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発達障害

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[[みとも社会福祉士事務所]] (香川県高松市)<br>
 
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[[高知心理療法研究所]] (高知県高知市)<br>
 
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===発達障害のニュース===
 
===発達障害のニュース===
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===[[:Category:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
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ページ名[[発達障害]]、(発達障害のニュース) <br>
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発達障害知っておきたい症状と特徴
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'''「発達障害」とは?知っておきたい症状と特徴について'''<br>
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文部科学省の調査により、発達障害の子どもは近年増加傾向にあることがわかりました(※1)。<br>
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発達障害にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。<br>
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そのため、発達障害の種類によって、望ましいコミュニケーションの方法も異なります。<br>
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今回は、発達障害の種類や症状、特徴などについてご紹介します。<br>
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'''発達障害っていったいどんな状態?'''<br>
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発達障害は、発達障害者支援法において、次のように定義されています。<br>
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「自閉症、アスペルガー症候群そのほかの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などこれに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」(※2)。<br>
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このように発達障害には、さまざまな種類があります。<br>
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症状は発達障害の種類によって異なりますが、言語や知的な発達が遅れたり、人とのコミュニケーションや社会性などに問題が起きたりします。<br>
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発達障害の原因には、生まれつきの脳の特性や感染症などが挙げられています。<br>
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発達障害の種類によって異なります。発達障害の分類と種類、主な原因は次のとおりです。<br>
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・ダウン症候群<br>
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ダウン症候群は、染色体異常によって起こる発達障害に分類されます。<br>
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染色体は、遺伝情報を伝えたり発現させたりする役割を持ちます。<br>
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染色体には、22対の常染色体と1対の性染色体があり、常染色体の1つ「21番染色体」が通常よりも1本多くなると、ダウン症候群となります(※3)。<br>
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・自閉スペクトラム症(ASD)<br>
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自閉スペクトラム症(ASD)は、自閉症やアスペルガー症候群の総称で、広汎性発達障害とほぼ同義とされています。<br>
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自閉症は、言葉の発達が遅れるほか、コミュニケーションや対人関係などにおいて障害がみられます。<br>
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原因は特定されていませんが、脳の機能障害によって起こると考えられています。<br>
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また、周産期に起きたなんらかのトラブルも関与しているという意見もあります。<br>
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ちなみに保護者の育て方は影響しないようです(※4)。<br>
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・アスペルガー症候群
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アスペルガー症候群は、比較的症状が軽度の自閉症として扱われています。<br>
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そのため、自閉症と同様に対人関係に障害がみられます。しかし、言葉の発達の遅れはみられません。<br>
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原因についても、自閉症と共通していると考えられています。<br>
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・学習障害(LD)
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学習障害は、知的な発達に問題がないにもかかわらず、読み書きや人の話を聞いたり話したりすることが難しいことが特徴です。<br>
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AD/HD・高機能自閉症などを伴う場合は、それらも含めて考慮した学習支援が必要となります(※5)(※6)。
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・知的障害<br>
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知的障害は精神遅滞とも呼ばれ、知的な発達が遅れることが特徴です。<br>
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症状が重い場合は子どものころに気づかれることが多いのですが、症状が軽い場合は診断が遅くなります。<br>
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原因としては、染色体異常や先天性代謝異常症、中枢神経感染症、胎児期にかかった感染症、脳の奇形などが挙げられます(※7)。<br>
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それぞれの障害の特性について、発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)が以下のようにわかりやすくまとめています。<br>
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これらの障害を持つ方々の教育を支援するために、文部科学省では「発達障害者支援法」を定めています。<br>
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発達障害の症状が現れてから、できるだけ早い段階で発達支援を行うことを重要と考え、学校教育や就労などさまざまな場において支援することが目的です。<br>
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この法律に従い、各自治体では発達障害を持つ子どもの発達支援をしています。<br>
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具体的には、発達障害を持つ子どもの保護者が相談できるよう環境を整備し、必要に応じて医療機関や専門機関を紹介しています。<br>
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子どもの発達障害が疑われる場合に、すぐに医療機関を受診するのではなく、まずは自治体に相談してみてはいかがでしょうか(※9)。<br>
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子どもの発達障害のより詳しい症状について、ご紹介します。<br>
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・ダウン症候群<br>
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ダウン症候群の特性としては、全身の筋肉の緊張度が低下したり特徴的な顔つきになったりします。<br>
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また、消化器系の病気や中耳炎などを合併しやすいといわれています。<br>
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知的発達が遅れますが、成長の道筋はダウン症ではない子どもとほぼ同じです。<br>
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また、人なつっこく明るくてやさしい性格をしている傾向があります(※10)(※11)。
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・自閉スペクトラム症(ASD)<br>
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自閉スペクトラム症(ASD)に分類される自閉症は、言葉の発達が遅れるほか、コミュニケーションをうまく取れない、良好な対人関係の構築が難しい、社会性に欠ける、特定の物事に対する強いこだわり、行動のパターン化などがみられます。<br>
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いずれかの症状が3歳までに現れるといわれています。<br>
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また、知的障害を伴うこともあれば、知能に遅れがみられない場合もあるなどさまざまです。<br>
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自閉症の子どもは、目を合わせない、1人遊びを好む、かんしゃくを起こすことが多い、表情の変化に乏しい、名前を読んでもこちらを向かない、ほかの子どもに興味がないなどの特徴がみられます(※12)(※13)。<br>
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・アスペルガー症候群<br>
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アスペルガー症候群は、対人関係の障害と強いこだわり、趣味や活動のパターン化がみられます。<br>
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自閉症とは違い、言葉の発達の遅れはありません。<br>
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また、知的障害を伴うケースもほとんどないといわれています。<br>
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アスペルガー症候群の子どもは、集団で遊ぶより1人で遊ぶことを好み、その遊びをくり返す傾向があります(※14)(※15)。<br>
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・学習障害(LD)<br>
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学習障害の子どもは、読み書きや算数などに関する発達に障害があります。<br>
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単語ごとに文節を区切って読んだり、勝手に文末の言葉を変えて読んだりするなど、症状は多種多彩です(※16)。<br>
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・知的障害<br>
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知的障害の子どもは、食事の準備や排尿・排便、対人関係の構築、お金の管理など、社会生活に必要な適応機能が年齢に対して低くなっています。<br>
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そのため、同年齢の子どもができることができず、まわりの人のサポートが必要となります(※17)。<br>
