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バングラデシュを聞き、モンゴルを読む

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バングラデシュを聞き、モンゴルを読む

昨年12月のことです。近くに日本語学校があり、昼すぎに前を通っていたところ学生たちがぞろぞろと出て来ました。
昼食時間になり一斉に商店街に向かうようです。
私の近くにきた一人に尋ねました。「どこの国の人ですか?」と。ほぼ黒人なのでインド系と思います。
「バングラ・デシュです。ここではいちばん多いのがネパール、次がバングラです」と流暢な日本語で返してきました。
そのわずかに話す間に彼の仲間らしい人も来て三人になりました。
「バングラではハシナ首相がインドに逃亡し、新しい政府ができましたが」と言うと、一人が「(新政権を代表する)ムハマド・ユヌスさん(この人はノーベル平和賞の人)はいま日本に来ていますよ」と教えてくれました。
ユヌスさんは、首相顧問の地位に就いています。
「新政権に期待しているのですね」というと三人ははっきりと「そうです」という意志表示をしてくれました。
強権政治からの開放感があるのでしょう。日本人はここまでは明確に意志表示できないと思います。
実はネパールも新しい政権ができました。国民の大闘争があり、政府は腐敗を告発する行動で倒れました。
新しく暫定政府首相には元の(日本でいえば)最高裁判所長官、スシラ・カルキ氏が擁立されました。
この人は前にも首相に就いたことがあるけれども政府の汚職を告発して1か月で免職になった人です。
バングラ・デシュとネパールはこの2年間に、国民の大闘争によって(バングラでは抗議行動への弾圧で千人以上の死者が出たと聞く)新しい政府が生まれているわけです。
この2つの国の革命については日本ではあまり報じられていません。
私の住む地域にある日本語学校にそこから少なからず留学生が来ていると聞き、案外身近に影響のある人はいると思ったものです。
そういえばよく行く近くのカレー専門店「CoCo壱番屋」には、ミャンマーとスリランカから来ている女性店員が数名ずついます。
東南アジア、南アジアから来ている人は結構多いとわかります。

さてがらりと話は変わります。司馬遼太郎『モンゴル紀行 街道をゆく5』(朝日文庫,1978年初版)を読みました。
ユーラシア大陸のロシアと中国に挟まれた内陸国モンゴルの話です。
元々は1973~74年に『週刊朝日』に連載されたものでありモンゴルの事情は当然この時期の前のことになります。
気になった一部を抜き出しましょう。モンゴルはロシアの1917年についで世界で二番目に社会主義になった国(1921年成立)といいます。
「農耕段階も工業段階ももたない草原の遊牧社会にはたして社会主義が成立しうるのか…一部で問題視されていたらしい。
…モンゴル革命とその熟成には…他の生産形態をもつ国よりもかえってあっさり熟成(社会主義的人民の成立という意味で)しえた…
その理由のひとつは、この民族に私利追求の伝統がかぼそくしか存在しなかったことによるといえるかもしれない」(p163)とあります。
なお、ソビエト連邦崩壊した後の1992年にはモンゴルは社会主義政策を破棄しています。このときには、大闘争というものはありません。
モンゴルは面積156万㎢、人口は1970年当時で300万人。牧畜業の国ですが、国営農業も30余か所ある(p158)と書かれています。
それが「遊牧社会のまま、その社会の良さを保ちつつ、社会主義国家になった」(p160)というのは私を愉快な気分にさせてくれます。
日本では大相撲で身近になるモンゴル人——朝青龍から白鵬に次いで、いまは豊昇龍とこの20年間に6名の横綱を誕生させたのでよく知られるモンゴル人です。
大相撲とのつながりは説明できませんが、司馬さんはこう書いています。
「モンゴルは社会主義国といっても元来、人民そのものが大らかな遊牧民族であるせいか、全体の空気がゆったりしている」(p156)。
バングラ・デシュやネパール、加えて大闘争中のイランが、モンゴルとは対比しづらいことはたしかです。
年月にして50年余の開きがあること以上に、2025年から2026年に強国が激しく攻撃をしかけている背景を見なくてはなりません。
それにバングラ・デシュもネパールもイランも社会主義をめざす革命運動の最中というのでもありません。国内の民生と強国介入への対抗という性格です。

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