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Center:130ー地球の生物は宇宙を投影する

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地球の生物は宇宙を投影する

江上不二夫『生命を探る(第二版)』(岩波新書、1980年)を読む。
〔2011年5月3日〕

生物学的な知識もまたあまりないので、テーマとは関係ない部分も理解するためにノートします。
最後のあたりを確認したかったのです。
“小さな花に宇宙が宿る”とロマン・ロランは詩にしていませんでしたか。

(1)生物の特質・性格
「生物の存続は、もう少し内容を示せば、それは短期的には個体、次に種の存続、さらに長期的一般的にいえば、環境との関連における進化を通しての存続である」(17ページ)。
「生物の存続を可能ならしめている最も基本的な行為は自己増殖である。そしてそれを含めてより一般的にいえば、英国の…生理学者ホルデーンの古い言葉をかりれば『正常な特異的な構造の積極的(能動)維持』といえる」
Active Maintenance of Normal and Specific Structure (18ページ)。
「自己増殖を生命の基本的な性格とみなすことができる」(23ページ)。

(2)消化の本質
「消化の他の重要な面は特異性の破壊である。特異性のある高分子化合物を特異性のない低分子の化合物にすることである」(27ページ)。
「ほかの生物の特異的構造を徹底的に破壊して、特異性のない低分子化合物にしてから、吸収し、それを素材として、自己の正常な特異的な構造をつくりあげるのである」(28ページ)。

(3)生物の物理的環境
「生物はこの地球に存続しているけれども、個々の生物――厳密には生命をつくっている有機物というべきであろう――はこの地球上で本来不安定なものである。いずれは無機物に返る運命にあるものである。不安定なもので常にこわれているから、それを補修していく積極的維持でなければならない。積極的維持によって生物は『安定化』されている」(31ページ)。

(4)地球型生物
「化学の立場から見ると、『地球型生物』の第一の基本的な特徴は、『水と炭素化合物を基盤的物質とした生物』といえるであろう」(40ページ)⇒地球という物理的環境が生み出した生物。

(5)水
「水というものは、なかなか特殊な物質で…水にもいろいろな存在状態が」あり、それが生物にとって重要な意義をもっている…。」(48ページ)。

(6)核酸(=タンパク質の一つ)
「高等動物は、タンパク質を構成しているアミノ酸のうちのとくに必要な10種ほどのアミノ酸(いわゆる必須アミノ酸。リジン、トリプトファンなど)とビタミン類、無機塩類を与えれば必要な核酸をつくり、十分に育ち、子を生む…すなわち、核酸または核酸の特別な材料を食べる必要はない…」(64ページ)。

(7)DNAとRNA
「核酸は窒素をもった部分(核酸塩基という)と糖部分とリン酸からできている。塩基=糖=リン酸のように結合したものが単位(単量体)をなしており、これをヌクレオチドという。核酸はこれが多数(80位から数万以上)縮重合した高分子化合物で、ポリヌクレオチドといわれる。核中の核酸の主体はデオキシリボ核酸(DNAと略記する)とよばれる…細胞質中の核酸の主体はリボ核酸(RNAと略記する)とよばれる」(68ページ)。

(8)酵素というタンパク質
「酵素は生体触媒ともいわれる。生体により生産され、生体反応を促進する触媒である」(75ページ)。
「1800年代のはじめにベルツェリウスがいったことば『生物には合成を容易ならしめる特殊な条件がある』は、今なおそのまま通用する。この特殊な条件の一つ、あるいはむしろ、そこの主役を演じているものは生物の特殊な触媒であり、それが酵素である」(76ページ)。
「酵素は…多種多様であるが、少なくとも今まで見出された酵素はいずれもタンパク質であることが示されている」(77ページ)。
「酵素は酵素作用(触媒作用)という機能をもったタンパク質である」(79ページ)。
「多くの酵素が、多くの生物にとって最もよい環境である中性付近において、最もよく作用することも、生物らしい性質である。これは両性電解質であるタンパク質の性質として物理化学的に説明される。すなわち、酵素分子が活性であるためには、それが特定の荷電状態になければならないが、酸性側では酸素分子は不活性な正電荷状態にあり、アルカリ性側では酵素分子はやはり不活性な、負電荷過剰な状態にある。中性付近では活性控訴分子の量が最も多くなっている」(81ページ)。
生物は、物理的条件に影響を受ける、そのメカニズムを、酵素のところで示したものと思える。