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発達障害の症状によって、更なる問題が起こる場合があります。<br>
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これを二次障害といい、対人関係を構築できないためにまわりに馴染めず、不登校になったり、暴力をふるったりすることなどが挙げられます。<br>
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発達障害を早期に発見して、適切に発達支援をすることが二次障害の予防に役立つと考えられています(※18)。<br>
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発達障害の子どもとのコミュニケーション術<br>
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発達障害の影響によって、コミュニケーションがうまくとれなかったり、音や光に過敏になったりすることがあるので、保護者やまわりの人が適切に対処することが求められます。<br>適切にコミュニケーションを取って対処することで、子どもの発達にいい影響を与えられるかもしれません。<br>
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具体的な事例を挙げて解説します。<br>
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・障害によってコミュニケーションがうまくできないことがある<br>
 +
発達障害によって、人とコミュニケーションをうまく取れない場合、ほかの子どもと比較したり、大声で叱ったりしてはいけません。<br>
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子どもは、コミュニケーションを取りたくても取れない状況にあるため、このような対応は子どもを傷つけてしまう可能性があります。<br>
 +
また、「この子は発達障害だから」と見放すことも、子どもの心に悪影響を及ぼすかもしれません。<br>
 +
単純に叱るのではなく、どのようにしてまわりとコミュニケーションを取ればいいのかを伝えましょう。<br>
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言葉のコミュニケーションだけにこだわるのではなく、サインや身振り手振り、カードを使うなど、その子どもに合ったコミュニケーションの取り方を教えてはいかがでしょうか(※19)。<br>
 +
また、それだけですぐにコミュニケーションを取れるようになるわけではないので、幼稚園や保育園、小学校の先生などまわりの人に対して、「うちの子はゆっくりのペースでお願いします」と伝えておくなど、子どもが過ごしやすい環境をつくることも大切です。<br>
 +
・音や光に過敏なことがある<br>
 +
発達障害の子どもは、音や光に過敏な場合があります。<br>
 +
大きな音や強い光にさらされることで、パニックを起こすこともありますが、このような場合にも子どもを押さえつけるようなことは避けた方がいいでしょう。<br>
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なぜそのような大きな音がするのか、理由を伝えることをおすすめします。<br>
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過敏なものに対する理解を深めることで、次第にパニックを起こしにくくなるかもしれません。<br>
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・得意分野をみつけること<br>
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発達障害があるために、同年齢の子どもと同じことができない場合があります。<br>
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それにより、ほかの子どもと比べることで、自信を失ったり喪失感を覚えたりする場合もあります。<br>
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「なぜ、ほかの子どもはできてうちの子はできないのか」とイラ立ちを覚える保護者も少なくありません。<br>
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しかし、自信を失っている子どもに対し、「なぜできないのか」と叱ると、さらに子どもが自信を失ってしまう可能性があります。<br>
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まずは、その子どもの得意分野を見つけるようにしましょう。<br>
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子どもが自分の得意分野を認識することで、その分野に関して自信を持てるようになります。<br>
 +
これが、自尊心を育む第一歩になると考えられます。<br>
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'''まわりの人の助けを借りて子どもと向き合おう'''<br>
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発達障害の種類はさまざまで、アスペルガー症候群のように、子どものころに発見しづらい症状もあります。<br>
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現代では発達障害者支援法により、教育や就労などさまざまな場でサポートを受けることができるので、「もしかして発達障害かも?」と思ったら、まずは自治体に相談しましょう。<br>
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参照元<br>
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(※1)参照:『放課後等の教育支援の在り方に関する資料』(文部科学省)<br>
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http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/03/16/1355830_1.pdf P.51~52<br>
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(※2)参照:『特別支援教育について』(文部科学省)<br>
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http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm<br>
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(※3)参照:『ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ』(公益財団法人日本ダウン症協会)<br>
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http://www.jdss.or.jp/family/index.html<br>
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(※4)参照:『自閉症について』(厚生労働省)<br>
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https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html<br>
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(※5)参照:『学習障害』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html<br>
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(※6)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)<br>
 +
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9<br>
 +
(※7)参照:『知的障害(精神遅滞)』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html<br>
 +
(※8)画像引用:『発達障害を理解する』(発達障害情報・支援センター)<br>
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http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%82%92%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/<br>
 +
(※9)参照:『特別支援教育について』(文部科学省)<br>
 +
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/001.htm<br>
 +
(※10)参照:『ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ』(公益財団法人日本ダウン症協会)<br>
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http://www.jdss.or.jp/family/index.html<br>
 +
(※11)参照:『ダウン症』(滋賀県立小児保健医療センター)<br>
 +
http://www.pref.shiga.lg.jp/mccs/shinryo/sekegeka/shikkan/sentense/down.html<br>
 +
(※12)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)<br>
 +
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9<br>
 +
(※13)参照:『自閉症について』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html<br>
 +
(※14)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)<br>
 +
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9<br>
 +
(※15)参照:『アスペルガー症候群について』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html<br>
 +
(※16)参照:『学習障害』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html<br>
 +
(※17)参照:『知的障害(精神遅滞)』(厚生労働省)<br>
 +
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html<br>
 +
(※18)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)<br>
 +
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.25
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(※19)参照:『どうしたらいいの?~子どもとの接し方(幼児期~学童期』(大阪府)<br>
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http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1206/00027606/eeyan_jido2.pdf P.17<br>
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プロフィール<br>
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監修:岩波 明 (いわなみ あきら)<br>
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1959年神奈川県生まれ。1985年、東京大学医学部医学科卒。医学博士、精神保健指定医。<br>
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都立松沢病院、東京大学附属病院精神科、埼玉医科大学精神科などを経て、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授に。<br>
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2015年より昭和大学附属烏山病院院長を兼任し、ADHD専門外来を担当。<br>
 +
精神疾患の認知機能、司法精神医療、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。<br>
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『心の病が職場を潰す』(新潮新書)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)、『発達障害』(文春新書)など、著書多数。<br>
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※この記事は「ベネッセ教育情報サイト」で過去に公開されたものです。<br>
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〔2019年5/13(月) ベネッセ教育情報サイト〕 <br>
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===[[:Category:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
 
