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香川県ネット・ゲーム依存症対策条例

提供: 不登校ウィキ・WikiFutoko | 不登校情報センター
2020年10月1日 (木) 16:02時点におけるMatsu4585 (トーク | 投稿記録)による版
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香川県ネット・ゲーム依存症対策条例

所在地 香川県

ネット・ゲーム依存予防対策講演会 楽しく健康的な利用を
インターネットやコンピューターゲームの過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下だけでなく、ひきこもりや睡眠障害などの身体的問題を引き起こすことが指摘されています。
このため、2020年2月議会において「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が制定され、20年4月1日から施行されました。
この条例は、インターネットやゲームの利用を制限するものではなく、依存状態に陥ることを未然に防ぐために、家庭でのルール作りや見直しを行うことを求めているものです。
県は、依存症が専門の精神科医やエッセイストを講師に招き、ネット・ゲーム依存に関する正しい知識や予防法などを理解してもらうための講演会を開催します。
申し込みは、事前にメールかファクスで受け付けています。
定員は120人程度で、申し込みが上回る場合は先着順となります。
インターネットやゲームの特性を正しく理解し、楽しく健康的に利用しましょう。

ネット・ゲーム依存予防対策講演会
日時:11月3日(火・祝)午後1時30分〜4時 会場:県社会福祉総合センター コミュニティーホール
申込み:
【FAX】087-806-0207
【メール】kosodate@pref.kagawa.lg.jp
参加料:無料

問合せ:子ども政策課
【電話】087-832-3282
〔みんなの県政 THE かがわ 令和2年10月号〕


家庭でのルール作りを ネット・ゲームの過剰利用は控えて
インターネットやコンピューターゲームは、身近な存在であり、誰でも利用できる反面、過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下だけでなく、ひきこもりや睡眠障害、視力障害などの問題を引き起こすともいわれています。
2019年5月に、世界保健機関が「ゲーム障害」を疾病と正式に認定し、今や国内外で大きな問題になっています。
20年2月議会において、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が制定され、20年4月1日から施行されました。
インターネットやゲームの利用を制限するものではありませんが、依存状態に陥ることを未然に防ぐためには、家庭でのルール作りや見直しを行っていただき、使用時間や終了時刻、使用場所など無理のないルールを決めて、家族全員で守ろうという趣旨です。
ネット・ゲーム依存は、予防から再発の防止まで幅広い対策が必要です。
今後、県は、依存症対策の全国拠点である国立病院機構久里浜医療センターが主催する研修会へ医療従事者や教員などを派遣するほか、講演会の開催、教員やスクールカウンセラーなど向け予防対策マニュアルの作成などを進めていきます。
市町や学校、保護者、医療、福祉など社会全体で取り組み、子どもたちの健やかな成長と県民が健全に暮らせる社会の実現を目指します。
問合せ:子ども政策課
【電話】087-832-3282
〔みんなの県政 THE かがわ 令和2年8月号〕

ネット・ゲーム依存症対策条例、香川県で可決「ゲームは1日60分」行政が決める必要はあるか、専門家に聞いた
ネット・ゲーム依存症対策に関する条例を賛成多数で可決した香川県議会=3月18日
香川県議会で3月18日、「ネット・ゲーム依存症対策条例」が可決、成立した。18歳未満のゲームプレイ時間について上限を盛り込んだことで全国的な議論になったこの条例は、4月1日に施行される。
条例には県が依存症対策を推進すること、ゲームを開発する事業者にも協力を求める内容も盛られているが、最も議論になったのは、ゲーム時間の目安が盛られた部分だ。
18歳未満の子どもを対象に、依存症につながるようなゲーム利用は、平日は60分、休日は90分までとする「目安」を設けた。
(1月20日の素案では「基準」としていたが、「目安」と変更している)また、使用する時間帯に関しても、中学生は午後9時まで、高校生などは午後10時までとした。
保護者はこの目安を「遵守させるよう努めなければならない」としている。罰則規定はない。
利用時間の上限が盛られていることに対しては、保護者などから賛成の声が上がる一方、「行政が個人の趣味に介入するのは行き過ぎ」「ゲームで救われる子もいる」などの批判も出ていたことに加え、パブリックコメントを募る期間が短いなどの進め方を疑問視する声も上がっている。
なぜ行政が個人の娯楽に介入するような条例を制定する必要があるのか。条例の制定に関わった医師や疑問を投げかける専門家、団体に話を聞いた。
