする教員たち 学校の役割は年々拡大、多様化している。いじめや不登校の増加にとどまらず、通学路の安全確保、学校評価の説明責任、情報教育や消費教育なども。国は外部人材の活用を促すが、多忙な現場は慢性的な人員不足に悩む。そうした中で襲ったコロナ禍。現場教員は「倍増」したともいわれる業務に追われながら、自らの立ち位置を探っている。

福岡市の小学校に務める50代の男性教員は、6月に再開された学校の雰囲気について「学習塾のようだった」と自嘲する。 従来の1こま45分、1日最大6こまの授業は、35分で7こまになった。休校中の遅れを取り戻すための対応も「授業はぎゅうぎゅうに押し込んでいる感じがある」。子どもに板書はほぼ取らせず、ノートに書き写させていた問題は、事前にプリント書きした分を切り取っておいてノートに貼り付けてもらうなどした。

解き方をどうするとか、話し合う時間はない。理解の遅い子には目配りもしないといけない。プリントは手作りする必要があり、終業後、夕方からの限られた時間や、子どもたちの検温などで今まで以上に早くなった出勤をさらに早めて準備をしている。 6年の担任。子どもたちが企画したり、運営に携わったりする運動会は中止になった。学校ならではの行事ができないことがもどかしい。夏休みも短くなる。それでも小学校の学習を終えないまま中学校に進学させるわけにはいかない。「しょうがないよね」。声に出したことはないが、新しい生活様式に順応しつつある子どもたちにも、そんな諦めが漂う。今後は、学習内容をできるだけ早めに終わらせて、せめてもの思い出作りに、校外に出る史跡巡りのついでに遠足気分を味わうなど「お楽しみの時間」を作るつもりだ。

コロナの感染を警戒しながらの学校運営で、教員の大きな負担になっているのが校内の消毒作業だ。福岡県の男性教員(30代)が務める中学校では毎日、授業を終えた午後4時半ごろから、教職員全員で手分けして消毒を始める。

机、椅子、窓、階段の手すり、ロッカーの棚、体育で使うボール…。終わりの見えない作業が続く。再開された部活動の指導も午後7時ごろまであり、この時点で学校にいる時間はほぼ半日に上る。 ボランティアを募ったり、作業員を雇ったりするケースもあるが外部の人間だと限界もある。「自分たちが忙しいのは、しょうがない」。どんなに換気をしても、学校からそんな空気が消えることはない。

福岡県の中学校女性教員(50代)は自宅の消毒シートを持参し、モップ状の用具で作業を進める。「そもそも、なぜ教員が掃除までしなくてはならないのか」。膨大な作業の中でそんな思いが日々募る。 生徒は普段モップを使わず、腰を折って膝をつき「己」という字を描くように床を拭く。私語は許されない。「時代錯誤。何げない生徒の本音も聞けない」。効率的に掃除できる用具は自腹。立ち止まって考え始めると、疑問だらけの方法にため息が漏れる。

業務は次々と増えるにもかかわらず、教職員の数は増えない。北九州市の特別支援学校の男性教員は変わらない現状に疑問を抱く。 移動時の「密」を避けるため、学校ではスクールバスを増便した。その分のバスの乗務員業務は教員が担う。午前7時すぎには学校に到着し、手を消毒してフェイスシールドを着用、非接触型の体温計を準備する。担任なら月2~3回、担任以外では毎日乗る教員もいるという。従来のバスの到着時間も早まり、これまで通りの職員朝礼はできなくなった。「増える業務の対応は、現場に丸投げ」と嘆く。

「授業時間を10分縮めて、今までと同じ内容をどう教えるか。土曜授業も隔週であり、教員も子どももくたくた」。福岡市立小の女性教員は打ち明ける。 疲労が募る原因はそれだけではない。長期休校中、学校のウェブサイトに子どもたちへのメッセージを書き込もうと提案したが、管理職には難色を示された。「少しでも子どもたちのために何かしたかった」 そんな当然の思いを拒んだのは学校の同調圧力。文科省や市教委の通達からはみ出し、もし市民や保護者からクレームが来たら-。管理職はそんな不安にさいなまれているようだった。 「そこであきらめている自分が情けなくなる」。女性教員は、多くの教員の気持ちを代弁した。 (四宮淳平、金沢皓介)