===[[:Category:周辺ニュース|周辺ニュース]]===
 
ページ名[[発達障害]]、(ひきこもりの動き) <br>
 
ページ名[[発達障害]]、(ひきこもりの動き) <br>

2019年12月13日 (金) 15:30時点における版

目次

サイト内の発達障害の相談・対応施設

山形大学教職研究総合センター・心理教育相談室 (山形県山形市)
チャイルドケア・カウンセリング こども塾 (山形県上山市)
心理発達サポート水戸 (茨城県水戸市)
さくらカウンセリング室(訪問) (茨城県笠間市)
小山市青少年相談室 (栃木県小山市)
日光市教育相談室 (栃木県日光市)
みどりクリニック (群馬県高崎市)
コスモス心理相談室 (千葉県松戸市)
Whereabouts (東京都板橋区)
フリースクール英明塾・NPO JENOC (東京都江戸川区)
NPO法人 不登校情報センター・相談室 (東京都江戸川区)
日本催眠心理研究所 (東京都渋谷区)
心の談話室「太陽」 (東京都杉並区)
NPO法人 日本子どもソーシャルワーク協会 (東京都世田谷区)
CCPコミュニティ心理臨床研究所 (東京都中野区)
東京大学心理教育相談室 (東京都文京区)
青山心理発達相談室 (東京都港区)
奥多摩町教育相談室 (東京都奥多摩町)
NPO法人 ライブリー (東京都立川市)
神奈川大学心理相談センター (神奈川県横浜市神奈川区)
カウンセリングルームセンター南 (神奈川県横浜市都筑区)
アララギ学院(メンタル相談) (神奈川県横浜市中区)
こころのフリースペース・ポレポレちがさき (神奈川県茅ヶ崎市)
希望の光 心の相談室(カウンセリングセンター) (神奈川県藤沢市)
ぴゅあカウンセリングルーム (福井県鯖江市)
都留市教育研修センター 教育相談室 (山梨県都留市)
いのちの森の学校 (長野県長野市)
ながら心理相談室 (岐阜県岐阜市)
レーベンインスティテュート (岐阜県関市)
心理・教育・アートの基礎屋(メンタル) (静岡県浜松市中区)
マザリーカウンセリング (静岡県浜松市浜北区)
檀渓心理相談室 (愛知県名古屋市昭和区)
長岡治療院 (愛知県名古屋市天白区)
木村登校拒否相談室 (愛知県名古屋市中区)
音と香りとハーブのお店 健康堂施術所 (愛知県安城市)
子どものためのあいちAAC研究所 (愛知県春日井市)
グッドハート (滋賀県草津市)
メープル・クリニック (滋賀県草津市)
CBTセンター (滋賀県彦根市)

大阪あべのカウンセリングルーム (大阪府大阪市阿倍野区)
谷町こどもセンター (大阪府大阪市中央区)
みどりトータルヘルス研究所カウンセリングルーム (大阪府大阪市中央区)
森ノ宮子ども相談室 (大阪府大阪市中央区)
コミュニティ総合カウンセリング協会 (大阪府大阪市淀川区)
医療法人 愛香会 奥山医院 (大阪府門真市)
関西大学 心理臨床カウンセリングルーム (大阪府吹田市)
姫路市立教育相談センター (兵庫県姫路市)
ライフデザインカウンセリングルーム (奈良県奈良市)
医療法人 石谷小児科医院 (鳥取県鳥取市)
杉原心理相談室 (広島県広島市中区)
広島国際大学心理臨床センター (広島県広島市中区)
広島萌星館 (広島県広島市中区)
みなみストレス内科クリニック・みなみストレスカウンセリング (広島県広島市南区)
自由館 (広島県福山市)
特定非営利活動法人山口発達臨床支援センター (山口県防府市)
徳島文理大学 臨床心理相談室 (徳島県徳島市)
みとも社会福祉士事務所 (香川県高松市)
高知心理療法研究所 (高知県高知市)