(9)動植物の動きと化学変化、酵素系の働き
「動植物が成長するにも、繁殖するにも、動物が運動するにも、ホタルが光るにも、またおそらくヒトが物を考えることさえも、一般に生物のすべての現象にたいおうして、その基盤として、そこに必ず化学変化があり、その化学変化はほとんどすべて酵素系の関与のもとに行なわれている」(84ページ)。

(10)エネルギー
「もし栄養素が体内で燃焼し、熱を与え、その熱がいろいろな生物の仕事に必要なエネルギーとなるならば熱機関であるが、生物は熱機関ではない。…しかし生物の仕事は…、体内の細胞で行なわれる。…生物は、一般に、エネルギー源に含まれている化学的潜在エネルギーを、(88ページ)熱の形をへることなしに、いろいろな生物的な仕事に変換しているのである」(89ページ)。
「生物は生きている限り、少なくとも生命現象を営んでいる限り、常に生物的仕事をしている」(89ページ)。
「高等動物でのエネルギー消費の量的におもなものは次の三つである。
(1) 維持のエネルギー (2)筋肉運動 (3)体温の維持」(92ページ)。
維持のエネルギー「生物は本来不安定なものである。それはエネルギーを消費しながら、一方においてどんどんこわれているのを積極的に補修しながら維持している。維持のエネルギーの主体はそれである」(93ページ)。

(11)ATP=アデノシン三リン酸
「生物が急激な仕事をしたり、エネルギー消費をするときには、生化学者がATPと略記している物質が急激に分解することが知られている。そのことは、急激な筋肉運動、ホタルの発光、電気エイの発電など多くの場合に観察される。そして、これは急激な仕事のときに限らず、一般に生物的エネルギー需要はATPの分解によって放出されるエネルギーでみたされていることがわかってきた。…アミノ酸を素材としてのタンパク質の生合成にもエネルギーを要するが、そのエネルギーもATPの分解によって供給される」(95ページ)。
「エネルギー源としての栄養分の分解によって遊離されるエネルギーでまずATPがつくられる。ATPの形でエネルギーがためられる、といってもよい。次にATPが分解され、そのとき遊離されるエネルギーでいろいろな生物的仕事が行なわれる。もちろん、このどの段階の反応にも、それを触媒している酵素が関係している。
基本的には、生物のエネルギー変換はこのようになされているのであるが、生物はこれを巧みに調節して、方向づけられた変換を行なっている」(97ページ)。
「すべての生物は、生活に必要なエネルギーをATPに依存し、そのATPは有機物中なたくわえられた化学的潜在エネルギーをうけてつくられる、ということができる」(102ページ)。
ATPは生物の内部で働く物理的な力の現われ方の一つです。 (12)遺伝情報の伝達と発現
染色体――有糸分裂の時に現われる形態で、静止核は一般に染色糸として存在する。有機物としてはほとんどタンパク質、核酸(主としてDNA)。どちらが遺伝情報の担い手か?
「しばしば強い紫外線を生殖細胞などにあてると突然変異がおこることがしられている。(103ページ)…その突然変異のおこりやすさは紫外線の波長によって一様ではない。260nm位の紫外線がとくに突然変異をおこす力がつよい。…この波長は、核酸が吸収する光の波長にほかならないのである。光を吸収するということは、それで何らかの変化がおこっているのであり、それが突然変異という生物学的現象として現われてきたのである。
 タンパク質は一般に280nm位の波長の紫外線を比較的よく吸収するが、その光は余り突然変異をおこさない。
 この観察は、遺伝情報の担い手はタンパク質であるよりは、むしろ核酸、おそらくはDNAであろうと思わせる」(104ページ)

(13)方向づけられた突然変異
「X線や紫外線などをあてておこす突然変異はどのようなものをつくるのかという変化の方向を指示することはできない。DNAによる形質転換は、そのDNAに書きこまれている遺伝情報の伝達であり、方向づけられた突然変異をおこさせるものである」(106ページ)。
「DNAにきざまれている遺伝情報は、どのようなタンパク質をつくるか――またはつくらないか――ということであり、遺伝情報の発現とは、そのタンパク質を形成すること――または形成しないこと――およびその量的調節にほかならないことを、了承する」(111ページ)。

