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マルトリートメント症候群に衝撃をうける

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マルトリートメント症候群に衝撃をうける

マルトリートメント(不適切なかかわり)を知り、予想外の衝撃を受けました。
新聞記事で知ったのですが、その衝撃を自分のなかに受けとめ、消化し、その意味をここに書くまでに3か月以上かかりました。
ひきこもりの相談を受けると「少し発達障害の傾向がある」と思える方が少なからずいます。
私がそんな感想を言うとかなりの方が同意されます。
発達障害が知れ渡ってきたこと、家族もそれなりに調べている人が多いのが理由です。
しかし、よく考えると妙ではないですか。
「少し発達障害の傾向がある」というのは何でしょうか? 
最近は軽度発達障害とか広範性発達障害の診断はあまり使われなくなりました。
発達障害が先天的な脳神経系の特異性によるもので、あいまいな表現は避けるためでしょう。
私は「少し発達障害の傾向がある」と感想を言いますが、専門の医療機関で調べると発達障害と診断されるのは多くはないと聞きます。
部分的には重なるところはあっても全体としての医学的な診断はされないのです。

あるお医者さんが第4の発達障害を提唱しています。
いじめを受けた人のなかには発達障害に近い症状を示す人がいる、
それを指して第4の発達障害というわけです。
しかし、過半の医療者の賛同は得てはいないようです。
私は医学的な診断はできませんが、それでも「第4の発達障害」の状態像は私が感じるのと共通します。
そういうなかで精神科医の友田明美さんがマルトリートメント(maltreatment)を提唱しているのを知りました。
マルトリートメントとは“不適切なかかわり”という意味です。
虐待やいじめが代表的ですが、いろいろなハラスメントを含み、かなり広い言動が関係します。
虐待、いじめ、ハラストメントを受けた人は、“攻撃”への防衛として、脳を変形させて対応したといいます。
これは多数の人の脳のMRI検査の結果に基づく判断です。
MRI検査の裏付けに基づく判断…というのは今日的であり納得できます。
人の脳神経系は“攻撃”に対処しながら対応する防衛状態をつくったのです。
もちろん微細な脳の変化なので外形でわかるわけではありません。
私はこれを読んだ時の驚きは感動といっていいものでした。

かなり前のことです。20代のある人の行動を思い出します。
体調が悪くなり自宅まで送りました。
そして自宅に着きましたが、すぐには家に入ろうとしません。
玄関から少し離れたところに座り体調と呼吸を整えました。
何か特別の“強い意志”によってそうしているのです。
これはたいへんな心的状態だと察しました。
「家族の前ではちゃんとした姿でいないといけない」というのです。
自分の振る舞いをマニックディフェンス(manic defence うつ的防御)という言葉で表現しました。
こういう振る舞いをいつもしている、そうしなければ叱られるのです。
それだけではありません。
日常生活も親の言うとおりであり、許可なくてはできないのです。
外形的には親への依存に見えますが、依存を超えているし、依存とは異質のものです。
マニックディフェンスが親からの攻撃に対処する方法だったのです。
これを聞いた私は困りました。
いろいろしてきたのですが、それが自身の防衛方法であることは強く感じました。
今回マルトリートメントを知って、その行動や振る舞いを依存と決めてやめさせるようにしなかったことに根拠があったと言えばいいでしょうか。
その振る舞いを少なくとも一方的に否定的なものに思えなかった自分の“勘”に安堵しました。

この対処方法は、いじめ、虐待などのハラスメントを受けた人、特に子ども時代に受けた人が無意識のうちに、自然にたどるものです。
このマルトリートメントを経験した人も、対人関係等において独特の状態・症状を示すことがあります。
それをマルトリートメン症候群といいます。
発達障害の人が示す状態や症状と似ているのです。
また統合失調症と診断されながら症状がそれほど重くない人が数人いたことも思い出しました。
それらの人の症状もマルトリートメント症候群ではなかったかと思い返しているのです。
統合失調症と診断された人が発達障害であったと診断され直されている人もいました。
たぶんこれらの診断の“混乱”はいまも続いていると考えます。
ひきこもりの経験者のうち発達障害でない方の多くは、先天的な脳神経系の特異性ではなく、生後の環境=後天的な要因により特異な脳神経系の状態になったのです。
その表われ方が「少し発達障害の傾向がある」に重なるわけです。
私の関わってきたひきこもりの多くがこの「少し発達障害の傾向がある」に当てはまります。
多くはいじめを受けた後遺症状と理解してきたことです。
しかし、確認できることはいじめだけではなく、虐待やいろいろなハラスメントによるストレスを受けています。
これらの総体がマルトリートメント症候群です。
後天的な生育環境の中で発達障害に似た状態を示すのです。
マルトリートメント症候群は、国際的な基準になっているDSM5(精神疾患の分類と診断の手引き)にはまだ掲載されてはいません。
私がこれまでかかわったひきこもりの経験者にはこのマルトリートメント症候群の範囲の人がかなりいると思います。
ひきこもりの当事者と接触する私には新たな視点になります。

