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特別養子縁組

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2019年2月22日 (金) 14:17時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
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特別養子縁組

周辺ニュース

ページ名特別養子縁組、、(里親のニュース)
特別養子縁組、15歳未満に 6歳から引き上げ 法制審案
法制審議会(法相の諮問機関)の部会は29日、生みの親が育てられない子と、子を育てたい夫婦が法的な親子になる特別養子縁組制度の見直し案をまとめた。
「原則6歳未満」としている対象年齢を「原則15歳未満」に引き上げることと、養子縁組の手続きの際、養親となる人の負担を軽減することが主な柱。
法務省は法制審からの答申を受け、民法改正案などを通常国会に提出する方針だ。
1987年の法改正で導入された特別養子縁組の制度が見直されるのは初めて。
現在は年間500件ほどで推移しており、より多くの子どもが恩恵を受けられるよう「小中学生も対象とすべきだ」という指摘が出ていた。
一方、対象年齢を引き上げると養親との良好な関係を築くのが難しくなるとの意見もあり、法制審の部会では昨年6月から検討をしていた。
29日の部会では、民法上、「本人の意思が尊重される年齢」とされる15歳を区切りにすべきだと結論づけた。
15~17歳の子どもも、例外的に対象とする規定も示された。
一方、養親になる人をめぐっては、実親による養育が期待できないことを立証したり、実親の反論を受けたりするなど、精神的な負担が少なくない。
実親が縁組成立に同意しても、家裁での審判手続きが確定するまではいつでも撤回できることも問題となっていた。
見直し案では、家裁の手続きを2段階に分けることを提案。
実親が育てることができるかどうかを判断する第1段階では、児童相談所長による申し立てを可能にし、同意から2週間たつと撤回できなくする。
第2段階で、養親の適格性だけを対象にし、実親は関与しない内容だ。
〔◆平成31(2019)年1月30日 朝日新聞 東京朝刊(浦野直樹 〕

「安定した家庭」どの子にも 特別養子縁組、15歳未満に拡大案
特別養子縁組制度=キーワード=について、法制審議会の部会が対象となる子の年齢を「原則6歳未満」から「原則15歳未満」に引き上げる案をまとめた。
福祉関係者は「より多くの子どもが安定した家庭環境を得られる」と歓迎するが、年齢引き上げに伴う親子関係の構築の難しさや、民間あっせん団体の質の確保など、課題も残る。
□年齢で断念46件 14、15年度の縁組
東京都内の産院の一室で昨年夏、30代の夫と、40代の妻が待っていた。
特別養子縁組をあっせんする一般社団法人「アクロスジャパン」代表の小川多鶴さん(53)が、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて連れてくると、歓声が上がり、妻は涙を浮かべた。
小川さんが「一生、自分たちの子ですからね」と語りかけると、夫婦は笑顔で応えた。
夫婦は不妊治療をしたが子どもを授からず、特別養子縁組で子どもを迎え入れることを希望した。
養親になるための研修を受け、10カ月後に赤ちゃんとのマッチングがかなった。
赤ちゃんは、実母が役所に出生届を出し、家裁審判を経て養親の子どもとなった。
実母は未婚の20代で、妊娠時から小川さんに相談していた。
「ちゃんと子どもを教育してくれる人に」と希望したといい、小川さんは双方の家庭環境や思いをくみ、赤ちゃんを託す家庭を決めた。
厚生労働省によると、貧困や虐待によって親元で暮らせない子どもは全国に約4万5千人おり、約8割は児童養護施設などで暮らす。
これに対し、2014、15年度で成立した特別養子縁組は920件で、約7割は2歳以下の乳児だった。児童相談所などが「特別養子縁組を検討すべきだ」と判断しながら断念したケースは298件あり、46件は「原則6歳未満」の要件が理由だった。
東京都内の児相の所長は「どの子どもにも、法的に安定した家庭を保障すべきで、年齢が壁になるのは、児童福祉の精神に反する」と話し、対象年齢の見直しを歓迎する。
一方、児童養護施設を運営し、養親とうまくいかない子も見てきた社会福祉法人理事長は「子どもの年齢が高くなるほど、新しい親子関係を築くのは難しい。縁組後の養親家庭をケアする制度にすることが先ではないか」と話す。
□不透明な金銭、動く例も あっせん、3割は民間団体
14、15年度に成立した920件の特別養子縁組のうち、310件は民間団体があっせんし、610件は児童相談所が仲介した。
厚生労働省によると、こうしたあっせんをする団体は18年4月で全国に29団体あり、インターネットで養親や赤ちゃんを募る団体もある。
ただ、不透明な金銭の支払いや、安易な縁組の防止に向けた仕組みは不十分だ。
過去に、「産んでくれたら最大200万円相当の援助」をうたっていた団体もある。
18年4月に養子縁組あっせん法が施行され、あっせんを行う団体は自治体による許可を得なければならないようになったが、ある自治体の担当者は「書類がそろっていたら許可せざるを得ない。実態を調査するのは難しい」と明かす。
厚労省によると、18年12月までに18段体が許可され、不許可になったという報告はない。
ある民間団体のあっせんで子どもを迎えた養親は、運営費や弁護士費用などとして計300万円を請求されて支払った。
だが、後に別の養親から「値切れるよ」と聞き、疑問を抱いたという。
厚労省の13年度の調査で、成立ケースがある団体が養親から受け取った金額は平均約70万円。
最高額は309万円で、団体によってばらつきがあった。
小川さんによると、赤ちゃんを託そうとする女性からも「産んだらいくらもらえるんですか?」と持ちかけられることが増えている。
「対象年齢を拡大する以前に、あっせんの透明性を確保する必要がある」と指摘する。
◇キーワード <特別養子縁組>
経済的な事情や虐待などを理由に、生みの親の元で暮らせない子どもと、血縁のない夫婦が法的な親子になる制度。
生みの親との法的な関係が消え、戸籍上も育ての夫婦の実の子どもと同じ扱いになる点などで通常の養子縁組と異なる。
〔◆平成31(2019)年1月30日 朝日新聞 東京朝刊(貞国聖子) 〕

周辺ニュース

ページ名特別養子縁組、、(里親のニュース、法務省のニュース)
特別養子、15歳未満に 小中学生も対象 民法改正案提出目指す・法務省
法務省は19日、現在は原則6歳未満となっている特別養子縁組の対象者を15歳未満に拡大する方針を固めた。
小中学生も対象に加える。縁組に必要な要件も緩和する方向で見直し、15~17歳でも条件を満たせば縁組を認めることを検討する。
法制審議会(法相の諮問機関)から近く答申を受け、28日召集の通常国会に民法などの改正案提出を目指す。
特別養子縁組の仕組みが見直されれば、1988年の制度開始以降初めてとなる。
虐待や貧困などで適切な養育を受けられない子の救済につなげるのが目的。
法制審の特別養子制度部会では対象年齢の上限について複数案が検討されたが、民法上本人の意思が尊重される15歳を区切りとした。
新制度でも子の同意は要件としない。
法制審部会は2022年4月以降の成人年齢に達しない15~17歳の子どもについても例外的に対象とすることを視野に入れている。
例外を認める条件は、①本人の同意がある②15歳になる前から養父母となる人と一緒に暮らしている③15歳までに縁組を申し立てることができなかった事情がある―で、29日の会合で導入の是非を判断する。
現行制度下では、養父母となる人が家庭裁判所に縁組を申し立てており、実父母の同意がない場合は養父母の精神的な負担が大きい。
負担を軽減するため、新制度では家裁での審判を分離し、実父母による養育ができないかどうかの判断と、子どもと養父母のマッチングを分ける。
児童相談所長による申し立ても新たに認める。
現在は裁判所による審判確定までは実父母が同意を撤回できるため、養父母が安心して養子との関係構築に取り組めないとの指摘がある。
これを改め、実父母の権利を制限し、同意から2週間たてば撤回できなくする。
◇特別養子縁組見直しポイント
一、養子の年齢上限を15歳に引き上げ
一、15~17歳も条件付き容認を検討
一、児童相談所長による申し立て可能に
一、実父母の同意は2週間で撤回不能に
〔◆平成31(2019)年1月19日 時事通信〕