教職員の休み確保へ動いた福岡市 新型コロナウイルスの感染拡大で、休校が長期化したことに伴い、多くの学校で土曜日の授業が実施されるなど、教員の負担感は増している。 福岡市教育委員会は2018年度から夏休み期間中に設けている学校閉庁日について、本年度は小中学校、特別支援学校で例年より長く8月7~18日の12日間とすることにした。市教委はコロナへの対応による負担増を考慮し、教職員を確実に休養させるためと説明する。 また8月以降、市内の小学校や特別支援学校に自動音声メッセージ機能付き電話を導入し、業務時間外は自動音声対応に切り替えるという。同市の50代男性教員は「土曜に授業があって年休を使う暇もない。閉庁日は多少ゆっくりとできそうだ」と歓迎する。 〔2020年7/20(月) 西日本新聞〕


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N高×note共同イベント「これからの教育」 N高とnoteが語る「これからの教育」――なぜN高は生徒数100万人を目指すのか? 学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校(N高)はインターネットを駆使する広域通信制高校だ。開校から4年で生徒数は1万5000人を超え、理事の川上量生氏は「100万人を目指す」と述べるが、この言葉には別の意味が込められているようだ。川上氏がnoteの創業者で代表取締役を務める加藤貞顕氏らと対談した。 左上から時計回りに、note株式会社 代表取締役CEO 加藤貞顕氏、同社 CXO 深津貴之氏、学校法人角川ドワンゴ学園理事 川上量生氏、N高等学校 副校長 吉村総一郎氏 noteのオンラインイベント「多様性を後押しするN高×note共同イベント #これからの教育」では、角川ドワンゴ学園理事の川上氏、N高副校長の吉村総一郎氏、noteの加藤氏、そしてCXOの深津貴之氏が、N高の取り組みを通じ、将来の教育について語り合った。

学校は社会に適応するための場所 N高は広域の通信制課程を持つ私立高校で、授業は基本的にオンラインで行われる。コミュニケーションツールである「Slack」のチャンネル上で、全校のお知らせを通知したり、クラス内で連絡を取りあったりするなど、インターネットをインフラとしてフル活用している。なお、Slackのチャンネル数は6000以上存在し、興味関心のある生徒同士が集まってSlackのチャンネルを次々と作っているそうだ。物理的な施設は本校が沖縄にあるほか、東京、大阪など全国各地に19カ所のキャンパスを抱える。

どのような生徒が通っているのか? 慣習的に通信制が受け皿となってきた不登校の生徒については、「初年度は多かったが、現在はそれ以外の生徒も多い。ネットで学べることが選択肢になってきており、志望校として選ばれている」と吉村氏は言う。

入試に類するものはない。「基本的には来るもの拒まず」(吉村氏)だが、プログラミング専門コースには適性を見るためのテストがあるという。しかし、「学力や偏差値で不合格とするようなものではない」と吉村氏。 これを聞いた加藤氏は、「全員が入れる学校ってすごい。学校が入試で不合格にする理由は校舎という物理的限界があったから。画期的ですよね」と感想を述べた。 一方で、川上氏は「『誰でも受け入れる』とはうたっていない。それは逆に不誠実だと思っている」と念を押す。「学校は社会に適応するためにあると思っている。そこで(学校が)目指さなければならないのは、抱えた生徒を一人前に自活できる大人に育てること」とミッションを説明した。

自立の方法はさまざま「東大に行きたい人は行けばいい」 「自立」の方法はさまざまで、プログラミングはその1つだ。「僕らが得意なものが中心になっている」と川上氏。「ドワンゴは社会不適合者が多くて(笑)、プログラミングさえできれば一人前だし、社会の中で活躍できるというのが僕らの中で成功体験としてある」と続けた。 吉村氏も、「社会に出て活躍できる武器を得て踏み出せるようにしているが、その武器は全員が同じものではない。多種多様な武器を作ることを目標にしている」と述べる。