私なりのマルトリートメント症候群の理解では、発達障害とは違いそれは先天的・遺伝的な状態・症状ではありません。
では先天的なことにはまったく関係がないかというとそうとも言えません。
特徴的なことは感覚が鋭いのです。
これは病状ではありませんが先天的な要因です。
感覚には視覚、聴覚、味覚、嗅覚、皮膚感覚、それに平衡感覚があり、これらを五感といいます。
6分野の感覚があるのに五感というのは、平衡感覚が五感という言葉が生まれた後に認識された感覚だからです(?)。
六感というと別の意味にとられるのでここでは六番目の五感(!)としましょう。
皮膚感覚を除く感覚を特殊感覚と言います。
目は視覚に耳は聴覚に…と特定の感覚に関わるためです。
さらに内臓感覚というのがあり、これは皮膚感覚(接触感・圧迫感など)と合わせて体性感覚と呼ばれます。
特殊感覚に比べると輪郭がぼやけていますが、体性感覚の範囲がからだ全体に広がり、全身に関係します。
感覚の表われ方や程度には個人差があります。これらは省略します。
私が知るのはひきこもりの経験者の感覚の特徴を見ます。
平均的な感覚の持ち主ではとらえられないものを、ひきこもりの当事者は感覚の鋭さによって周囲の人の動きや気持ちをとらえてしまうのが特徴です。
病気ではないし優れたものですが、これが不便に働くことがあるのです。
精密機械は繊細であるがゆえに、取り扱いに注意がいるのに似ています(?) 
人によっては感覚過敏症という病気に診断されますが、それではせっかく持って生まれた特殊な才能を壊しかねません。
感覚の中では聴覚と視覚の精細さが目立ちます。
しかし、注目したいのは体性感覚に関係することです。
周囲の人の気持ち・感情もまた敏感にとらえてしまうのですが、これは何でしょうか。
五感によることを前提に、体性感覚とくに腸感覚(内臓感覚の中心)が働いていると思えます。
「気分がいい、なんだか変だ、不気味なこと」を自分と周囲に繊細に感じるのです。
「なんだか変だ、不気味なこと」など言葉で論理的に説明が難しいときの状況把握です。
からだ全体で感じる異様さですが、中心は腸感覚(体性感覚、内臓感覚)でしょう。
そこを中心に人の気持ちや感情を察知する感覚が優れているのです。
じつは幼児期の多くの子どもはこの雰囲気をキャッチする力が優れています。
子どもが周囲の人への反応を外すことがないのは多くの人が知るところです。
そういう子ども時代の感覚の繊細さを成長後も持ち続けているみたいです。
詳しく研究されたものを読んだことはありませんが、腸感覚あるいは内臓感覚、体性感覚にも個人差があります(もしかしたら特殊感覚以上に個人差が)。
子ども時代からの生育過程で、平均的な感覚の持ち主以上に自分に向けられた感情を区分けし、受け取ります。
ときには自分ではなく周りの誰かに向かって発せられる強い怒りなどの感情を受け取ります。
クラスの誰かが怒られているのを見て不登校が始まった、という子どもは少なくはありません。
不登校の子どもの事情にもそれが関係します。
そう理解すると説明がつくことはある、というべきかもしれません。
そういう子どもに対して「なぜ学校に行けないのか」と聞いても、子どもには答えようがないのは当然でしょう。
これはひきこもりにも共通する感覚の鋭さによるものです。
この感覚の鋭さによって、自分が体験した虐待、いじめ、無視された、押し付けられた、怒鳴られた、自分か普通に大事にされていない……がストレスとなって体内、とりわけ脳神経系に蓄積されています。
平均的な感覚の人が素通りすることを素通りできず、受けとめ、攻撃に感じるのです。
している本人もそれが攻撃とは気づかない程度の内容を、精密に攻撃と把握し取り込んでしまいます。
その表われが成長後にも続きマルトリートメント症候群になります。
思春期以降に表われることが多いと思いますがこれは研究の余地があります。
幼児期に表面化する人もいるからです。
子ども時代につくられた状態は、成人後も無視されたり、怒鳴られると素早く反応し、ひどく落ち込んだりうつ状態になります。
それがひきこもりという生活状況・状態像に顕著にみられます。
これが私のマルトリートメント症候群の理解です。

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