カスタム検索(不登校情報センターの全サイト内から検索)

 
Clip to Evernote  Twitterボタン  AtomFeed  このエントリーをはてなブックマークに追加  


十勝むつみのクリニック

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
(十勝むつみのクリニック)
21行: 21行:
 
</tr>
 
</tr>
 
</table>
 
</table>
 +
 +
===[[:カテゴリ:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
 +
ページ名 [[十勝むつみのクリニック]]  (  )<br>
 +
'''生きづらさに悩む「繊細さん(HSP)」が日本人に多い根本理由'''<br>
 +
「HSPを診ることができる医療機関はまだ少ない」と、十勝むつみのクリニック院長で精神科医の長沼睦雄氏は言う 写真:アフロ<br>
 +
「繊細さん」とも呼ばれるHSP(Highly Sensitive Person)とは、感覚が敏感すぎてつらさや生きづらさを抱えている人のことだ。<br>
 +
'''敏感すぎて疲れる「繊細さん」に向いてる仕事向かない仕事'''<br>
 +
彼らは感覚が非常に繊細で反応が強いため、普通の人なら気にならない音や光、においなどに強いストレス反応を生じる。<br>
 +
また、周囲の人の感情にも同調しやすく、怒られないか嫌われないか、爆発しないかと常にビクビクしている。<br>
 +
前回、このHSPをテーマに「敏感すぎて疲れる『繊細さん』に向いてる仕事向かない仕事」を公開したところ、大きな反響があった。<br>
 +
◆寄せられた声は530件! 生きづらさの原因はHSPだった?<br>
 +
記事に対して寄せられた声の多くが「自分もHSPだと思う」という共感や悩みで、中には「すでにHSPと診断されている」「身近にHSPの人がいる」という声もあった。<br>
 +
コメントのいくつかを紹介したい。(Yahoo!配信した記事へのコメントより抜粋)<br>
 +
<「発達障害」と一括りにされがちだったので、当事者としてはここまでHSPが広まって嬉しく思います。<br>
 +
自己診断でHSPのグレーゾーンだと思っているデザイナーですが、確かに自分に合っていると思う。<br>
 +
仕事は大変な事も多いけど、黙々と考えたり作ったりするのは癒しです。<br>
 +
でもHSP全般の人に言えると思うけど、仕事内容より人間関係に疲れてしまう方が多いのでは?<br>
 +
自分のペースを乱されると途端にダメダメになります。<br>
 +
見守り型の上司の元だと気持ちが安定して自信を持って活躍できます。<br>
 +
常に頭の中で考えながら動いているので、求めてもいないアドバイスなどお節介なタイプの人は苦手です。<br>
 +
自分は早いうちに親が気づき、技術職に就くように道を作ったので、HSPだけど<br>
 +
仕事で苦労したことがないタイプです。<br>
 +
子どもの頃から、よその子と比べず個性を育ててあげて欲しい。<br>
 +
周りはどうしたらいいですか? 腫れ物に触るようにはしたくない。<br>
 +
しかし、他人の心情より自分の心情に敏感な分、アドバイスの仕方が難しいです。><br>
 +
「ずっと苦しんでいたが、HSPという概念に出会い少し気持ちが楽になった」という声は多い。<br>
 +
寄せられた多くのコメントを踏まえ、少しずつ認知されるようになってきたHSPを取り巻く社会環境について、十勝むつみのクリニック・院長・精神科医の長沼睦雄氏に聞いた。<br>
 +
ーーHSPではないかと悩んでいる人は、医療機関を受診するべきでしょうか?<br>
 +
「HSPと診断されることでホッとする人は少なくないと思いますが、残念ながらHSPを理解する一部の医師や心理士を除き、医療機関への積極的な受診はお勧めできません。<br>
 +
現状ではHSPを知らない医師や心理士が多数派です。HSPは医学的・科学的に定義されていない概念なため、医者や心理士の視点からは『曖昧すぎる』という意見があります。<br>
 +
現代の医療は病気や異常を診て治そうとするものであり、未病や健康な状態を扱う時間の余裕はないのです。<br>
 +