久里浜医療センターの樋口進院長
「親がコントロールするのは難しい。行政が目安を設けるべき」
今回の条例制定に関わり、インターネット依存に関する外来も行なっている国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長はまず、「ゲーム依存は行動の行き過ぎとそれに付随する問題がセットになっているもの。ゲームのやりすぎだけでは依存とは言えない」と説明。
外来に訪れるのも、インターネットやスマートフォンではなく、ゲームに依存する人がほとんどだという。
ゲーム障害=ゲーム依存は、世界保健機関(WHO)が新たな依存症として認定している。
樋口院長によると、WHOによるゲーム障害の定義を整理すると下記のような状態。
・プレイ時間などをコントロールできない
・ゲームが生活の中心になっている
・学校や仕事などの社会生活に問題が出ている
・問題が出ているのに続ける
・これらが12カ月以上続く(重症の場合はのぞく)
同センターに訪れるゲーム依存症者は男性が多く、7割が未成年者。研究が始まって日が浅いものの、依存しやすい危険要因としてはゲームを始める年齢が早いことや仕様時間が長いこと、友人が少ないこと、衝動性が高いことなどが挙げられるという。
逆になりづらい要因としては、自己評価が高いことやクラスに溶け込んでいることなど、現実社会で自己実現している度合いが高いことが挙げられるという。
その上で、「ゲーム依存の大きな問題は、子どもたちが一番影響を受けるということ」と指摘する。
外来に来る子どもたちの中には、学校に行けなくなったり卒業できなくなったりするケースもあり、依存に近い状態になると物に当たったり、家族に暴力を振るうということも珍しくないという。
こうした現状から、「長時間ゲームをやらない方がいいという認識はあっても、どこまで減らすべきか分からないという人が多い。
罰則も設けていないので、目安を示すことは重要」と話す。
条例に反対する人からは「行政が規制するのではなく、家庭でルールを作るべきだ」という声もある。
これに対しては「従順な子どもの家庭はいいが、思春期の子どもを親がコントロールするのは非常に難しい」と指摘。オンラインゲームでは、仲間が続けていると付き合わざるを得ないという状況があるとし、条例で目安を設けることで学校や家庭が指導しやすくなるという利点があるとする。
「お酒やタバコなど体に害を及ぼす可能性があるものは、厚労省が摂取の目安を公表しているが、ゲームにはそれがない。
私は行政が目安を示すべきだと考えます」と繰り返した。
ゲーム依存の背景には他の原因があることも
一方で、「ゲーム依存は他の疾患との関わりも知られており、鬱やADHD(注意欠陥・多動性障害)は相関関係があるという研究結果がある」とし、そしてその疾患の背景には、学校生活がうまくいかないなどの原因が隠れていることもあるという。
樋口院長は「もちろん依存の背景には何があるのかを考え、解決することも大切」と述べ、背景に対人関係や生きづらさがあるならば、それを改善することも重視しているとした。
さらに「ゲームの良い面ももちろんある」とした上で、「何事もバランスが大切ですが、子どもたち自身で自分がやっていることのリスクを判断するのは難しい」と条例の正当性を強調した。
大阪大学非常勤講師の井出草平さん
「依存症対策」という名を借りたスマホ・ゲーム規制では
一方大阪大学非常勤講師で社会学と精神医学が専門の井出草平さんは、「多くの方が言われているように、行政が家庭のことに口出しをするということ、さらに、依存症の予防として効果があるかどうか分からないのに、時間的な『目安』を一律で県民に課すというのは問題があるのではないでしょうか」と指摘する。
香川県議会によると、条例は久里浜医療センターが行なった調査で、ゲームの使用時間が1時間を超えると成績の低下が顕著になること、県教育委員会が実施した調査で、スマホの使用時間が1時間を超えると正答率が低くなったことを根拠にしている。
ただ井出さんによると、ゲームの使用時間を制限するとゲーム依存になりにくくなるという研究結果はないという。
井出さんは、条例に賛成する人を含めて話を聞いていると、「ゲーム依存」として想定されているものが、本来の意味での「依存状態」とまでは言えないことが多いと感じているという。
食事中にスマホやゲームをしている、というような状態を指して「ゲーム依存」と捉えている人も多く、議論の前提に差が生まれているという。
「食事中のゲーム使用、というような状況は時間制限をすることで止められるかもしれないが、条例は『依存症対策』ということになっている。
エビデンスがないのに、『依存症対策』として時間の目安まで設けた条例を作るというのは、依存症という名を借りたスマホ、ゲーム規制ではないか」と疑問を抱いているという。
「背景にある不登校やメンタルヘルスの問題に目を向けるべき」
井出さんはひきこもりや不登校に関する研究を行う中で多くのゲームに関する問題を抱える人を見てきたという。ゲーム依存は他の疾患を伴ったり、学校での人間関係がうまくいかないなどの社会的な要因が合わさることが多いとし、井出さんは「ことさらゲーム依存だけを取り出して対策をするのではなく、前兆である不登校などの生活上の問題、メンタルヘルスの問題をチェックしていくことが、本当の意味でゲーム依存の可能性がある子どもたちへの対策になるのではないか」と指摘する。