発達障害のニュース

周辺ニュース

ページ名発達障害、(発達障害のニュース)
発達障害知っておきたい症状と特徴 「発達障害」とは?知っておきたい症状と特徴について
文部科学省の調査により、発達障害の子どもは近年増加傾向にあることがわかりました(※1)。
発達障害にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
そのため、発達障害の種類によって、望ましいコミュニケーションの方法も異なります。
今回は、発達障害の種類や症状、特徴などについてご紹介します。
発達障害っていったいどんな状態?
発達障害は、発達障害者支援法において、次のように定義されています。
「自閉症、アスペルガー症候群そのほかの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などこれに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」(※2)。
このように発達障害には、さまざまな種類があります。
症状は発達障害の種類によって異なりますが、言語や知的な発達が遅れたり、人とのコミュニケーションや社会性などに問題が起きたりします。
発達障害の原因には、生まれつきの脳の特性や感染症などが挙げられています。
発達障害の種類によって異なります。発達障害の分類と種類、主な原因は次のとおりです。
・ダウン症候群
ダウン症候群は、染色体異常によって起こる発達障害に分類されます。
染色体は、遺伝情報を伝えたり発現させたりする役割を持ちます。
染色体には、22対の常染色体と1対の性染色体があり、常染色体の1つ「21番染色体」が通常よりも1本多くなると、ダウン症候群となります(※3)。
・自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)は、自閉症やアスペルガー症候群の総称で、広汎性発達障害とほぼ同義とされています。
自閉症は、言葉の発達が遅れるほか、コミュニケーションや対人関係などにおいて障害がみられます。
原因は特定されていませんが、脳の機能障害によって起こると考えられています。
また、周産期に起きたなんらかのトラブルも関与しているという意見もあります。
ちなみに保護者の育て方は影響しないようです(※4)。
・アスペルガー症候群 アスペルガー症候群は、比較的症状が軽度の自閉症として扱われています。
そのため、自閉症と同様に対人関係に障害がみられます。しかし、言葉の発達の遅れはみられません。
原因についても、自閉症と共通していると考えられています。
・学習障害(LD) 学習障害は、知的な発達に問題がないにもかかわらず、読み書きや人の話を聞いたり話したりすることが難しいことが特徴です。
AD/HD・高機能自閉症などを伴う場合は、それらも含めて考慮した学習支援が必要となります(※5)(※6)。 ・知的障害
知的障害は精神遅滞とも呼ばれ、知的な発達が遅れることが特徴です。
症状が重い場合は子どものころに気づかれることが多いのですが、症状が軽い場合は診断が遅くなります。
原因としては、染色体異常や先天性代謝異常症、中枢神経感染症、胎児期にかかった感染症、脳の奇形などが挙げられます(※7)。
それぞれの障害の特性について、発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)が以下のようにわかりやすくまとめています。
これらの障害を持つ方々の教育を支援するために、文部科学省では「発達障害者支援法」を定めています。
発達障害の症状が現れてから、できるだけ早い段階で発達支援を行うことを重要と考え、学校教育や就労などさまざまな場において支援することが目的です。
この法律に従い、各自治体では発達障害を持つ子どもの発達支援をしています。
具体的には、発達障害を持つ子どもの保護者が相談できるよう環境を整備し、必要に応じて医療機関や専門機関を紹介しています。
子どもの発達障害が疑われる場合に、すぐに医療機関を受診するのではなく、まずは自治体に相談してみてはいかがでしょうか(※9)。
子どもの発達障害のより詳しい症状について、ご紹介します。
・ダウン症候群
ダウン症候群の特性としては、全身の筋肉の緊張度が低下したり特徴的な顔つきになったりします。
また、消化器系の病気や中耳炎などを合併しやすいといわれています。
知的発達が遅れますが、成長の道筋はダウン症ではない子どもとほぼ同じです。
また、人なつっこく明るくてやさしい性格をしている傾向があります(※10)(※11)。 ・自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)に分類される自閉症は、言葉の発達が遅れるほか、コミュニケーションをうまく取れない、良好な対人関係の構築が難しい、社会性に欠ける、特定の物事に対する強いこだわり、行動のパターン化などがみられます。
いずれかの症状が3歳までに現れるといわれています。
また、知的障害を伴うこともあれば、知能に遅れがみられない場合もあるなどさまざまです。
自閉症の子どもは、目を合わせない、1人遊びを好む、かんしゃくを起こすことが多い、表情の変化に乏しい、名前を読んでもこちらを向かない、ほかの子どもに興味がないなどの特徴がみられます(※12)(※13)。
・アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は、対人関係の障害と強いこだわり、趣味や活動のパターン化がみられます。
自閉症とは違い、言葉の発達の遅れはありません。
また、知的障害を伴うケースもほとんどないといわれています。
アスペルガー症候群の子どもは、集団で遊ぶより1人で遊ぶことを好み、その遊びをくり返す傾向があります(※14)(※15)。
・学習障害(LD)
学習障害の子どもは、読み書きや算数などに関する発達に障害があります。
単語ごとに文節を区切って読んだり、勝手に文末の言葉を変えて読んだりするなど、症状は多種多彩です(※16)。
・知的障害
知的障害の子どもは、食事の準備や排尿・排便、対人関係の構築、お金の管理など、社会生活に必要な適応機能が年齢に対して低くなっています。
そのため、同年齢の子どもができることができず、まわりの人のサポートが必要となります(※17)。
発達障害の症状によって、更なる問題が起こる場合があります。
これを二次障害といい、対人関係を構築できないためにまわりに馴染めず、不登校になったり、暴力をふるったりすることなどが挙げられます。
発達障害を早期に発見して、適切に発達支援をすることが二次障害の予防に役立つと考えられています(※18)。
発達障害の子どもとのコミュニケーション術

発達障害の影響によって、コミュニケーションがうまくとれなかったり、音や光に過敏になったりすることがあるので、保護者やまわりの人が適切に対処することが求められます。
適切にコミュニケーションを取って対処することで、子どもの発達にいい影響を与えられるかもしれません。

