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子どもの自立と親子の依存関係(2)

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子どもの自立と親子の依存関係(2)

〔『ポラリス通信』2015年3月号〕
依存から自立する過程を主にひきこもりの経験者を想定して述べます。
自立の過程には思春期のなかに反抗期があります。
反抗期とは子どもの中に自我が育ち、それまでの絶対的な位置にあった親を相対化することです。
それは親を低く見ることにつながります。
はじめから親を正当な位置において評価することはできません。
低く見たり高く見たりしながら、ある時間の経験を経て適当なところに評価が落ち着きます。
そうなると親子関係も落ち着きます。

ひきこもりの経験者はこの反抗期をうまく表現できません。
それは気質・性格として問題を内向的に処理する傾向があるからです。
親という他者に向けて感覚の違和感を表現するのではなく、自分に向けて問題を処理し考えようとするのです。
親への感謝が強いとか、親に反抗するのを道徳的に抵抗感がある、優しいタイプなどと言われ、本人もそう意識していることがあります。
その結果、ひきこもりの反抗期は、目立たないで長引くものに見えます。
私はこれらの意見を容認していますが、それ以上に「引きこもりは反抗期の別種の表現方法であり、爆発的な表現ではなく陥没型の表現である」としたほうが本質的ではないかと考えるようになりました。
陥没型の反抗期(ひきこもり期)の特色は、自己内省型で比較的長期間に及ぶのです。
それでも個人差もあれば、1人の表われ方には波もあります。
爆発もあります。
親への不満や“斜に構えた出方”をするときです。
親はこれをうまくとらえきれなくて困っていることがあります。
この表現方法に気が向けられるので、そこに子どもの親離れや自立の志向が潜んでいることを見逃しやすいのです。
親離れの仕方が仕事の方向に動いていない状態を見て「何をやってるんだか…」とか「不平不満ばかりは言うようになりましたね」と、動き出した子どもの様子を否定的に話す人がいます。
声援するか心のうちでの応援をしてほしいものです。
「これまでの引きこもり生活を深く反省しています」のスタンスで動き出す人は見たことがありません。
親はそういう形を期待しない方がいいでしょう。
こういうこともあります。
自分の室内を片付けだした、家のなかを掃除しだした、という例は少なからずあります。
その場合でもことばや振る舞いに親や支援者への不満を述べるのが並行しやすいです。
そういう行動に対して、そんなことを期待しているのじゃない、外に出て社会に関わり、仕事に結びつくようなことをしてほしい。
親がそういう反応を示すこともあります。
私はこれを歩き始めた幼児に100メートルの全力走を求めるものだとたとえていいと思います。
ものには順番があり、順番を無視すると元の状態に戻ります。
元の状態に戻るまでに時間を要するので、結局は回り道になります。
さらに「そんなことはあなたには向いていない」「やるんだったら~をやってみたらどうなの」という形で、子どものある動きをやめさせ、別の方向に誘導する人もいます。
これはきわめてまずいやり方で、挑戦する心をつぶします。
不満の形で表現するのは“テレ隠し”という人もいます。
当たっているかもしれませんし、説明困難なのでそう言っているかもしれません。
引きこもり生活で失ったものや身につけられなかったものを取り戻すかのように動き出す人もいます。
その人には避けられないことでしょうが、少なくとも最良とはいえません。
家族はやりすぎにならないように“見守る”のがせいぜいのところです。
このようにいろいろな状態・現象が引きこもりから自立に向かいはじめる最初の兆候になります。
親への反発的なものと、子どもが自分にできそうなことをしているものに分けられます。
それらは親が想定したことや、望んでいた形と同じというわけではありません。
少なくともすぐに仕事につく方向ばかりではありません。
家から出るようになったがどこに行くのかはさっぱりわからないこともあります。
ともかく何をし始めているのか親にはわからない、つかめないことは多々あると見込んでおいた方がいいのです。
当事者は、これまでの引きこもり生活をすぐには否定するつもりはない。
しかしその状態はすぐに終了できないのでそこを両立させる方法が斜に構えた言動になるのかもしれません。
どれが正しい、どれが間違いということではなさそうです。

何をしているのかわからないが、ときどき外出するようになった息子さんの話です。
坂道を自転車で上がっている息子さんの姿を偶然見かけて「あ! 何かがんばろうとしているんだ」と感じたお母さんがいました。
「そのときは本当に感動して、涙が出ました」と言っていました。
息子さんの元にはその後ときどき郵便物が届くようになりました。
後でわかったことは就職活動をしていたのでした。
しかし、この方のように仕事に向かう人ばかりではありません。
仕事に就こうとしている・していないにかかわらず、親は子どもを信じてほしいし、それを何らかの方法で子どもに伝えてほしいと思います。

子どもの自立と親子の依存関係(1)

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