「ゲーム依存」という部分だけを取り出して対策することで、その背後にある問題や、重症者への対応・対策がおざなりになるのではないかという懸念があるという。
さらに、ゲーム業界側の努力も求めた。ゲーム業界は、子どもがゲームをやりすぎないように親がプレイ時間や課金の可否などを設定するペアレンタルコントロールに取り組んでいるものの「こうした取り組みについての周知が不十分。
特にスマホのゲームアプリを開発している企業には、もっと力を入れてほしい」と話している。
香川県が公開したパブリックコメント実施結果より。進め方を問題視する声も寄せられた。
「とにかく不透明」議会の進め方に批判も
問題視されているのは、条例の内容だけではない。採決までの過程にも批判が集まっている。
メディアの規制に関わる法案に対し、情報収集や意見発信を行っているコンテンツ文化研究会の代表・杉野直也さんは、議会の委員会で一般には非公開、議事録もない中で検討されてきたこの条例に疑問を抱き、入手した資料をウェブサイトで公開している。
杉野さんは「依存症の方がいて、医療に繋げる、繋がりやすい環境を作るということは必要」とした上で、「今回の条例に関しては、しっかりとした調査や検討が行われているとは言えない」と指摘。
「まず、ゲーム依存に関する条例なのに、ゲーム業界関係者への聴取がない。
ゲームを規制しようというのに、当事者に話を聞かないというのはおかしいでしょう」と問題点を挙げた。
県議会はこの条例の素案に対するパブリックコメントを県民と全国の事業者を対象に募ったが、通常1ヶ月以上の期間を半分の2週間に設定。
パブリックコメントの詳しい内容が県のウェブサイトに公開されたのは採決の前日である3月17日で、その5日前に行われた委員会でも、議員には当日に資料が渡された。議員でさえパブリックコメントの全文を見ることはできず、これに対して一部の議員が「パブリックコメントの結果の公開を求める申入れ」を行なった。
しかし県議会側は採決の終わった後、3月18日の午後以降、委員のみに閲覧を許可すると回答。こうした一連の流れについても、杉野さんは問題視する。
「総じて閉じられた中での議論になっています。パブリックコメントを募る期間の短さも本当に意見を聞く気があるのだろうかと感じます。とにかく不透明です」
条例は4月に施行される。
香川県での動きを受けて、秋田県大館市でも同様の条例が検討されているという報道もあり、杉野さんは「新たに検討する自治体が出てくることは批判しませんが、しっかりと議論が行われ、本当に問題解決に繋がる施策にすることが大切だと考えています」としている。
〔2020年3/18(水) ハフポスト日本版 Nodoka Konishi〕

ついに可決…香川県「ネット・ゲーム規制条例」がニセ科学と言える理由
科学的根拠はあるのか?
香川県議会では現在、18歳未満のネット利用を1日60分、休日は90分とし、ネット、スマホ利用を夜9時まで、休日は夜10時までに制限する条例が提出されている。
今日3月18日に採決が行われ、可決する見通しだ。
香川県に続き、秋田県大館市でもネット・ゲーム規制の条例化が検討されている。また、他の自治体の議会でもネットやゲームの依存について質問が増えてきている。
こうしたネットとゲームの規制の動きは香川県や大館市にとどまらず、今後、多くの自治体に広がっていくと思われる。
条例という形で、個人のネットやゲームの使用に制限をかけることには議論がある。
スマホやゲームの使い方のルールは家庭で決める問題であって、行政のすることではない、という批判も多い。
ルールを決めるのは行政か家庭かという争点はあるが、本稿ではこうしたいわゆる「ネット・ゲーム規制条例」の内容に科学的な根拠はあるのか、ということに着目して考えてみたい。
ネット依存やゲーム依存は現代社会の問題であり、その対策を行うこと自体は誤りではない。
治療や援助のための機関も不足しており、対策のための資源を増やしていくことは社会的な課題でもある。
しかしだからといって、ネット・ゲーム規制が依存症対策に有効か否かは別問題である。
対策をするのであれば、科学的な根拠のある正しいやり方で行わなければ、効果は見込めない。
その第一歩として、ネット・ゲーム依存についての正しい理解が必要になる。
規制派の典型的な「3つの誤解」
ネット・ゲーム規制を推進する立場の主張で、しばしば前提とされるのが、「依存症」についての誤ったイメージだ。
たとえば2018年12月11日、東京都東大和市の市議会で荒幡伸一議員(公明党)が下記のような質問をしている。1
〈ネットやゲーム依存に一度陥ると、治療は困難であることから予防が大切であるが、依存の怖さを子どもだけでなく、大人も学習する必要がある〉
この質問には、依存症に関する典型的な3つの誤りが含まれている。
1. ネットやゲーム依存に一度陥ると、治療は困難
2. 予防が大切
3. 依存の怖さを学習すべきである
これらのどこが不適切かを解説していきたい。
「ギャンブルより依存性が高い」は本当?
