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家族のかたち

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家族のかたち

【家族のかたち】働かない妹に、それを庇い続ける父親。助けることが正しいことではないと選んだ“絶縁”
助けることが正しいことではないと選んだ“絶縁”
時代の移り変わりとともに、変化していく家族のかたち。
幼少期の家族との関係を振り返り、自身も子供を持つようになったからこそわかるようになった思いを語ってもらいます。
今回お話を伺ったのは、都内にあるデザイン事務所で働いている勇人さん(仮名・37歳)。
勇人さんは埼玉県出身で両親と2歳下、8歳下に妹のいる5人家族。
小さい頃は年の離れた妹を中心に回る家族、そして自分にだけ厳しくする父親と不仲になり、就職をしてしばらくした後に家を出ることに。
「同じ事務所で付き合った女性の家で同棲をすることになり、家を出たのは21歳になるちょっと前です。
その時には一番下の妹はまだ中学生。
まだまだ家族の中心は妹で、家を離れた僕はたまに母親から連絡が来るくらいでしかつながっていませんでした」
妹のいじめによる不登校、そしてフリーター。厳しい父親はそこにはいなかった
勇人さんは一番下の妹についての話を初めて聞いたのは母親から。
その時はどうすることもできなかったと言います。
「妹が中学校でいじめられていて、不登校になっていると母親から相談を受けました。
殴られるとかいったものではなく、無視などが続いているみたいで。
幸いなことに僕と真ん中の妹はまったくそんなことはなかったので、解決策がまるでわからず……。
父は嫌だったら行かなくていいと言っているみたいなんです。
僕はその時はまだ、自分に子供がいるわけじゃないし、周りの友人もまだまだ独身ばかり。
何が正解かまったくわからないから、何のアドバイスもできずにただ聞くことしかできませんでしたね」
妹はその後少しずつ学校に行くようになり、高校ではいじめられることなく無事卒業。
しかし、妹は進学や就職をすることなく、アルバイトを転々としていたそう。
「それに対して、父親がまったく何も言わないことに正直腹が立って仕方がありませんでした。
僕は大学以外はダメだという反対も押し切って、専門学校のお金を自分で払いきっていました。
なのに一番下の妹はアルバイトを週に2~3日入るだけ。家にお金を入れている様子もありません。
何も言わない両親に代わって、僕や真ん中の妹がいくら言っても聞く耳を持たない。
両親のことを心配して家を出られない真ん中の妹が気の毒で仕方なくて」
そして、勇人さん家族をさらなる不幸が降りかかります。それは母親の突然の死でした。
「専業主婦だったので、健康診断などをちゃんと受けていなかったから、気づいた時にはもう遅くて。
胃ガンで闘病してから1年も経たずに亡くなってしまいました。
闘病中に一番下の妹はずっと母親の看病をしていたので、そこはありがたかったんですが、亡くなってからも働きに行くことはなくて……。
でも当時は僕も母親を亡くしたショックで何も考えられなかったんですよ」
母親の死で崩れた家族関係。絶縁を選んだ理由は、真ん中の妹を救いたかったから
勇人さんは30歳の時に結婚。
そして真ん中の妹も28歳になりますが、父親と下の妹の世話があり、いつまでも実家で生活を続けていたそう。
「妹たちについて色んな感情があります。
真ん中の妹には苦労をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
父はまだ働いていたから、家の世話をほとんどしていて、さらには自分の稼ぎを生活費に充てていました。
僕も毎月数万円ですが、援助していたんです。
でも、お金を渡すことが助けになるのか、一番下をさらに甘えさせる行為になってしまうのかの葛藤もあって。
なぜ働かないのか、なぜ父親は何も言わないのか。
そのことで何度も父親とぶつかったこともあります。父親は『今は』という言葉を使って、一番下が自ら動いてくれるのをひたすら待つんです。
そんな主体性があるならこんなことになっていないと、いくら言っても聞く耳を持ってくれませんでした」
そして、今から2年前、勇人さんはある決断をします。
「父親、そして一番下の妹との絶縁です。僕はまだ大丈夫だったんですが、真ん中の妹を救うためにはこれしかないと思いました。
最後に家族で話し合いの機会も持ったんですが、それでも働こうとしない、それでも妹の肩を持つ父親が変わってくれることはなかった。
真ん中の妹はずっと付き合っている人がいるのに結婚をためらっている感じでしたし、僕も今は平気でも将来嫁にも負担がかかるようになることが目に見えています。
冷酷な判断かもしれないけど、親族であっても無償で助け続けることが絶対に正しいことだとは思いません」
その後、真ん中の妹さんは付き合っていた男性と結婚。現在は関西で生活していると言います。
勇人さんの家も子供に恵まれています。現状についても2年前から変わっていないそう。
「父が亡くなった時に他にも助けてくれる人がいるとは絶対に思わせたくない」と決意を口にします。
取材・文/ふじのあやこ

情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。
趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
〔2019年7/18(木) サライ.jp〕

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