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経済復興策としてのひきこもり支援の方向

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(5)経済復興策としてのひきこもり支援の方向

不登校・ひきこもりを生み出した経済社会的な条件は、1960年代を中心とする高度経済成長期にあると描いてきました。
1974年以降の安定経済成長やバブル経済の崩壊以降の経済社会状況は、ひきこもりをより広げ深化した時期と考えました。
この過程で、不登校とはひきこもりの先行的・少年期の状態であることも明確になりました。
言いかえれば安定経済成長期以降は2020年代の現在も含めて、ひきこもりは少年期を超えて全世代的に広がる時期になっている言えるわけです。
それは2016-18年ごろのひきこもり115万人から2022年の146万人に増大したことで確認できます。

不登校・ひきこもりに対しては、自助グループ的な当事者の会、居場所、家族会のとりくみが続いています。
フリースクールやサポートステーションなどの支援団体の取りくみも続いています。全国の自治体がそれぞれに取り組んでいます。
そこでは精神心理学、身体科学、社会福祉、障害者支援の知識や対応策が生かされてきました。
このなかで注目すべきことは、ひきこもり経験者自体がこの対応支援の取り組みに参加し始めていることでしょう。
その全国的な団体である「ひきこもり支援者交流会」が「ひきこもり協同実践者交流会」に名称を変えたことが象徴的です。
ひきこもり経験者は、支援を受ける対象であるばかりではなく、支援する側、支援方法を発展させる側にも加わっています。
私が関わる居場所の通所者からも介護施設、相談機関、訪問活動の支援者側に加わった人がいます。
これは近年のマイノリティ側に関わる事態改善の取り組みの特色(当事者視点と当事者参加)であり、ひきこもりもその一翼になっています。
もう1つ重視したいのは、146万人の人たちです。この人たちが何らかの生産活動(財貨生産とサービス提供)に参加するだけで、局面が違ってくることです。
これは経済面では財政支出から転換する視点です。生産活動の一部としてGDPのプラス要因になります。
こういう事態を私は、経済社会の動きの関係でひきこもりを見てきました。
そこから言える1つは、1991年のバブル崩壊以降の「失われた30年」という日本経済の失速、低滞を打破し成長に向かうことが、ひきこもり支援になる点です。
高度経済成長の達成により、日本はゆたかな経済社会になりました。
その時点で、その背後にあった問題が子どもたちの体のおかしさ、心のおかしさ(不登校)、いのちのおかしさ(自殺や殺人行為)として表われました。
現在は、それが大人世代に広がり、ウツ・不眠・摂食障害などの病理になり、その反対側に凶悪、残酷な犯罪が相当に見られます。
この構図はゆたかな社会が大きなゆがみを内にかかえたまま続いているのを示しています。

この事態をどう解決するのかを経済社会の面から考えていきます。
大筋で言えば、さらに豊かになり、あわせて内に抱える歪みを正していくことです。
それを最近、発表された2つの文書と1つの動きから考えます。
1つの動きはKHJ全国ひきこもり家族会が提唱する「ひきこもり基本法」です。
2つ目は政党として経済政策を発表した日本共産党の「日本共産党の経済再生プラン」(2023年9月28日)です。
3つ目は先の臨時国会における「岸田首相の所信表明演説」(2023年10月23日)です。
私には政治について詳しく語る見識はありません。
ひきこもりに関心を集中する一人として言えることは、政治は中長期を見通したなかで足元を固めながら進んでいく世界だろうということです。
岸田首相の演説では、30年間のコストカット政策を転換する時期がきた、この情勢をうまくとらえて経済回復をすすめたいというものでしょう。
これを中期的見通しとする点で、私は反対ではありません。ところが足元がぐらついていますし、矛盾しています。
防衛費を43兆円まで増やすと突出させる具体的な金額を提示する一方で、物価高への短期的な対策では、減税か給付を問われ疑問を持たれました。
さらに消費税を減税する効果的で分かりやすいところは手をつけないと決めました。国民にはわかりづらいです。
細かく見れば方向性で納得できるものもありますが、技術改新の中心が「デジタル革命」でマイナンバーカードの強行に見るように丁寧着実さが欠けています。
日本的な進め方とは言えず、支持率激減という国民の反応を得ています。
共産党の経済政策は、ひきこもりへの対応を特に意識したものではありません。
30年間の経済不振を脱する方向で、賃金上昇(非正規雇用の改善、ジェンダー不平等の改善による国民所得の増大)が明白です。
経済の停滞期にもち込まれた経済制度内のゆがみの改善には、食料自給率の向上(農業重視)、産業の軍事化の進行阻止が明確です。
こうした中長期的な方向のうえで足元の物価高、生活防衛、生活困窮者など社会的弱者に目を向けたものになっています。
大幅な財政出動を提案しながら、うちに抱えた歪みの是正も含まれます。
印象的なのは「社会保障は経済」ということばです。社会保障が削られれば消費は落ち込むし、経済回復とは逆行します。
この30年はそうだったのであり、岸田総理のコストカットはそれをさして、転換の必要性を言ったものではないですか。
146万人への支援と、それによる彼ら彼女らの生産活動(財貨生産とサービス提供)と消費生活への参加は経済停滞からの回復と重なります。
経済面からのひきこもり支援とはこのことです。「ひきこもり基本法」の動きは項を改めます。

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