近年HSPに加えHSC(Highly Sensitive Child、敏感な子ども)への関心も高まり専門のアドバイザーが誕生していますが、明らかに症状が出ている病気とは様相が異なるHSPを診ることができる医療機関はまだ少ないんです」(十勝むつみのクリニック院長・精神科医 長沼睦雄氏 以下同)<br>
 +
ーー“忖度”や“同調圧力”、“共感疲労”がある日本人には、HSPが多いような気がします。<br>
 +
国や民族による特徴はあるのでしょうか?<br>
 +
「そうした傾向はあると思います。<br>
 +
例えばまわりを海に囲まれている日本では、地続きのヨーロッパのように戦争に明け暮れたり、他民族の征服で文化を塗り替えられたりすることはあまりありませんでした。<br>
 +
1万年以上も続いた縄文の狩猟生活の中で、自然を受け入れ互いに共感しあう文化を育んできました。<br>
 +
この縄文文化の次に訪れた弥生の農耕文化以降では、農作物と家畜と人間を権力者が支配する階級社会や村社会が生まれました。<br>
 +
日本人の過剰な同調圧力は、その中で生まれたのではないかと考えています。<br>
 +
縄文文化の中で自然への細やかな感性や共感性が育まれたのに加え、比較的短い弥生文化の中では共同作業によってまわりの人への階級意識や同族意識が育まれ、過剰な同調性が強化されてきたのです。<br>
 +
周囲の空気や見えないものに対する敏感さはHSPの特徴のひとつですが、日本独自の歴史や文化の中から生まれた部分は大きいと思います」<br>
 +
ーーコロナ禍はHSPの方たちにどのような影響を与えたでしょうか?<br>
 +
「HSPはとにかく神経が高ぶり疲労しやすいので、独りになる時間や空間が自身の癒しのために必要です。<br>
 +
その意味で3密を避けるオンライン化は、過剰な刺激を避けられるいい手段になりました。<br>
 +
対面での素早い言語化が苦手なHSPにとって、自分のペースで文字化、図表化できる仕事のやり方はとても助かったと思います。<br>
 +
その反面、テレワークに苦手さを感じているHSPは少なくないかもしれません。<br>
 +
オンライン会議や進捗報告が増えることで、監視や時間制限や評価が付きまとうと感じると、人一倍ストレスを抱えることになってしまうんです」<br>
 +
ーーHSPではない人は、職場のHSPの人にどう接すればよいでしょうか?<br>
 +
「HSPにどう接すればよいかは難しい質問で、職場によって答えは多岐にわたります。<br>
 +
どんな環境にも共通するのは、まず下記のようなHSPの苦手な面を十分に知ることだと思います。<br>
 +
・いつも相手に合わせて「いい子」でいようとしてしまう<br>
 +
・色や音や匂いなど、ちょっとした刺激が気になる<br>
 +
・夢や空想がリアルで現実と混同してしまう<br>
 +
・ひとりになる時間や空間があると助かる<br>
 +
・相手のペースに合わせてできない<br>
 +
・相手のことを考えすぎて嫌だと言えない<br>
 +
・集団の中で無口になってひとりになる<br>
 +
・感情、言葉、行動を表に出せず抑えてしまう<br>
 +
・監視や評価や時間制限などが苦手<br>
 +
・周囲の人の気分や感情に左右されてしまう<br>
 +
・とても神経が疲れやすい<br>
 +
・一度にたくさんのことができない<br>
 +
もしかすると「扱いづらい」「理解しづらい」と感じていた社員が、実は感性豊かなHSPだったというケースもあるかもしれません。<br>
 +
HSPの特性を理解した上で、本人の繊細な能力を発揮できる職場環境を整えることは、多様性を活かす職場作りにつながっていくのではないでしょうか」<br>
 +
―-<br>
 +
少しずつ社会での認知度が上がってきたHSPではあるが、その生きづらさをサポートする環境整備はまだこれからのようだ。<br>
 +
人知れず悩み、苦しんでいる当事者が多いことが明らかになってくれば、社会は少しずつ変わっていくのではないだろうか。<br>
 +
社会の価値観が見直されている今だからこそ、これまでのようにHSPを弱くて役に立たない存在ととらえるのではなく、理解し、共存していくことができる変化を願いたい。<br>
 +
'''長沼睦雄 十勝むつみのクリニック院長'''。<br>
 +
取材・文:浜千鳥<br>
 +
FRIDAYデジタル<br>
 +
〔2020年12/15(火) FRIDAY〕 <br>
  