それを実現するために、教員はWeb会議システムの「Zoom」などで面談のやりとりを重視しているという。約200人いるという教員側も、海外とのプロジェクトが得意な人、アート系、ダンスやスポーツに詳しい人とさまざまな人がいるとのことだ。アルバイトやTA(ティーチングアシスタント)を入れると、1000人の規模だという。これを聞いた加藤氏は、「1万5000人を1000人で面倒を見るということは、生徒1人あたり15人――普通の学校よりきめ細かい指導が可能」と驚いた。 実際の指導の中には、プログラミングなど特定のジャンルに特化したコーチングサービスもある。週1回30分程度で、プログラマーとして活躍しているエンジニアや大学生から1対1で指導を受けることができるという。 大学進学を目指す生徒もいる。2020年度大学入試では、東京大学や京都大学など、難関と言われる大学の合格者も出た。

川上氏は「生徒が望むものを提供する」とスタンスを説明、「東大に行きたい人は行けばいい。そこに行かないと入れない世界もある」と言いつつも、「どうして東大に行くのかという理由は考えてもらいたい」と付け加えた。「単純に理系で高い報酬が欲しい、AI時代でも失業しない仕事に就きたいと思っているのなら、プログラマーのほうがいいよ、とは伝えたいが」と川上氏が言うと、吉村氏は、「『東大の情報科学でCPUの実験をやりたい』など明確なモチベーションを持っている生徒もいる。それはサポートしてあげたい」という。 例えばある生徒の場合、AIを使ったプログラムを作るために大学レベルの数学が必要とわかり、高校数学だけでなく、中学で学ぶ数学までさかのぼって学習・復習し、「短期間で全ての数学を習得して大学レベルの数学を超えるところまできた。目的がある学びは習得も早い」という。

多様性と偏差値 川上氏の著書で、加藤氏が編集を担当した『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』 対談のテーマである多様性については、川上氏の著作『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』の編集を手掛けた加藤氏が「noteで多様性をいかに保つかという点で(川上氏の考え方から)影響を受けた」と切り出し、noteの深津氏が「noteは多様性の優先順位が高い」「ゆがみやすい施策などのリストを作成して共有している」と続けた。 それを受けて、「noteはコミュニティを大事にしていて素晴らしいと思っている」と吉村氏、「PVやブックマーク、リツイートなどの指標だけでランキングされたコンテンツシステムは、炎上コンテンツがトップになってしまう問題がある」とインターネット全体の課題を指摘した。 「KPIを持ってしまうとそこに最適化してしまう。KPIと名がつくものは全て、最終的にAIのほうが得意。KPIをやるのが重要という価値観があるのなら、最終的には人間はいらないという結論になる」と川上氏。加藤氏も「KPIは人間がやる必要はない」と同意した。

大学受験における偏差値などでも同じことが言えるという。「偏差値を高めるために勉強することになる」と吉村氏、例として、センター試験でまんべんなく、戦略的に点数をとることができる生徒が、受験では強くなる現象を指摘した。 なお、川上氏は「日本で優秀な大学の卒業生がベンチャーで失敗するパターンは、(競争を前提とした)受験勉強が原因」と持論を語る。競争するということは、誰も手をつけていない分野に入らないことを示すからだ。

N高の多様性について川上氏は、「重要なのは人数。僕らが作りたいのはコミュニティだから。N高には生徒が1万5000人以上いるから、どんなマイナーな趣味でも、マイナーな大学に行きたい人でも、同じようなことを考えている人が何人かいることになる」と述べた。 100万人を目指す――狙うは公教育への刺激 角川ドワンゴ学園は今後N高から大学、あるいは小中学校に拡大する計画はあるのか? 中学については数年の実験を経てプログレッシブスクールとしてN中等部を展開しているが、川上氏は「大学はやらない」と断言する。