具体的な事例を挙げて解説します。
・障害によってコミュニケーションがうまくできないことがある
発達障害によって、人とコミュニケーションをうまく取れない場合、ほかの子どもと比較したり、大声で叱ったりしてはいけません。
子どもは、コミュニケーションを取りたくても取れない状況にあるため、このような対応は子どもを傷つけてしまう可能性があります。
また、「この子は発達障害だから」と見放すことも、子どもの心に悪影響を及ぼすかもしれません。
単純に叱るのではなく、どのようにしてまわりとコミュニケーションを取ればいいのかを伝えましょう。
言葉のコミュニケーションだけにこだわるのではなく、サインや身振り手振り、カードを使うなど、その子どもに合ったコミュニケーションの取り方を教えてはいかがでしょうか(※19)。
また、それだけですぐにコミュニケーションを取れるようになるわけではないので、幼稚園や保育園、小学校の先生などまわりの人に対して、「うちの子はゆっくりのペースでお願いします」と伝えておくなど、子どもが過ごしやすい環境をつくることも大切です。
・音や光に過敏なことがある
発達障害の子どもは、音や光に過敏な場合があります。
大きな音や強い光にさらされることで、パニックを起こすこともありますが、このような場合にも子どもを押さえつけるようなことは避けた方がいいでしょう。
なぜそのような大きな音がするのか、理由を伝えることをおすすめします。
過敏なものに対する理解を深めることで、次第にパニックを起こしにくくなるかもしれません。
・得意分野をみつけること
発達障害があるために、同年齢の子どもと同じことができない場合があります。
それにより、ほかの子どもと比べることで、自信を失ったり喪失感を覚えたりする場合もあります。
「なぜ、ほかの子どもはできてうちの子はできないのか」とイラ立ちを覚える保護者も少なくありません。
しかし、自信を失っている子どもに対し、「なぜできないのか」と叱ると、さらに子どもが自信を失ってしまう可能性があります。
まずは、その子どもの得意分野を見つけるようにしましょう。
子どもが自分の得意分野を認識することで、その分野に関して自信を持てるようになります。
これが、自尊心を育む第一歩になると考えられます。
まわりの人の助けを借りて子どもと向き合おう
発達障害の種類はさまざまで、アスペルガー症候群のように、子どものころに発見しづらい症状もあります。
現代では発達障害者支援法により、教育や就労などさまざまな場でサポートを受けることができるので、「もしかして発達障害かも?」と思ったら、まずは自治体に相談しましょう。

参照元
(※1)参照:『放課後等の教育支援の在り方に関する資料』(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/03/16/1355830_1.pdf P.51~52
(※2)参照:『特別支援教育について』(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm
(※3)参照:『ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ』(公益財団法人日本ダウン症協会)
http://www.jdss.or.jp/family/index.html
(※4)参照:『自閉症について』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html
(※5)参照:『学習障害』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html
(※6)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9
(※7)参照:『知的障害(精神遅滞)』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html
(※8)画像引用:『発達障害を理解する』(発達障害情報・支援センター)
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%82%92%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/
(※9)参照:『特別支援教育について』(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/001.htm
(※10)参照:『ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ』(公益財団法人日本ダウン症協会)
http://www.jdss.or.jp/family/index.html
(※11)参照:『ダウン症』(滋賀県立小児保健医療センター)
http://www.pref.shiga.lg.jp/mccs/shinryo/sekegeka/shikkan/sentense/down.html
(※12)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9
(※13)参照:『自閉症について』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html
(※14)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.9
(※15)参照:『アスペルガー症候群について』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html
(※16)参照:『学習障害』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html
(※17)参照:『知的障害(精神遅滞)』(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html
(※18)参照:『発達障害者支援に関する行政評価・監視-結果報告書』(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000458776.pdf :P.25 (※19)参照:『どうしたらいいの?~子どもとの接し方(幼児期~学童期』(大阪府)
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1206/00027606/eeyan_jido2.pdf P.17
プロフィール
監修:岩波 明 (いわなみ あきら)
1959年神奈川県生まれ。1985年、東京大学医学部医学科卒。医学博士、精神保健指定医。
都立松沢病院、東京大学附属病院精神科、埼玉医科大学精神科などを経て、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授に。
2015年より昭和大学附属烏山病院院長を兼任し、ADHD専門外来を担当。
精神疾患の認知機能、司法精神医療、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。
『心の病が職場を潰す』(新潮新書)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)、『発達障害』(文春新書)など、著書多数。
※この記事は「ベネッセ教育情報サイト」で過去に公開されたものです。
〔2019年5/13(月) ベネッセ教育情報サイト〕

周辺ニュース

ページ名発達障害、(ひきこもりの動き)
著者×担当編集者が語り合う“ひきこもりの問題”-今ひきこもりの君へおくる踏み出す勇気-
「ひきこもり」と「発達障害」の関係について
●担当編集者・山崎(以下「山」と表記)──本書のテーマである「ひきこもりと発達障害の関係」についてはずっと考えられていたんですか? 
■発達障害カウンセラー・吉濱ツトム(以下「吉」と表記)──考えてました。
基本的には発達障害は劣位的な存在ではないということがあります。