依存症は「一度陥ると回復しない」というイメージがあるようだが、一般に思われているよりも容易に治る。
容易に治らないケースは、もともと家族関係や学校・仕事での問題があったり、リスクになる精神障害がある場合などで、こうした根本的な問題が解決しないうちは依存症が続きやすいという傾向は確かにある。
しかし、一般に依存症というのはそれほど強固なものではないし、さらにネットやゲームに関しては、依存症の中でも依存性が高くないことがわかっている。
香川県の条例を支持する四国新聞では、精神科医の和田秀樹氏が「特にゲーム依存はギャンブルやアルコール以上に依存性が指摘されている」と述べている(2020年1月21日朝刊)。
ここでは客観的な研究結果があるかのように紹介されているが、このような研究は存在しない。
むしろ反対に、ゲーム依存研究で有名なプシビルスキやワインシュタインらがアメリカの調査を分析した研究2
では「インターネットゲームはギャンブルよりもはるかに依存性が低い」とされている。 
この研究では、ギャンブル障害の有病率は若年成人(18~24歳)で2.6%、すべての成人で1.0%程度と推定されている。
一方で、インターネットゲーム障害の有病率は若年成人で1.0%、すべての成人で0.5%程度と推定されており、この結果からインターネットゲームはギャンブルよりも依存性が低いとしている。
未成年にとって、ゲームはギャンブルよりも身近な存在である。日本では20歳未満が公営ギャンブルで賭けをすることが禁止されている。
プシビルスキらの調査したアメリカは、州によって異なるが原則20歳未満は禁止されており、場所によって18歳未満が禁止というところもある。
加えて、基本的にギャンブルは金銭を賭ける遊びであるため、収入の乏しい子どもには参加が難しい。
一方で、ゲームは多くの家庭にあり、自室や居間で簡単にプレイできる。
ゲームの方が圧倒的に敷居が低いのである。にもかかわらず、ギャンブル依存に比べてゲーム依存は半分程度と少ない。これがプシビルスキらの主張の根拠だ。
「治療が必要な人」は何%か?
では、ゲーム依存になってしまった人々の回復は困難なのだろうか。これに関して、ドイツで追跡研究が行われている3
この研究では、研究開始時点・1年後・2年後の3回、2年間にわたってデータを取っている。
対象はゲーム利用者であり、生活に支障をきたす問題のあるゲーム利用がされているかを調査している4
その結果は下記の通りだった。----------
・ゲーム利用者の91.6%は問題を抱えない。
・もともと問題がなかったのに、2年後の計測で問題を抱えたのは1.7%。
・2年間ずっと問題のあるゲーム利用をしていたのは1%。
・最初は問題があったが、2年間のうちに問題がなくなった者が2.7%。
・一時的に(1年後時点だけ)問題があったが、3時点目で問題がなくなっている者が1.8%。
一般的に危惧されるような、継続的にゲームに依存的な利用者は1%に過ぎない。
この1%が依存治療の対象であり、さらに依存予防の対象(新たに依存するようになった人々)は1.7%であるから、計3%程度が依存対策の対象者ということになる。
また、自然に回復する人が2.7%、一時点だけ問題を抱えた人が1.8%で、この5%弱のグループは支援がなくても回復している。
医学用語では治療がなくても治ることを自然寛解という。精神障害では自然寛解は珍しいことではなく、ゲーム依存も例に漏れず、自然寛解が多いことが確認できる結果である。
この研究から得られる知見は2つある。
1. ゲーム依存症の治療や支援が必要な人は、大きく見積もっても3%程度と少数である。
2. 5%程度は自然に治り、その数は治療や支援が必要な人より多い。
この研究はドイツの結果なので、日本で同様の研究を行ったとしてまったく同じ数値が出る保証はないが、少なくとも、「ゲーム依存に一度なると、回復は困難である」という認識が誤りであることは確認できるだろう。
「時間制限」は解決策になるか?