N高自体は、「まだまだ大きくなる?」という加藤氏の質問に対し、川上氏は「最初から100万人を目指している」と述べる。日本全国で高校生に相当する年齢の子供は1学年約100万人であることを考えると大胆な目標と言える。「日本全国の高校生が300万人くらいだとして、100万人がN高生ということ?」と加藤氏が尋ねると、「半分ぐらいがN高というのが最終的なゴールかな」と川上氏は返した。 ただ、「100万人」という目標を宣言する背景には、「逆説的に言うなら100万人になる必要はない。ただ、N高の登場により、(プログラミング教育など)ある程度日本の公教育に刺激を与えることができていると実感している。N高が成功例を作り、放っておいたらN高が全部勝つのではないかという状況になれば、僕らは日本の教育を良い方向に変える刺激を与えることができる」と説明した。

「公教育の世界でN高が100万人を目指す――それはとても悪いこと(笑)。願っちゃいけないが、そうなったほうが明らかに日本の教育が良くなる。『N高がやっていることは良いことだから、N高のようなことをやりなさい』となるといいなと思っている」。そして、「営利企業が『良いこと』をするのは難しい。『営利企業が教育市場を席巻しようとするのは許せない』と言われるが、やっていることが明らかに良いこととなれば、みんなはどうするのか――これを見てみたい」と川上氏は続ける。 加藤氏は、「N校がやっていることは、個々人の個性を生かした教育を実現するために、テクノロジーで学校を再定義するということ。noteもそこはすごく似ていて、一人ひとりが発信して、仲間を見つけて、幸福な人生を送る――これが僕らが目指していること」と共感を寄せた。 末岡 洋子[著] 〔2020年7/21(火) EdTechZine〕

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子どもが頑張ったときに臨時ボーナス 子どもの成績が上がったら「臨時ボーナス」をあげてもいい? マネープラスの「お金のしつけ」では、おこづかい制度という昔からあるしくみをお金のしつけに取り入れて、お話をさせていただく機会が多いです。 子どもの“家計力“を養うチャンス!効果的なおこづかいの渡し方とは? わが家ではお金のしつけをするためにおこづかいを取り入れて実践してきました。その過程でお金のしつけに取り入れてみてらいいかも?という機会が何度もあり、その都度検討しました。 その1つが「子どもが頑張ったときに臨時ボーナスをあげるか問題」です。この問題は最近の取材でも聞かれることが多いです。

今回は、臨時ボーナスはあげてもいいのかについて、私見ではありますがわが家のエピソードを盛り込んでお話をしたいと思います。 成績表の「よい」の数だけ100円あげる 臨時ボーナスについて考えるきっかけになったのが、祖父母に子どもたちが自分の成績表を見せたことでした。長女の成績表の「よい」の数を数え始めた祖父。「よい」の分だけ100円あげようと提案してきました。

「よい」×13個=1300円 (チャリーン♪) 長女は大喜びです。(毎度~) 長男はというと、「よい」の数は、0(ゼロ)。 気まずい空気が流れるなか、祖父が「残念賞として300円あげる」といいました。 長男「よっしゃー!」(ガッツポーズ)

わが家では、成績の結果をお金に換算し、臨時ボーナスをあげるという考えを持っていませんでした。毎月の定額のおこづかいのやりくりや管理が基本だったからです。お年玉こそ、子どもにとっての臨時ボーナスだと考えていたからです。 子どもの学習の成果や結果をお金に結びつけることは、わが家の教育方針ではNGでした。しかし、これをきっかけに、「インセンティブ」制度を取り入れるのも、いいかもしれないと改めて考えることになりました。

その理由は、子どものモチベーションが想像以上に高くなったこと、そして、これからは成果に対して報酬をもらうという考え方を学ぶ必要があるのではないかと、気づいたからです。 自分の価値(仕事)を正当に評価してもらうこと ここでお話する内容は私見であり、独自の予想でしかありませんのでご容赦ください。私が会社員という立場を辞めて、個人事業主を経て、会社を経営することになってから、自分の仕事に対する正当な評価について意識するようになりました。 会社の経営といっても、私自身が業務に従事しているため、その仕事による評価そのものが会社の売り上げに直結します。自分の仕事や実力がお金という単位を用いて評価されます。