周辺ニュース

ページ名特別養子縁組、、(里親のニュ-ス、法務省のニュース)
特別養子縁組制度見直し 対象年齢の引き上げで3案示す
法務省旧本館
法務省の法制審議会で議論している特別養子縁組制度の見直しに関する中間試案の概要が分かった。
対象年齢の引き上げについては、現行の6歳未満から、原則8歳、13歳、15歳とする3案を提示。
また手続きの過程で、実親の同意などを判断する中間的な審判を導入することなども盛り込まれた。
特別養子縁組は、養子となる子どもの実親と法的な親子関係を解消し、実子と同じ親子関係を結ぶ制度。
例年500件程度で推移しているが、国は2020年までに倍増する目標を掲げており、法制審が6月から民法の見直しに向けて議論していた。
現行の特別養子縁組は、養子の年齢を原則6歳未満とし、実親が同意することなど複数の条件がある。
このため、年齢要件や養親と実親の対立、裁判所が縁組成立を決めるまでいつでも実親が同意を撤回できることなどが課題となっていた。
法制審が示した中間試案は、審判申し立て時の養子の上限年齢について (1)原則8歳未満、例外13歳未満(2)13歳未満(3)原則15歳未満、例外18歳未満ーーという3案を提示した。
また手続きの過程では、2段階の審理方式を導入。
実親の監護状況や特別養子縁組の必要性、実親の同意について判断する「中間的審判」の後、養親の適正判断や養子とのマッチングを行うという。
年齢上限を原則8歳未満とした場合、児童相談所長も中間的審判の申し立てができるようにする。
次の審判では、実親は監護能力が回復しても縁組の成立を阻止できない仕組みとする。
ただ、養親と実親との対立が回避でき、養親候補者がいなくても児相長による申し立てが可能となる一方で、中間的審判後も養親が見つからないと子どもが不安定になる可能性もある。
法務省は現在、こうした中間試案をホームページでも公表。
11月11日までパブリックコメントを募集している。
〔2018年11月06日 福祉新聞編集部〕

周辺ニュース

ページ名特別養子縁組、、(里親のニュース、法務省のニュース、厚生労働省のニュース)
特別養子縁組  年齢引き上げ 実親の同意撤回、制限も 法制審諮問へ
虐待や経済的事情などにより実親と暮らせない子どもを戸籍上、養父母の実子とする特別養子縁組について、上川陽子法相は25日の閣議後記者会見で対象年齢(原則6歳未満)の引き上げを検討すると明らかにした。
来月4日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
特別養子縁組制度は、子どもに安定した家庭環境を与えるのが目的だ。
しかし、児童福祉の現場からは「要件が厳しくて利用しにくい」と改善を求める声が上がっていた。
法務省が昨年7月に設置した有識者研究会の議論では、未就学児だけでなく小学生が対象に含まれるよう「12歳未満」とする案や、民法上本人の意思が尊重される「15歳」で線引きする案などが示された。
だが、対象年齢を上げすぎると新たな親子関係の構築が難しいという意見もある。
法制審は慎重に議論したうえで、民法改正の可否を判断することになりそうだ。
現行制度では、実親は縁組に同意しても家裁の判断の確定前なら同意を撤回できる。
また、虐待など子どもの利益を著しく害する事情があれば実親の同意は不要となる。
しかし、試験養育中に同意を撤回される恐れがあったり、実際に同意が不要になるか見通せなかったりするため、養親が安心して縁組の申し立てや養育をできないとの指摘もある。
法制審の議論では、実親による撤回に制限を設けられるかや同意権を喪失させる仕組みが創設できるかも焦点になりそうだ。
厚生労働省が実施した全国の児童相談所や民間のあっせん団体への調査によると、同意要件や年齢要件などが理由となり制度を利用できなかったケースは2014~15年度で計298件あった。
厚労省によると、国内で社会的な養護を受けている子どもは約4万5000人(16年度)おり、うち6割超は児童養護施設や乳児院で暮らす。
特別養子縁組の成立件数は増加傾向にあるものの、616件(17年)にとどまる。
「子ども第一」の機能充実不可欠
日本は他の先進国と比べ、親元で暮らせない子どもが施設で集団生活している割合が高い。
2016年に改正された児童福祉法は子どもをより家庭に近い環境で養育する方針を掲げ、今年度からは特別養子縁組の民間あっせん団体への公的助成も始まった。
対象年齢の引き上げは、その追い風になる。
ただし、特別養子縁組はあくまでも子どもの福祉のための制度であって、相続目的でも構わない普通養子縁組とは異なる。
あっせん団体の一般社団法人「命をつなぐゆりかご」(埼玉県)の大羽賀秀夫代表理事は「対象年齢が上がると、子どもの資質で選ぶなど養親側の思惑が絡んでしまう」と懸念する。
また、養親希望者へつなぐ機能が充実していなければ、対象年齢が広がっても増加は望めない。
大羽賀代表理事は「子どもの養育に慣れている里親への情報提供や、養親の条件優先ではない子どもの側に立ったあっせんなどを児童相談所が進める必要がある」と指摘する。
□ことば  特別養子縁組
1988年に導入された。
対象は原則として6歳未満だが、それまでに里親制度などを利用して養育が始まっていれば、例外として8歳未満まで縁組が認められる。
普通養子縁組とは異なり、実の両親との親子関係は消滅し、戸籍上も養親の実子と同じ扱いになる。
養親となる人による半年以上の試験養育期間を経て、家庭裁判所が可否を判断する。
〔◆平成30(2018)年5月26日 毎日新聞 東京朝刊【和田武士】【藤沢美由紀】〕