 
'''登校不安抱えやすいHSCの子 親も自分責めないで'''<br>
 
'''登校不安抱えやすいHSCの子 親も自分責めないで'''<br>

2020年12月25日 (金) 14:08時点における版

Icon-path.jpg メインページ > 北海道 > 帯広市 > 十勝むつみのクリニック

十勝むつみのクリニック

所在地 〒080-0020 北海道帯広市西10条南5丁目
TEL 0155-21-1131
FAX 0155-21-2231
URL http://mutsumino.info/

周辺ニュース

ページ名 十勝むつみのクリニック  (  )
生きづらさに悩む「繊細さん(HSP)」が日本人に多い根本理由
「HSPを診ることができる医療機関はまだ少ない」と、十勝むつみのクリニック院長で精神科医の長沼睦雄氏は言う 写真:アフロ
「繊細さん」とも呼ばれるHSP(Highly Sensitive Person)とは、感覚が敏感すぎてつらさや生きづらさを抱えている人のことだ。
敏感すぎて疲れる「繊細さん」に向いてる仕事向かない仕事
彼らは感覚が非常に繊細で反応が強いため、普通の人なら気にならない音や光、においなどに強いストレス反応を生じる。
また、周囲の人の感情にも同調しやすく、怒られないか嫌われないか、爆発しないかと常にビクビクしている。
前回、このHSPをテーマに「敏感すぎて疲れる『繊細さん』に向いてる仕事向かない仕事」を公開したところ、大きな反響があった。
◆寄せられた声は530件! 生きづらさの原因はHSPだった?
記事に対して寄せられた声の多くが「自分もHSPだと思う」という共感や悩みで、中には「すでにHSPと診断されている」「身近にHSPの人がいる」という声もあった。
コメントのいくつかを紹介したい。(Yahoo!配信した記事へのコメントより抜粋)
<「発達障害」と一括りにされがちだったので、当事者としてはここまでHSPが広まって嬉しく思います。
自己診断でHSPのグレーゾーンだと思っているデザイナーですが、確かに自分に合っていると思う。
仕事は大変な事も多いけど、黙々と考えたり作ったりするのは癒しです。
でもHSP全般の人に言えると思うけど、仕事内容より人間関係に疲れてしまう方が多いのでは?
自分のペースを乱されると途端にダメダメになります。
見守り型の上司の元だと気持ちが安定して自信を持って活躍できます。
常に頭の中で考えながら動いているので、求めてもいないアドバイスなどお節介なタイプの人は苦手です。
自分は早いうちに親が気づき、技術職に就くように道を作ったので、HSPだけど
仕事で苦労したことがないタイプです。
子どもの頃から、よその子と比べず個性を育ててあげて欲しい。
周りはどうしたらいいですか? 腫れ物に触るようにはしたくない。
しかし、他人の心情より自分の心情に敏感な分、アドバイスの仕方が難しいです。>
「ずっと苦しんでいたが、HSPという概念に出会い少し気持ちが楽になった」という声は多い。
寄せられた多くのコメントを踏まえ、少しずつ認知されるようになってきたHSPを取り巻く社会環境について、十勝むつみのクリニック・院長・精神科医の長沼睦雄氏に聞いた。
ーーHSPではないかと悩んでいる人は、医療機関を受診するべきでしょうか?
「HSPと診断されることでホッとする人は少なくないと思いますが、残念ながらHSPを理解する一部の医師や心理士を除き、医療機関への積極的な受診はお勧めできません。
現状ではHSPを知らない医師や心理士が多数派です。HSPは医学的・科学的に定義されていない概念なため、医者や心理士の視点からは『曖昧すぎる』という意見があります。
現代の医療は病気や異常を診て治そうとするものであり、未病や健康な状態を扱う時間の余裕はないのです。
