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社会問題

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社会問題

すべてのつながりは、人々がつながりたいからつながっているのではなく、問題たちがつながらさせている
■「一部の社会問題」への貢献
NPO批判が大好きな僕ではあるが、これでもNPO業界(社会貢献業界)に属しており、この業界の人々は「つながり」という言葉が大好きだ。
社会貢献業界といっても、ここ数年で露呈し始めたのは、「一部の社会問題」への貢献という実態がある。
それは、当欄でも指摘するソーシャルインパクト評価に表れているような「見えやすい」社会貢献であり、不登校支援であれば何人の子どもが登校した、ひきこもり支援であれば何人の若者が就労支援を受けたかという、まさに「成果指標主義」に則ったものである
(「涙」と「物語」で評価しよう~アンチ・ソーシャルインパクト評価)。
このような成果指標主義は大量の「当事者の潜在化」を生み、若者支援であればフリーターに近いニート層は確かに支援できるものの、ひきこもりの人々は確実に離れる。
貧困支援であれば、自分が貧困であることを知られたくない貧困コア層は、子ども食堂や学習クーポン的な貧困支援といったわかりやすいリソースには決して近寄らない。
そうしたところに通っていることをバレるのは恥ずかしいから、というシンプルな動機から、だ。
このように、社会貢献業界・NPO業界は、ここ5年ほど顕著になってきたのではあるが、「一部の社会問題」を支援するようになってきた。
■「つながり」の濫用
そうした表層的支援にとどまるNPOたちが好んで使うのが「つながり」という言葉だ。
これは、僕の印象では、東日本大震災以降に目立ち始めた言葉だ。
震災直後はそれを自然に人々が求めたため、何の違和感もなく浸透していった。
が、悲しいことではあるが、その震災の傷跡はいまも大きく残るものの、震災自体の記憶は日々形骸化していっている。
だが、「つながり」という言葉は残る。
つながりという言葉を残すことが震災の記憶を留めるため、それは残っているように僕には思える。
つながりを使用している間は、つながりを求めた原因(東日本大震災)を忘れることはない。
そのために、人々はつながりを使い続ける。
成果指標主義、結果主義の隘路にさまようNPOたちも、自分たちの存在の意味を忘れないために「つながり」という美しい言葉を使い続けているように僕には思える。
社会貢献活動の意義、マイノリティ支援の意味を忘れないために(実際は一部のマイノリティ支援なのだが)、「つながり」が求められる。
支援を達成するためには一組織の力だけでは不十分で、それは関係者すべての力を結集する必要がある。
すべての人々が「つながって」支援はポジティブな方向に導かれる。
そうしたポジティヴィティに到達するために、「つながり」は濫用される。
■すべてのつながりは、人々がつながりたいからつながっているのではなく、問題たちがつながらせている
が実は、すべてのつながりは、人々がつながりたいからつながっているのではなく、「問題」たちがつながらせている。
たとえば、生活保護の問題に関して面接をしていると、その背後に不登校の問題が見え隠れし、長期間のひきこもりの問題が隠れていることも珍しくはない。
さらにそこに子どもの発達障害の問題がかぶり、親の発達障害も見え隠れする。
同時に、親の鬱やパニック障害も見え隠れし、DVも同時に進行しているようだ。
さらには祖父母の発達障害も背後にあり、同時に、家族の誰かが行なう軽犯罪(万引き等)も見え隠れする。
当然、児童虐待の事実が横たわり、そこには性虐待も含まれ、激しいPTSDの問題も併発している。
また、性的マイノリティの問題もあり、それに伴うカムアウトや性自認の決定の問題も含む。
そう、すべての問題は「つながって」いる。
NPO業界の人々が簡単に呼びかける「つながり」以前の状態として、問題たちが人々をつながるように導いている。
そういえば今朝Facebookを眺めていると、僕のタイムラインにこんな記事(情報弱者の貧困層をバカにする人、搾取する人 オンラインサロン界隈を眺めていて思うこと)が流れてきた。
「情報弱者」へのある種のハラスメントを告発する記事だが、最後のほうに父や兄弟の暴力の話が出てくる。
それは当然DVであり家庭内暴力なのであるが、このさらなる背景には発達障害やアルコール依存症なども控えるのかもしれない。
そう、実はすべての問題はつながっている。それは、「問題」たちがつながらせている。
軽いNPO業界や、動機を忘れたくない震災関係者が意図的につながっているものよりもさらに深いところで、問題系たち自体が人々をつながり合わせている。
我々はその事実に謙虚になる必要がある。
〔2019年2/7(木) 田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表〕

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