あるんですけど、適切な環境でなければ過度なストレスがかかってしまってしまう。 だから発達障害の学生は当然登校拒否とか不登校になりがちで、社会人の場合も同じことが起こる。
もちろん「ひきこもり=発達障害」とは言わないですけど、かなりの確率で発達障害に起因しているんだろうなと思いますね。
●山)──「これ、ぼくもだな」「自分もひきこもりになるな」ってことがあって、もちろん本には書いてあるんですけど、
せっかくなので、多くの人が悩んでいる引きこもりの出口…先生はその出口をどのように見つけたのかって言うのを改めてお聞きしたいんです。
■吉)──夢も希望もないんですが(苦笑)…追い込まれたということでしょうか。
ひきこもりには色々な要因があるんですけど、まず1つは引きこもっても大丈夫な環境要因があるってことが挙げられます。
でも僕の場合は家を追い出されて、貯金もなくなって引きこもるための資金もなくなったから対策をたてなければいけなくなったというのがありますね。
●山)──やるしかなかったというわけですね。
  ■吉)──そうです、生きるために(笑)。ひきこもりの特徴としては、適応できる環境とできない環境の差があまりにも激しいというのがあります。
基本的には適応できる環境さえ見つけてしまえば回復への見込みができるんです。
それと、発達障害には「これとこれとこれをやれば必ず改善できる」という世界標準のものがあって、それを上手に知ることができたことです。
つまり『追い込まれた+適切な環境を見つけらた+必要な知識を得ることができた』事だと思います。
●山)──一人でいること自体が鬱になりやすいことや、環境によって人は変わるということをこの本の中でも仰っていますよね。
そういう意味では7040、8050問題の当事者、つまり40代以上の中高年のひきこもりが多い。
特に40~50代の人は「就職氷河期世代」と呼ばれていて、そういった社会に環境も劣等感を高める状況にあったのかもしれませんね。
■吉)──大いにありますね。多くの人は、人の行動や言葉は内面が決めると思っていますが、それは半分以上は間違いで、言動の決定要因は内面ではなくて、実は環境的な要因が大きい。
●山)──具体的にはどういうことでしょうか? 
■吉)──就職氷河期の世代でかつ若者を排斥するような終身雇用制度を例にすれば、本人に落ち度がないのに「制度=環境」として、どうしようもない。
そして落ち度がないにもかかわらず4回5回6回と続けて採用試験に失敗してしまったら誰だって心は折れますよ。
それでも、しばらく経てば多少は回復するんだけど、改めて就職しようとしても終身雇用の制度で「30代後半だから無理です」と言われたら、もうひきこもるしかないんですよ。
●山)──ええ。
■吉)──引きこもりって言うのはもちろん発達障害もなんですけど、内面的な問題はさておき、単純に環境要因で引き起こされることが多いんですね。
写真・図表:BEST T!MES
暗闇から手を伸ばす方法とは…
●山)──既に引きこもっていて、ずっと部屋に閉じこもっている状態からの「前に出ることの難しさ」「一歩踏み出すことの難しさ」を感じます。
元・引きこもりの先生はどうやって復活できたのかをお話しいただければ…と思います。
■吉)──意外かもしれませんが、まずは身体づくりから。
身体づくりをしてないと鬱傾向になって、本来出るはずの気力がなくなるっていうのがあります。
●山)──確かに、少し意外ですね。 ■吉)──次に適切な環境を見出すことです。
例えば精神的なストレスを感じることなく、適応できる場所を明確にすること。
そして、これが重要なんですが…スモールステップで行動していくということです。
いきなり週5日働くことはほぼ不可能なので、週1のバイトでいいからやってみたりということです。
ひきこもりが長期化すると、場合によってパニック障害みたいな症状が出てきたりすることもあります。
例えば電車に乗れなかったり。
そういった人たちは、はじめは改札を通ればいい、次はホームに上がればいい。
今度は1駅乗ってすぐ降りればいい…少しづつパニック障害を改善していくんです。
●山)──まさにスモールステップですね。
■吉)──引きこもりにも同じことが言えます。
大半のひきこもりの人は真面目だから、今まで10年20年働けなかったのに「週5でちゃんと働かなきゃいけない」っていうビッグステップを目指すから、結果としてきつくなってしまう。
●山)──ついついビッグステップを目指してしまうのも、親の目や世間体を気にするという「環境」の問題なのでしょうか。
■吉)──「正社員じゃなきゃいけない」っていうのはまさに環境要因ですよね。
●山)──ひきこもりの人たちは、本来得ることが可能だったお金や地位などを早く取り戻したいからビッグステップを踏みたくなる、というような思考回路は発達障害とは関係あるんですか? 
■吉)──それは誰もが思ってしまうことですが、引きこもりの期間に比例してサンクコストへの執着は大きくなると思います。
そして、これは「発達障害」に関係しているんですけど、未来に対して絶望感がある。
未来に対して希望がない状態だと結果として執着する。
金持ちになる確証がない人が1,000万すったら永遠に1,000万を取り返さなければ、と考えてしまうんですよ。
●山)──自分の未来に希望が持てないと、川崎の事件ですとか息子さんが殺されちゃった事件ですとか…絶望から「他を巻きこんでしまえ」と思ってしまうんですかね。
■吉)──被害者意識が大きくなってしまって、それが被害妄想になってしまう。
そして、あらぬ敵をつくってしまう。
「その敵をやっつけて自滅しよう」となっちゃう。
●山)──「破壊願望」がある種の希望になっちゃってるんですね…。
先程の事件についてですが、一連の事件について、メディアの報道を見てこの本の内容に影響はありましたか?
  ■吉)──「引きこもり=危ない人」っていうイメージはついて欲しくないなと思いました。実際にそうじゃないですから。大半の人は普通に生活しているんです。
●山)──本書では7つの実例を掲載していますが、一番オーソドックスな「空気が読めない」とか「雑談ができない」といった人はどのように自己肯定感を持てばいいのでしょうか。
■吉)──まずは、外に軸足を持つということですよね。
それによって心の支えができます。