近年HSPに加えHSC(Highly Sensitive Child、敏感な子ども)への関心も高まり専門のアドバイザーが誕生していますが、明らかに症状が出ている病気とは様相が異なるHSPを診ることができる医療機関はまだ少ないんです」(十勝むつみのクリニック院長・精神科医 長沼睦雄氏 以下同)
ーー“忖度”や“同調圧力”、“共感疲労”がある日本人には、HSPが多いような気がします。
国や民族による特徴はあるのでしょうか?
「そうした傾向はあると思います。
例えばまわりを海に囲まれている日本では、地続きのヨーロッパのように戦争に明け暮れたり、他民族の征服で文化を塗り替えられたりすることはあまりありませんでした。
1万年以上も続いた縄文の狩猟生活の中で、自然を受け入れ互いに共感しあう文化を育んできました。
この縄文文化の次に訪れた弥生の農耕文化以降では、農作物と家畜と人間を権力者が支配する階級社会や村社会が生まれました。
日本人の過剰な同調圧力は、その中で生まれたのではないかと考えています。
縄文文化の中で自然への細やかな感性や共感性が育まれたのに加え、比較的短い弥生文化の中では共同作業によってまわりの人への階級意識や同族意識が育まれ、過剰な同調性が強化されてきたのです。
周囲の空気や見えないものに対する敏感さはHSPの特徴のひとつですが、日本独自の歴史や文化の中から生まれた部分は大きいと思います」
ーーコロナ禍はHSPの方たちにどのような影響を与えたでしょうか?
「HSPはとにかく神経が高ぶり疲労しやすいので、独りになる時間や空間が自身の癒しのために必要です。
その意味で3密を避けるオンライン化は、過剰な刺激を避けられるいい手段になりました。
対面での素早い言語化が苦手なHSPにとって、自分のペースで文字化、図表化できる仕事のやり方はとても助かったと思います。
その反面、テレワークに苦手さを感じているHSPは少なくないかもしれません。
オンライン会議や進捗報告が増えることで、監視や時間制限や評価が付きまとうと感じると、人一倍ストレスを抱えることになってしまうんです」
ーーHSPではない人は、職場のHSPの人にどう接すればよいでしょうか?
「HSPにどう接すればよいかは難しい質問で、職場によって答えは多岐にわたります。
どんな環境にも共通するのは、まず下記のようなHSPの苦手な面を十分に知ることだと思います。
・いつも相手に合わせて「いい子」でいようとしてしまう
・色や音や匂いなど、ちょっとした刺激が気になる
・夢や空想がリアルで現実と混同してしまう
・ひとりになる時間や空間があると助かる
・相手のペースに合わせてできない
・相手のことを考えすぎて嫌だと言えない
・集団の中で無口になってひとりになる
・感情、言葉、行動を表に出せず抑えてしまう
・監視や評価や時間制限などが苦手
・周囲の人の気分や感情に左右されてしまう
・とても神経が疲れやすい
・一度にたくさんのことができない
もしかすると「扱いづらい」「理解しづらい」と感じていた社員が、実は感性豊かなHSPだったというケースもあるかもしれません。
HSPの特性を理解した上で、本人の繊細な能力を発揮できる職場環境を整えることは、多様性を活かす職場作りにつながっていくのではないでしょうか」
―-
少しずつ社会での認知度が上がってきたHSPではあるが、その生きづらさをサポートする環境整備はまだこれからのようだ。
人知れず悩み、苦しんでいる当事者が多いことが明らかになってくれば、社会は少しずつ変わっていくのではないだろうか。
社会の価値観が見直されている今だからこそ、これまでのようにHSPを弱くて役に立たない存在ととらえるのではなく、理解し、共存していくことができる変化を願いたい。
長沼睦雄 十勝むつみのクリニック院長
取材・文:浜千鳥
FRIDAYデジタル
〔2020年12/15(火) FRIDAY〕 

