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デジタル教科書

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デジタル教科書

デジタル教科書は日本の教育にとって一つのシンボルになる――堀田 龍也氏(東北大学大学院 教授)インタビュー
東北大学大学院 情報科学研究科 教授 堀田龍也氏
「GIGAスクール構想」で小中学校の児童・生徒に整備される1人1台の学習用コンピューターと並び、学校教育の要になるのがデジタル教科書だ。
文部科学省の中央教育審議会の委員で、「デジタル教科書の今後の在り方等に関する有識者会議」の座長も務める東北大学大学院の堀田龍也氏に、デジタル教科書で日本の教育はどう変わるのかを聞いた。
学習者用デジタル教科書の導入率
──デジタル教科書は今後の教育にどんな意味を持つでしょうか。
紙の教科書をデジタル化してコンピューターで使えるようにしたのがデジタル教科書だと思われがちですが、デジタル化することで教科書にメタ情報を付加して分析できることが本当のメリットです。
学習ログを基に子供たちの学習状況を分析して個人ごとの学習特性を把握し、例えばこの子供にはドリル教材が適しているとか、深い学びを実現するにはこの教材が向いているなど、これまで教員の勘に頼っていたことを、エビデンスを基に学習に生かせます。
ログ情報を基にコンテンツを改善することも可能です。
こうしたことは紙の教科書では実現できません。
──GIGAスクール構想で、デジタル教科書の導入は進みますか。
デジタル教科書自体は以前からありますが、児童・生徒が使う学習者用デジタル教科書は普及していません。
現状ではデジタル教科書が1教科でも導入された学校は8%にすぎません。
けれども、デジタル教科書を利用するコンピューター端末は「GIGAスクール構想」で整備されます。
端末が整備されれば、デジタル教科書はもっと使われるでしょう。
教科書は学習の主たる教材なのです。
2024年度に向けて導入が進む
──教科書制度の中でデジタル教科書の位置付けはどうなりますか。
学習指導要領の内容ごとにコードを付与すれば、デジタル教科書からコード経由で関連教材にリンクできるようになります。
教科書会社がいちいちリンク情報を貼らないでも教材が利用できれば、制作コストも削減できます。
GIGA スクール構想により2020 年度中に端末が小中学校に整備されたら、次に整備すべきなのはデジタル教科書なのは間違いありません。
ただし、教科書制度を全部変えるのには時間がかかるでしょう。
2020年度は小学校に新しい教科書が導入されました。次の改訂は2024 年度です。
2020 年度中にGIGA スクール構想でコンピューターが整備され、その3年後にはデジタル教科書が見えてきます。
そのタイミングでデジタル教科書が整備されなければ、何のためのGIGAスクール構想かということになるでしょう。
本当は4年後などと言わずに2021年にもデジタル教科書を導入すべきスピード感です。
教科書会社同士の競争を促す
──デジタル教科書を発行する教科書会社にも大きな転機となりますね。
教科書会社は生き残りをかけてデジタル教科書に取り組む必要があります。
単に採択された教科書のデジタル版ではなく、きちんと制作したデジタル教科書を発行する出版社の教科書が採択されるように市場は変わるでしょう。
学校現場にもデジタル教科書でどう指導すればよいか心配の声が聞かれますが、まず端末が整備されて授業の中でネットの検索やプレゼンなどに使ってみれば、教員はデジタル環境の良さを実感するでしょう。
──デジタル教科書は有償です。有償のままで紙の教科書と同じように普及するでしょうか。
個人的な意見ですが、全ての子供が使えるようになるには、紙の教科書と同じようにデジタル教科書も無償措置する必要があると思います。
義務教育は授業料を無償にすることが憲法で保障されています。
紙の教科書は無償給与されていますが、現在デジタル教科書は自治体などが購入しています。
紙とデジタルの両方を無償にするのは財政的に難しいでしょうから、いずれは紙の教科書はやめてデジタルに移行する時期が来ると思います。
教育現場で紙の教科書が良いと感じるのは、これまでは学校が情報化されず、法律や制度も紙の教科書が前提だったからです。
これからの子供たちはデジタル教科書が全部端末に入ってクラウド上の教材がいつでも使えて、学校に持っていく荷物も少なくて済むかもしれません。
特別支援はいち早く導入進む
──全ての学年や教科でデジタル教科書が同時に導入されますか。
例えば、小学1年生は紙の教科書を使って文字を書くことが重要かもしれません。
紙とデジタルの教科書が併存するこれからの数年間は、何年生からデジタル教科書を使うのがよいかを検証する過渡期です。
端末が1人1台整備されて日常的に使われるようになると、紙の教科書の方が使いやすい場面と、デジタル教科書の方が良い場面の両方が出てくるでしょう。
科目や単元によっても違いが出てくると思います。
そうしたことを実証して知見を蓄え、早く切り替えた方がよい教科からデジタル化を進めることが必要です。
いち早く切り替わると言われているのが特別支援です。
発達障害も含めて特別な支援が必要な児童・生徒は普通学級にも多くいます。
端末が整備されることで、こうした子供たちの学習にも資することになるでしょう。
──デジタル教科書が普及すると教育はどう変わりますか。
デジタル教科書は、紙の教科書が単にデジタル化されるだけでなく、日本の教育にとって一つのシンボルになります。
がデジタル化していく中で、教育のデジタル化が遅れたことでさまざまな弊害がありました。
例えば、教員の過酷な労働環境が改善されないなど、日本の教育の遅れが浮き彫りになりました。
端末を使ってさまざまな情報にアクセスして自分の考えを整理したり、相手に伝えたりする情報活用能力を子供たちが持ち始めたときに、どの学年のデジタル教科書でもいつでも参照できれば、子供によっては学年を超えて先に進んだり、前の学年の復習ができたりするようになります。
デジタル庁に期待
──デジタル教科書は、どの教科でも全てのOSで同じように使えないと困ります。
バラバラに開発するのではなく、プラットフォームを標準化した方がよいのでは?
基本的には共通プラットフォームに集約して、OSごとにいくつかのビューワーが提供されるのがよいと思います。
デジタル教科書は電子書籍の一つのカテゴリーと定義し、教科書ならではの機能を追加できるようにするのが現実的な標準化でしょう。
教科書会社はビューワーを開発する必要がなくなり、コンテンツ制作に注力できるようになるのが理想です。
──今後デジタル庁の発足が予定されています。
菅義偉内閣が発足して、目玉の政策として行政のデジタル化をけん引する「デジタル庁」創設に向けて動き出しました。
年内に基本方針をまとめて2021年1月の通常国会に関連法案を提出する方針です。
司令塔になるデジタル庁という横串の組織を作って省庁間をつなぎ、取得したデータは個人に戻す、ビッグデータを解析できるデータ基盤を整備するといったことが、デジタル庁の重要な役目です。
データ基盤が整備されれば、例えば自治体の人口や財政規模と学力調査の関係を分析し、規模が小さい自治体でも高い成果が出ている自治体の教育手法を広めることもできるようになります。
逆に、社会財政基盤がしっかりした自治体で、ほかと比べて教育効果が出ていなければ、教育面の課題があると推測できるわけです。
初出:2020年10月19日発行「日経パソコン 教育とICT No.14」
江口 悦弘=日経パソコン編集長
〔2020年12/15(火) 教育とICT Online〕 

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