天塩町立国民健康保険病院
大人の発達障がい(2)
町立病院の薬剤師、寺門です。前回に引き続き「発達障害」についての特徴、特性に合った職業などを書きたいと思います。
まずおさらいです。発達障害は、
・ASD(自閉症スペクトラム)
・ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・LD(限局性学習障害)
の3つに分類され、この3つが関連し合っています。
○ASD(自閉症スペクトラム)の方の特性
・他人とコミュニケーションをとるのが苦手
・社会的な通念や空気感、表情から読み取る事が苦手
・こだわりが強い
○ASDの方が苦手な事
多人数がにがて、冗談が通じない、空気が読めないと言われることが多いため、マニュアル通りにいかない仕事は向いていません。
○ASDの方に向いている職業は
ASDの特性として1つの物事に抜群の集中力を発揮できるのですが、コミュニケーションは苦手です。
この特性を生かした仕事として例を挙げると、プログラマー、研究職、同じことをコツコツと続ける工場のライン作業などです。
○ADHD(注意欠陥・多動性障害)の方の特性
・注意不足が多い
・落ち着きがない
・じっくりと考えずに行動に移す
○ADHDの方の苦手なこと
仕事でミスが多い特性上、電話対応や同じことをコツコツ続けることは苦手です。
○ADHDの方に向いている職業
旅行ジャーナリスト、物つくりに関する仕事、料理人などです。
○LD(限局性学習障害)の方の特性
学習に関する特定の部分において困難がある。知的能力には問題ありません。
○LDの方の苦手な事と向いている職業
どの部分で苦手を感じるかで向いている職業も異なります。
例えば、「失読症」の場合、視覚で物事を把握できるデザイナーやカメラマンが向いていると言われています。
次回は、発達障害の方や周りの方々の接し方などを書いていきます。
問合せ：天塩町立国民健康保険病院【電話】2-1058
〔広報てしお 2023年6月号〕
『大人の発達障がい』
天塩の病院薬剤師の寺門です(病院の中にいる薬剤師です)。
今回は私が過去に精神科病院に10年勤務させて頂いた経験から「発達障害」について書かせて戴きます。
近年「大人の発達障がい」というワードをよく見かけるようになったと思いませんか?
それに伴い、偏見や知識不足によるのいじめ、誤解なども数多く見受けられます。
また、小さいころや学生時代は目立った問題がなくても、就職や昇進をきっかけにその特性が原因となってトラブルに発展する場合や、本人が全く察せない場合も特徴的です。その際、「本人の努力不足」「家庭のしつけ」「上司の教育」ではなく、発達障がいの視点からアプローチすることで解決するケースが多々あります。
日本人の10人に1人は発達障害と言われていますが、厳密には10人中9人は該当するというデータがあります。
そう考えると、世の中の人のほとんどが、「発達障がい」ということになります。
発達障がいとそうでないのと線引きするのではなく、大切なのは、その特性をグラデーションでとらえることです。
発達障害のそれぞれの特徴を示します。(一部他より抜粋)
〔広報てしお 2022年7月号〕
