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Center:2008年2月ー複雑な家族の状況を背景にした中学生の不登校

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目次

複雑な家族の状況を背景にした中学生の不登校

〔『ひきコミ』第54号=2008年3月号に掲載〕

(1)アスペルガー症候群と、祖母の介入と

アスペルガー症候群と診断され、半年前から学校を休んでいる男子中学生の話をしよう。
お母さんからきいて、一緒に考えた事例になります。 
診断されたのは小学校6年のころの数年前です。
リタニンという薬を服用していたのですが、これが昨年(2007年)秋のある乱用事件でこの診断名での投与が認められなくなりました。
いまは別のクスリを服用しているようですが、いま一つしっくりこないようです。
父母はここ1年ぐらい仲たがい状態で、母親は一時は真剣に離婚を考えていたようです。
しかしこのところはやや平穏状態です。
子どもはほとんど1日中テレビゲームをしています。
母親としか人間関係がなくなり、親子がカプセル化しているというのはこの母親の実感であり、それはこのままではまずいと感じてもいるからです。

昨年12月から、メンタルフレンドの学生が児童相談所を通じてくるようになっています。
その人とは少し慣れ親しんできたのですが、メンタルフレンドは大学の4年生なので、間もなく途切れます。
次の人も児童相談所にお願いしていますが、新年度が始まり、学生の生活(履修科目の決定など)が、安定してからなので、早くて5月以降に次の人が決まる予定だそうです。
お母さんが、特に強調したのは、夫の母、すなわち姑の介入です。
同居はしていないのですが、家庭内のことをある方向に指示してくることがくり返され、夫はそれにやや柔順です。
夫との関係が崩れそうになったのはそこにも関係がありそうです。

(2)「わが家には大きな問題があるよ」と知らせたアスペルガーの中学生

このような背景のなかで中学生の子どもの不登校です。
子どもと母親との関係のエネルギーもさることながら、相談にみえた母親は夫との関係、姑との関係にもエネルギーを費やさなくてはならなさそうです。

このようなとき子どもが不登校になるのは、“わが家には大きな問題があるよ”と知らせてくれる役割をしてくれます。
しかしそこを見ないで、何とか子どもを学校に行かせようという面ばかり目が向かうと、子どもが無言のうちに提示している事情を素通りしてしまうことになります。
子どもが提示している内容は相当に大きなもので、ちょっとした助言でどうなるようなレベルではありません。
加えて、子どもはアスペルガー症候群となります。
しかし、アスペルガー症候群であるから、子どもはこのような形で、隠れた大問題を摘出してくれたのかもしれません。

(3)テレビゲームに代わるストレス発散の方法・・・子供の感性に合うものを

この子どもが摘出した問題は、とても大きくて、個別のことを1つ1つ理解し、あるときはその個別の改革案を講じながら進んでいくのがいいように思います。
いきなり大きな問題にぶつかっても、その大きさに圧倒されてしまうかもしれないのです。
その大きな問題というのは「家族の抱えている複雑なゆがみ」ということでしょう。

個別的な問題はいくつかあります。まず父母が離婚しないことを子どもに伝えることです。
父母が一気に仲を取り戻したわけではありませんが、平穏になり、別れ話は止まりました。
この状態を、子どもには「お父さんとお母さんは離婚しないよ」と伝えることは大事です。
子どもにとっては、両方とも大切な人であり、それを親同士の関係で別れてしまうのは、相当に心理的に負担を伴うこと、ストレスです。
これが第一。

次にテレビゲームをつづけている点―これは放置しておいていいと思います。
これで子どもの頭がおかしくなると心配する、外に出ない、友人関係が途絶える・・・という心配の連鎖の出発点がここにあるからです。
しかし、テレビゲームをつづけているのは、子どもにとって根本原因ではありません。
この中学生のおかれた、子どもはどうすることもできない環境、そこから生まれる葛藤、ストレスをどう発散すればいいのでしょうか。
子どもは理路整然に考えているわけではありませんが、そこに一時の休める場、それさえやっていれば、いやなことを忘れさせてくれる時間、それがテレビゲームの時間です。

テレビゲームをやめさせられることとは、外に出る条件をつくること、友人をつくる条件をつくること以前に、まず子どものストレス発散の場を奪うことです。
親がよかれと思うことが子どもを追いつめるこのようなことはしばしば起こります。
子どもが暴力傾向になったとき、それ以前に、このテレビゲームや子どもや熱中している一人遊び的な手段を奪われた例は多いと思います。
テレビゲームに代わるストレス発散の方法を親側から提示するのも悪くはありません。
しかしそれは 子どもの感性・感覚によるものでなければ単なる邪魔でしかありません。
子どもの感覚・感性によるものはやはり子どもが自分でみつけてきたものにはかなわないのです。

(4)アスペルガーを否定的に見るのではなく、一つの特性としてどう生かせるか

第三の具体的なことは、メンタルフレンドでしょう。
これはこちら側の都合だけではどうにもならないので、条件をまつしかありません。
しかし、子ども は大学生くらいの年齢の離れた人とならばつきあいが可能である(それも相性によりますが)状態であるといえるので、別の形で大学生などとの接点をつくることも考えてみていいでしょう。
その1つの方法が家庭教師です。
費用負担がありますから、家計を見ながらということです。

アスペルガー症候群に関しては、あまり多くはできませんが、親としても、アスペルガーの子どもの対応のしかたと学んでいくというのは、その中でも可能であり、必要なことです。
かくいう筆者の私もいくぶんはそういう傾向にあったことが判明したわけです。
私の感覚だけで言うのは拙いかもしれませんが、それを否定的なこととしてみるだけでなく、一つの特性としてどう生かせるかを子どもと一緒に考える方法があります。
それは「症候群」であり、 ある種の「障害」なのでしょうが、かといって“治す”ばかりに目を向けないで、経験しながら成長する、他の人にはないある事柄に集中して取り組むという面を生かす、そういう面から子どもを見、評価し、伸びる芽として見守ることもあり得ます。
それは私のばあいは無自覚に無意識に積み重ねてきたことでした。

(5)家族が問題を抱えている場合、子どもが登校できる形では解決しない

そういう具体的なことを重ねながら、「家族のゆがみ」という大きな塊にとりくむエネルギーを蓄えなくてはなりません。
最初に大きく取り組んでいく方法もありますが、母親のエネルギーを蓄えながら、とくに姑との関係をうまく(!)改善していく方向に進んでいってほしいと願います。

子どもが不登校で問題を摘出したとき、それの解決の方向とは実は家族の抱える大きな問題と解決している、ということは案外に多いものです。
この中学生が不登校という形で示したことは、たしかに複雑にからんだ問題を背景にしています。
それを子どもが登校できるようにするという形ではおそ らく解決しないでしょう。
私はこの中学生が輪郭のはっきりしない問題に不登校という形で挑戦を開始したように思えて、心から応援したくなっています。
母親が、父親が、そして祖父母がそれによってもっと家族らしい家族を取り戻すことに向っているからです。

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