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Center:2008年7月ーアスペルガー気質“進化説”に追加

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目次

アスペルガー気質“進化説”に追加

〔『ひきコミ』第58号=2008年7月号に掲載〕

(1)

『ひきコミ』第56号「味覚と色覚異常に関するとっぴな仮説」のなかで、私自身の考え方を適切に表わしていないところがあるので、追加しておきます。
「大人になる年齢がこの数十年の間に18歳から30歳前後になる」。
「これを生物学的に説明した例を私はまだ読んだことがありません。“進化”説は、これへの回答を用意するのではないか」というところです。
この中心的な説明は、人間として生まれた後の環境(とくに社会的環境)が中心になるはずです。
生物学的な説明はそれに比べれば二次的な要素、または社会的環境との関連づけて説明されるのが妥当のように思います。
その点での言及がされていなかったことが、説明不十分です。

日本人の平均寿命が大幅に延びた理由は、社会的環境によって説明するのが中心になるでしょう。
戦争がなく国内外の大きな戦闘や爆撃がなかったこと、食料の充足、衣住の向上、医学医療の改善・・・などがこの社会的環境の内容にあります。
戦前と比べるならば、交通事故の多発など反対の要素もありますが、社会環境としては、寿命が延びる条件が圧倒的になっているはずです。

特別の長寿の人・・・百歳とか110歳という人も少なからずいますが、それは昔も少数はいました。
日本人(または人間全体)の自然的寿命はおそらく120歳前後なのでしょうが、それを全うするだけの社会的条件の不足が少しずつ寿命を縮めているようです。
しかしそのレベルでは、生物的な説明に大きな変更は要しない気がします。

大人になるのが、18歳から30歳前後に延びているという説明の大部分、中心的要素は寿命と同じく社会環境から説明することになるはずです。
ゆたかな経済社会になった、少子化と核家族化がすすんだ、地域や社会で共働や集団に入らなくてもよい条件の向上した、これらが大人になるのが遅くなる社会環境を説明する内容になります。
しかし、社会環境の変化で全部を説明できるのかというと無理もありそうです。 
先天的・遺伝的要 素が単独に働いて、または社会環境の変化と影響しあって、大人化の遅れに関係すると想定します。
この部分に進化説を採用すればより適格な説明になるのではなかろうか。
これが追加すべき内容になります。

(2)

しかし生物学的説明や進化説にどんなものがあるのでしょうか。
私はこれに確定的または実証的な論拠を提示することはできません。
せいぜい観察的(現象的)な例を提出できるだけのようです。
Hさんは「喫茶店のような人がざわざわしているところでは、気が散って、モノを書くなんて全くできません」といいます。
私が「明るささえ問題なければ、知らない人が隣で雑談していても気にならずにモノを書くことはできますよ」というと、
Hさんは「たぶん両極端に出ることは同じことだと思いますね。大部分の人は少々のことならモノを書く程度のことはできるけれども、全然ダメとか全く気にならないというのは、反対な表われのようだけれども似ています」
とつづけたのです。
Hさんはどちらかというと多動性傾向、私はアスペルガー傾向ですから、これは案外いいところをついている気がします。
多動性のHさんは、周辺の状況に対して、自分の本来的ペースをとれないのでその雰囲気の中に自分を溶け込ませることで自分なりのペースにしようとする人。
アスペルガー的な私は周辺の雰囲気を遮断する無色透明・無物質の幕をつくってその中にいる人ということです。

これを生物的な環境適応という点からみれば、アスペルガー気質とは、神経質的体質をベースにしてその向こう側にすすんだ状態にあるといえます。
多動性傾向は神経質的体質のままでそこで対応しようとしていると解釈できます。
神経質的体質がベースになっているのは同じであるともいえるのです。

「人の気持ちとか感情がよくわからない」ことは現象的には神経質的体質とは相反することです。
ところがアスペルガー気質を一方では他人の感情がよくわかり、他方では他人の感情がよくわからないという両面(または全体)を理解するなら、神経質的体質と相反することではなくなります。
私はむしろ神経質的体質による周囲の感情(雰囲気)の攻撃から身を守る(自己保存する)ために進化・適応した心身状態がアスペルガー気質と理解すれば、全体をよりうまく説明できるように思えるのです。

(3)

私は自分がアスペルガー気質にあると自覚した後で、教育実践家として著名なRさんに問いかけてみました。
「Rさんにも何か自分の性格特性で自分に気づいてることはありませんか」と。
Rさんは「だれでも何かあるのじゃないでしょうか」と答えました。

同じことをある心理カウンセラー養成機関の人に問いかけてみました。
「人間なら何かあると思いますよ」という答えで、Rさんとともに具体的な内容はありませんが、広義の意味では肯定しました。

人間は、性格、気質、人格・・・などにおいてそれぞれ特性があり、それはある種の偏りでしょう。
しかし、だからといって人間であるという大枠から外れているわけではありません。
一般にはこれらの特性は異常ではないというところに落ち着くように思います。
それぞれの偏りのなかで、人間は動物(生物)としてある方向に向かって少しずつ適応(進化)しつつあるといっていいのではないでしょうか。

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