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Center:2002年6月ー教育的アプローチを考える

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教育的アプローチを考える(序の1)

〔2002年の時期は不明=仮に6月とします〕
「引きこもりから社会参加まで」の道筋を明らかにしたいと手さぐりを続けてきました。

そこにはどんな課題があり、どんな内容が規定され、どんな経過をたどって、この時期をつき抜けていくのでしょうか。
私は親や引きこもり経験者の相談を受け、当事者の会づくりを支援し、訪問活動をすすめ、文通手段を組織し、親の会もつくってこれらに取り組んできました。
取り組みの一つひとつは、いろいろな到達状態を示しています。
満足できるものはありません。
それらの過程を通して、引きこもりの人とその周辺事情の人に数多く触れてきました。
そのなかでの空白部分ともいえる部分に、教育的アプローチの存在に気づきました。
その意味、位置づけをしてみたいと思います。

(1)アプローチをする専門家の種類と分野

引きこもりから社会参加の過程においては、家族と友達の役割が特別の位置を占めることは間違いありません。
しかし、家族の協力を欠いたままこの過程をきり抜ける人もいます。
また、友達は必ずしも絶対とはいえない、とも考えられます。
家族や友達は特別重要ですが、当人はそれがなければどうにもならないとは考えない方がいいのかもしれません。
しかし、友達もいないし、家族の協力もないなかでは困難は増します。
何らかの人との協力なくして、この過程をつき抜けることはできません。
その何らかの人の一種が、専門家の力によるものです。
当然それは、限界もあります。
まず、専門家の関わり方を分野別にみることにします。
1. 医学・医療的アプローチ(医師などの医療専門家)
精神障害、病的要素その他の障害による引きこもりを中核とするアプローチです。
2. 心理的アプローチ(カウンセラー、各種の心理療法者)
個人的カウンセリングから芸術療法や行動療法や集団的要素など、かなり広範な対応方法があります。
3. 教育的アプローチ(教師、社会教育指導員、レクリェーション指導員、教育相談員)
教育的アプローチは引きこもりに対しては、これまであまり注目されなかった分野です。
一般には思春期から自立に向かう課題ですが、それと引きこもりと関係づけて取り組もうとするものです。
4. 職業訓練的アプローチ(職業訓練指導員、一般の職業人・技術者)
社会参加に直接に結びつく人で、技術取得や仕事の場での対人関係づくりの支援者となる人です。
5. 福祉的アプローチ(生活指導員、ヘルパーなど)
確実にこの分野でのアプローチを必要と考えているけれども、その位置、内容に関しては、私はまだわからない分野です。
6. 保健行政のアプローチ(保健師、医師、心理士)
実態としては、医学・医療的アプローチ及び心理的アプローチと一体ですが、行政機関として、保健所及び精神保健福祉センターの取り組みがあります。
特色は保健師という訪問活動をする職員がいることです。
想定できる対応の範囲は広く、教育的アプローチと並ぶ引きこもりへの対応力をもっていると思います。

私が教育的アプローチの意味を特にとりあげて考えるようになったのは、まだ1年以内のことです。
しかし、まだよくわからないまま“何”かの必要性を感じ始めたのは、4年前に始めた「人材養成バンク」という取り組みの失敗に端を発しています。
人材養成バンクの取り組みは、20歳以上の引きこもり状態の人の社会参加をめざす取り組みでした。
事業所を回り、見習いや研修やアルバイトの名目で、対人関係不安の人に働く(練習)機会を頼んでみました。
引きこもり的な若者約80人が登録し、彼ら彼女らにそれを提示してみました。


(2)まずコミュニケーションの回復

まずコミュニケーションの回復がある。
次いで働こうとする意欲がある。
だとすれば後はそれを柔軟に受け入れようとする事業所があればよい、と考えたわけです。
その結果、うまくいかなかったのです。
1. 引きこもりからの出口は、コミュニケーションの獲得から始まります。
しかしそのコミュニケーションの獲得の部分だけでもいくつかのレベルがあることがわかりました。
  2. ある程度、コミュニケーションがとれる(話し相手や友人ができる)と、かなりの人はアルバイトや就業を口にします。
それもいろいろな程度はあります。
働く意欲、それには不安がいっぱいあっても、受け入れてくれる事業者によっては、その働く場でその不安を乗り越えていくだろうと考えました。
いわば労働的カウンセリング、“労働療法”を想定したわけです。
3. 引きこもりからの脱出=社会参加は、仕事に就くこと(少なくとも1年以上)で、一応の達成とみるのは間違いないと思っています。
その一方で、「半引きこもり状態」のまま就業している人が多数いることも知りました。
仕事に就くことで社会参加が達成されるのに「一応」がつくのはそのためです。


(3)「仕事に就く」前に課題がある

ところが、コミュニケーションの獲得と仕事に就くという間には、重大な空間がありました。
「仕事に就きたい」という意志だけでは説明できない大きな空間です。
この空間の課題を乗り越えなくては、本当の社会参加の力はつかないと考えるしかないのです。
引きこもりの人と一口に言っても、実際にはいろいろな状態像の人がいます。
私の目の前にいる人もそうです。
男女別、年齢、家族関係、友人関係、仕事への意欲などは、ばらばらです。
このばらばらであるこれらの人たちを、ある程度の法則的な原理で説明できることばを、私はさがし求めてきました。
  まだ、その原理らしきものにはたどりついていません。
それら一人ひとりを個別的にみながらそれぞれの人が、引きこもり状態を仮想的なX軸、Y軸、Z軸という立方像のどこかに位置づけられるべきかを探索し続けたようなものです。
また答えは得ていません。
ただ複雑なジグソーパズルを並べるとき、ある要素とある要素が隣り合わせにある関係にある、いくつかの部品が集まってある小さな部分を構成する、このパートは周辺の輪郭をつくる部分になる、そのような部分的なことがいくつかはわかってきた感じがするのです。
  それら全体の構図が完成したときには、それまでの部分の想定は、最後に大逆転をした姿になるかもしれない可能性もあります。
そういう未知の部分をはらんでいるかもしれないわけです。

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