空気を読めるようになるための心理療法はあるんですけど、時間がかかってしまう。
逆に、空気が読めない人って、環境が変わってフィットすれば、かえって強みを発揮できることもあります。
●山)──特に中高年の方だとビッグステップを踏みたくなってしまいがちなんですけど、今からでも改善することは可能なんですよね。
■吉)──そうですね。何年経ったとしても引きこもりを改善しなきゃいけないという前提に立っているのならば、何年経っても改善は可能です。
20年ひきこもったから20年必要ってわけじゃなくて数カ月で十分な場合もあります。
「非ひきこもりの君」に知ってほしいこと
●山)──先生を訪ねてきたひきこもりの方に、最初に伝えることって言うのはどういった事ですか?
  ■吉)──基本は「環境を変える」ですね。
●山)──親子のパターンは多いのでしょうか? 
■吉)──連れて来れないですよね。親御さんは一生懸命になっているんだけど、子供の内面をどうにかしたいと思っても行動が起こらない。
●山)──親御さんは子供に対する「罪悪感」を持っているものですか?
  ■吉)──そうですね。親側の問題ではないと薄々は思ってるんだけど、罪悪感ゆえにその一言が言えないでいるんですよね。
結果、長期化している。あとは共依存関係。
ダメな息子に尽くすことによって親が自己の存在証明をし、表面的には「困っている」と言うけれども、実は「子供が家に引きこもっている状態が最適だよね」って言う人も存在します。
●山)──この本ではそっちじゃない生きる道を探したほうがいいんですよって話を伝えたかったんです。
それがスモールステップだと思ったんですね。変な言い方かもしれませんが「適正じゃなかった」。
そこが不幸の源なのかなと思いましたね。
■吉)──社会的な理念や常識が後押しする形でスモールステップや適切な環境って言うのを見出せなくなってしまっている。
そして親と子が見つめ合ってズブズブの状態になってしまっている。
●山)──「常識」は想像以上に我々の中に染み込んでいるものですからね…。
ところで先生は、家族のような集団行動よりも、一個人で生きていく方が楽なんでしたっけ。
■吉)──そうですね。発達障害の人って「人嫌い」って言われていたんです。
アスペルガーとか自閉症の人。でも、そうでもないんですよ。
「人好きなんだけど、一人が好きなんですよね」って言う矛盾があって。
西野カナ的なめんどくさい感じなんですけど(笑)。
アスペルガー的な視点で言うと、自分のスペースを害されること、劣等感を刺激されるのが嫌というのがありますね。
●山)──劣等感というのは? 
■吉)──ここでいう劣等感は相対評価ではなく対人緊張だったりします。「あの発言で嫌われちゃったのかな?」とか気にしてしまうような繊細な人。
こういう特性があるからアスペルガーやADHDの人はあまり人と接したがらない。
いまは自己完結できるエンターテイメントが増えてきているので、その傾向はより加速していますよね。
●山)──本書は多くの方に読んでほしいと思うのですが、タイトルにある「君」たちって本を読んでくれると思いますか? 
■吉)──あまりにもひどい状態でなければ、もしくは、ある程度苦しんだけども軽度のひきこもりの場合は、大半の人がもがいています。
もがいているから情報収集は誰よりもやっている。
だから本も読み漁っているんですよね。
●山)──苦しいからなんとかしたいと思っている。
そうやって情報を集めて、客観的に判断して自分を相対化できる時って問題解決につながるチャンスです。
そして、そこで踏み出せるかどうかなんですよね。
ひきこもりって実は誰もが陥る可能性がある。
きっかけさえあれば。元あった自分の気質に気づかされる。
■吉)──そうですね。
●山)──こんな人に読んで欲しいっていう読者はいますか? 
■吉)──当事者や関係者の人には当然読んで欲しいのですが、当事者よりも世間一般の人に伝えたいですね。
発達障害の人が発達障害について理解を深めたとしても世間一般の人が理解してくれないと、自分にとって最適な環境を構築するのが難しいんです。
極端な事を云うと当事者よりも一般の人に読んでほしいですね。
●山)──今回、先生の本を編集していて、むしろ「ひきこもることは異常だよ」って言う考え方自体がおかしいと感じました。
■吉)──そうですね。それでひきこもりの人たちがこじれちゃっている所もある。
●山)──会社とか学歴とか、自分から属性を取ったときに一個人として見たら、みんな弱いからねっていうことを言っている。
いつでも落ちるよと。そもそも「定型発達」っていうのがあるのかなっていうのは感じてましたね。先生はどうですか? 
■吉)──基本的には定型も発達もないんですけど、ある程度の分類は「対称」ができるので必要かなと思います。そういった意味で定形と発達は分けてもいいよねってことです。
●山)──集団的にそうなりたいという願望なのかなとも思いますし、かといって発達障害がすごい異端であるかっていうとそんなことはないなっていう。
君へ贈る」という言葉に「あ、これは自分向けじゃない」と思っている人たちにこそ届けたいですね。
■吉)──ひきこもりを否定するのではなくて、活かす方向でアドバイスをしていますしね。
●山)──先生が言われたきた言葉がつながった気がしました。
「引きこもりが…」って言うよりも自分はひきこもりと関係ないよって言っている人たちにも大いに関係ある問題だっていうのが、この表紙の逆光のように太陽に映し出されるってことですね。
先生の言葉でこの本の要約をすると、どのように言えるでしょうか?
  ■吉)──1つ目は「ひきこもり=いけないことではない」ということ。
2つ目は同じく「才能の一部の表れに過ぎない」ということ。
3つ目は「その才能を活かしながら、外で活動できる側面をつくろう」ということ。
4つ目は「君たちの生きづらさは環境にも原因があり、才能が活かせる環境に出会っていないだけかもしれない」ということ。
5つ目は「何年経っても改善できる」ということ。
そして、6つ目は「ひきこもりの解決は当人や関係者だけじゃなくて、社会全体が方法と認識を共有することによって初めて成り立つ」ということです。
そのためには、関係がないと思っている人たちにも読んで欲しいですね。
●山)──同感です。今日はありがとうございました。
文/吉濱 ツトム
〔2019年8/10(土) BEST TIMES〕