(14)環境への適応⇒相応のタンパク質の合成
「環境には物理的なもの、化学的なものがあるが、…まず化学的な変化に対する適応を扱う(138ページ)…。
微生物の生活環境から急に何らかの栄養素が欠乏したとする。その微生物は…それ以外のものを栄養素としてとりいれなければならない。有効な栄養素が欠乏したときに適応とはそれ以外のものを有効に利用する能力を獲得することである。有害物が現われると、…それを避ける道、一般にはそれを無害なものに変えたり、それを細胞を透過しないように不溶性物質に変化させる力を獲得することであり、…持っていなかった酵素を新たにつくることである。…
酵素は物質としてはタンパク質であるから、…微生物の環境適応という生物学的特性は生科学的にいえば特定のタンパク質の合成にほかならない」(139ページ)。
生物と物理的環境のつながりをこの面で明らかにしている。

(15)心理化学
「訓練・学習・記憶といわれているものも、一面においては、環境適応にほかならない。動物心理学でつかわれる…研究も、今は、生化学の対象になりつつある。このような分野は、むしろ心理化学といった方がよいかと思う。脳、神経等の機能を、脳を構成する物質の動きとして理解しようとする生化学の分野である。…
近い将来に、訓練・学習・記憶も化学の言葉で表現されるようになるであろう。脳機能に関与する特異的タンパク質、ペプチドもしられている」(149ページ)。

(16)法則以前の進化論
従来の進化論は「地球生物に共通する基本的な性格が地球環境との関連において、どのようにして生じたかを教えてはくれない。要するに従来の進化論は…法則になっていないのである。生物は環境との関連において進化するものである」(161ページ)。
「地球生物を生化学的に研究すればするほど、高等動植物より微生物にいたるまで、その化学成分、そこで行なわれている化学反応につき驚くべきほどの共通性があることがわかる。いずれも水とタンパク質が主体であり、タンパク質をつくっているアミノ酸の種類も共通である。酵母によるグルコースの発酵も、動物臓器内における解糖(糖の無酸素的分解)もほとんど同じ過程である。
 とくに重要なのは、地球上の生物はいずれも同じDNA→RNA→タンパク質という遺伝情報の伝達を行ない、ことに遺伝暗号も同じであることである。
 したがって共通のただ一つの祖先をもつと考えられているが、このような基本的性格が、地球環境との関係において、いつ、どこで、どのようにして生まれたのであろうか。これは従来の進化論も古生物学も教えてはくれない。これは宇宙生物学的観点で追求されなければならない」(162ページ)。
 この本の総括とも言える。フロイトのいう太古性やヘッケルの系統発生説などともつながるように見える。特に地球という物理的条件⇒化学的条件においていまの生物の状況が生まれていること、その地球は宇宙の微細な構成部分であることが一体としてとらえられなくてはならないことを裏付けている。

(17)宇宙生物学⇒普遍生物学
「宇宙生物学の基本的法則というのは、天体の進化の一環としての生物の進化の法則にほかならず、天体の過去現在とそこの生物との必然的関係を明らかにす(162ページ)ることである。
…宇宙生物学の第一の分野の目標はここにあり、従って私はむしろこれを普遍生物学とよびたいのである」(163ページ)。

生物は、宇宙の物理的法則を意識する・意識しないにかかわらず影響を受けています。
その宇宙を意識的に知る試みを人間はしてきました。科学もその一つです。瞑想もその一つです。
精神的・身体的な極限状態を意図的につくって何かを得ようとした人たちもそうでしょう。
アニミズムやシャーマニズムと評される人の試みの中にもそのようなことの素朴な要素があると思います。
子どもには意識的な部分が少なく、自然法則がより自然に現われやすいものです。
女性もまた男性に比べてみれば、自然法則が現われやすいと思います。
これらは、子どもや女性の強さにもなれば弱さにもなります。
男性は、意識性に左右されやすいものです。それは男性の強さでもあり、また弱さでもあります。
これらの自然に対する受け入れの強弱は、本来的には等価的としかいいようがありません。

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