養子あっせん 児相・民間 進まぬ連携 情報共有 10自治体のみ 本紙調査
育ての親(養親)が戸籍上の実親になる「特別養子縁組」を巡り、児童相談所(児相)を設置する全国の69自治体のうち、養親と子供の縁組について民間のあっせん団体との協力体制を設けているのは10自治体にとどまることが読売新聞の調査でわかった。
国は特別養子縁組を推進する立場だが、専門家は「質の高い縁組を進めるには、児相と民間が情報を共有して仲介する仕組みが不可欠だ」としている。
国は、虐待などで実の親と暮らせない子供の受け皿として、特別養子縁組による家庭的な環境での養育を推進している。
成立件数を5年以内に倍増させ、年間1000件以上とする目標を掲げている。
4月からは、特別養子縁組の推進に向け、あっせん事業を行う民間団体を届け出制から許可制に変更する新法が施行されるほか、児相と連携する民間団体には補助金を出す制度もスタートする。
読売新聞は新法施行を控えた今年2~3月、児相設置自治体と、都道府県などに届け出ている民間の27団体を対象にアンケート調査を実施し、全69自治体と民間16団体から回答を得た。
その結果、子供によりふさわしい家庭を迅速に見つけるため、民間団体と協力している自治体は、大阪府や横須賀市など10自治体にとどまった。
民間団体は連携が進まない理由として、「児相が個人情報などを理由に養親候補者の情報を共有しない」(4団体)、「児相の職員が短期間で異動してしまう」(6団体)などを挙げた。
また、2013年度からの5年間で、少なくとも5自治体と1民間団体で、縁組後の子供計7人が、養親から虐待を受けていたことも分かった。
虐待発覚後の対応では、埼玉、岐阜両県が「養親を指導した」と回答。
新潟、兵庫両県と金沢市は「プライバシーに配慮して回答は控える」とした。
愛知県の元児童相談所長でNPO法人CAPNAの萬屋育子理事長は、「質の高い縁組のためには民間と児相の連携が重要。広域で情報共有できる仕組みが必要だ。縁組後の虐待などを防ぐためにも、子供の適性に合わせた養親を幅広い対象から見つけ、継続的に支援するべきだ」と指摘する。
◇国の支援充実望む声
読売新聞の調査に対し、自治体の担当者や民間団体からは、国の支援充実を求める声が相次いだ。
「都道府県を越えて養子縁組をする仕組みを作ってほしい」と回答したのは、北海道の担当者。
子供を迎えたいという希望者はいても、対象となる子供が少ないなどのミスマッチが多く、あっせんが進まないという。
広域で情報を共有するデータベースの構築を求めた自治体は29に上り、民間でも6団体あった。
国に求める施策では「養親への研修の充実」(51自治体、7団体)が多く、45自治体は「児相の人員強化」を挙げた。
養子縁組が進まない理由では、65自治体と5団体が「実親の同意が得られない」と回答した。
縁組には原則として実親の同意が必要だが、虐待など「子供の利益を著しく害する」場合は同意が不要となる。
しかし、虐待事案でも「親子関係を断ち切るという判断に躊躇(ちゅうちょ)する」(新潟県)、「実親が逆恨みをする場合もある」(埼玉県)など、縁組が進まないケースがあるという。
このほか、縁組が進まない理由では「人手不足」(23自治体、3団体)や「ノウハウの不足」(11自治体、1団体)などが多かった。
一方、国が「養子縁組の成立件数を年間1000件以上にする」と数値目標を掲げたことについては、20自治体が「反対」とし、「子供の権利を最優先に支援を行うべきで、数値目標はなじまない」(奈良県)などと理由を挙げた。
〈特別養子縁組〉
原則6歳未満の子供が、裁判所の許可を得て、血縁のない夫婦と法律上の親子になる制度。
児童相談所や民間あっせん団体が仲介する。
縁組の成立件数は2005年~12年は300件前後だったが、民間団体の増加で16年は495件に。
厚生労働省によると、近年は約3割の縁組を民間団体が中心になって成立させている。
〔◆平成30(2018)年3月29日 読売新聞 東京朝刊〕

養子縁組 「増える」3割のみ 新法要件厳格 あっせん中止も 事業者調査
子どもの養子縁組をあっせんする民間事業者の質の向上を図る新法が4月1日に施行されるが、新法により養子縁組が増えると考える事業者は約3分の1にとどまることが、各事業者への取材で分かった。
法定要件を満たせないとして、事業終了を決めた団体もあった。
厚生労働省は特別養子縁組の成立件数を5年で現行の倍の年1000件とする目標を掲げるが、現場からは運営の厳しさや社会の認知不足を指摘する声が上がる。
養子縁組あっせん法は、従来は都道府県への届け出で済んだ事業を、審査が必要な許可制に改める。
毎日新聞は2月、届け出ている全国23事業者にアンケートし、19団体・個人から回答を得た。
残る4事業者のうち、仙台市の団体は「新法が求める有資格者配置などの要件を満たせず、事業をやめる」と説明。
東京都内の団体は、5年前からあっせんを中止しているとした。
法施行により養子縁組件数が「増える」と見込んでいるのは6事業者。
「制度の認知度が上がる」(東京都・NPO法人フローレンス)、「児童相談所が(民間事業者に)協力的になっている変化を感じる」(和歌山県・NPO法人ストークサポート)といった期待の声があった。
一方、NPO法人「環(わ)の会」(東京都)は、事業をやめる個人や団体がいると考えられるとして「減る」と予測。
養子縁組制度が社会に浸透していない点などを挙げ「変わらない」や「その他」とした回答も多く、さめじまボンディングクリニック(埼玉県)は「ただ養子縁組の数を増やしたらいいということではない」と指摘する。
同法は養親希望者から実費を上回る手数料の徴収を禁じる一方、研修参加などに公的な支援をする。
法施行後の手数料は、4事業者が「増える」、1事業者が「減る」、5事業者が「変わらない」。
増える理由は、有資格者の配置や養親希望者の家庭の訪問などの経費で、増額幅は「5万円」「30万~40万円」などの回答があった。
□解説 養親らへの支援必須
日本では産んだ親が育てられない子の約8割が施設で暮らしている。
より家庭的な環境で育てる方策の一つが特別養子縁組だ。
これを増やすには、運営の厳格化で民間あっせん事業者の質を高めるのと並行して、事業者や養親希望者への支援も欠かせない。
公的機関である児童相談所のあっせんなら費用はかからない。
民間事業者は養親希望者に負担を求めることが多いが、貧困に苦しむ実親が安全に出産できる環境を整えたり、丁寧に相談に応じたりすれば、経費はかさむ。
事業運営を安定させ透明性を高めることは、信頼向上と利用者の増加につながる。
新法は研修などへの財政支援も盛り込んでおり、その充実が望まれる。
また、養親は縁組が成立すると法的に実の親子になるため、出自の告知などで悩みを抱えても、児相との関わりを持ち続ける里親と比べて孤立しやすい。
金銭面でも意識面でも養親が子育てしやすい体制を整えれば、希望者は増えていくはずだ。
【藤沢美由紀】 □ことば 特別養子縁組
親が育てられない原則6歳未満の子と、血縁のない夫婦が親子となる制度。
普通養子縁組や里親とは違い、産んだ親との親子関係は消滅し、戸籍上も実子と同じ扱いになる。
半年以上の試験養育期間を経て、家庭裁判所が許可する。
司法統計によると、2015年の成立件数は544件。
うち約3分の2が児童相談所、約3分の1が民間事業者のあっせんとみられる。
〔◆平成30(2018)年4月1日 毎日新聞 東京朝刊【藤沢美由紀、谷本仁美】〕

