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Center:2012年8月ー引きこもり支援の空洞化が心配

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引きこもり支援の空洞化が心配

〔2012年8月〕
精神保健福祉センターの「引きこもり・不登校・発達障害と周辺事情」への取り組みと体制に関する調査を行いました。
精神保健福祉センターは全国で69か所あります。
回答は12か所(8月13日現在)。
3月から4月にかけての保健所調査のとき精神保健福祉センターからも3か所から回答を得ています。
うち大阪市はほほ同様の回答をいただいておりますからそれは、今回の回答に差し替えました。
これらを含めて全部で14か所から回答をいただいたことになります。

発達障害に関しては、全都道府県に発達障害支援者センターが設立されました。
そちらで対応することになっていますが、発達障害支援者センターの状態は地域差があります。
主に発達障害支援者センターが担当することになっても、いぜんとして精神保健福祉センターが何らかの役割をもっています。
今回の調査のなかで発達障害支援者センターの全国的なリストを作成しました。
発達障害支援者センターの設立の地域差とは、設立主体に関係します。
都道府県がその機構の一部として開設しているところがある一方、社会福祉法人やNPO法人などすでにその分野で活動をつづけている団体や個人(設立時には法人化する)に発達障害支援者センターの設立を委託している形があります。
東京都はTOSCA(トスカ)1団体が東京都発達障害支援者センターを名乗っていますが、いくつかの県では複数の法人が発達障害支援者センターを名乗っています。
今回、発達障害支援者センターのリストを作成するにあたり、都道府県単位のリストにしました。
将来的には都道府県単位で、複数のもしかしたら多数の発達障害支援者センターが設立されていくのではないかと推測したからです。
この点は都道府県と政令指定都市が設置する精神保健福祉センターとは事情が違うものと判断します。

不登校に関しての精神保健福祉センターの対応は、思春期外来による方法によると思います。
行政としては主に教育委員会が不登校に対処しています。
それを補足する役割、特に医学的な面を精神保健福祉センターが受け持つものと推測します。
しかし、教育委員会は小学校・中学校への対応が中心であり、それ以上の年齢層(特に高校生)への対応は相対的に薄くなっています。
社会全体としての高校生世代の不登校への対処条件はつくられてきました。
昼間定時制高校や通信制高校とサポート校がそれに当たります。
これらはいわば規制緩和された全日制高校です。朝・昼の活動が中心ではあるけれども、子どもの条件に応じて柔軟に対応できる教育機関であるといえるでしょう。
それは教育場面ですから不登校問題の全部をそこが解決できるのでもありません。
不完全ですがある程度の対処が行政も関わりながら社会的にできてきました。行政はその補完役と考えられます。

引きこもりに対してはどうでしょうか。
今回の精神保健福祉センターの調査の中心はそこにありました。
結論から言えば、行政も苦労はしているがうまくいっていない。
問題のつかみどころがあるものには対処できるけれども、引きこもりはつかみどころに困っており、うまく着手していないという感じを持ちました。
引きこもりの担当セクションとしての保健所に関しては3月・4月に調査をしました。
どのような実際効果があるのかよりは、どのような体制をつくってきているのかの調査です。
保健所の対応は、都道府県により、都道府県と政令指定都市の間に違いがあることがわかりました。

引きこもりへの対処は心身のところ(医療・心理)だけではなく、行動や人間関係(社会や教育)が関わり、社会参加となると就業や経済が関わります。
それらの全体を保健所に求めるのかは自ずと制約があります。
引きこもりに着手するために引きこもり担当セクションをつくった県もが少しあります。
問題の一面をとらえた発達障害は上に書いたとおりです。就業は引きこもりというよりはニート的な人への対処として地域若者サポートステーション(サポステ)を基本的には民間の支援団体を拠点に整えつつあります。
しかし、私の知る限りでは多くの成果はあげていません。サポステの実情調査はこれからの調査課題に浮上しています。
福祉部門からのアプローチが、今回の精神保健福祉センターとの接触で感じられました。
京都府は京都府家庭支援総合センターを立ち上げそこに「ひきこもり相談支援センター」がつくられました。
区市町村においては以前から家庭福祉局などに対応するセクションが見られます。
これらがどのようになっているのかが調査対象になるでしょう。
引きこもり問題の背景や状態が多様であり、いろいろなセクションに分けて対応されるケースが増えているように見えます。
就労となると職業安定所(ハローワーク)の方面からアプローチになるはずです。
しかし、多くの引きこもりはそこにたどりつきません。
仕事おこしや仕事づくりになるとハローワークは手が出せないでしょう。

そしてこのように分割されていくなかで、引きこもり自体への関心や対応策は細切れにされ、消滅間近かになっているところもあります。これは承服しがたいところです。
あえて引きこもり担当セクションは設定しなくてもできることがあります。
対応において「引きこもり」の判定者がいないので、それを制度として設けることです。
医師は精神障害者かどうかを診断しますが、引きこもりを判断しません。
精神保健福祉センターでは相当の職員が判断可能であろうと思いますが、引きこもりの判定者にはなっていません。
それが引きこもりを独自の問題として取り扱うのを困難にしています。
ここに対応の遅れや停滞の一因があると思います。
この提起は以前に次のように書いています。

<「引きこもり」として見立てる基準を明確にしたうえで、判断できる人を医師に限定しないで広げる必要があります。
実際に引きこもりの支援にかかわっている支援者、たとえば保健所保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、就業支援にかかわる専門職、地域若者サポートステーションの相談員、居場所(フリースペース・ワークスペース)の支援者などに、「引きこもり」を見立てる認定者の条件を持たせるのです。⇒[[]]>

引きこもりの人が認定されれば、その人たちへの対応や支援策もこれまでのように徐々に消滅していくのではなく、社会的・行政的な課題として明確になっていくでしょう。

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