会社員であっても、そうでなくても、自分の価値というものを知ることは大切なことだと考えています。これから先、会社に雇われない働き方が増えて、自らが小さな事業者として仕事をする形が増えていくと思っています。 大手企業は統合などをしてその数が減っていきます。その一方で、個人事業主や小規模な会社が増えていくのではないかと思うのです。それぞれ自分ができる仕事内容を売り物にできる小商いの時代がやって来るのです。そして、小商いする者同士が取引し合ったり、または、集まって大企業との取引に対応したりすることで、利益という価値を生むようになります。

就職は働き方の1つでしかなく、お金を稼ぐ方法は多様化すると考えています。 子どもの自己肯定感を育むことも忘れないで 子どものおこづかいにプラスして、臨時ボーナス制度を取り入れることで、成果として評価されることのうれしさや残酷な面も経験することになります。大人社会ではこの面は顕著になります。

しかし、子育てのうえでは、結果だけを評価するのではなく、子ども自身が自己肯定感を持てるようになってもらうために、結果に至るまでの過程や努力をしていることは評価してあげるべきだと思います。

振り返ってみると、前述したエピソードの祖父からもらえた「残念賞」が長男を救ってくれたといえます。発達障害がある長男も、学校の評価の基準を満たすことができなかったけれど、本人なりに頑張っているのですから、残念賞をくれた祖父にはそれを気づかせてくれたことに感謝しないといけません。 臨時ボーナス制度を取り入れた我が家 このような経緯があり、わが家では、臨時ボーナスに対しての考え方を改め、取り入れることになりました。学校のテストや成績も対象ですが、学校の勉強以外の事でも努力したり、学んだりしたことを評価したいと考えましたし、さらに、それが社会的に評価される機会があれば、実力を発揮してもらいたいと考えました。

たとえば、長男の場合は、小学生の間は日本紙飛行機協会が主催する大会に出場しました。成績はHPでも公表されますが入賞者には記念品が贈られます。中・高校生になると動力が付いた自動車模型のプラモデル(商品名はあえて書いていません)をつくり、大会に出場していました。

さすがに、この年齢になると組み立てもセッティングも上手な人が多く、入賞できた機会はほんのわずかです。自分よりも上手な人が多くいるということも理解できたはずです。自作の自転車を組み立てたのも高校1年生の頃です。

入賞できればお祝いとして家計から臨時ボーナス(1000~3000円くらい)がもらえるし、残念賞は少しですが交通費程度は渡しました。次につなげるためのモチベーションと、軍資金として活用してもらいました。 成績が良い子はぐんぐん伸ばしてほしいし、学校の勉強が苦手だったり、ムラがあったりする子には、頑張れる場所で伸びてほしいですね。今回は、わが家のケースをお話ししましたが、子どもが頑張ったときに臨時ボーナスをあげるか問題について、家庭での考え方のヒントになれば幸いです。 たけやきみこ(お金教育専門家) 〔2020年7/14(火) MONEY PLUS〕

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アフターコロナ アフターコロナ好機に大学のデジタル革新が始まる。消える授業、残る授業 デジタル技術を活用し、大学の授業を革新するプロジェクトが始まる 文部科学省はデジタル技術を活用し、大学の授業を革新するプロジェクトを始める。教員やベンチャーなどのアイデア・技術を、ベンチャーキャピタル(VC)などに披露してマッチングし、フィジビリティースタディー(FS、事業化調査)を行う。その後の全国展開で文科省が予算支援をする。新型コロナウイルス感染症対応のオンライン授業で、ログのビッグデータ(大量データ)から教育効果が数値化可能になったのを機に、教員の教育活動を評価する新たな流れを生み出す。

オンライン教育はなぜ進まない?OECD最下位という日本の悲惨な現状 現場のアイデア事業化

Scheem-Dの実施イメージ 夏に公募を始める文科省の「Scheem―D」(スキームディー)は、教育×技術の「エドテック」と呼ばれる分野で、アイデアを短時間にプレゼンする「ピッチイベント」を開催。教職員、学生、デジタル技術者、投資家を結びつけ、ビジネス化や文科省支援による実用化につなげる。2020年度内に初回のピッチを開催。21年度から年4回実施する計画だ。