【発達障害】園から専門医の診断をすすめられた…冷静に判断するために考えたいこと
子どもが通っている園の個人面談で、先生から「○○君は集団行動をとるのが難しい状態です。言葉も遅く心配ですので、一度専門機関を受診なさったらどうでしょうか」。
こんな風に言われてしまいました。
さて、あなたは激怒しますか? それとも、聞く耳を持ちますか?
『発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年』の立石美津子がお話しします。
発達障害とは
学習障害(LD)注意欠如/多動症(AD/HD)自閉症スペクトラム(ASD)
発達障害の疑いのある子どもは、全体の6.5%存在すると言われています。
受け入れられないのが当たり前
園の先生は他人、我が子は「自分がお腹を痛めて産んだ家族」。
「もしかしたら、発達障害の疑いがあるのでは」と他人から言われて、「ハイ、わかりました。では病院に行ってみます」と素直に言える親は少ないのではないでしょうか。
筆者の場合、息子が2歳のときに専門医師から診断されましたが、医師に対して怒り、「担当医を変えてほしい」と看護師に詰め寄ったくらいです。
ですから、専門家でもない保育者から言われたら尚更だと思います。
親は子どもの将来に夢や希望を持っていたのに絶望します。
このように、そもそも、他人と親とでは受け止める気持ちのレベルが違います。
幼稚園、保育園の先生方へ… 
「あの保護者はいくら話をしても聞く耳を持とうとしない」と嘆かないで、自分に置き換えてみて今一度、考えてほしいと思います。
障害が重ければ、受容も早い
障害を受け入れる親は“受け入れざるを得ないほど、子どもの障害がある程度重い”のではないでしょうか。
ですから、園に入る以前に「視線が全く合わない、親を追わない、抱っこしても反り返って拒否する」など顕著な状態があって、既に病院で診断を受けていることもあります。
そして、入園したときには、もう障害を受け入れていて「うちの子は自閉症なので宜しくお願いします」となっています。
こうなると園側も対処しやすくなります。
また、ダウン症などの染色体異常は染色体を調べればわかります。
これに対して発達障害は採血したり脳のMRI撮影をして明確にわかることはないので、「そんなことはない」と受け入れないケースも度々起こります。
障害が軽ければ、受け入れがたい
障害が重くなければ…
「他にも似たような子どもはいるじゃないか」
「個性の一つなのだから、そんなこと言わないでほしい」
と拒否したくなります。普通の子に近ければ尚のことです。
「今は集団行動がとれず、言葉も出ていないけれど、私が頑張らせれば、周りの子と同じことが出来るようになるに違いない」と期待します。
また、子どもと長く接している母親は「なんだか怪しい」と違和感を抱き、「専門機関を受診したい」と願っていても、夫や姑が断固拒否するケースもあります。
これで家族の間に溝が出来てしまうこともあります。
障害が軽くても問題行動視され、茨の道を歩む
幼い頃に障害に気付き、障害特性に合わせた育て方やサポートをすることで、子どもは過ごしやすい日常を送ることが出来ます。
小学校入学時に知的遅れがなく特別支援学級に入れなくても、通常学級で配慮を受けながら学校生活を送ることが出来ます。
補助の先生を付けてもらったり、音に過敏な場合はヘッドフォンの着用をしたり、文字が読めない場合は音声ソフトを使って学習するなどがその例です。
近年では通級による取り出し指導も充実してきていますし、障害者差別解消法の施行により、合理的配慮も求めやすくなりました。
けれども肝心の親が、園から言われても受け入れない、または母親が受け入れても…夫から「お前の躾の仕方がなっちゃないから、集団行動がとれないんだ」や姑から「言葉がけが少ないから、愛情不足だから、言葉が遅いんだ」と責められることも。
こうして母親が家庭でも孤立無援状態になっていて、対応が進まない…こうなると、子どもは家庭でも園でも、やがて入学する小学校でも担任、クラスメイト、他の保護者から理解されなくなります。厳しい叱責を受けたり、苛めにあったり…。
やがて子どもは「僕は価値がない人間だ」と自信をなくし、自己否定し、茨の道を歩むことになります。
元々あった障害以外に周りの対応の悪さにより、こじらせ不登校、心の病、問題行動などの二次障害を起こすリスクが高まります。
これは本来防げたはずのものです。
言わない園の先生の心理
子どもが発達障害であることを家族が理解すれば、様々な対応を園もでき、結果子どものためになりますので、何とか伝えようとはするのですが…
発達障害の疑いを伝えると…
親から攻撃された「うちの子を障害児扱いして」と激怒し、「行政に訴える」と言い出された「うちの子の問題行動は担任に指導力不足だからだ。子どもの問題に責任転嫁している」と詰め寄られた他の親を味方につけるために、担任の悪口を言いふらされた。
こんな現実もあるようです。結果、心の病を発症してしまう先生もいます。
一度、こういうことが起こると、保護者との関係悪化を恐れて、なかなか園として言い出せなくなります。
園の先生は勇気をもって言ってくれている
「卒園したら自分達の責任は果たしたことになるから、黙っていよう」と期間限定で割り切って仕事をしている職員もいると聞きます。
でも、進言してくれる先生は、「親御さんがショックを受けてもいい。一時的に傷ついてもいい。でも、ここを通過しなければこの子の明るい未来はない」と、これから長く続く子どもの人生を考えて心から心配し、相当の覚悟と勇気をもって言ってくれているのです。
親も先生も親も見ている方向は「子どもの幸せ」です。
幼稚園、保育園の先生は大勢の子ども達を見ている専門家です。気づくのも早いです。
「お子さんの行動が気になる」と言われたとき、心にシャッターを下ろさずに、聞く耳を少しだけ持ってみませんか?
ある保護者からの言葉
ある保護者からの言葉をご紹介します。
「幼稚園の担任の先生から、「〇〇君の行動や言葉で心配な面がありますので一度、専門医に診てもらったらどうですか?」と言われました。
奈落に落とされた感覚で、幼稚園帰りも自宅にいても、涙がずっと出ていました。
普通なのに、ただこだわりが強いだけなのに。幼稚園の先生を恨みました。
ある時主人から、「先生は優しいから、遠回りで〇〇(息子)の事を心配して言ってくれているんだ!一度受診しろ!」と言われ、目が覚め、近所の小児科に連れて行きました。
行った小児科で「ここでは診断はできないが、みるからに自閉症で間違いないでしょう」と言われ、その日からずっと、「自分に悪い遺伝があるんだ。母親失格なんだ」と自らを責めていました。
その後、専門機関に行き自閉症と診断をもらい、「自分の育て方のせいでも、息子の努力不足でもないんだ」とある意味ホッとし、少しずつ光を見いだせて、楽しく過ごせています。
幼稚園の先生からの一言がなければ、早期発見ができず、どこかで孤立し、息子に悲しい思いをさせていたと思います。
幼稚園の先生も保育園の先生も伝える側は、勇気ある素晴らしい行動で、尊敬しています。
息子を救って頂き、感謝しかありません」
幼稚園、保育園の先生方へ
園は診断する場ではありません。
でも、違和感を覚えたら保護者に専門機関に相談に行くように伝えるだけでいいのです。
“子どもを育てるという責任のある仕事”をしているのですから、勇気をもって伝えてほしいと思います。
皆さんはこのことをどうお感じになりますか?
〔2018/11/19 ウレぴあ総研(ハピママ*/立石 美津子)〕

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