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舌による感覚と感覚体験(2)

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舌による感覚と感覚体験(2)―2の3(2)

(2014年9月29日)
『内臓とこころ』の説明では舌の役割と乳児の口唇・母乳の役割が連続して説明されます。
「脊椎動物が魚類から両生類になって、水から上陸して、ものを食べる時に、どうしても必要な手となってくるんです。
魚の場合は、しっぽとひれの運動で、自由に餌のところに行ったり来たり…いったん陸に上りますと、最初は食物の近くにきても、パッと飛びかかる運動ができない。
その代わりに発達したのが舌です。
…舌というのは生命を維持するための大切な触覚と捕食器官を兼ねている」
(32ページ)。
この一部は『進化のなかの人体』でも説明されます。
「人間も脊椎動物のメンバーだから、比較解剖学的にみると、人間のからだはサカナを土台ないし原型にしている
…鼻は出発点としては、呼吸用であるより前に、嗅覚用の器官だった。
そして呼吸のほうは、水中に溶けこんでいる酸素を鰓で摂取していた」
(58ページ)。
『人類生物学入門』ではこうふれます。
「生物の歴史のなかにも、いくつかの革命的変化はあったが、水中から陸上に生活の場を変えたことほど大激変はあるまい。
身体構造もそれに応じて、相当な変化が見られる。
そのうち最大なものは、呼吸器と運動器の変化であろう。
…鰓呼吸から肺呼吸へという変化である。
消化管の一部は深く陥没して、肺を形成し、従来の鰓は甲状腺その他の鰓性器官と化した。
魚類の時代は体幹を左右に波状運動させることによって前進していたが、陸上動物になると体肢が生じ、それによって前進運動を行うことになった」
(131ページ)。

『内臓とこころ』は続いて先行する生物が獲得した成果を後続のより高等化した生物が受けつぎます。
人類も例外ではありません。
「舌の筋肉だけは、さすがに鰓の筋肉、すなわち内臓系ではなくて、体壁系の筋肉です。
…顔面の表情筋が全部鰓の筋肉であるのに対し、舌の筋肉だけは手足と相同の筋肉です。
…舌というのは、内臓感覚が体壁運動に支えられたものだと思えばよいのです」
(34ページ)。
一言でいえば舌の感覚は内臓感覚の一種です。
体壁系とは、外皮系(感覚)、神経系(伝達)、筋肉系(運動)から構成されます。
それに対する内臓系は、腎管系(排出)、血管系(循環)、腸管系(吸収)から構成されます。
舌は外皮系の筋肉(運動)に支えられた腸管系=食物の吸収の働きをし、内臓感覚をもつ特別の筋肉というわけです。
*『進化のなかの人体』にあった舌の特徴:
「男性はどの筋肉も女性よりより発達しており、とくに上肢と下肢で性差がはっきりしている。
…ドイツの解剖学者ワルダイエルが、たったひとつの例外をみつけたという」。
それは舌で「女性では、この筋肉はかなり力強く発達しており、おまけにじつによく動く」
(106ページ)。

この後で人間の哺乳時期の舌の役割、“なめ廻し”による“生命記憶”の説明があります。
この部分は正統派の解剖学や生理学では及ばないはずです。
育児の場面や母乳の説明になり、先の『母乳』で説明したとおりです。
それを乳児の側からみたらまた別の役割もあります。
内臓感覚は後天的に“鍛えられる”こともあるのです。
『内臓とこころ』の説明です。
「正常な哺乳とは…母親の乳首から直接吸うことです。
この唇と舌の、最も鋭い内臓感覚でもって、母親の乳首のあの感覚を味わい尽くす。
…赤ん坊の時には、まず哺乳動物であることの最低の条件を満たすためにも、母乳を体験させないといけない」
(35ページ)。
「乳房を吸わせ続けるということは、内臓感覚を鍛える、それはかけがえのない出発点であると思うんです」
(39ページ)。
「ふつう六カ月過ぎて首が据わって、手が自由になりますと、手あたりしだいに物をなめ廻します。
…この時に鍛え抜いた舌の感覚と運動が、後になって、どのように生かされてくるか…。
いまの心理学のことはわかりませんが、たとえば、コップを見て“丸い”と感じるでしょう。
これは類人猿には見られない、まさにホモ・サピエンスの特徴です。
この“丸い”と感じる、その奥には、この“なめ廻し”の、ものすごい記憶が、それは根強く横たわっているのです。
…そこには手のひらの「撫で廻し」の記憶も混然一体となっているはずです。
…からだに沁みついた、かつての記憶――私どもは、これを“生命記憶”と呼んでいます…」
(39-40ページ)。
*舌と手は、脊椎動物の筋節から生じた「将来の腕の筋」と「将来の舌の筋」という「兄弟の関係にある」ことが発生的に図示されています(33ページ)。

もう少し追加しておきましょう。
“なめ廻し”には「適度のバイ菌がいる」畳なども対象になりますが、「そのバイ菌を入れてやると、腸管のリンパ系が心地よく刺激されて、加不足ない防御体制ができあがる」
(42ページ)。
「少々の毒物は、ですから舌を通してどんどん入れてやることです。
それを衛生だとかなんとかやりますと、無菌動物になる」
(43ページ)。
〈清潔は病気だ〉みたいな本がありましたが、ここにつながるわけです。
それはまた別に扱うことになります。

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