登校不安抱えやすいHSCの子 親も自分責めないで
【後編】敏感で繊細なHSCの子。学校への伝え方は?/「学校に行かなくてもいい」と言うのは甘やかしではない
友達はいる、いじめもない、目立ったトラブルもないのにどうしても学校に行けない、行きたくない。
休校明け、子どもにそんな様子が見られたことはないでしょうか。
敏感な子どもたち(HSC)の特徴やコロナ禍での心のケアについて紹介した前編に続き、後編の今回も、十勝むつみのクリニック院長の長沼睦雄さんに解説してもらいました。
●楽しいことでも刺激になってしまうことが
新型コロナウイルスによる休校は、ウイルスへの恐怖はあったものの、登校不安のあるHSCの子たちにとっては、自宅で過ごせるという点で安心感を得られている時期でもありました。
しかし休校が明け、他の子どもたちが通常のペースを取り戻しつつある今は、登校不安を抱えるHSCの子やその親御さんにとって心が落ち着かない時期です。
HSCの子にとって、大勢の人が集まる空間にいることは、それだけで大きなストレスです。
刺激を強く感じやすいのでクラスメートの大声や騒がしい集会だけでなく、例年なら行われているはずの遠足や運動会、学芸会といったイベントも大きな負担になります。
楽しい、楽しみたいという気持ちはあったとしても普段とは違う陽気な雰囲気やみんなのテンションについていけず、心に負担がかかってしまうのです。
このようなことから、学校は過ごしやすい場所とはいえません。
なかでもHSCの子は自分が怒られるのはもちろん、他の子どもが怒られているのを見たり聞いたりすることにも苦痛を感じます。
・友達が先生から怒られているのを見ると、泣いたりパニックを起こしたりする
・同じクラスの生徒が忘れ物をして注意されるのを見ると、自分も忘れ物をするのでは? と極度に不安になる
こうしたことは、叱られた友達の気持ちを感じ取る力や、共感力や同調性が人よりも高いために起こります。
HSCの子の場合、自分が体験したわけでもないのに、相手の気持ちが自分の中に入ってきてしまうことがあります。
これは「過剰同調性」といいます。
本来自分と他者との間には「境界線」と呼ばれる精神的な境目があって、多くの人は自他を区別し、自分を守ることができます。
しかしこの境界線が曖昧だと相手の感情が自分の中になだれ込んできてしまうため、「あんなに怒られてかわいそう」「きっとつらいだろう」と、怒られている子どもの気持ちを思い、共感してつらい気持ちになってしまうのです。
敏感な子どもがみんな不登校になっているわけではありません。
しかしこのような理由からHSCの子は登校へのハードルが、他の子に比べてもともと高いといえます。
「頑張れ」ではなく「どっちを選んでもいいよ」
学校に行けない、登校途中で引き返してしまう、といった子どもの姿を見ると、親としては心配が募ります。
「学校の何が嫌なの?」「このまま学校に行かなかったらどうなると思ってるの?」などと、お子さんを責めたくなるかもしれません。
また「自分の子育てのどこが悪かったのか」「先生や学校に迷惑をかけてしまう」「周りの保護者からなんて思われるか」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。
無理やりにでも登校させるか否かで、夫婦で意見が異なることもあるかもしれません。
しかしお子さんが「学校に行きたくない」または「どうしても行くことができない」というときには、無理をさせないことです。
そして過剰な「頑張れ」で追い詰めないようにしてください。
HSCの子には「頑張れ」と言うのではなく、「どちらを選んでもいいよ」と声をかけるほうが、子ども自身に「やってみよう」という力が湧いてきます。
自分自身から力が湧き出るまで、そばで見守ってあげてほしいのです。
親がよかれと思ってやっていることでも、無理な登校を促すことで、将来にまで影響するような大きな心の傷ができてしまうこともあります。
●「甘やかし」と「甘えさせる」ことの違いとは
しかし親にとって、子どもに「学校に行っても行かなくてもいいよ」と伝えるのは、大変勇気がいることだと思います。
「甘やかしていいのか?」と自分を責めたり、周りからあれこれ言われたりすることもあるでしょう。
しかし「甘やかし」と「甘えさせる」ことは違います。
甘やかしとは物質的に満たすこと、そしてできる部分までも親が手や口を出してしまうことです。
たとえば子どもの望むままになんでも買い与えたり、本当は自分でできること(着替えや宿題、学校への提出物など)を親が代わりにやってあげたりすることが、甘やかしです。
これに対して「甘えさせる」のは、子どもの気持ちを手助けすることです。
HSCの子はワガママや親を困らせたいという気持ちから、学校に行けないと言っているのではありません。