依存症からの回復が困難であれば、予防に力を入れるべきだというロジックにも説得力が出てくる。
しかし、実際は自然に回復するケースの方が多いため、このロジックは適切ではないことがわかる。
また、予防が大事だといっても、ネットやゲーム依存の予防に効果的な方法が明らかになっていないことも、指摘しておく必要があるだろう。
「回復が困難だから予防をすべき」という論は、実態を反映していないだけではなく、予防の方法が確立されていないことも考慮していないのだ。
香川県の条例では、予防法は「使用時間を制限すること」だと考えられている。
しかし、時間制限が予防策として有効であるというのも、誤った考えである。
このことは韓国の政策をみると明らかである。
韓国ではネット・ゲーム依存が早くから社会問題化しており、2011年にインターネット依存を予防する目的で「シャットダウン制度」という政策が実施されている。
シャットダウン制度とは、16歳未満の子どもは韓国全域で午前0時から6時までオンラインゲームにアクセスできないようにするものである。
ゲームをプレイするには、国民識別番号の入力が必要になり、16歳未満の番号を入力してもゲームが起動しなくなった。
しかし、韓国のチェらの研究5
によれば、シャットダウン制度が施行された直後の2012年こそインターネット利用時間は減少したが、その後着実に増加してゆき、2014年の段階で2011年の利用時間を抜いたと指摘されている。
また、ネット依存や睡眠時間の改善についても有効な結果は得られなかったとしている。 
チェらは「シャットダウン政策は青少年のインターネット使用を削減できなかったため、政策立案者は異なる戦略をとるべき」と結論づけている。
もっとも、香川県の条例と韓国のシャットダウン制度には違いもある。
香川県の条例は「ゲームは60分以内、ネット利用は9時まで」といった制限である一方、韓国のシャットダウン制度はゲーム時間を0時までに制限するというものである。
しかし、時間制限をかけるという点では共通しており、さらにその制限が人々の行動を根本的に変えられなかった、という点で参考になるだろう6
マスコミが拡散する「過剰な恐怖感」
「ネット・ゲーム依存の怖さ」を主張するのは、これまで引用したような政治家や識者だけではない。
大きな影響力をもつのが、マスメディアである。
2020年1月26日の「産経新聞」では「香川のゲーム条例 子供守るルールは必要だ」と題する社説が掲載され、その中で「自分からやめられないのが依存症の怖さだ」との主張がなされている7。
既に見たように、依存症というのは短期的なものがほとんどであり、産経新聞の社説の記述は科学的な研究に反している。
依存症の「どうしてもやめられない」というイメージは、産経新聞の社説の筆者だけが持っているものではなく、長年にわたってメディアで醸成されてきたものである。
最も有名なものは、1980年代に日本民間放送連盟(民放連)によって作成された「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」という公共広告であろう。
「人間をやめないといけないほど依存症からの回復は困難」という「思い込み」を植え付けたCMである。
もちろん、メディアが依存性を過度に強調しているからといって、違法薬物に手を出していいと言いたいわけではない。
依存の性質や度合いを客観的に判断しなければ、誤った対策を講じることになる、という点が重要なのである。
また、覚せい剤のメディアイメージを、そのままネットやゲームにもあてはまるものだと考えることにも問題があるだろう。
依存症という用語は共通していても、言うまでもなく、ゲームは覚せい剤とは根本的に異なるものだからだ。
「回復が困難だから予防が必要」「その一環として依存症の怖さを植え付ける」という発想は、推測と誤解に基づいた誤った対策を導くことになる。
「規制」ではなく「治療・支援」を
ゲーム依存の依存性がさほど高くないとはいえ、長期間にわたり、ゲームへの依存に近い状態に陥っている人がいることも事実である。
ドイツの研究の数値でいえば、ゲーム利用者のうち1%程度が2年間にわたり問題のあるゲームプレイを続けていた。
ゲームの依存性の低さや、ゲーム依存になる人の少なさを根拠に、彼らの存在を無視するべきではないだろう。
生活に困難を抱えるような過度のゲーム利用やスマホ利用があれば、何らかの対策を考えるべきである。
少なくとも、本人や家族が専門家に相談したいと思った時に対応できる機関と、治療・支援のプログラムを組み立てていくことは必要である。
実際にどのような治療・支援を行っていくべきかについては稿を改めるとして、今回は香川県の条例で挙げられている「対策」に有効性があるかどうかを考えてみたい。
先に述べたように、時間制限はネット・ゲーム依存予防の効果が期待できない可能性が高い。
少なくとも有効性を示す研究や成功した類似の政策が存在するわけではないので、無理があるだろう。
また、ドイツの研究をみる限り、ゲーム依存の治療・支援が必要とされる人は多く見積もっても3%程度である。
ほとんどの人たちはゲーム依存とは無縁であり、節度のあるゲーム利用をしている。
そういった実態を無視して、全員一律に利用時間の制限を行うと、関係のない人たちを多く巻き込むことになるのは言うまでもない。
依存症対策という題目を掲げれば、何をしてもよいわけではない。政策を実行する際には、政策によって起こる副作用についても考えなくてはならない。
効果のない時間制限に躍起になったり、科学的根拠のある予防策がないにもかかわらず予防ができるかのように説くことは、無駄なばかりでなく有害ですらある。
行うべきは、スマホやゲーム依存の治療・支援に力を注ぐことである。
これらの依存症に対応できる医療機関や相談機関は全国的にまだまだ少なく、資源もかなり限られている状態である。
こういった資源を増やしていくことが、最も現在求められている。
さらに、時間制限を主体とする対策が、一般家庭にネットやゲームの誤った知識を広めることの副作用も考えなくてはならない。
スマホやゲームの使用方法や時間は、最終的には保護者が決めるという家庭が多いだろう。
その際に、保護者が「ゲームやスマホはギャンブルやアルコール依存よりも依存性が高く、依存症になれば『人間をやめることになる』くらい怖いものだ」と思い込んでいれば、適切なルールが作れず、誤った家庭教育につながるだろう。
私たちの生活は、もはやデジタル機器と切り離せないものになっている。
そのような時代に生きる私たちにとって、正しい知識をもってデジタル機器との付き合い方を考えていくことが、何より必要とされているのである。



1)「平成30年第4回定例会」一般質問通告一覧(https://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/36,979,c,html/979/20181205-150121.pdf)。
2)Przybylski AK, Weinstein N, Murayama K., 2017, Internet Gaming Disorder: Investigating the Clinical Relevance of a New Phenomenon. Am J Psychiatry. 174(3):230-6.
3)Scharkow M, Festl R, Quandt, 2014, Longitudinal patterns of problematic computer game use among adolescents and adults--a 2-year panel study. T.Addiction. 109(11): 1910-7
4)例えば、不登校で家にいると暇なのでゲームをしているというケースは少なからず存在しているが、ゲームによって不登校が起こっていないので、こういったケースはゲーム依存とはならない。
5)Choi J. et al. 2018, Effect of the Online Game Shutdown Policy on Internet Use, Internet Addiction, and Sleeping Hours in Korean Adolescents. J Adolesc Health. 62(5): 548-55.
6)シャットダウン制度は2014年9月2日から親の申請によって解除できるようになり、深夜のインターネットゲームをしてよいか否かは家庭で決められるようになっている。
7)https://www.sankei.com/column/news/191211/clm1912110002-n1.html
〔2020年3/18(水) 現代ビジネス 井出 草平(大阪大学非常勤講師)〕

「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は善意の悪法
Olya Adamovich via Pixabay
物議醸す「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案
香川県議会は、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案*をまとめ、可決すれば令和2年4月からの施行が予定されるという報道が流れ、大きな話題となっています。
〈*香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(素案)〉
香川県議会の素案によると、インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用は、子どもの学力・体力の低下、ひきこもりや睡眠障害、視力障害などの身体的な問題の原因となることや、国連のWHOでも「ゲーム障害」が疾病と認定されたことなどから、香川県においては子どものネットやゲーム利用を控えるべきだと制定されたものです。
この条例自体に罰則規定は無いものの、香川県、学校、保護者、依存症対策事業者(病院やカウンセラー等)、ネット・ゲーム業界、県民、市町、そしてインターネット・ゲーム事業者などに対し、県内の子どもがネット・ゲーム依存症にならないための、あらゆる支援や予防策についての努力義務を課しています。
特に保護者は、子どもがスマートフォンを使用することについて、使用に伴う危険や弊害をふまえて平日は1日60分・休日は90分といった使用時間や、中学生までは午後9時までといった深夜使用の制限についても指針を示しています。
この条例は、一見すると、子どもの正常な育成のため、ネットやゲームに夢中になり過ぎないための、温かい行動指針にも見えます。
私は教育ジャーナリストの立場として申し上げるなら、この条例が学校生活におけるスマートホン使用を制限した校則であるとか、単に家庭内の親子の約束事であるなら、とても素晴らしい規定だとは思います。
しかし、これが「条例」となると話は別です。
香川県条例で、かつ努力義務のみの訓示規定ばかりとはいえ、県民の行動を著しく制限する法令であることに気づかなければなりません。
そもそもネット・ゲーム依存は学業に差し障りがあるのか
インターネットで動画を閲覧し、SNSで友人と延々と交流し、その他の時間はスマートフォンでゲームばかりしていると、確かにその時間が勉強やスポーツに充てられることはありません。
物理的に学習時間は少なくなるし、外出や体を使って活動する時間も少なくなることから、確かに学力も体力も向上は見込めません。
しかし、ネットもゲームも娯楽です。家でテレビや映画に夢中になるのと大差はありません。
子育て世代である40~50代の大人なら、昔はインベーダーゲームやファミコン、そしてマンガやテレビに夢中になった世代でしょう。
かつては不良のたまり場だったようなゲームセンターへ行くことと比較すれば、飲酒・喫煙・犯罪に触れるリスクは格段に少ないのですから、深刻に考える必要はありません。
ネットやゲームの効用を全く無視する素案には悪意しか感じられない
条例の素案を見ると、子どもがインターネットやゲームに長時間触れることがまるで堕落の始まりのような表現がありますが、言うまでもなく、インターネットは世界の情報を低コストで収拾できる情報ツールですし、一口に「ゲーム」といっても、シューティング、パズル、ロールプレイングなど、様々なジャンルがあります。
中でも脳トレのように、クイズ・パズル・謎解きは素早いフィードバックがあり、学校の勉強に役立つものも多数あります。 生き甲斐ともいえるくらいゲームが好きな子どもが、親にそのゲーム機を取り上げられたらどうなるでしょうか。
親が杓子定規に「条例で中学生は1日60分までと決まっているから」と、言ったとしても、娯楽を奪われた子どもが勉強やスポーツに意識が向くものでしょうか。
私は疑問です。普通に考えれば、親に隠れて新たに買うか、友達からゲーム機を借りるか、場合によっては盗むといったケースもあります。
大好きなゲームを取り上げられた子どもが強制的に「勉強せよ」と命じられたら、ストレスの捌け口として、暴力的になったり、弱い者いじめを行ったりということも考えられます。
かつて教育委員会から自身のマンガを批判された手塚治虫は、「マンガは頭のおやつだ」と述べましたが、夢中になるくらい好きなものをみつけた子どもに娯楽を与える必要性を軽視してはいけません。
行政が子どもの趣味や嗜好を制限することが大問題
例えば学校でスマートフォンを、ゲームやSNSに使用することについては、やはり授業に支障をきたすことから、学校が一定の規則を設けて禁止することは合理的です。
また、親子で学習と娯楽のバランスについてのルールや、課金の上限を決めることも大切です。
これを県が条例として義務づけるということは、「子どもの健全な育成」という大義名分のもと、あらゆる行為を規制する法令を策定できることになってしまいます。
今回の条例素案で問題となっている「ネット」や「ゲーム」を、「野球」とか「ラグビー」とか「水泳」に置き換えたらどうなるか。
ネットやゲームが依存症などのこころの病なら、スポーツは全般的に物理的な傷害や死亡事故なども発生するリスクがあるのですから、健全な育成の名の下に制限をしなければなりません。
行政が策定すべきネット・ゲーム依存対策法令は犯罪や不法行為に限るべき
ネット・ゲームに依存することになった子どもが、犯罪や不法行為に巻き込まれるケースは、例えばネットを介して知り合った人からのストーカーや性的被害、匿名掲示板等への誹謗中傷、違法薬物の売買、特殊詐欺の勧誘などがあり、ゲームなら高額な課金などがある。
こうした、明らかな犯罪や不法行為に巻き込まれた時に、警察がすぐに動ける法制度を整備することにある。
名誉毀損記事の削除や発信者情報開示を求める法律はある程度整備してあるものの、現実には弁護士を依頼して積極的に動かなければ解決しない名誉毀損事件も多く、しかも海外にサーバーを置く匿名掲示板や、都内に悪徳業者に対して訴訟を起こすとなったら東京の裁判所で戦わなければならないケースも多いのです。
香川県は、ネットやゲームに依存してしまった子どもやその保護者を批判するような条例ではなく、悪徳業者や悪意のユーザーを処罰するための条例を策定すべきなのではないでしょうか。
<文/松本肇>【松本肇】
<Twitter ID:@matsuhaji>
まつもとはじめ●教育ジャーナリスト&教育評論家。
有限会社トライアルコーポレーション代表取締役。神奈川大学法学部卒。神奈川大学大学院博士前期課程修了(民事訴訟法)。
放送大学教養学部の全7専攻・コースを卒業し名誉学生。独立行政法人大学改革支援・学位授与機構で学士(法学、社会科学、教育学)を授与される。
著書:『短大・専門学校卒ナースが簡単に看護大学卒になれる本』(エール出版社)、『中卒・中退・不登校 誰でもイキナリ大学生』『社会人大学院生のススメ』(オクムラ書店) 2008年、インターネット画像の著作権事件「スメルゲット事件」の本人訴訟原告で勝訴し、著作権法判例百選に掲載。
近年はバイキング(フジテレビ)、ワイドスクランブル・モーニングショー(テレビ朝日)、アベマプライム(アベマTV)などに教育問題の専門家として出演
