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Center:(3)あゆみ書店の開店と模索の会の花見

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ひさしぶりの人生模索の会──この日の参加者は40人を超えた。<br>
 
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2013年1月30日 (水) 12:04時点における版

(3)あゆみ書店の開店と模索の会の花見

水曜日の人生模索の会は休止になったが、それ以外の日には、いろいろな名目や、名目なしでふらりとやって来てはあれこれやっていた。
パソコン教室があった。
木曜日には別の名称のグループをつくろうとしたり……。
私の頭の中では、この人生模索の会の停止期間に一つのことが少しずつはっきりしていた。
2001年秋の「学校案内書フェア」をどうすれば日常化できるのかである。
1月から3月にかけては、2002年も「不登校・中退者のための進路相談会」がいくつか続いている。
私はそれに追っかけられ、また追いかけていた。
しかし、「学校案内書フェア」と会場を移動しながら開く「進路相談会」は一致しがたい。
とても似ている部分はあるのだが、統合できない。


学校案内書フェアには、三つの要素があった。
① 進路相談(+心理相談)。
②受入校(高校やフリースクールなど)の情報入手。
③関係図書の販売。
このほかに④体験者との交流の場を入れてもいい。
2001年10月のときには、②の受入校の情報入手を前面に出し、「学校案内書フェア」にし、成功した。
2002年の進路相談会では①の進路相談を前面にしている。
会場によっては、そこに学校案内書を持ち込みまた図書販売をしている。
③の関係図書の販売を前面に出せばどうなるのか。

──あるとき、私の頭の中でその考えがひらめき、何かに反応した気がした。

2月の初めごろだったように思う。
書店をつくろう。
そこに付属する形で相談できる場をつくり、学校案内書の常設コーナーをつくる。
……私の考える方向はだんだんとそちらに傾いていった。
実際、進路相談会を開く会場に、将来の書店の担当者を独立して、一緒に出かけてもらったこともある。
そういうことを重ねるなかで、しだいにそれは実行に移され始めていた。
  しばらくして、ある新聞記者を話し合う機会があった。

記者が「不登校情報センターはいろんなことをしていますが、活動全般のなかで中心というか、終着点は何ですか?」という質問をしてきた。
「不登校の子どもなら同世代復帰、引きこもりの若者なら社会参加になるでしょうか」
「そのためにどんな準備、取り組みをしていますか」
「去年10月の学校案内書フェアに現実的な意味合いがあるとわかったので、それを発展させて引きこもり経験者が働ける書店をつくりたいと思っています」
それを聞いた記者は「それは(新聞の)一面の記事になる意味があると思いますよ」と答えた。
実際に、その書店が「あゆみ書店」としてオープンしたときには一面の記事にはならなかった。
しかし、その記者の話を聞いたときは問題の性格というか大きさを感じました。
この記者との会話は、私の書店づくりの方向を勇気づけ、気持ちをそちらに向かせる内容になった。


数日して当事者の会の人に向けて、書店員を募集した。
「不登校情報センター一階スペースを不登校・引きこもり関係の専門書店として開店します。
  原則は、①店員などの運営者が引きこもり経験者であること、
②フリースクールなど受入れ・対応の学校・機関の案内書を多数おき、持ち帰れる、
③相談機能がある──曜日毎に、心理、進路、対人関係などのテーマで相談日を決めます。
 

店員を募集します。
4~5名で交代制(午後1~6時)。安いけれどバイト料出します。

たぶん交通費で消える程度かも……むしろ人と関わる練習の場として下さい」

引きこもり体験者による当事者の会の参加者にとって、この書店の位置は対人関係・コミュニケーションを重ねる機会の延長である。

もちろんその意味・内容は多岐にわたるが、ここではあまりふれないでおこう。
対人コミュニケーションの回復と社会参加は引きこもり体験者にとって、二つの重大なテーマと過程であり、この本は前者の対人コミュニケーションをテーマにするからだ。

2002年3月30日、あゆみ書店がオープンした。
4月3日水曜日、2か月余り中止していた人生模索の会を再開した。
丁度お花見の季節に当たり、近くの新小岩公園に集まることになった。
ひさしぶりの人生模索の会──この日の参加者は40人を超えた。

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