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(7-2)居場所「10年」の一例

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(7-2)居場所「10年」の一例

期間「10年」と提示するのは一人の実例が私の頭にあるからです。
短くもなれば長くもなるという「10年」に特定の人を当てはめるのは必ずしも妥当とは思えません。
他方でいろいろな人のあれこれの面を網羅して人物像を描く場合のわからなさはそれ以上にダメだと思いました。
それでこの人を挙げます。この生き方がだれにも通用するとは思いません。
自分のスタイルを曲げないで、時期を待ったといえるのでしょうか。
私はその人、Rくんを私の見方で説明します。
個人情報的なことは書かないつもりですが、近辺にいる人は「○○くんかもしれない」と想像するかもしれませんが、それはさけられないことです。
しかしこれという証拠は、文面には出ないでしょう。
Rくんの一つの面は一つの決めたことを頑なと言えるほど、しかし自然に守りました。
週何回か通所しパソコンで主にサイト制作をしました。通所のペース、日時は各自の都合に任せている居場所作業です。
Rくんは彼の設けた基準に沿ってそれを実行しました。
休日には土日曜日や祝日も含みます。
居場所では土日曜日も祝日も関係ないのですが、これらも各自の判断や都合に任せていましたが、彼は自分の基準に従いました。
サイト制作は、数人が分担しています。
その分担のなかで各自が工夫を試みることも可能でした。
サイトはWikiシステムでできており、そのシステムの中で彼はいくつかの試みしていました。
この数年―——彼はすでに職に就きこの制作にかかわっていませんが——―集団作成したサイトを集約する時期に入っています。
その作業過程を通して彼がここではこういう試みをしていた、ここではこんなこともしていた、と感じる場面がいくつも見つかります。
これはRくんにかぎらず他の人にもいくぶん見られることですが、彼のケースが格段に多いことは確かです。
彼を考える場合、特別と思えるのは私との関係です。
私と通所者の関係に不文律の基準はあると思いますが——Rくんと私は必ずしも親しいとか友好的とはいえないでしょう。
決して対決していたのではありません。
彼も、そして私もそれなりに頑固であると認めていいと思います。
その一方で他人のやり方には通常は干渉しない——そういう日常というか生活態度は共通しています。
通所者と私はときにぶつかることもありました。
その結果(残念なことですが)、この居場所から離れていく人もいました。
別の所に活路を開いた人もいますが、そのまま様子がわからなくなった人もいます。
Rくんのばあいは、私にねばり強く迫ってきました。記憶ではそういうことは3回ぐらいありました。
いちばん思い出すのは、きわめてまれな、一時的な事情によるもので——詳しく語ることは避けねばなりません。
このとき私は彼の「説教」を1時間以上も聞かされることになりました。
そのために、児童相談所や行政区の子ども相談室に、そして近くの交番に出向いてある事情を説明して回ったことがあります。
その結果、居場所のやり方を少し変えたわけですが、他の人にはその影響はあまり感じなかったはずです。
私は、全体は変えずに彼が要求した点を満たすためにある対応をしただけです。 彼が私に要求した2つ目は、彼がある事情から職に就いた後のことです。
言い方は正確ではないですが、Rくんが職に就いたことは「たいしたことではない。
大きな成果でもない。それを何か大へんなことが起きたというように主張してほしくはない」ということでした。
私は、実はほぼ同じスタンスをとるつもりでしたが、そのことを改めて彼から主張され、迫られたことにめんくらったものです。

ふり返ってRくんを思います。
地味で一貫して、しかも止まらなかったと言えます。
急発進、急成長とか目ざましいものをあげることはできませんが、その十年をみると、いやそれが十年つづいたことこそ、かけがえのないめざましさであると思わずにはおれません。
知る範囲では、精神科系医療機関に受診していたとは聞いていません。
もし診断を受けるとすれば発達障害系の何かでしょうが、そういうことには無関係に生きてきました。
おそらくそれは私と似ていると思います。
彼とは30歳近くの年の差がありますが、彼の将来は意外なものになるのではないかと予感さえするのです。
職に就いて数年後、彼が「優秀社員」に選ばれていたと聞きひそかに納得しました。

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