カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


Center:2005年4月ー引きこもりとジェンダー(性)のゆらぎ

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
移動: 案内, 検索

目次

引きこもりとジェンダー(性)のゆらぎ

〔2005年4月10日〕

引きこもり経験のある20代から30代の人の中に、ジェンダー(性)のゆらぎを感じる人が多いように思います。
引きこもりを経験することと、このジェンダーのゆらぎには一つのつながりがあるようです。
そのいくつかの面を列挙していきます。
ジェンダーの表われ方、意識のしかたには男性にしても女性にしても個人差があります。
それでも引きこもり(とその経験者)を一つの社会的グループとしてそれ以外の社会的グループと対比したとき、有意な差があるのではないかと感じます。

思春期

引きこもりを臨床的見地から対応している精神科医師の斉藤環さんは、その著書『社会的ひきこもり』のサブテーマを「終わらない思春期」としています。
重要な一面をついていて同感できます。
30代に入った女性が「私はいまが思春期です」といいました。
20代後半の男性が「僕の思春期は遅れてやってきました」といいました。
このような思春期を自覚できることは自己認識として当たっていることで、いいことです。
この2人が例外ではなく、たとえ意識されなくてもこのような心情、感覚は、引きこもり経験者にはかなり広くみられる状態です。

アダルトチルドレン

あるいはアダルトチルドレン(AC)を自称する人も少なくありません。
ACの人の特徴の一つは、子ども時代に子どもらしい生活をさせてもらえなかったことです。
彼(女)らのなかには、子どものころに戻ってスキンシップ的な行為を求める感情もあるように思います。
しかし実際にはそれもうまくはいっていないことが多いのです。
この子ども時代に戻ろうとする奥深い感覚のあることも、大人になりきれない一つの表われです。
これらの状態も、彼(女)らのジェンダーのゆらぎを生みだす土台を形づくっています。

大人になりきれない

子ども時代に戻り、子ども時代を体験し直したいという感覚は「大人になりたくない」感覚に結びついていきます。
人間の成人(大人)への成長過程をみると、子どもから男性・女性になって、その後で成人します。
成人になりたくない感覚は、意識的にしろ無意識的にしろ、その前の段階で子どもが男性になる、子どもが女性になるのにブレーキをかけることになります。
自分は女性になるのではなくて中性になりたいという女性にも出会いました。
「大人になりたくない」感覚が、人によってはこのような"中性化"指向の形で意識化されるように思います。
ここまでになると、ジェンダーのゆらぎの説明にかなり近づくことになります。
20代以上の男性には、少女っぽい女性にひかれる人が多いように思います。
いわゆるロリータ・コンプレックス(ロリコン)もここに加わるわけです。
成人の男性になりにくい(なりたくない)ことが、成人の女性を回避する心情に働いているのではないかと思います。
小さな女の子を見て、ついていった女性もいます。
その子の後をついていくことで、自分の子ども時代を探しに行った感覚だそうです。

成人の同性の回避

女性のなかには、同年齢(以上)の複数の女性と一緒にいるのを嫌う人がいます。
私は以前には、同性のいやがらせや母親との葛藤が背景(成育過程)にあるものと考えていたのですが、それだけでは説明できない面もあります。
まだうまく説明できませんが、女性として成人するのを回避したい感覚と結びついているのかもしれません。
引きこもり経験のある男性には、父親を避け、反発する人が多くいます。
これは家庭内において〈社会〉を代表する父親を避けるのは、社会を避けることの象徴と考えていたのですが、違う面もありそうです。
男性の回避、成人の男性になりたくない気分が底流にあるのかもしれません。

その他の共通性を考える

このほかにも、よく見られる現象がいくつかあります。
たとえば女性ではスカートをはく人が少なく、化粧しない人が多いように思います。
男性では飲酒に弱い人が多く、賭け事に熱中する人が少ない印象を受けます。
これらはいずれも個人の好みであって、男性・女性というジェンダーの面からだけ考えられるわけではありません。
それにもかかわらず、以上の要素と重ねてみると、一つの社会的グループ、それも生命体としての共通性を持った集団的な特色とみることも可能ではないかと思います。
そのような個人差を通して、重要な特色は表現できるからです。

性同一性障害について

相談を受けた人のなかには、性同一性障害との診断および自己判断をしている人も何人かいます。
これは引きこもり経験者のなかにジェンダーのゆらぎがあり、その上さらに要素が重なった人の例と考えることができます。
そう診断され自己判断している人だけが実感しているのではないと私には思えます。
性同一性障害を、これだけの背景で説明できるとは思いません。
たぶんより重要な要素が別にあるのだと思いますが、それを促進する環境、生育過程と見ることができます。
引きこもりの人が増えていくことは、逆に考えればジェンダーのゆらぐ人も多くなると推測させます。
私にはそれ自体は悪いことだとは思いません。
それにしても、ジェンダーのゆらぎが、自己確立を困難にしているのであれば、マイナスです。
ジェンダーのゆらぎを周囲の人も本人も認めたうえで、自己確立に向かうことが必要なのだと思います。

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス