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Center:2011年12月ー試作レベルの仕事づくりの展望

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試作レベルの仕事づくりの展望

〔『ひきコミ』第96号、2011年12月号に掲載⇒加筆訂正により掲載〕

「生きるための(収入になる)仕事と自分を生かす(収入にならない)仕事」を若者は両立させようとしていると書いたことがあります。
*「Center:2005年5月ー正社員になりたがらない若者
情報社会が発達した段階では、やがて「自分を生かすこと」がそのまま生活できる状態に向かうと感じるようになっています。
梅田望夫『ウェブ時代をゆく』(ちくま新書、2007年11月)はそのことを抽象的または思考的レベルですが、何人かの実例を上げて展開しています。
新しい仕事がネット社会・情報社会と共に生まれてきつつあります。
その特徴は「収入になる仕事と自分を生かす仕事」の両立ではなくて、「自分の好きなことだけに集中していく」ことのようです。
新しい仕事は、歴史的な産業経済の大きな変革のなかで生まれます。
たとえば18世紀のアメリカ音楽の創始者ともいえるS・フォスターは、作曲によってはほとんど収入を得られませんでした。
それが20世紀以降は作曲家が職業になりました。
同じようなことが、いまネット社会の出現と共に生じつつあります。
梅田さんは、それをネットの技術的な面について詳しく展開しています。
同時にネットとリアルの境界においても生まれるだろうと指摘しています。

(1)商品・サービスの価格の正体をただす
先日(11月20日)は「引きこもり経験者の職業体験発表&交流会」をしました。
そこでの発表にも、発表者自身は意識していないかもしれませんが、そこに向かっていると思えるものがいくつかあります。
たとえば“アンペイドワーク”(収入にならない仕事)が大事ではないかと指摘した発言がありました。
これを聞きながら、現在の商品・サービスの価格は、相当に操作され・不平等になっている、それを指摘したことになると考えたものです。
商品価値は社会的平均的な労働時間の集約された価値が需要と供給のバランスのなかで変動しながらも実現するものです。
ところが実際には独占価格や特権的な社会の仕組みによる価格決定、投機的な作用の結果、さらには先進国と発展途上国の格差…それらに左右されて価値の現実とはかなり離れた価格ができています。
ネット社会においては、商品やサービスが可能性としては(制度や特権の左右できない場所にあり)フラットな状態に置かれること、それによって商品価値がより現実に近い価格に扱われやすくなっている、少なくともそういう力が働きます。

(2)ネット技術外の生き方も模索
梅田さんの本はインターネットの技術
における新しい産業、ネットとリアルの境界での新しい仕事が生まれることを指摘していました。
ところで引きこもりの支援としての彼ら彼女らの仕事づくりになると、その場所にとどまってばかりはいられません。
その場面を注視しながら、自分ができることを生かし、それをリアルな自分と認め、ネットをどのように活用するのかを考えなくてはなりません。
それが情報社会におけるネット技術場面に外側にいる人たちの1つの生き方になるでしょう。
時代の変革期において、若者のある部分は従来型社会から離脱し、しかし将来の社会が来る前に自分の行き方を確定できずにいると言い換えることもできます。
その大きな状況における一つの鮮明な人物像が引きこもりとも見えるのです。
少なくとも私が出会った引きこもりの青年の中にはそういうことを強く感じさせてくれる人はいます。
人は好きなことよりも、嫌いなこと苦手なことを先にキャッチし言動に表します。
引きこもりは彼ら彼女らが生きる社会への漠然とした不安感・不満感を引きこもりという比較的穏やかな方法で表現している拒否表現です。
そういう拒否的な事態をまず表現します。
この変革の時代には驚くことではありません。
むしろその表現の穏やかなこと、平和的なことが日本人らしい、ともいえるのです。
それにつづいて肯定的なこと、前に向かって進む方法を表現していくのではないでしょうか。
今年の後半になって私が目にしていることはその初歩的な段階の事態なのかもしれません。
引きこもりの一人ひとりが好きなこと、できることをどのようなしかたで生活条件にできるか、その一般的な姿を私はまだ具体的にイメージできません。
各人の模索する過程を通して徐々に浮上してくる予感がしています。

