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ローカリティ型の支援

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ローカリティ型の支援

ローカリティとは「つながることをつづけること」~ひらの青春ローカリティ3とアンチソーシャルインパクト
■「新自由主義型」と「ローカリティ型」
前回当欄で僕は、「新自由主義型」と「ローカリティ型」がソーシャルセクター/NPO業界にはあると指摘し、前者はソーシャルインパクト評価に基づくわかりやすいが「当事者」がこぼれ落ちる形式、後者は地域密着型でその実態を一言では説明しにくいのだがそれは確かに「当事者」に到達することができる形式だとした(いまのNPOのかたち~新自由主義型とローカリティ型)。
僕の支援者としてのテーマは当然「真の当事者(多数のひきこもり者や虐待サバイバー等)」に到達することなので、仕事のベースは後者の「ローカリティ型」をとることになる。
それは新自由主義型/ソーシャルインパクト評価型のようにわかりやすい回答(不登校であれば「何人登校した」、ひきこもりであれば「何人就労した」等のシンプルな「数」で評価される)ではなく、また新自由主義型のような短期間(1~2年)で評価対象になることもないため、非常に地味な取り組みとなる。
「当事者」を地道に支援するには、
1.一団体や一個人の動きだけではとても通用せず、それは地域全体に広がる複数の支援者たちが「バトンタッチ」して行う、
また、
2.当事者が抱える苦悩の性質上1~2年で「結果」は出るはずもなく、10年単位は当たり前、
の2つの点が重要になってくる。
1.を言い換えると、支援者やサポーターたちがいかに「つながる」か、
2.を言い換えると、そのつながりをいかに「つづける」か、
ということになる。この「つながる」ことと「つづける」こと、連携と継続をいかに意識して理論化し、現実化していくかが、「ローカリティ」を有効に機能させるキモだといえる。
■ 高校生「出口戦略」は、個別ソーシャルワーク
この点を、先日開催した「ひらの青春ローカリティ3」という大阪市平野区のイベントで、複数の専門家と会場を訪れた200名を超える市民たちとともに明確化することができた(若者支援「ひらの青春ローカリティ3」のお知らせ)。
同イベントは昨年も開催し、高校生への個別ソーシャルワークこそが、当欄でも度々言及する「高校内居場所カフェ」の「出口」であると報告している(高校生「出口戦略」は、個別ソーシャルワークだった~「ひらの青春ローカリティ2」報告)。
評価の高い高校内居場所カフェではあるが、一方では「サボる場所をあえて提供している」等の批判は根強い。
またそうしたいじわるな見方でなくとも、「居場所カフェでいったん中退を防止できるとはいえ、ではその先はどのように支援するのか、生徒の卒業後をどう見据えるか」という現実的な問いに対しては即答することがそれまでは難しかった。
が、ひらの青春生活応援事業(大阪市平野区の高校生支援事業、ひらの青春ローカリティはその事業の一環)という新しい事業を展開してきて確信したのが、この「個別ソーシャルワーク」を居場所カフェの「出口」に置くというものだ。
地域の社会資源を当事者に応じて結びつけていくソーシャルワークは、高校生活と卒業後に不安を抱える高校生にこそ有効な方法である。
またそれを実践し支援する側はベテランの支援員である必要はなく、高校生に近い20代の若手支援者が有効でもある。
一人ひとりの高校生に応じた「ソーシャルワーク」を手探りだが模索していく(そこに僕のようなスーパーバイザーを設置するとなお有効)と、不思議なもので、高校生自らが自分の力を発動させて支援に応えていく。
たとえば、3月31日になってギリギリ進級することができたり、いろいろな人々の力を借りて「就労体験」したりボランティア体験し、何年かかけて現実の就労へとつながっていく。ひきこもり状態だったものの、これまたいくつかの支援者と親や本人が出会うことにより、通信制高校に定着したり。
この支援者には、ひきこもり体験をもつ「ピアサポーター(ピアとは仲間の意)」も含まれる。若手支援者やピアサポーターの純朴な支援(アニメやゲームの話などでも盛り上がる)に囲まれて、高校生たちは自らの力を発動させ少しずつ前にすすむ。
■「つながる」ことと「つづける」こと
去年発表されたそうした事例に加え、今年は、高校の教師による外部機関との連携の有効性、発達障害支援機関による地域ネットワークの重要性、児童虐待アフターケア(18才以降を支える)機関による連携の重要性が語られ、現代のハイティーンにとって必須のこれらの機関(高校・発達障害支援・アフターケア・若者支援NPO等)が、個別ケースによってそれぞれ連携のあり方が模索されることについて、具体的に話し合われた。
たとえば、高校の先生たちが集まる会合はある。たとえばそれぞれの分野の福祉専門職が集まる学会もある。NPOの就労支援者が集まる場もある。
だが、一人のハイティーンのあり方をめぐって、上のような多様な機関が集まり、ケースごとの連携のあり方を模索する会合は、実はあるようでない。
日本は現場は強いが、よくいわれるようにそれは縦割りであり、よほど意識しないと多様な専門機関が一同に介し、そのことを大勢の人々(ローカリティ3に集まった200名は、行政職員や教師、保護者や元当事者/経験者等多様だった)と共有することは難しい。
それを可能にするには、ある種のキーワードやコンセプトが必要になる。
そのコンセプトとキーワードが、
「ローカリティ」 という言葉に今回集約された。
このコンセプトのもと、多様な専門家が「つながり」、それがかたちを少しずつ変えながら「つづく」。
この「つながることをつづける」で、10年以上は要する当事者たちの人生に寄り添いサポートしていく。
このことが、ソーシャルインパクト評価的な単純な思考に対峙し、それと同時に、「当事者」たちを潜在化させることを防ぐだろう。
2枚とも神戸久夫氏撮影
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表
〔2018年/12/12(水) 田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表〕

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