カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


フリーター、パラサイト、非正規社員、そしてひきこもり

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
移動: 案内, 検索
Icon-path.jpg メインページ > 松田武己 > ひきこもりパラドクス > フリーター、パラサイト、非正規社員、そしてひきこもり

フリーター、パラサイト、非正規社員、そしてひきこもり

フリーター400万人、ひきこもり100万人、パラサイト1000万人、というのが比較的最近の人数規模で、この中心は団塊ジュニア世代です。
これに非正規社員が就業者の40%を占めるようになった点を追加してみるのが、1970年代半ば以降に生まれた世代の、生活と労働の重要な様子を示しています。
非正規社員は、アルバイトやパート社員などの形で昔からいました。
それが1990年代以降、登録社員、派遣社員の形で積極的に推進拡大し、下の世代ほどその割合は増えました。
正規社員というのは非正規社員が生まれるなかでつくられたことばです。ちょうど健常者ということばが、障害者ということばが広がるなかでつくられたのと同じです。
フリーターは1970年代になってからフリーアルバイターということばが定着するなかでつくられました。
1990年代に183万人だったのが、2001年には417万人になった(2.3倍)と報告されています。
岩間夏樹『若者の働く意識はなぜ変わったのか―企業戦士からニートへ』はフリーターについて次のように描いています。

《たしかに、フリーターは不安定なライフスタイルである。まっとうな職業歴がないために、将来も正社員としての雇用を望めない可能性がある。
だから、今のフリーターはこれから先、雇用情勢が改善されたとしても、固定的な不安定雇用者層、はなはだしい場合は、生活困窮層になりかねないという指摘も一理ある。
しかし、アルバイトのほうが職の選択肢がはるかに豊富なことはアルバイト情報誌のぶ厚さからうかがえるし、うまくやれば、当面、下手な正社員より稼げることもある。
問題は安定性だ。雇用の安定性について言えば、正社員の雇用がかなり不安定になった現在、その差はずいぶん縮小したと見るべきだろう。
年金や健康保険も元々、個人で加入することができる。給付と負担のバランスは下手な企業の社会保険よりも有利な場合がある。
フリーターにとって何よりも必要なのは、独立自営業者としての自覚をもつことだろう。
フリーターは職場のサポート体制の枠外にある存在であり、それを前提として生活を組み立てないと、不都合なことに直面することがある。それを自覚することが第一だ。
今や、正社員もいつクビになるかわからないという意味では、フリーターとあまり変わらない立場だ。
だから肝心なのは、フリーターであれ、正社員であれ、どのようにして自分の生活のサポート体制を構築するかを自分で考えることだ。
漫然と働いているのでは、フリーターでも、正社員でも、いずれにしてもあまり明るい未来はなさそうだ。
自分の力でサバイバルすることが求められる時代にあって、何をして生活していくのかを明確にすることが必要だ。
企業経営でよく言われるビジネスモデルに相当する、自分のライフモデルを構想し、節目節目でそれを見直さなければならない。
誰もが自立することを要求される時代には当然のことだ。》(135-136p)

それが若い世代の職業選択するときの背景です。ただ、正社員希望者が非正規社員にならざるをえない限定された枠を前にしてきた点を忘れてはならないでしょう。
非正規社員が受けるいろいろな不利益があるなかで、大きいのは「安定性の欠如」でしょう。生活サポート体制が脆弱なまま放置されているのです。
企業社会は、職業の選択の実用性を広めるために社員制度を緩めたともいえます。
しかしそのばあい、非正規に扱われる被雇用者の生活の安定性を考慮しませんでした。これはとくに法制度を設計した政治担当者に責任があると言わなくてはなりません。
「自己責任」や「自己都合」を広げる風潮を強め、押し通してきたのです。
企業が関わる社会問題でそれを解決するばあい、企業側はこの手を常套的に使います。当面の問題を解決するように見せて、より重大な問題を生みだす要素を埋め込んでいくわけです。
パラサイトが生まれたのは、(これはさらに調べるべきですが)親世代(団塊世代に相当)のゆたかさと、子世代(団塊ジュニア以降)の生活不安定さが重なる点(両方の共同利益に重なる場合もある)も見すごすことはできません。
ひきこもりはこういう社会、特に企業社会の動きを感覚的に敏感に察知する人の動きともいえます。
自己選択、自己責任、自己都合が生み出すストレス社会の入り口で立ち止まり、入り口から入ったところで壁にぶつかった状態で、社会の外側に退却した人たちということもできます。
こういう事情を見ればひきこもり、ひきこもりへの対応、ひきこもりへの支援を各人の性格とか個別の要素に限定して見ることはできません。
社会の現実の動きを無視しては、団塊ジュニア以降の世代(1970年代の半ば以降に生まれた世代)の中で、特に1990年以降にひきこもりが増大したという事実を説明できないでしょう。
ひきこもりは別の面にも光を当てました。彼ら彼女らは、社会の動きを感度よくとらえただけではありません。
ジェンダー(LGBTなど)によるハンディが生み出されている社会、社会的コミュニケーションがうまくとれない発達障害など、いろいろな事情によって、社会に入れない人がいる現実を「見える化」したともいえます。
これには身体科学の進展や個人の尊重や権利という社会的承認が広がっている背景も関係しています。
私が、ひきこもりに関わる過程で出会ったLGBTや、発達障害の人がいたのは偶然ではありません。

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス