フリースペース「ima」
フリースペース「ima」
所在地 | 〒910-0004 福井県福井市宝永2-12-35(2F) |
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TEL | 0776(59)3239 または 090-1632-8217 |
FAX |
引きこもりの長期化、高年齢化進む 受け皿少ない40代以上孤立深刻
引きこもりの人たちが思い思いの時間を過ごすフリースペース「ima」。
最近訪れるのは大人がほとんどだ=1月27日、福井市宝永2丁目
仕事に就かず自宅にいる「引きこもり」の長期化が進み、若者だけの問題ではなくなっている。
長期化するほど孤立は深刻になり、社会復帰が困難になるケースが多い。
社会的受け皿が少ないとの指摘もあり、複数の関係者は「在宅でできる仕事の提供や、安心できる居場所づくりが必要」と話している。
■子どもは1人■
福井市内の民家の2階。
不登校の子どもたちの居場所として、スクールカウンセラーだった南康人さん(54)が2006年、フリースペース「ima(いま)」を立ち上げた。
現在は水曜、金曜日に場所を開放している。
当初は小中学生が集まり、テレビゲームをやったりしていたが、現在ここを訪れる人は20~30代の大人ばかり。
子どもは小学生一人だけだ。
ある日の昼下がり。
20代の男性がごろんと横たわり、スマートフォンやテレビを見ていた。通い始めてから6年。
男性は「自分の家のようで居心地が良い」。
10年以上通っていた30代の女性は「社会に出て挫折しても、戻ってこられる場所」と話す。
南さんは「引きこもりの子どもは、自分なりに生き方を見つけることが多いが、大人の場合は必ずしも働けるようになるとは限らない。息の長い支援が必要」と指摘する。
■就職支援強化■
12年の国の就業構造基本調査によると、15~34歳で通学していない県内の無業者(ニート)は約2800人。
15~39歳の就労支援機関「ふくい若者サポートステーション」への登録は15年度までの10年間で1331人に上り、このうち就職など進路が決まった人は45・2%の601人だ。
同ステーションは、コミュニケーション能力向上訓練やボランティア体験などを通し自立を支援。本年度からはスタッフが企業訪問し、企業が求める人材を把握し、就職のマッチングを図っている。
学校を中退、卒業した後にそのままニートになることを防ぐため、学校では働くことに関するセミナーを開き、個別面談にも応じている。
■会話ができず■
内閣府は昨年9月、15~39歳の引きこもり数は推計54万1千人で、5年間で約15万人減ったと公表。これに対し、NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」は今年1月、「内閣府は40歳以上を排除している。40歳以上の引きこもりは16万人存在すると考えられる」という緊急提言を発表した。
同連合会福井県支部の近藤茂樹会長(69)は「40代以上の引きこもりの人は多い。20~30代を支援する社会的受け皿はあるが、40代以上になるとほとんどなく、社会的に孤立しがち」と危惧する。
引きこもりが長期化した場合、家族以外の人とは会話ができなかったり、会うことすらできなかったりすることもある。
家族も精神的に参り、共倒れになる危険性もはらんでいるという。
近藤会長は「家の外、部屋の外に出ることが困難な人がいる。ITを活用して自宅で仕事ができる『テレワーク』などが普及すれば、社会参加の一つのきっかけになるのではないか」と話している。
〔2017年2月3日 福井新聞〕
引きこもりの長期化、高年齢化進む 受け皿少ない40代以上孤立深刻
引きこもりの人たちが思い思いの時間を過ごすフリースペース「ima」。
最近訪れるのは大人がほとんどだ=1月27日、福井市宝永2丁目
仕事に就かず自宅にいる「引きこもり」の長期化が進み、若者だけの問題ではなくなっている。
長期化するほど孤立は深刻になり、社会復帰が困難になるケースが多い。
社会的受け皿が少ないとの指摘もあり、複数の関係者は「在宅でできる仕事の提供や、安心できる居場所づくりが必要」と話している。
■子どもは1人■
福井市内の民家の2階。不登校の子どもたちの居場所として、スクールカウンセラーだった南康人さん(54)が2006年、フリースペース「ima(いま)」を立ち上げた。
現在は水曜、金曜日に場所を開放している。
当初は小中学生が集まり、テレビゲームをやったりしていたが、現在ここを訪れる人は20~30代の大人ばかり。
子どもは小学生一人だけだ。
ある日の昼下がり。20代の男性がごろんと横たわり、スマートフォンやテレビを見ていた。
通い始めてから6年。
男性は「自分の家のようで居心地が良い」。
10年以上通っていた30代の女性は「社会に出て挫折しても、戻ってこられる場所」と話す。
南さんは「引きこもりの子どもは、自分なりに生き方を見つけることが多いが、大人の場合は必ずしも働けるようになるとは限らない。
息の長い支援が必要」と指摘する。
■就職支援強化■
12年の国の就業構造基本調査によると、15~34歳で通学していない県内の無業者(ニート)は約2800人。
15~39歳の就労支援機関「ふくい若者サポートステーション」への登録は15年度までの10年間で1331人に上り、このうち就職など進路が決まった人は45・2%の601人だ。
同ステーションは、コミュニケーション能力向上訓練やボランティア体験などを通し自立を支援。
本年度からはスタッフが企業訪問し、企業が求める人材を把握し、就職のマッチングを図っている。
学校を中退、卒業した後にそのままニートになることを防ぐため、学校では働くことに関するセミナーを開き、個別面談にも応じている。
■会話ができず■
内閣府は昨年9月、15~39歳の引きこもり数は推計54万1千人で、5年間で約15万人減ったと公表。
これに対し、NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」は今年1月、「内閣府は40歳以上を排除している。
40歳以上の引きこもりは16万人存在すると考えられる」という緊急提言を発表した。
同連合会福井県支部の近藤茂樹会長(69)は「40代以上の引きこもりの人は多い。20~30代を支援する社会的受け皿はあるが、40代以上になるとほとんどなく、社会的に孤立しがち」と危惧する。
引きこもりが長期化した場合、家族以外の人とは会話ができなかったり、会うことすらできなかったりすることもある。家族も精神的に参り、共倒れになる危険性もはらんでいるという。
近藤会長は「家の外、部屋の外に出ることが困難な人がいる。ITを活用して自宅で仕事ができる『テレワーク』などが普及すれば、社会参加の一つのきっかけになるのではないか」と話している。
〔2017年2月3日 福井新聞〕