慈恵病院赤ちゃんポスト
慈恵病院赤ちゃんポスト
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ページ名慈恵病院赤ちゃんポスト、熊本県熊本市、(家庭・家族の周辺ニュース、その他(未分類))
赤ちゃんポスト 意義と課題 熊本は100人超 障害児1割
赤ちゃんポストをめぐっては、安易な捨て子を助長するといった批判が根強く、「虐待を防ぐ」とする側面にも疑問を投げかける専門家らも少なくない。
平成19年に国内で初めてポストを設置した慈恵病院(熊本市)で、設置から26年3月までに預けられたのは101人。
その運用状況を分析した市の検証報告書によると、託した理由は「不明」が最多で25・7%。
次いで「生活困窮」21・8%▽「未婚」17・8%▽「世間体」同-だった。
預けられた後、82人の身元は判明したが、19人は不明。
きょうだいで預けられたケースも3例あったという。
また、約1割にあたる11人には障害があった。
市の検証専門部会長を務めた関西大の山縣文治教授(児童福祉学)は「相当に高い割合だ」と指摘する11人の親の一部が、後に「自分で育てたい」との意思を示したといい、山縣教授は、ポストの存在が親の一時的な迷いを生じさせ預け入れを助長している可能性を示唆。
「出産後に障害があると知ってパニックになり、ポストの存在を知って安易に預けてしまうこともある。
(障害児や親に対する)支援サービスがあることの知識があれば、使わずに済む例が多いのではないか」と疑問を呈する。
匿名のまま預けられるシステム自体にも批判がある。
元大阪市中央児童相談所長の津崎哲郎氏は、「ポストはあくまでも親側のニーズに立ったものだ。養育できない事情があったとしても連絡先を知らせるなど生みの親としての最低限の責務はあるはずだ」と話す。
さらに、虐待を防ぐ効果についても疑問の声が上がる。
全国の児童相談所が対応した児童虐待は右肩上がりで増え、27年度は10万3286件。
ポストのある熊本市も24年度は374件だが、27年度には604件と歯止めはかかっておらず、津崎氏は「(ポストが)虐待防止に効果があるのかは評価が難しい」。
山縣教授は「虐待を防ぐというよりも『育てられないが殺したくはない』といった悩みのある親の受け皿となっているようだ」とみている。
〔◆平成29(2017)年2月10日 産経新聞 大阪朝刊〕
赤ちゃんポスト:慈恵病院への相談、半期3209件 最多更新 /熊本
熊本市西区の慈恵病院に寄せられた妊娠・出産などに関する2016年度上半期(4~9月)の相談件数が、前年同期比464件増の3209件となり、07年度の設置以来、半期ベースで最多を更新した。
熊本地震後の5~7月末に相談時間を短縮したが、既に過去最多だった15年度全体(5466件)の約6割にあたり、昨年度を上回るペース。
25日、同院の「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」の運用状況を検証する市の専門部会で報告された。
相談内容は「妊娠・避妊に関するもの」2105件▽「思いがけない妊娠」493件▽「妊娠・出産前後の不安」151件▽「出産・養育」139件――など。
年代別では20代が956件と最多で20歳未満も538件あり、うち15歳未満の相談も17件あった。
相談者の居住地は市内16件▽熊本市を除く県内102件▽県外2095件▽不明996件――だった。
〔◆平成28(2016)年10月26日 毎日新聞 地方版〕
慈恵病院への相談 昨年度最多5466件に 赤ちゃんポスト運営
親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を運営する慈恵病院(熊本市西区)への妊娠や出産に関する相談が2015年10月~16年3月に2721件となり、5日、熊本市の専門部会に報告された。
15年度の相談件数は計5466件で前年度比1430件増となり、7年連続で過去最多を更新した。
市によると、15年度は「妊娠、避妊」「思いがけない妊娠」に関する相談が8割近くを占めた。
相談者の年齢は20代が1829件と最も多かった。10代は計1006件で、うち15歳未満は19件。
相談者の約4割は未婚だったという。
熊本県外からの相談が6割以上を占めており、市は、テレビドラマや報道の影響で、慈恵病院の取り組みが多くの人に定着したことが要因と分析。
ただ、慈恵病院に相談が集中しているため、市は「県外の各自治体にも妊産婦の相談態勢を整えてもらうよう、国に要望した」と説明した。
赤ちゃんポストへの預け入れで、保護責任者遺棄など明らかな違法性が認められる事例はなかったという。
〔◆平成28(2016)年7月6日 西日本新聞 朝刊〕
「赤ちゃんポスト」現状報告 熊大で国際シンポ 日独の研究者ら=熊本
親が養育できない子どもを匿名で託せる「赤ちゃんポスト」の現状と課題について考える国際シンポジウムが20日、熊本市中央区の熊本大くすのき会館で始まった。
初日は約40人が参加。
赤ちゃんポストを運営する日本とドイツの関係者や研究者が、匿名出産制度の利用状況や課題を報告した。
熊本大文学部が主催。独・家族省のコリンナ・ボッホマン係官が、同国の匿名出産の現状と関連する法整備について説明した。
同国では1999年から2010年までに、1000人近くの子どもが全国約90か所の赤ちゃんポストに預けられたり、匿名の母親から生まれたりしたという。
一方で、子どもが出自を知る権利を保障すべきだとする世論の高まりを受け、14年5月に「内密出産制度」に関する法律が成立。妊婦が内密出産を希望した場合、匿名で出産した子どもは養子縁組された里親に育てられるが、希望すれば、16歳になると母親の個人情報を閲覧し、出自を確認できる。相談や出産にかかる費用は政府が負担し、15年末までに155人の女性が制度を利用したという。
ボッホマン係官は「内密出産制度は、子どもが出自を知る権利を保障しながら、妊娠したことを隠したい女性を支援するための選択肢になる」と強調した。
熊本市西区で「こうのとりのゆりかご」を運営する慈恵病院の蓮田太二理事長も講演。
14年9月末までに預けられた子どものうち、30人が乳児院などの施設で育っているといい、日本の施設依存度の高さを指摘したうえで、「愛情形成のためにも養子縁組を推進することが重要」と述べた。
最終日の21日は、県の「こうのとりのゆりかご検証会議」の委員経験者の講演などが予定されている。
〔◆平成28(2016)年2月21日 読売新聞 西部朝刊〕