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愛着障害

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「おや中」~親中心主義の国の絶望
■「他者との信頼関係」の土台=アタッチメント
「イクメン」というわざとらしい造語はどうでもいいが、ここ10年ほどは、多くの夫/男性が乳幼児の育児に積極的に関わっていることは間違いないだろう。
それは現代では当たり前とされる。これまで育児に消極的だった男性が関わることは「当たり前」という論調がメディアの主流だろう。
だが、この、母も父も同じようにディープに育児(授乳・オムツ交換・離乳食介助・あそび・保育園送迎等々)に関わっているという事実は、乳幼児には大人が想像する以上の大きな影響を与えている。
それは、「他者との信頼関係」の土台づくりになっているということだ。
この信頼関係の土台は「アタッチメント」と呼ばれ、日本語では「愛着」と訳されるが、僕は誤訳に近いと思う(東大の遠藤利彦教授なども愛着ではなくあえてアタッチメントを使用する遠藤利彦先生 特別講演「アタッチメントと子どもの発達」 ~親子関係・保育・教育における大人の役割~)。
精神分析や哲学などでも、0才中期~後期を中心とする「主客未分化」の時期が重視され、この時期に「他者」がまず現われることで遅れて「自分」がかたちづくられると論じられている(たとえばメルロ=ポンティ「幼児の対人関係」)。
また、児童虐待の被害に遭い乳児院(2才まで)に預けられ、専門職による手厚いケアを受けたとしても、ローテーション勤務で回る多数の専門職のケアではアタッチメントは形成されにくい。未発達な乳児の認知能力のため、それを獲得するには2~3名の大人による育児環境を設定する必要がある。
だから、「家庭」という数名の大人(父母+祖父母程度)による乳幼児への関わりは重要だ。
■「他者を信頼する力」を与えてくれた重要な1人の大人(親)から、引き離す
この数名の親しい大人による育児を体験することで、人間は「他者への信頼」を獲得する。
たとえば、児童虐待に遭い、上記のアタッチメントを形成できなかった人は終生苦しむ。
その命名には疑問を抱くが、いわゆる「愛着障害」として他者との不安定な関係性に一生悩まされ続ける。
だから、親の最大の仕事は、この「他者への信頼力」を乳幼児期に子どもが獲得するお手伝いすることだと僕は思う。
子どもがその後不登校やひきこもりになって親は悩むが、親の最大の仕事はこの「アタッチメント獲得の手助け」だと僕はいつも親御さんとの面談支援の場で伝えている。
そう伝えると、親は全員ほっとし、ポジディブに我が子への不登校・ひきこもり支援に臨めるようになる。
だが残念ながら、当欄でも度々指摘してきたように、離婚後の単独親権制度をとる日本では、アタッチメント/他者を信頼する力の形成に大いに尽力した片方の親/別居親(多くは父親だが母親もいる)と子どもの接触ができない仕組みとなっている。
そして、完全な暴力とも言える「子どもの連れ去り」行為を通して、自分(子ども)に「他者を信頼する力」を与えてくれた重要な1人の大人(別居親)を子どもから引き離してしまう。
■ 親中心主義、「おや中」は昭和
DV支援はもちろん必要だが、これまた当欄で何度も指摘してきたように、それは、「親権」を共同親権(アタッチメント獲得に尽力した2人の親に平等に子が接することができる権利)へと基本的に設定し、DVがあれば、そのあとで警察力等により強制的に単独親権にすればよい。
そうした1~2割の暴力案件のために、8~9割の「普通の親子関係」が現在壊されている(令和2年6月4日参議院法務委員会 嘉田由紀子議員質疑)。
言い方を変えると、子どもが「人間を信じられる」力を獲得できたそもそもの最大の環境因子である、両親の1人との関係性が法制度によって壊されている。
また、DV支援者たち(弁護士のアドバイスによる「連れ去り」)によって、子どものトラウマが産み出され、頑なに単独親権を固守しようとするそれら支援者たち(弁護士とNPO)によって、制度改変が阻止されている。
欧米のように、制度を普通の共同親権に設定したうえで、各DV案件を支援していけばいいはずなのだが、日本の一部弁護士とNPOは頑ななのだ
(当然、共同親権を推進する弁護士とNPOも存在する)。
これは当欄でも指摘してきたように、「昭和フェミニズム」を思想的核とした、「被害女性中心に支援を組み立てる」という価値が大きな影響を与えていると思う
(虚偽DVは、「昭和フェミニズム」から生まれた)。
が、昭和末期のそうした価値はそろそろ乗り越える時期に来ている。
とにかく家族問題の中の最大の弱者は子どもであり、「子ども中心主義」が徹底されれば、自ずと共同親権となり、連れ去りという犯罪行為もなくなり、月1回2時間しかない「面会交流」時間も開放されるだろう。
なかなかそうならない日本は、子ども中心主義ではなく、親中心主義、平たくいうと「おや中」だということだ。
子どもがかわいそうだということに、おや中の人々は気づけない。
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表
〔2020年6/9(火)田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表〕

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