特別養子「18歳未満」支持3割 児童相談所持つ自治体
原則6歳未満とされている特別養子縁組の対象年齢引き上げを政府が検討している状況を受け、共同通信が児童相談所を所管する69自治体に具体的な年齢案を聞いた結果、「18歳未満」とする案を支持したのが3割の21自治体に上ることが18日、分かった。
実親の虐待などに苦しむ子を家庭的環境で養育できる機会が大きく広がるとの理由が多い。
民法改正を伴うため法務省が有識者研究会を設置しており、議論への影響が注目される。
ただ実親との法的関係を断つ重い制度だけに、調査には半数以上の自治体が具体的な年齢案を示していない。
意向を示した自治体の中では18歳未満案への支持が大多数だが、本人同意や養親との関係構築などの課題も多く、政府関係者からは「実際のニーズがどの程度あるのか見極めたい」との声が出ている。
特別養子縁組は2015年に約540件成立。
ただ、虐待事案が増え続ける状況もあり、政府は養親の下での家庭的な環境で永続的に育てられる機会の拡大を目指している。
厚生労働省の有識者会議は昨年、対象年齢引き上げが必要とする報告書をまとめている。
共同通信は昨年12月、全国210の児相を所管する69自治体への調査を実施。
対象年齢引き上げを前提に、識者らの議論に沿って(1)児童福祉法上で児童とみなされる「18歳未満」
(2)普通養子縁組では15歳以上は本人同意が必要で、その点を踏まえ「15歳未満」
(3)それ以外-の選択肢を設け、回答を求めた。
「18歳未満」としたのは青森県、大阪府、徳島県など21自治体(約30%)。
「永続的な家庭環境を、必要な子に与えられるよう児福法の対象範囲に」(富山県など)との記述が多かった。
「15歳未満」は茨城県、愛媛県、高知県など5自治体(約7%)で、理由は「民法上15歳以上は本人意思で一定の行為が認められており、(それ以前の)15歳未満が適当」(茨城県)など。
「それ以外」を選んだのは北海道、岐阜県、神戸市など8自治体(約12%)で、「年齢だけで線引きするのは適当と考えにくい」(北海道)との意見があった。
7自治体は具体的な年齢設定を示さず、愛知県は「18歳未満に加え、養育の開始時期なども条件として設定すべきだ」とした。
一方、宮城県、長野県、沖縄県など35自治体(約51%)が「意見集約できていない」として選択肢からの回答を避けた。
〔◆平成30(2018)年1月18日 共同通信〕

特別養子縁組  民間団体に助成 来年度から
親が育てられない子どもが新たな家庭で育つ特別養子縁組を増やそうと、厚生労働省は来年度から、あっせんを手掛ける民間事業者への助成を始める。
4月の養子縁組あっせん法施行に合わせた対応で、子どもを迎える養親への手厚い支援や事業者の人材育成に補助を出して、質の向上と養親の負担軽減につなげる。
特別養子縁組は虐待や貧困などで実の親が育てられない原則6歳未満の子と、血縁のない夫婦が戸籍上の親子となる制度。
2016年の成立件数は495件で、約3分の2を児童相談所、約3分の1を民間事業者があっせんしている。
厚労省は児童養護施設などで暮らす子をできるだけ家庭的な環境で養育しようと、昨夏に特別養子縁組成立を5年間で倍増させ、年間1000件にする計画をまとめた。
養親は、周囲に同様の家庭がなく、制度も周知されていないため、悩みを抱え込んでしまうことが多い。
このため助成事業では、縁組の申請前に子どもと触れ合える時間を設けたり、養親の相談や支援体制、養親同士の交流の場の提供を充実させたりする事業者を10団体ほど選び、1団体550万円程度を支援する。
また、新法で事業が届け出制から都道府県の審査が必要な許可制に変わるのに伴い、代表者には一定の研修が義務付けられ、その参加費や交通費を1団体20万~30万円補助する。
一方、新法に基づき事業を進めるには、これでは公的支援が足りないとの指摘もある。
許可を受けるためには責任者に社会福祉士などの有資格者を置かなくてはならないなど、運営コストの増加が想定されるからだ。
事業者の認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区)の駒崎弘樹代表理事は「負担増に見合った助成額ではない。業務過多の児童相談所任せではなく、もっと民間を活用しないと養子縁組は進まない。その重要性を分かってほしい」と訴える。
  〔◆平成30(2018)年1月17日 毎日新聞 東京朝刊【藤沢美由紀】〕

特別養子縁組 あっせん事業者研修義務化 厚労省
特別養子縁組の民間あっせん事業者の質を向上させるため、厚生労働省は責任者らへの研修を義務付ける方針を決めた。
制度の周知など関連事業と合わせ、来年度予算の概算要求に約1億円を盛り込んだ。
特別養子縁組は、原則として6歳未満の子どもを養父母と縁組する制度で、戸籍上も実子と同じ扱いとなる。
虐待などにより親元で育てられない子どもを家庭的な環境で養育するため、政府は5年間で倍増させ、年間1000件の成立を目指している。
研修では、営利を目的としないなど適正な在り方や、子どもと養父母を仲介するためのノウハウを学ぶ。
特別養子縁組には児童相談所に加え、昨年10月現在で23の民間事業者が関わっているが、一部が営利目的であっせんしたケースもあった。
来年4月には、事業者を届け出制から都道府県知事の許可制とする養子縁組児童保護法が施行される。
〔◆平成29(2017)年8月26日 毎日新聞 東京夕刊〕

養育「家庭に近い環境で」 里親の大幅増、目標 厚労省
虐待などで親元で暮らせない子どもの受け皿として、里親を大幅に増やすことになった。
厚生労働省は31日、就学前で75%以上、就学後で50%以上にするとの新たな目標を公表。
より家庭に近い環境で暮らしてもらう狙いだが、今は2割にも届いておらず、なり手の育成が急務だ。
新しい目標は31日の有識者検討会で示され、大筋で了承された。
実親と暮らせない原則18歳未満の子どもで、社会的に育てる社会的養護が必要な約4万5千人(2016年時点)らを対象に近く、導入される。
15年段階で児童養護施設など大規模施設で7割以上が暮らし、里親やファミリーホームは2割未満だ。
今は29年度までにそれぞれ3分の1にする目標だが、厚労省は増え続ける児童虐待に対応するため、特定の大人と安定した関係をつくる「愛着形成」をしやすい環境づくりが必要と判断した。
新たな目標では、(1)まず家庭への支援に重点を置く(2)家庭で育てるのが難しい場合、家庭環境と近い里親委託や特別養子縁組を優先する(3)専門性のある治療的ケアが必要な場合などは小規模化した施設に入る――ことを政策方針に掲げた。
その上で里親への委託率を3歳未満は5年以内、3歳以上~就学前は7年以内に75%へ、就学後は10年以内の50%達成を目指すとした。
特別養子縁組も倍増の年1千件を目指し、就学前は原則、施設に入れないことも盛り込んだ。
手厚いケアが必要な場合は施設で受け入れるが、原則、乳幼児で数カ月以内、就学後は1年以内とした。
大規模施設は10年以内に最大6人以下に小規模化させる目標も打ち出した。
〔◆平成29(2017)年8月1日 朝日新聞DIGITAL〕

特別養子縁組、5年以内に倍増 虐待児への支援で新目標 厚労省
経済的事情や虐待などで親から離れて暮らす子供が家庭での養育を受けられるようにするため、厚生労働省の有識者検討会は31日、特別養子縁組の成立件数を今後5年で倍増させるなど、新たな数値目標を盛り込んだ報告書案を示した。
特別養子縁組した子供は法律上、養父母の「実子」として扱われる。
昨年施行された改正児童福祉法は保護者への子育て支援強化や、親元で暮らせない子供を家庭と同様の環境下で養育していくことを国の方針として明示した。
報告書案は虐待を受けた未就学児を児童相談所が里親に委託する割合を75%以上にする目標も掲げている。 厚労省などは、特別養子縁組の成立件数を5年以内に2015年の544件から倍増させ、年間1000件以上の成立を目指す。
報告書案は目標実現のための具体策として、特別養子縁組の対象年齢(現在は原則6歳未満)の引き上げや、児童相談所と民間機関が連携して養父母、養子を支援することなどを挙げた。
親元を離れて暮らす子供が里親家庭で養育される割合を示す「里親委託率」は17.5%(15年度末時点)にとどまる。
報告書案は3歳未満は5年以内、それ以外の未就学児は7年以内に委託率75%以上を目指すとした。就学児は10年以内に50%以上にする。
厚労省によると、親元で暮らせない子供は16年時点で全国で約4万5千人に上る。
このうち約6千人が里親家庭などで暮らし、残りは主に児童養護施設や乳児院に入所している。
報告書案には就学前の子供について、児童相談所が施設に預けることを原則として停止することも盛り込まれた。
〔◆平成29(2017)年7月31日 日本経済新聞 電子版〕

虐待受けた子の養育受け皿、里親・特別養子縁組を優先 厚労省方針
児童虐待などで親元で暮らせない子どもの受け皿づくりに向け、厚生労働省は新しい目標を打ち出す方針を固めた。
より家庭に近い環境を重視することが柱で、里親への委託や特別養子縁組を優先。
児童虐待の急増が背景にあり、特定の大人と安定した関係づくりを促す狙いだ。
こうした受け皿で育てることは「社会的養護」=キーワード=と呼ばれ、児童福祉法に基づいて施設などが担っている。
厚労省は25日にも開かれる有識者検討会で、新しい目標を提案。了承されれば、来月にも導入する。
社会的養護はもともと孤児への対応が主眼で、2010年時点で施設が9割を占めていた。
だが、虐待された子どもは集団生活よりも特定の大人による対応が望ましいため、11年に里親やファミリーホームなどの割合を29年度までに3分の1に引き上げる数値目標を設定。
15年4月時点には15・8%になった。
新しい目標は、児童虐待を未然に防ぐことも掲げ、
(1)まずは家庭への支援に重点を置く(2)家庭で難しい場合、家庭環境と近い里親委託や特別養子縁組を優先する(3)それが適さないケースは小規模化した施設に入所する――とする。
現行の数値目標は、子どもを実親と引き離すことが前提となっているため、撤廃する。
ただ、数値目標を撤廃することで、逆に里親やファミリーホームなどの受け皿整備が失速する可能性もある。
成り手の育成や支援を進めることも急務で、里親の委託率については改めて新しい数値目標を掲げることも検討する。
◇キーワード <社会的養護>
親がいなかったり虐待を受けたりして、親元で暮らせない事情を抱える原則18歳未満の子どもを社会的に養育する仕組み。
対象の子どもは16年時点で約4万5千人。
15年4月時点の受け入れ先は、児童養護施設や乳児院などの施設が76.4%、グループホームが7.9%、里親やファミリーホームへの委託が15.8%。
〔◆平成29(2017)年7月22日 朝日新聞DIGITAL〕

特別養子縁組、6歳以上も対象に 虐待増背景、年齢拡大を検討
生みの親が育てられない子どもと育ての親が戸籍上の実の親子となる特別養子縁組=キーワード=について、政府は対象年齢をいまの6歳未満から引き上げる検討を始める。
虐待などで親元で暮らせない子どもが、一人でも多く家庭的な環境で育つことができるようにする狙いだ。
法務省が月内にも有識者の研究会を立ち上げる。
特別養子縁組の成立件数は増加傾向で、2005年の305件から15年には544件になった。
自分で育てるのが難しい親が増えており、虐待の増加も背景にある。
全国の児童相談所(児相)が対応した18歳未満の子どもへの虐待は、15年度に10万件を超えた。
親元で暮らせない子どもの大半は、児童養護施設で暮らす。
同施設や里親家庭にいる6歳以上は13年2月時点で約3万人。
その一方で、児相が14~15年度に特別養子縁組を検討すべきだと判断した288件のうち、年齢要件が理由で成立しなかったケースが16%の46件あった。
こうした事情から、厚生労働省の有識者検討会は6月、対象年齢引き上げを求める報告書を公表。
(1)普通養子縁組で15歳以上は本人の意思が尊重されることを踏まえ「15歳未満」
(2)子どもの社会的養護などについて定めた児童福祉法の対象年齢となる「18歳未満」――を案としてあげた。
原則の6歳未満は維持し、例外の8歳未満を引き上げることも考えられるとした。
これを受け、対象年齢を定めた民法を所管する法務省が研究会を設置し、議論に乗り出す。
法学者や弁護士、児童福祉の専門家らが参加する予定だ。
◇キーワード<特別養子縁組>
生みの親が育てられない子どもと、血縁関係のない夫婦が家庭裁判所の判断で法的に親子になる制度。
親となる人の年齢以下であれば縁組できる普通養子縁組と違って相続などの生みの親との法的関係が消え、戸籍上も実子と同じ扱いになる。
〔◆平成29(2017)年7月14日 朝日新聞 東京朝刊〕

特別養子縁組推進へ 兵庫県が実親・里親の対応指針
生みの親が育てられない子どもを実子として育てる「特別養子縁組」を前提にした新生児・乳児の里親委託を推進するため、兵庫県は、県内5カ所のこども家庭センター(児童相談所)のケースワーカー向けにガイドラインを作り、本格運用を始めた。
実親、里親への意思確認や医療機関との連携などについて、具体的な手順や注意点を盛り込み、子どもにとって最適な生育環境を実現できるよう取り組む。
予期せぬ妊娠で出産した親が、新生児や乳児を虐待するケースが全国で後を絶たない。
厚生労働省は虐待防止などにつなげるため、特別養子縁組の利用促進を検討。
2017年4月施行の改正児童福祉法では、児童相談所の業務に養子縁組の相談、支援が加わった。
ガイドラインでは、実親への対応について、親族を含め、将来的にも育てられないことが明らかな場合、特別養子縁組を説明することとした。
子どもが成長してから見せるために、子ども宛ての手紙や母(実親)の写真を提供してもらうことを明記。
将来結婚する際、父親の情報が必要な場合が多いことから、名前や住所などをできる限り聞くことも盛り込んだ。
養親となる里親に対しては、子どもの性別を問わない▽出産後に実親の意思が変われば委託しない▽適切な時期に血縁関係がないことを告知する-などの条件を理解した上で、委託を希望するか確かめることを求めた。
出産を知らせてもらうなど、医療機関に協力を求める文書のひな形も作成。
退院まで医師らと情報共有を図る必要性を強調した。
県は昨年8月から県医師会や県里親会連合会、児童福祉施設の代表者とガイドライン作りを議論。
今後、運用しながら改善を加える。
【特別養子縁組】
原則6歳未満を対象に、養父母と縁組する制度。
普通養子縁組と違い、戸籍上も実子となり、実親との法律上の親子関係もなくなる。
6カ月の試験的な養育期間をへて、家庭裁判所の決定で成立する。
〔◆平成29(2017)年5月9日 神戸新聞NEXT〕

特別養子縁組、児相も申し立て 厚労省の有識者検討会が提言
厚生労働省の有識者検討会は28日、実の親が育てられない子供を別の家庭で引き取って育てる特別養子縁組を増やすための報告書をまとめた。
児童相談所(児相)が縁組が適切かどうかの判断を家庭裁判所に申し立てられる新たな仕組みなどを提案している。
実現には民法の改正などが必要とみられ、厚労省は法務省などとの協議を始める。
現行制度では、特別養子縁組の申し立てができるのは養親になりたい人だけ。
民法は、縁組の成立には実の親の同意が原則必要と規定している。
同意がない場合、縁組が認められない懸念から申し立てをためらうケースも多いとされる。
厚労省の調査によると、児相や民間のあっせん団体が「特別養子縁組を検討すべきだ」と判断したものの、同意要件が障壁となり実現していないケースが2014~15年度で205件あった。
このため報告書は、第1段階で児相所長が子供にとって特別養子縁組が適切かどうかの判断を家裁に申し立て、第2段階で養親希望者がその子供との縁組を申し立てられる仕組みを提案。
第1段階で縁組が適切と判断されれば、実の親の権限を停止することを想定している。
一方、現行制度では原則として「6歳未満」となっている対象年齢を「18歳未満」や「15歳未満」に引き上げることも提言。
養子の出自を知る権利の保障も盛り込んだ。
〔◆平成29(2017)年3月28日 日本経済新聞 電子版〕 

特別養子の対象拡大を 厚労省検討会が報告書案
実の親が育てられない子どもを戸籍上、養父母の「実子」とみなす特別養子縁組の対象年齢をめぐり、厚生労働省の有識者検討会は13日、現在の原則6歳未満からの引き上げが必要とする報告書案をまとめた。
厚労省は、実の親が育てられず児童養護施設などに入所する子どもを家庭と同様の環境で育む手段として特別養子縁組の利用促進を検討。
年齢引き上げには民法の改正が必要で、政府は報告を踏まえ、対象拡大を検討する。
民法は、特別養子縁組の対象年齢を家庭裁判所への申し立て時点で6歳未満と規定。
申し立て時に6歳以上でも、それまでに里親に育てられていた場合などは、8歳未満であれば例外的に申し立てを認めている。
報告書案は、例外規定の8歳未満についても引き上げの必要性を指摘している。
  児童養護施設などに入所し、家族と交流がない子どもは2013年2月現在で約1万人いる一方、15年の特別養子縁組成立数は544件だった。
〔◆平成29(2017)年3月13日 時事通信〕 

対象年齢の拡大を議論 特別養子縁組の利用促進 ―厚生労働省検討会
厚生労働省の有識者検討会は、実の親が育てられない子どもを戸籍上、養父母の「実子」と見なす特別養子縁組の利用促進に向け、制度の見直しを議論している。
現行で原則6歳未満、例外的に8歳未満となっている子どもの年齢要件を引き上げ、対象を拡大することなどが論点。
年齢要件を見直すことになれば民法改正が必要となり、検討会は意見の取りまとめを急ぐ。
民法では、対象となる子どもは、家庭裁判所に特別養子縁組を申し立てた時点で6歳未満と規定。
例外的に8歳未満での申し立ても認めている。
例えば、養親を希望している人が、子どもが6歳未満の時期から里親となり育てていたなどの場合が、これに当てはまる。
検討会の会合では、現行制度は比較的幼い子どもを対象としているため、養親と愛着関係を築きやすく、早期の縁組成立につながるメリットがある一方、縁組の機会が制限される課題が挙げられた。
そこで、①6歳未満を維持して8歳未満を引き上げ②6歳未満と8歳未満のいずれも引き上げ―を軸に検討している。
この他、申し立て規定の見直しも協議。
現在は養親の候補者だけが申し立てできるが、実親の同意がない場合、トラブルを恐れる候補者がためらう可能性があり、実親から虐待を受けたケースで特に懸念されている。
こうした事態に備え、検討会では、児童相談所長が候補者の代わりに申し立てできるようにする規定を新設することが論点に挙がっている。
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)児童部会の専門委員会は2016年3月、「(実親らによる)子どもの虐待事例の急増などに対応が追いついていない」と指摘。
「子ども家庭福祉の体系の再構築が急務」として、特別養子縁組の利用促進に向けた新たな措置を講じるよう求めていた。
〔◆平成29(2017)年3月10日 時事通信 官庁速報〕

特別養子縁組:288件不成立 「実親の同意」壁に 厚労省14~15年度調査
児童養護施設に長期間預けられ実親との面会もないといった理由で、全国の児童相談所が「特別養子縁組を検討すべきだった」と考えたのに実現に至っていない事案が2014、15両年度で計288件あったことが、厚生労働省の調査で分かった。
「実親の同意要件」が障壁になったとの回答が約7割だったことも判明。
実親との交流がない上、養子として家庭的な環境を得られない子どもの存在が浮き彫りになった。
専門家は「児相によっては特別養子縁組に消極的なところもあり、本来は縁組の検討が必要な事案はもっと多い」と指摘。
戸籍上、養父母の実子と同じ扱いになる特別養子縁組は、法律で実父母の同意が原則的に必要と定められているが、厚労省は同意を得るのが難しい場合の対応を検討する構えだ。
厚労省は昨年10月、14、15両年度に活動実態があった全国209の児相に対し、特別養子縁組の成立件数などに関する質問状を送付、全てから回答を得た。
その中で、乳児院や児童養護施設に長期間預けられ、実親との交流面会がないなど家庭復帰が見込めなかった子どもについて、児相が「特別養子縁組を検討すべきだった」と考えたにもかかわらず、実現していない事案を調査。
14年度は140件、15年度は148件と確認された。
これに対し、特別養子縁組が成立したケースは14年度に304件、15年度に306件で、計610件に上った。
障壁となった理由(複数回答)は、「実親の同意要件」との回答が197件(68%)。
実親側が「自分では育てられないが養子には出したくない」「いつかは引き取る」と答えたケースや、実親の行方が分からず打診できないケースもあった。
厚労省は結果を有識者会議に提出し、実親の同意が得られない場合の対応について検討。
識者からは、ガイドラインなどルールづくりを求める意見が出ている。
〔◆平成29(2017)年2月26日 毎日新聞 東京朝刊〕 

