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Center:2011年8月ーフルタイムでなくても働ける条件づくり

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目次

フルタイムでなくても働ける条件づくり

〔2011年8月17日〕

8月28日の「引きこもり後を考える会」の予習になる話がいくつかありました。
引きこもり後を考える上で今回のテーマはそれなりに重要です。

(1)ハーフタイム就労

引きこもりから抜け出した後の、生活、仕事ないしは収入を得る手段をどうするかは、関心の中心になります。
就労の形式的な面からみて理想的なことや世間的な基準に縛られると次の実際の目標がなくなります。
当事者が実際にイメージができ、可能性を感じるものを土台に追求していきたいと思います。

就労条件として可能なものは、私がハーフタイム就労としているものが一つの基準になります。
それはおおよそ次の3パターンがあります。
(1) 週2~3日、1日9時~17時のフルタイム。
(2) 週5日、1日3時間程度。
(3) 3か月程度のフルタイム就労と同じ期間の休みで職場を変える。 

就労時間が短いので、これらの就労状態では生活できないと結論を出すと先が開けません。
その結論を出すと次の2つが残ります。
(1)フルタイム就業に絞る、(2)就労なき生活条件として生活保護を考える。
結論を出さないというのは、この両極端の2つに限定しないためです。
それは世間基準かもしれませんが、それぞれに問題を感じます。

フルタイム就業が可能な人はいますが、それ以外の多数者にとっては将来の道がわからなくなります。
生活保護への道は、本人が納得しづらいし、到達した後に生活の意欲喪失が出やすくなります。
社会情勢の変化のなかで不安定になったときの対応は難しくなります。

ハーフタイム就労者の特質の一つは、心身状態の可能な範囲で仕事につき、興味関心のあることには取り組めることです。
仕事のある日以外は休息に当てているばかりでなく、趣味に生きているのです。
ハーフタイム就労の場にとどまり(あえてフルタイム就労に向かわない)、そこからの発展、場合によっては趣味を生かした発展を考えるのです。

このハーフタイム就労は、その人にとっての心身状態の限界内と考えられます。
それはその人なりの努力を受けとめる仕組みです。
それは現在の社会システムのままでは生活できないかもしれませんが、そこを基盤に「健康で文化的な生活」を主張できる健全なものです。

(2)“非就職希望者”

それと並んで考えたい別の対象者がいます。
いまさら就職などを考えたくない、考えられない人たちです。
“非就職希望者”と呼びます。

ほとんどの人がこれまでに何らかの就業経験があり、その経験から再び就職し、同僚社員に混じる形では仕事に就けないという実感をもっています。
おそらくは子ども時代から一緒に何かをする窮屈さを経験し、仕事に就いてからもそれを重ねて、深く根付いた感覚といえます。
不登校情報センターのワークスペースにいる人との接触で、私はこれらの人の状況「ここまでならできる、これ以上はできない」というその感覚を知ることができました。
安定しているようでいて背水の陣にいる印象もあります。
30代以上の引きこもり経験者には相当に多いと推測します。
全国の引きこもり対策の中心は、この“非就職希望者”に向けられなくてはならないのではないでしょうか。

“非就職希望者”の状況を見ている私にとって、前途にはどのような可能性が開けるのでしょうか。
かなり困難はありますが、ゼロとは思えません。
“非就職希望者”は表立って積極的な意欲は示しませんが、いまの状態からは下がりたくない意識があります。
身近なところに自分でもできる場所があれば、その地点でこれなら出来ることを続けます。
そのできることが収入に結びつき、それが増加すればわずかずつ道が開けます。
そこに留まって出来ることをしているのであれば、それを収入に結びつけようとする発想です。
パソコンは適応範囲の広いもので、この方向にはおあつらえ向きの道具です。
それを収入源にしようとする試行です。

2011年1月にまとめた「30代以上の引きこもりへの支援策」はその方向を、不登校情報センターにおいてどうなるのかを示しました。
その時点でたどり着いたかなり抽象的なレベルです。
それを発展的に具体化していかなくてはなりません。
その姿はまた、(1)の「ハーフタイム就労」の人たちと実質的なところが重なります。