(3)NPOとしての経済活動をどう構成するか
一方、同じことが不登校情報センターという支援団体においても生じています。
今回はその素描を試みたいと思います。
それの途中経過的なことはたびたび書いてきました。
梅田さんの本をヒントに全体像をどう表せるのかを考えてみたのです。
不登校情報センターというのは1つのリアルな存在です。
その取り組んでいることは現実的な収入を得るという経済活動から見れば弱いものです。
じつは多くのNPO団体が取り組んでいるものには社会的には必要であり貢献はしているけれども、経済活動としてみれば成立しているかどうか危ういものがありそうです。
その点です。
この社会状況を不登校情報センターの場面で切り取って考えてみるのです。
経済活動というよりも、存続に必要な条件というところから考えるのが現実的でしょう。
不登校情報センターという1つのリアルな存在がもっている「商品、サービス、情報を提供する、物々交換的なミニ社会」をネット上でも持つことがその条件づくりになります。
この表現は梅田さんからは理解しづらいといわれるかもしれません。

①ネットとリアルの境目というよりは、ネットとリアルにまたがる不登校情報センターのウェブサイトができつつあります。
不登校・引きこもり・発達障害支援というリアルなサービス業があり、ネット上での情報提供業があるということです。
②商品は少なく(いずれネットショップを広げたいとしても)、サービスはある程度広がり(相談、親の会、訪問サポートなど)、中心は支援団体の情報提供におかれています。
他団体の情報提供が中心にあることが、ネット利用をしている多くの事業者との比較において特徴的なことです。
③情報システムの技術的な条件設定による方法を梅田さんは主に展開しました。
不登校情報センターはその技術的成果をソフトウェアとして活用する場面におかれています。
“ウィキペデイア”というネット上の事典はその条件において、存続できる状態を実現しました。
その超ミニサイズのものが不登校情報センターの情報提供になるのかもしれません。
④しかし、“ウィキペデイア”は一切の広告収入を遮断し、信用により社会的な応援を得ようとしています。
不登校情報センターの情報提供はそこまではできません。
ただし社会的な信用を得ることは欠かせません。
そのうえでGoogleの設定したアドセンスに乗りかかることを考えています。
ただし、それが大成功したとしても不登校情報センターの情報提供の存続条件を達成したことにはなりません。
大成功であれば少しはそこに近づける程度と考えられます。
⑤アドセンス以外にも存続の可能性を高める手段が必要です。
それをこの場で正確に表現すること時期早尚です。
個別的なことはこれまでいろいろな機会に書いてきました。
総括的にいえば社会的な信頼を得ることです。
それは多くの人から情報を頼りにされること、アクセスが相当数に達すること、アクセスに答える内容が備わっていること、支援者にとっても有効な広報手段に成長していること……などが考えられるところです。

(4)会員個人と不登校情報センターの双務的・相互的な関係
このような状態になって、またその状態への成長過程と平行して、不登校情報センターに関わる引きこもり経験者の自立の手段としての条件も強まります。
それには引きこもり当事者各自の個人的な要素を抜きにして考えることはできません。
不登校情報センターの共通資材的な要素は一方的に与えるものにはならず、双務的・相互的になると考えられるからです。
その一つが、例えば未成熟のネットショップです。
ネットショップはそこに掲載され販売される商品に対して受け身です。
商品がなければネットショップは空箱にとどまります。
同時にそれが設定されることは作品作りを促進させる条件にもなります。
この状態を双務的・相互的と考えるのです。
別の例は引きこもり経験者が始めようとしているかに見える、いくつかの対個人サービス業があります。
この主役はそれを始めようとする各人です。
不登校情報センターの役割は、発表機会(広報など)や事務局の役目のようです。
これも双務的・相互的ですが、始めようとする人が全体を独自にできるのであれば、不登校情報センターが関与しなくてもいいものです。
これらを通していえることは「自分を生かす仕事」とは、孤立した状態ではなかなか難しいのではないか、少なくとも引きこもり経験者にはそういう条件が強いと思えることです。
これらをまとめて言うならば、事務局的な不登校情報センターとSOHO的な自立指向者が複数集まり共同社会をめざすことになるでしょう。
この結論は早くから予測できたことですし、徐々に具体像が出てきているといえるでしょう。
個人的な独自の活動分野が見つからない、それを探していく意欲やモティベーションが低い人には不登校情報センターの作業ができる、それがもう1つの目標になります。
それができるには不登校情報センターがあるレベルの収益のある事業所として成り立っていることです。
団体としての不登校情報センターとそれにつながる個人が「自分を生かす仕事」を探し、つくることを両立させようとしていることになりはしないでしょうか。

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