文科省は数カ月―数年のFSに伴走するが、当初は予算を手当しない。エドテックの分野では旺文社(東京都新宿区)など教育業界企業のVCもあり、通常の研究と違い少額で済むためだ。民間投資を活用して教員ら個人を応援し、学生の教育効果を高める手法を確立するのが狙いだ。 「ヒト・モノ・カネが集まる場として、大学でコトづくりをする。『新たな教育には国の予算を』という発想を転換してもらう」と高等教育局専門教育課は説明する。FSへの伴走役の省内公募には30人弱が集まった。これも通常の文科省事業とは異なる点だ。 新型コロナ対応で急速に広まった大学のオンライン授業では、小テストで学生がつまずきやすい項目のデータに着目して教材を変えるなど、ビッグデータ活用の先進例がある。こうした事例を個々の大学や教員の工夫を超えて、大学間で共有する動きが出てきている。今回のプロジェクトは新型コロナの補正予算とは無関係だが、アフターコロナはデジタル技術による教育改革には好機で、データでエビデンス(証拠)を示せるのが強みととらえ、プロジェクトを進める。

オンライン授業のデータ活用 デジタル技術による新たな事業例 大学設置基準など大学教育の法令や告示は対面授業を大原則としてきた。そのため卒業に必要な124単位のうち、遠隔授業は60単位までと制限があった。文科省は新型コロナ対応に限り、この制限をなくす通知を4月中旬に出している。今後、オンライン授業が平常時でも一般的になる上で、「何単位まで可能か」といった制度見直しを、中央教育審議会などで議論することが予想される。 「対面授業で決まっていた授業時間も、スマートフォンでの小刻みの学びやオンデマンド授業の1・2倍速視聴で話が変わる」(専門教育課)など切り口は多様。それだけにオンライン授業による教育効果を数字で客観的に示すことは説得力を持たせる上で意義深い。

専門分野によって実技や演習の比率も違い、学協会などによる分野別の検討も必要になる。一方で障がい者や不登校など、対面授業が難しい学生におけるメリットの大きさを指摘する声もある。 一部の大学では学生の多様な事情に対応すべく、同じ授業を対面とオンラインで展開する例が出ている。しかし教員の負担が重く、大学の経費もかかるだけに定着は難しい。「やはり対面中心に」という揺り戻しもあるとみられる。その中で「かくあるべきだ」の教育論だけでなく、デジタル技術で取得されるデータを活用し、学修者である学生本位の教育改革が進むことが期待されそうだ。

【記者の目】 オンライン授業で認められる単位数が増え、大学設置基準で定められている学生収容定員に対する専任教員数の縛りは緩くなる―。この大変化は近いうちに確実に起こる、と私はにらむ。実際に今回のオンライン授業導入で、某一流大学の理系教養科目では、同じ科目を担当する4人の教員の実力差(優れているのは1人だけ)が明らかになってしまった、という話を耳にした。オンラインならその1人の教員で十分となるだろう。研究力評価で四苦八苦するのは理系教員が中心だったが、教育力評価で授業をみるとなると、数多い私立大文系教員にも大事で、「十年一日のごとく」の授業は消え去るだろう。学生本位の教育のためには、好機であるのは間違いない。 (日刊工業新聞・山本佳世子) 〔2020年7/2(木) ニュースイッチ〕

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佐藤優の人生相談 「逆境を乗り越える力を身につけたい」女性24歳の悩み ―[インテリジェンス人生相談]― “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

逆境を乗り越える力を身につけたい

★相談者★ 匿名希望 会社員 女性 24歳 逆境の乗り越え方、今後のキャリアの積み方について伺いたいことがあります。私は2年ほど前からそれまで十数年住んでいた千葉を離れ、北海道で酪農業に従事しております。 最初に勤めた職場で、私はほかの人と協力して働くことがどうしてもできませんでした。空気を読んだり、周りを見て仕事をすることができませんでした。また、コミュニケーションをうまく取れない、「常識がない」と言われることもありました。やがてストレスを溜めるようになり、体調を崩し、その職場は1年で辞めました。

