人生100年時代
人生100年時代
「わたしは100才まで生きたい」~高齢者へのウィルス対策と、現役世代への自殺予防経済対策
■新型コロナは主として後期高齢者を狙う
2月頃に指摘されたとおり、新型コロナは主として後期高齢者を狙う。
この原稿を書いている5月5日時点で、80代以上の死亡は199名、70代は90名、60代は38名になっており、その危険性は70代以上が中心で、そのメインターゲットは80代だ(新型コロナウイルス国内感染の状況)。
だから高齢者にウィルス対策のターゲットを絞るべきという議論もあり(元厚労省技官が断言「1カ月自粛してもコロナは収束しない」)、僕も基本的には賛成なのだが、ひきこもりや不登校の面談支援をしている僕の現場ではそう簡単でもない。
この新型コロナ騒動以来、実は僕が行なっている面談支援の予約キャンセルが増えており、キャンセルにはいくつかの理由があるのだが、その中のひとつに「同居する高齢の親に迷惑をかけられない」というものが意外と多い。
また、ひきこもりの「8050問題」とモロに関係するのだが、80才前後の母親自身が、外出することで自分への感染を怖れ面談をキャンセルすることも当然ある。
僕はテレビを見ないのでわからないのだが、テレビではこうした「高齢者の新型コロナに対するリアルな怖れ」は伝えられているのだろうか。
■80才の母たちから本音
上記記事(「元厚労省技官が断言~」)に登場する元厚労省医系技官で医師の木村もりよ氏は、こう提言する。
「全員予防ではなく、重症化しやすい人、基本的には高齢者に政策のターゲットを絞るべきです。
若者の行動自粛ではなく、いかに高齢者が人との接触を減らせるかに焦点を当てるべきだと思います。
それ以外の人は、なるべく普通に暮らしながら、集団免疫の獲得を目指す。
賛否両論あるとは思いますが、真っ向から否定することではないはずです」
出典:元厚労省技官が断言「1カ月自粛してもコロナは収束しない」
重症者・死亡者のほとんどが高齢者であることから、早めにこの方向に転換することがベターだろう。
おそらく、高齢者自身、それを望んでいると思う。
もっと、高齢者に特化した対策をしてもらいたいと。
上記の通り、ひきこもりの8050問題のなかで、僕はよく80才前後の「親たち」を面談支援する。
面談を何回か行ないだんだん彼女ら(ほぼ母親)と親しくなると、彼女らは徐々に本音を漏らし始める。
それは僕が、 「親が後期高齢者になったらとにかく長生きして(遺族)年金をもらい続けましょう。
そのうち持家は売り、さらに貯金を貯めて子どもに残しましょう。
お母さんがお亡くなりになってもその貯金でお子さんは生きていき、貯金が尽きたらやがて国民年金をもらい、足りない部分は生活保護で補いましょう」
(高齢ひきこもりをもつ親御さん参照)
と「ホンネのアドバイス」をするからだろうが、徐々に80才の母たちからも本音が漏れる。
■高齢者のウィルス対策と、現役世代の自殺予防経済対策
僕が、「とにかくお母さんが長生きすることが大事。ひきこもりの子どもさんは今や家事全般をしてくれるし、仕事はムリだけれどもお母さんにとっては1番頼りになる存在ですよ」
と言うと、その 80才の母は、
「はい、実はね、先生(恥ずかしながら僕はこう呼ばれる)、私はね」と続けて、
「実は100才まで生きることが目標なんです、はっはっは」 と豪快に笑い飛ばすのだ。
これはたぶん、この母親だけの願いではないと思う。
80才になった方々は、心の奥でほぼ全員、100才になりたいと思っており、現在の100才人口7万人を考えるとまったく夢ではない
(100歳以上7万人超え、49年連続増 トップは高知県)。
そのためにも、問題の可視化、顕在化、吉村知事風に言うと「見える化」が必要だ。
新型コロナは主として高齢者の問題であり、ウィルスに関しては高齢者に絞った対策をたて、同時に現役世代に向けた経済対策(自殺予防対策)も行なうと、非常にわかりやすくなる。
気候も快適でウィルスもこんな気温が苦手な5月は、専門家会議的な「井の中」から飛び出るときだ。
田中俊英
〔2020年5/5(火)田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表〕