食物繊維
周辺ニュース
ページ名食物繊維、、(食のニュース、医療のニュース)
食物繊維が、つらい膝の痛みを解放
膝の痛みを抱える人は、高齢になるほど増える。痛む膝をさするお年寄りを見かけることはしょっちゅうある。
膝に痛みが出る病気の1つに変形性膝関節症がある。
階段の上り下りや正座がつらくなり、歩行が困難になることもある。
このほど、米国のボストン大学大学院などの研究グループは、変形性膝関節症と食物繊維の摂取との関連について調査した研究結果を発表した。
それによると、食物繊維の摂取量が多いほど、変形性膝関節症の症状が出るリスクが低下するという。
詳細は、5月23日発行の医学誌「Annals of the Rheumatic Diseases」(電子版)に掲載されている。
2つの研究を分析
変形性膝関節症は、老化や肥満により、膝関節でクッションの役目を果たすはずの軟骨がすり減り、炎症が起こっている状態だ。
食物繊維の多い食事は、肥満にも炎症にも好ましい影響を及ぼすと言われている。
そこで研究グループは、食物繊維の摂取と変形性膝関節症を発症するリスクとの関連を、2つの研究データを用いて調査した。
1つは、変形性関節症の発症や進展について検討した「Osteoarthritis Initiative (OAI)」という試験。
もう1つは、過去の関節症研究の参加者の子ども世代を対象とした「Framingham Offspring Osteoarthritis Study(Framingham)」だ。
食物繊維の摂取量は、研究の参加時に調べた。
また、X 線で判定した変形性膝関節症と、症状のみの症候性変形性膝関節症の有無を、OAIでは4年間毎年、Framingham では9年後に評価した。
さらにOAIでは、膝の痛みの悪化度についても検査した。
OAIで解析対象となったのは4,051人。参加時の平均年齢は61.2歳、肥満指数(BMI)の平均は28.6だった。
症候性の変形性膝関節症が認められたのは869脚、X 線検査により変形性膝関節症と診断されたのは152脚だった。
また、1,964脚で膝の痛みが悪化していた。
一方のFraminghamでは、解析対象が972人で、参加時の平均年齢は53.9歳、BMIは平均で27.0だった。
症候性の変形性膝関節症が見られたのは143脚、X 線検査で変形性膝関節症が確認できたのは176脚だった。
両方の研究において、食物繊維の摂取量が多いほど、症候性の変形性膝関節症を発症するリスクが低下した。
食物繊維の摂取量により対象を4分割したところ、最も多く摂取している集団は、最も少ない集団に比べて、OAIでは30%、Framingham では61%、それぞれ症候性変形性膝関節症の発症リスクが低下した。
さらに、OAIにおいては、食物繊維の摂取量が増えるほど、膝の痛みの悪化が明らかに抑制された。
それは、穀物から摂る食物繊維だけに限ってみても同様だった。
しかしながら、X 線検査での変形性膝関節症に関しては、症候性で見られたような食物繊維摂取量との明らかな関係は確認できなかった。
研究グループは、「われわれの知る限り、食物繊維の摂取と変形性膝関節症との関連を調査した研究はこれが初めてだ」とコメント。
さらに「米国では現在、高齢者は毎日、食物繊維を摂ることが推奨されているが、今回の調査結果はその勧めを後押しするものだ」と本研究を評価した。
つらい膝の痛みに悩んでいる人にとって、たっぷりの食物繊維で膝の痛みから少しでも解放されたら、こんなにうれしいことはないだろう。
〔あなたの健康百科編集部 2017年06月23日〕