1年ほど前から今の職場で働いておりますが、以前の職場と同じようなことを繰り返しております。自分は発達障害ではないかと疑い、精神科を受診したのですが、「そういう傾向はあるが、発達障害ではない」と診断され、現在、精神安定剤を処方されております。今の職場も辞めて、その後は千葉に帰る予定です。 千葉に帰ったらゆっくりと体を休めながら病院に通い、再び北海道で酪農業に従事するために英気を養いたいと考えております。私のこのような考えはどうお思いになりますか、ぜひ佐藤さんにご意見を伺いたいです。また、今の職場は退職まであと1か月ほどなのですが、働くにあたっての心構え、アドバイスなどあれば伺いたいです。

◆佐藤優の回答 あなたが抱えている問題には社会構造の問題とあなた自身の個性とが複雑に絡み合っています。この点を理解することが重要です。ロスジェネ(失われた世代)の人々の内側からの叫びを作家の雨宮処凜氏が見事に表現しています。 2007年11月5日の毎日新聞に私が書いた「フリーター論壇」という原稿である。フリーター論壇は、ロスジェネ論壇とほぼイコールだと思ってもらえばいい。一読して驚いたのは、12年前、フリーター問題はまだまだ「労働問題」という認識すら薄かったということだ。以下、引用だ。

「これまで、フリーター問題は、当事者以外から『個人の心の問題』として分析され、批評されてきた。『やる気がない』『自由でいたい若者』といった一方的なイメージと、『夢追い系』『モラトリアム系』などという分類。しかし、当事者によるフリーター論壇の大きな特徴は、この問題を『心の問題』に倭小化せず、『労働の問題』『雇用の変化の問題』『産業構造の問題』『経済のグローバル化の名のもとに進められる新自由主義の問題』、そして『生存』そのものを巡る問題としてとらえ返されていることだ」(中略)

ここには、まっすぐな怒りがある。当時の他の原稿やインタビューを読み返しても、怒りとともに、眩しいくらいの「希望」がある。今、なんとかすればまだ間に合う。私たちは「人並み」になれる。そんな思いがあって、私たちは多くの「可能性」を手にしていた。(中略)

私を含め、10年以上前、論客の多くは「政治」を信じていた気がする。少なくとも、高度経済成長時代に子ども時代を過ごした私は、「まさか政治が自分たちを見捨てることはないだろう」くらいの、この国に対する信頼を持っていた。 しかし、この原稿を書いてから今に至るまでの13年で、その信頼は粉々に打ち砕かれた。みんなは13年分、歳を取った。私たちは若者ではなく、中年となった。(『ロスジェネのすべて』21~23頁)

ロスジェネは、個人の心の問題ではなく、資本主義的景気循環によって切り捨てられたプロレタリアートなのです。プロレタリアートとは、古代ローマの国勢調査で「子供以外の財産をもたない人」という意味です。経済的理由で、労働者が子供をつくらなくなると、資本主義経済体制が継続的に成り立たなくなります。 最近、政府がロスジェネ対策に取り組み始めたのは、人道的観点からではなく、資本主義システムを生き残らせるためにそれが必要だからです。このような客観的情勢の中で生きていることを認識することがとても重要と思います。

周囲との関係がうまくいかなくても気にする必要はありません。他人とのコミュニケーションをあまり取らずにできる仕事を酪農業のなかで見つければいいと思います。ストレスが溜まったら、無理をせずに休めばいいです。 また、精神科医や臨床心理士による治療は継続していきましょう。そうするうちにあなたのリズムに合った仕事を見いだすことができます。大丈夫です。「今のままでいいんだ」と自分に自信を持つことが重要です。

★今週の教訓……「今のままでいいんだ」と自信を持とう ―[インテリジェンス人生相談]― 【佐藤優】 ’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

日刊SPA! 〔2020年6/27(土) 週刊SPA!〕




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