むしろ自分の気持ちを表現するのが苦手で、同時に「親を困らせたくない」という気持ちも強く持っています。
その子たちがギリギリのSOSとして「学校に行けない」と訴えているのです。
では具体的に、どうしたらいいか。まずはこの3つの点を心がけてください。
<子どもと自分を褒めるポイント>
(1) 「できている」を褒める(「できない」に目をつむる)
(2) 要求水準を下げる(できなくてあたりまえと思う)
(3) 以前(昨日)と比較する(人と比べない)
これは子どもに対してだけでなく、親自身に対しても大切なことです。
大切なのは、存在を肯定してあげることです。
「学校に行っても行かなくてもママは(パパは)いつも〇〇ちゃんが好きだからね」と声をかけてあげてください。
スキンシップが効果的な場合もあります。
背中に手を回してさすってあげたり、腕に力を入れてギュッと抱きしめてあげたりすると、子どもは「自分はここにいていいんだ」という気持ちになります。
「ここは安心できる場所だよ」「あなたを大切に思っているよ」という気持ちを体で表すのです。
HSCの特徴について学校と情報共有を
繊細で敏感な子にとっても、学校という環境は、とても重要です。
まずはHSCの特徴について親御さんが理解し、できるだけ学校や担任の先生にそれを伝えてください。
具体的には以下のようなポイントです。
・子どもがとても敏感な特性を持っており、他の子が感じないようなことでも刺激になってしまうこと
・学校に行けないときもあるが親として支えたいと思っていること
・もし怒るときには厳しく叱責せず、できるだけ優しく諭してあげてほしいこと
HSCは心理的な概念で、医学に適応するには曖昧すぎるため、医学的概念ではないために知らない医師も多くいます。
これは学校側も同じです。
スクールカウンセラーにも知識がある人とない人がいますので、理解が得られにくいこともあります。
それでも伝えておくことに意味はあります。
子どもの特性を学校側に理解してもらい、子ども自身が「ここは安心な場所だ」と思えれば、学校に行くことへのハードルが下がるかもしれません。
どうしても学校に通うことが難しい場合は、適応指導教室やフリースクールへの転校、という選択肢も考えられます。
学べる環境の選択肢を広げてあげることも大切です。
順調に登校できないことについて、不安や焦りを感じる気持ちはよく分かります。
親御さん自身がつらい気持ちのときには、HSP(非常に敏感で繊細な感覚や感受性をもった人)やHSCへの理解がある心理士や自助グループを探してみるのも手です。
最後に、ウィズコロナという今の状況にかかわらず、HSCの子を育てる際に大切なポイントをお伝えします。
(1)嫌なことは嫌と言える安心な関係をつくり、本音を出させる
(2)感じ方、考え方、気持ちを尊重し、価値観や期待を押し付けない
(3)親の不安や恐れが伝わらないようにする、不機嫌の責任を負わせない
(4)子どもの人格を否定しない、性格を決めつけない
(5)条件をつけて愛さない。しかし過保護、過干渉にならないよう気を付ける
(6)他の子や兄弟姉妹と比較しないで、個性を尊重する
(7)敏感さのよいところやメリットを伝える
(8)叱る前にルールを作り、破ったときはまず理由を聞く
(9)マイナス感情もあっていいし、大切な感情だと伝える
(10)親とふたりだけの関係に依存させないで、いろいろな人と付き合う
親から信頼され、安心できる環境で育つことができれば、HSCの子は本来持っている高い芸術性や創造性を生かし、生き生きと成長していくことができます。
上記のようなことを心がけ、敏感さを封じるのではなく、生かす子育てをしてほしいです。
取材・文/藍原育子(きいろ舎) イメージカット/PIXTA
長沼睦雄 十勝むつみのクリニック院長
日本では数少ないHSP/HSCの臨床医。
北海道立札幌療育センターにて小児精神科医として14年間勤務。2000年よりHSP/HSCに注目して研究。
16年に十勝むつみのクリニック開業。神経発達症や発達性トラウマなどの診断治療に専念し、脳と心と体の統合医療を行っている。
著書に『敏感すぎる自分を好きになれる本』(青春出版社)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』(誠文堂新光社)など。
〔2020年7/8(水) 日経DUAL〕

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
地域
不登校情報センター
イベント情報
学校・教育団体
相談・支援・公共機関
学校・支援団体の解説
情報・広告の掲載
体験者・当事者
ショップ
タグの索引
仕事ガイド
ページの説明と構造
ツールボックス