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私の問題意識と取り上げ方

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私の問題意識と取り上げ方

1945年、第2次世界大戦が終わりました。それから75年が過ぎ、その間に世界も、日本も大きく変わりました。
1945年生まれの私は、ちょうどこの時期を過ごし、この時代の影響を受けながら暮らしたことになります。
25年前に始めた不登校情報センターの取り組みの中で知り合った多くのひきこもりの経験者は、この変化をマイナス領域で受けていたと推察できます。
不登校情報センターの取り組みを通して少なくとも千人を超える人と接触しました。
自宅を訪問した人も70人以上はいますし、親の会に参加してきた数百人の家族がこの千人のなかにいます。
接点があるといっても数時間の顔を合わせただけの人から20年を超える知り合いもいます。それでも200人以上は知り合い程度以上になったと考えます。
不登校情報センターと関わった時期を、自分の“黒歴史”としてなるべく避けようとする人も確かにいます。
それも私にはかけがえのない人たちです。
これらのひきこもり、準ひきこもりの人の事情はさまざまです。
多くは学齢期にいじめを受けたことがあります。
家族内でのハラスメントを受けた、それには親の離婚に結びついたものや、詳しく語る人は少ないですが乳幼児期の虐待をうかがわせる人もいました。
不登校のまま中学を卒業し、高校には行かなかった人、高校を中退した人もいます。
自分の性意識(ジェンダー)に違和感を持つ人もいました。LGBTという人たちです。
仕事に就いたが続かなかった、それ以上に就職できなかった人もいます。
もっと重大なのは、仕事に就こうという意欲を持てなかった、なぜなら人との付き合い方が分からない、社会に入るのが怖いという人もいます。
社会環境(家族・学校・仕事など)の面だけではなく、その人の精神心理状況まで私は関わりを求められました。
親側を見ると、一生懸命な子育ての結果ではないかと悔やんでいる姿がありました。
当事者が「うちの親はこういう親の会に参加するタイプではない」といわれる親の中に「ひきこもったのは子どもの問題、社会の何かが関係している」と親の問題とは感じない人たちもいるようです。
その中に家族内の独裁者とか過干渉で支配的な人がいるのでしょう。
それらの状況を個人の環境や性格よりも、社会的な位置からを見るのが今回のテーマになります。

ひきこもり経験者の集まる居場所を続けることとは、このような人たちと知り合い、そこから人間と社会を見ることでした。
その個々の事情は4月に発行した『ひきこもり国語辞典』でいくつかの面を紹介できました。
それを終えた今、これらの個別に事情を生み出している社会の基盤に目を向ける時期が来たようです。
支援者の集まり、自治体や政府の動きなどは一部ですがこれまでも見てきたことです。
問題はそれよりももっと土台になる部分に目を向ける必要があります。
経済史に関するものもいくつか見ましたが、ひきこもりに迫るものはありませんでした
(もちろん私の見た範囲のことです)。
いや、こういう言い方は正確ではないでしょう。
経済史的なものを含みながらも、社会学的な視点から見なくてはならない点が1つ。
もう一つは社会的な土台の動きというか、その変化に何か期待が持てそうな気持ちになっている点がもう1つ。
近代的な個人の成長が背景に認められるのです。そのあたりに目を向けようとするのです。

ひきこもりがある程度の社会的な広がりを持ち始めたのは、1980年代です。
不登校の中学生のうちからひきこもり状態が生まれました。
学校が関係するので不登校または登校拒否という呼称ができたのです。
不登校はひきこもりの先行状態であり、一般的には対人関係を避ける程度が相対的に軽いものです。
その程度が重い状態をひきこもりと考えられるのですが、対人関係を回避する動揺性や必要性に関しては基本的には同じ傾向にあるでしょう。
不登校・ひきこもりが生じる社会的な背景とは、社会の大きな変化に関係します。
1960年代前後の高度経済成長の時代を通して生まれた日本社会の変化です。
この高度経済成長は1970年に一つの到達を示しました。それはバブル経済が終わる1990年ころまで続きます。
私が出会った多くのひきこもり、および準ひきこもりといえるほとんどは、1960年代の後半以降の生まれです。
その彼ら彼女らが思春期を迎えた以降の1980年代以降に不登校やひきこもりを経験するのです。

**内閣府の調査では40歳から64歳までのひきこもり者は推計61.3万人。
調査は199市区町村200地点で5千人を対象に実施。
調査員による訪問留置・回収方法で、有効回答数は3248人(65%)。
外出の頻度の質問で、6カ月以上連続して、「自室からほとんど出ない」、「自室からは出るが、家からは出ない」、「近所のコンビニには出かける」、「趣味の用事のときだけ外出する」と回答した
「広義のひきこもり群」は、自営業や身体的な病気、専業主婦の一部の状況の人等を除くと47人。
出現率は1.45%で、対象年齢の人口4235万人から推計し61.3万人と推計したものです(2018年12月)。
2015年12月に内閣府が実施した15歳から39歳までを対象とした同種の「若者の生活に関する調査報告」での推計数は54.1万人でした。
年齢幅はともに25年あり、調査時期に3年のずれがありますが比較は可能だと思います。
内閣府のひきこもりの定義は、厚生労働省のひきこもりの定義を調査という実務に即したものに置き換えたと理解できます。
*60歳といえば1960年生まれであり、私が関わった人にはほとんどいません。
池上正樹『ルポ「8050問題」』(河出新書、2019)は、もう少し上の年齢の人たちにも触れています。

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