14、15年度分 厚労省調査 民間の養子縁組319件 成立時1歳以下が85%
特別養子縁組の利用促進を模索する厚生労働省が民間あっせん団体の活動状況を調査した結果、
2014、15両年度に仲介して成立したのは計319件(14年度158件、15年度161件)だったことが28日、分かった。
成立時の子どもの年齢は「1歳以下」が約85%を占め、児童相談所(48%)に比べて生後のより早い段階で縁組が成立している実態も判明した。
民間団体の活動に関する詳細な調査は初めて。
厚労省は、経済的事情などで実の親が育てられない子どもを救う手だてとして、養親が「実子」として引き取る特別養子縁組の適正利用を検討している。
民間に期待される役割も大きく、調査結果を養子縁組関連法の指針づくりに生かす。
調査は、15年10月時点で全国の自治体に届け出をしていた22の民間団体を対象とし、昨年10月に調査票を送付。
19団体から回答があった。
同時に209カ所の児童相談所にも件数などを聞いた。
特別養子縁組は原則6歳までとされ、例外的に8歳までは申し立て可能。
調査の結果、14、15年度に民間団体の仲介で成立した319件中、子どもが0歳だったのは216件(67%)で、1歳が57件(17%)だった。
一方、児相の仲介で成立した縁組は計610件(14年度304件、15年度306件)で、0歳が124件(20%)、1歳が172件(28%)。
民間団体の平均年齢は1歳5カ月で、児相の2歳9カ月を下回った。
専門家からは「民間は、事情があって公的機関に相談できない人の受け皿になっている面があり、妊娠段階や出産直後の実親からの相談が多いことが影響した」との見方が出ている。
民間で成立した319件で「実親の同意を得る際に困難が生じた」のは58件。
「両親の1人の同意確認ができなかった」「同意が翻るなど不安定な状況があった」との回答が目立った。
特別養子縁組を巡っては、民間団体をこれまでの届け出制から許可制とする養子縁組児童保護法が昨年成立した。
民間団体については養親らとの間で不透明な金銭授受が疑われる事案もあり、昨年11月には千葉の業者が強制捜査を受けている。
◇特別養子縁組◇
原則として6歳未満の子どもを養父母と縁組する制度。実親と法的関係が残る普通養子縁組とは異なり、戸籍上も養父母の実子と同じ扱いになる。
6歳になる前から里親として養育しているなどの事情があれば8歳までは申し立てが可能で、その場合、成立時に9歳になっているケースもある。
望まない妊娠など実親が育てられない事情があり、家庭裁判所が必要と認めれば6カ月以上の試験養育期間を経て成立。
全国の児童相談所の他、都道府県などに第2種社会福祉事業の届け出をした民間団体があっせん事業を行っている。
営利目的のあっせんは禁止されている。
〔◆平成29(2017)年1月28日 北海道新聞 夕刊全道〕 

特別養子縁組 実の親の反対などで200件以上実現せず
虐待などの理由で親が育てられない子どもと法律上の親子関係を結ぶ「特別養子縁組」について、実の親が反対するなどして実現しなかったケースが、昨年度までの2年間で200件余りにのぼったことがわかりました。
虐待や経済的な理由などで親が育てられない子どもについて厚生労働省は、家庭的な環境で生活するのが望ましいとして、
6歳未満の子どもを対象に受け入れを希望する人と裁判所の許可を得て、法律上の親子関係を結ぶ「特別養子縁組」を推進することにしています。
厚生労働省が全国の児童相談所や民間のあっせん団体にアンケートをおこなったところ、特別養子縁組を検討したものの実現しなかったケースが昨年度までの2年間に、合わせて217件にのぼったということです。
理由としては、実の親が反対したり、親の意思を確認できなかったりして手続きを断念したケースが52件と最も多く、
次いで、受け入れを希望する人が見つからなかったケースが51件で、中には、子どもの障害や問題行動などを理由に、取りやめになったケースもあったということです。
特別養子縁組が実現しなかった子どもの中には里親に預けられたり、児童養護施設で集団生活を送ったりするケースもあるいうことで、
厚生労働省は、抜本的な制度の見直しも含めて検討することにしています。
〔◆平成28(2016)年12月13日 NHKニュース〕

(子どもと貧困)特別養子、制度充実急ぐ 民間頼み、費用トラブルも 【大阪】
貧困や虐待などで実の親が育てられない子どもを社会で育てる仕組みの一つとして注目される「特別養子縁組」。
適切なあっせん(仲介)や当事者へのていねいな支援が求められるが、児童相談所と民間事業者それぞれに課題を抱え、環境整備が急がれる。▽1面参照
民法が改正されて、特別養子縁組が盛り込まれたのは1987年。
宮城県の医師が73年、戸籍に出産記録が残るのを恐れる親が人工中絶するのを防ぐため、育てたい夫婦が実親であるように出生届を偽造していたことを自ら公表し、法整備を求めたのが発端だ。
それまでは、実親との法的関係が残る制度(普通養子縁組)しかなかった。
特別養子縁組は、実親との法的な親子関係はなくなる。
日本の養子縁組制度はもともと家制度継承の手段という認識が強く、児童福祉の観点が薄かったため、民法が改正されても、専門機関やあっせん法は創設されてこなかった。
貧困や虐待などで保護を必要とする子どもは約4万6千人いるが、現状では約9割が児童養護施設や乳児院などで暮らす。
虐待などの増加を受け、国は2011年、こうした子どもがより家庭的な環境で暮らせるよう、選択肢を増やしていく方針を打ち出した。国は、今年5月に児童福祉法を改正。
特別養子縁組と、戸籍上の親子関係を結ばずに一定期間子どもを育てる里親制度を重要な選択肢として明文化した。
7月には特別養子縁組の利用促進のための検討会を立ち上げ、支援のあり方や子どもの年齢制限引き上げなどの議論を始めた。
特別養子縁組の件数とともに、相談も増えている。
厚生労働省によると、民間事業者への養親希望の相談は13年度で2506件。
縁組を希望する実親からの相談は1898件あった。
制度の普及に取り組む日本財団の高橋恵里子さん(45)は
「虐待死を防ぐための妊娠相談の広がりとともに、制度が少しずつ知られるようになり、主に不妊治療に取り組む夫婦に関心が高まっている」と分析する。
国は児相に、もっと積極的に取り組んでほしいとして実態調査しているが、地域によって差が大きい。
背景に深刻な人手・経験不足がある。
虐待認知件数が最も多い大阪府は今年度から、原則として特別養子縁組の仲介を、約50年の実績がある公益社団法人「家庭養護促進協会」に民間委託している。
「国が旗を振っても、児相は虐待対応で手いっぱい。養子縁組は、親子になった後の息の長い支援が特に重要だが、その余裕がない」と担当者は話す。
□業者の許可制を検討
民間事業者は敷居の低さと機動力が強みだ。
妊娠期から実親の相談に乗り、出産直後に養親とつなげる。
一般社団法人「アクロスジャパン」(東京)の小川多鶴さん(50)は、携帯電話のLINEやショートメールで相談を受ける。
7月上旬に自宅出産した女性(25)には出産3時間前から2行のショートメールで3時間会話を続け、支援につないだ。
女性は祖父母の代から生活保護を受け、コンビニのバイト暮らし。同居中の男性との子を身ごもっていた。小川さんは、意思が変わらないのを確認し、40代夫婦との縁組を進めている。
女性は「祖父母の経験を身近で見ていて、いつも叱るように話す役所の人は怖かったので相談できなかった。民間の信頼できる人だったから頼れた」と話す。
ただ、現状では団体を規制する法がなく、運営方法はまちまち。
きめ細かな対応をとる民間事業者がある一方で、費用やマッチングを巡るトラブルも絶えない。
優先して子どもを紹介するため養親に高額の費用を要求したとして9月には千葉県の団体が県から業務停止命令を受けた。
議員立法案では、仲介が適切に行われるよう許可制にするほか、事業者は親や養親希望者らに対し、専門的な知識や技術に基づいて助言や支援をするよう義務づけられる。
□官民の連携を
特別養子縁組に詳しい林浩康・日本女子大教授(社会福祉学)の話
児相での促進には限界がある。民間事業者の質を担保し、行政と連携していくことが現実的な対策だ。
養親の費用負担に大きな差があるのも問題。
あっせんの質や透明性を担保する法律と監査機関をつくった上で、民間事業者が実費徴収に頼らず運営できるよう財政支援が必要。
児相は施設にいる子どもたちの縁組にも同時に取り組むべきだ。
〔◆平成28(2016)年11月25日 朝日新聞 大阪朝刊〕 