(3)共同事務所の役割

「30代以上の引きこもりへの支援策」とは不登校情報センター(ワークスペース)を“準職場”にすることです。

*全国的な引きこもり対策というとき、不登校情報センターと同じようにはなりません。
就職ではなく仕事づくりと共同事務所方式が共通する言葉になるでしょう。

不登校情報センターでは、どう収入を得られるようにするのかは提案を受け、収入項目はそれなりに出来ました。
申し込み件数を増やし収入項目のそれぞれを満たせば収入になります。
これは営業活動ですが事務的な作業でできることもかなり明確になりました。
作業時間を見ると、各人週2日~4日。1日3時間~6時間。基準は45分作業と15分休憩。
これらは場所によって、作業内容によって、各個人によってさらに多様な状況に広がると思います。
多様性はハーフタイム就労の特徴であり、不登校情報センターのワークスペースの状況はそれを示しています。 

仕事の分野は不登校情報センターの場合は
(1)ウェブサイト制作と運営が中心です。
(2)創作品制作が遠い視野に入っています。
(3)対個人サービス的な取り組み(メイクセラピーと訪問サポート活動を予定)が「引きこもり後を考える会」のなかで浮上してきました。
10月16日の「引きこもりを抜ける仕事づくり」発表会ではこの3つがそれぞれ加わります。

このなかで不登校情報センターが共同事務所(企画面・広報面など)になることがはっきりしてきました。
実際10月の発表会のような場がないと仕事づくり・仕事起こしはうまく進められないと思います。
この共同事務所はすでに創作活動と創作品販売のところでわかっていたことです。
対個人サービス的な取り組みにおいてもまた必要になるとわかりました。
対個人サービス的な取り組みの例として、パソコンの個人指導(教室)、ヘルプデスク、整体師も聞かれました。
“出前(出張)~”というのが多そうです。
例示してみます。

(4)複合型SOHO

まとめて見ると、ハーフタイム就労者も“非就職希望者”も、不登校情報センターにつながります。
他の支援団体においては団体グループの個別の状況により「仕事づくりと共同事務所」が追求されるでしょう。

不登校情報センターにおいても、つながる各人はそれぞれの状態によります。
(1)不登校情報センター内でも週2~4日間、ウェブサイト制作や事務的作業をする人がいます。
この人たちが不登校情報センターの通所組みの中心で、ワークスペースを構成します。
(2)アルバイトやパートタイムなどの非正規社員として働いている人も可能なつながりをします。
この人たちは通所回数は少ないですが、何らかのつながりを持つ人たちです。
(3)通所・非通所を問わず個人事業(対人サービス業など)に向かう人、創作品の制作をする人もいます。
個人事業や創作活動をする人は不登校情報センターに頻繁に出入りする状況ではありません。
(4)不登校情報センターは共同事務所として広報宣伝やイベントを企画します。
発表会や展示会などのイベントを接点に(2)と(3)の人もつながりをもちます。

各人はそれぞれが独立した仕事人であり、不登校情報センターはそれらの人を結ぶ複合型SOHOになります。
一人ひとりを見ると、仕事と趣味(favorite、興味関心)と休息の3つのバランスを現代的に組み替えた状態です。
キーワードは趣味(favorite)が収入に結びつくことです。

想定できる対応策の枠組みを2つの面からみます。
第1は収入をどう得るのかで、これが基本中の基本です。
この部分は、成立過程においては公的支援、民間助成を求めてもいいですが、原則として独自の追求と運営にすべきです。
第2が支出です。
日常の節約策ではなく、住宅費(家賃)と交通費をいかに下げるのかです。
この部分は自治体等の政策が関係します。
同時に当事者のなかに不登校情報センターを核にしてゆるやかなつながりをつくることが求められます。
ゆるやかなつながりのなかで集団的な生活の自立をはかります。
この収入と支出の関係原則は大事なところです。
収入活動なしの支出だけを問題にするやり方は、当事者の意欲低下を招きかねませんし、社会的に認められない可能性もあります。
もちろん病状や障害の程度によっては社会福祉の支援を求めます。
それは国民としての基本的な権利です。

(5)生活条件の学習会企画

最後に、生活条件(支出項目)にも研究対象があります。
生活保護に関係する質問の実例をあげます。
(1)自宅がある場合(相続による持ち家)、収入がない、収入が少ないとき生活保護を受けられる条件はどういうものか。
(2)生活保護を受けていながら、毎月数万円程度の収入を得る状態になったとき、その収入はどう扱われるのか。
(3)生活保護を受けていても短時間だけでも働ける条件があれば働けるようにするのは生きる意欲、生活の充実面からも大事です。
制度と折り合えるものにするようにしたいものです。
(4)この生活条件については制度利用の面があり、この他の面を含めてソーシャルワーカーなどを招いて学習会を開く企画があってもいいでしょう。

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