(子どもと貧困)養えぬ子、託す選択 特別養子縁組「民間団体を許可制」、参院委可決
貧困や虐待などで実の親が育てられない子どもが、安定した新たな家庭を得られるようにする仕組みとして「特別養子縁組」が注目され、増えている。
悪質なあっせん(仲介)を排除するため、民間事業者を規制する法案が24日、参院厚生労働委員会で可決。
早ければ今国会で成立する見込みだ。
□生後1週間、お金がなくて…
特別養子縁組は、実の親が育てられない子どもと、子どもを望む夫婦(養親)が、法的な親子となる制度。
民法に規定があり、子の年齢は原則6歳未満が条件だ。
神奈川県の女性(27)は、生後1週間の女児を、養親になることを希望する夫婦に託し、特別養子縁組を結んだ。
仲介する民間事業者にメールしたのは2014年。
同居男性との子を妊娠し6カ月を過ぎていた。
育てたかったが、男性は「余裕がなく無理」と応じなかった。
建設会社に勤め、前妻に子どもの養育費を月5万円払い、残りの月収約15万円と女性のアルバイト代5万円前後で生活していた。
女性には生活費を補うため約200万円の借金もあった。
つわりで働けなくなり、家賃の安いアパートに移ったが厳しさは増した。
両親とは関係が悪く、頼れなかった。
携帯電話で「子ども」「育てられない」と検索。
見つけた事業者のスタッフに「とにかくお金がない」と相談すると、福祉事務所や保健師への相談に付き添ってくれた。
男性とは別居。出産後に働けるようになるまで生活保護を受けることになった。
「ちゃんとした仕事に就いて、借金もなければ自分で育てたかった。
でも、子どもを迎えてくれた方や支援してくれた人がいなければ子どもはどうなっていたのかと思う」 □養親との仲介、民間に機動力
貧困や虐待などで保護を必要とする子どもは約4万6千人いるが、現状では約9割が児童養護施設などで暮らす。
国は、より家庭的な環境での養育を増やそうと、5月に児童福祉法を改正。
特別養子縁組と里親制度を重要な選択肢として明文化した。
7月には特別養子縁組の利用促進のための検討会を立ち上げた。
仲介は児童相談所と民間事業者が行う。
国は児相に期待するが、地域で差が大きい。
背景に深刻な人手・経験不足がある。
最高裁判所や厚労省によると、昨年の特別養子縁組の成立件数は544件。
07年(289件)ごろから増加傾向だ。
民間の仲介が増えており、団体数も22(昨年10月)と過去最多。
制度の普及に取り組む日本財団の高橋恵里子さんは「制度が少しずつ知られるようになり、主に不妊治療に取り組む夫婦に関心が高まっている」と分析する。
民間事業者は敷居の低さと機動力が強みだ。
一般社団法人「アクロスジャパン」(東京)の小川多鶴さん(50)は、携帯電話のLINEなどで妊娠期から相談に乗り、出産直後に養親とつなげる。
ただ、現在は自治体への届け出制で、事業者の運営方法はまちまち。
費用などでトラブルも絶えない。
与野党がまとめた議員立法案は、許可する事業者について「必要な経理的基盤がある」「営利目的でない」などの基準を設定。
無許可でのあっせんには罰則を設ける。
□あっせんの質確保、財政支援も必要
特別養子縁組に詳しい林浩康・日本女子大教授(社会福祉学)の話
児相での促進には限界がある。
民間事業者の質を担保し、行政と連携していくことが現実的な対策だ。
養親の費用負担に大きな差があるのも問題。
あっせんの質や透明性を担保する法律と監査機関をつくった上で、民間事業者が実費徴収に頼らず運営できるよう財政支援が必要。
児相は施設にいる子どもたちの縁組にも同時に取り組むべきだ。
〔◆平成28(2016)年11月25日 朝日新聞 東京朝刊〕 

特別養子縁組、不成立186件 「候補者不在」多く 14~15年度
生みの親が育てられない子供を別の家庭が養育する「特別養子縁組」について、2014~15年度に不成立だった事案が186件あったことが29日までに、厚生労働省の調査で分かった。
不成立は縁組が検討されたケースの2割強に上り、養親候補者が見つからず断念したケースが多かった。
同省は不成立だった事例を詳しく分析し、今年度中にも制度の利用促進策をまとめる。
調査は全国の児童相談所と民間のあっせん団体が対象。
14~15年度の特別養子縁組の検討案件について、11月8日までに回答があった135相談所と14団体の結果をまとめた。
回収率は約65%。
厚労省によると、全検討案件829件のうち、縁組が成立した事案は643件。
成立時の子供の年齢は0歳児の257件(40.0%)が最も多かった。
不成立は186件で、こちらも0歳児の127件(68.3%)が最多だった。
成立に至らなかった理由は、子供の障害や年齢などにより「養親候補者が不存在だった」(23.7%)が最も多かった。
養親候補者は見つかったが実親の同意が得られないなど「試験養育に至らなかった」(22.0%)が僅差で続いた。
厚労省は虐待を受けた子供の一時保護に司法が関与する仕組みについて検討会を設けて話し合っている。
特別養子縁組の利用を広げる手立ても合わせて検討中で、実態把握のため調査した。
〔◆平成28(2016)年11月29日 日本経済新聞 電子版〕 

「望まない妊娠」で里親紹介=特別養子縁組で産科と連携―兵庫県
兵庫県は、望まない妊娠で生まれた新生児の里親への委託事業を推進している。
産科医療機関などに協力を呼び掛け、出産を迷う妊婦を児童相談所に紹介してもらう。
生まれた子を里親が試験養育後、家庭裁判所が認めれば、実親との親子関係が無くなる特別養子縁組につなげる。
実親の精神的・経済的な負担による虐待などを防ぎ、安心して育つことができる環境を整える狙い。
県は、県内の産科医療機関に、中絶を考える夫婦に対して特別養子縁組制度を県のリーフレットなどを使って紹介してもらう。
関心を持った夫婦には、県の児相職員らが出向いて相談に応じる。
県が管轄する県内5カ所の児相に登録された里親は2015年度末時点で323組で、互いの条件が合う人を選んで委託する。
6カ月の試験養育後、家裁に特別養子縁組を申請する。
県は事業実施に向け、8月に県医師会や里親団体などの関係者を集めた初会合を開催。12月に2回目の会合を開く予定だ。
児童課の担当者は「望まない妊娠で生まれた子どもが虐待に遭うケースもあり、その防止が目的の一つ。来年度、事業の中身をより充実させ、取り組みを強めたい」と話している。
〔◆平成28(2016)年11月11日 時事通信 官庁速報〕

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