〔2020年2/7(金) HARBOR BUSINESS Online〕

香川県の「ゲーム規制」は正しいと言えるのか
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」が話題になっています(写真:しげぱぱ/PIXTA)
1月10日に香川県議会が提出した「ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案について、各所で話題になっています。
強制力のない条例なので、施行したところで意味がないと見る人もいれば、強制力がなくとも規制が世間的に常態化する可能性に懸念を示す声もあります。
素案によると18歳未満はゲームをプレーする時間を平日は60分、休日は90分とすることが明記されており、目的はネット・ゲーム依存症から子どもを守ることとされています。
香川県の子どもたちには申し訳ないですが、個人的にはこの条例を施行してみてもよいのではないかと思っています。
ただし、現在のような曖昧な事象に対する曖昧な対策ではなく、施行前と施行後にしっかりとした調査データが必要で、施行した結果どのような効果があったのかをしっかり検証することが大前提です。
■香川県のゲーム依存症の子どもはどれだけいるのか
まず、現時点で香川県のネット・ゲーム依存症の18歳未満がどれだけいるのか、全国の平均と比べてみる必要があると思います。
そして、何年施行することで結果が表れるかを検証し、ゲームのプレー時間を短くしたことで、全国平均と比べて、ネット・ゲーム依存症の人が減っているのかを確認しなくてはなりません。
以前NHKで報道されたゲーム障害の番組では、厚生労働省・研究班の調査で推定93万人の中高生がネット依存が疑われるとのことでした。
さらに国立病院機構久里浜医療センターの調査で、ネット依存と判断された90%がゲーム障害だと定義していました。
つまり80万人以上がゲーム障害だと定義していますが、これによると約670万人の中高生の12%がゲーム障害になっている計算となります。
ちなみに今回の条例の発端となったとみられるWHOのゲーム依存症の定義としては、「ゲームをする時間や頻度を自ら制御できず、あらゆる事象からゲームを最優先する。
何かしらの問題が起きてもゲームをし続けるなどの状態が12カ月以上続き、社会生活に重大な支障が出ている」とされています。
つまりゲームばかりやって宿題をやらないとか、休みの日に1日中ゲームをしているとか、その程度では依存症であるとは言えないわけです。
ゲームによって不登校になってしまい、まともな生活を送れていない学生が80万人もいるのかが本当に疑問です。
ちなみに文部科学省「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」では、中学校で3.65%の生徒が不登校だそうです。
不登校の原因がゲームによるものだけでないことも考えると、12%の生徒がゲーム障害になっているというのはちょっと当てになりそうにもありません。
厚生労働省の研究班の調査結果を基準とするのか、それともWHOの定義を基準とするのかも明確にすべきでしょう。
ちなみにネット依存に関する8項目の質問は、
・ネットに夢中になっていると感じる
・予定よりも長時間使用する
・制限しようとしてもうまくいかなかったことがある
・トラブルや嫌な気持ちから逃げるために使用する
・使用しないと落ち着かない、いらいらする
・熱中を隠すため、家族らにうそをついたことがある
・使用時間がだんだん長くなる
・ネットのせいで人間関係などを台なしにした、しそうになった
とあり、5項目以上該当するとネット依存が疑われるそうです。
WHOの定義から比べるとかなり基準のハードルが低く感じます。
例えば、これをアルコール、お酒に言い換えたとき、当てはまる項目が5項目以上該当した場合、アルコール依存と定義されて納得する人はいるのでしょうか。
香川県の条例の素案では、依存症の定義も示されていませんし、改善されなかった場合の対処も示されていません。
そこを曖昧にして、ゲームさえやめさせればいいというように見えてしまいます。
香川県社民党県議会議員の高田よしのり氏は個人ブログで、「ゲームをすればするほどのめり込むようにゲームは作られていて、ゲーム会社の術中にハマったモノは、空いた時間はゲームばかりするようになります」と説明をしています。
しかし、これはあくまでも彼の持論であり、根拠も示しておりません。
さらにそのブログでは、ゲームそのものではなく、スマートフォンのソーシャルゲームの多くが採用しているアイテム課金から子どもを守るためにゲームを規制すると言及しており、アイテム課金こそが諸悪の根源であると述べています。
つまり、アイテム課金を規制すべきところをゲームそのものに置き換えているわけです。
■ゲームプレー時間を短くすることは効果的なのか
では、アイテム課金を抑制するためにゲームプレー時間を短くするというのは、効果的なのでしょうか。
アイテム課金は、その方法でしか取得できないレアアイテムも存在することがありますが、ほとんどが時間をかければアイテム課金をせずに、簡単に手に入れられます。
例えば、基本無料のPCゲームの『リーグ・オブ・レジェンド』は、使用できるキャラクター、チャンピオンが140体ほどいますが、これらを獲得するにはゲーム内通貨IPが必要になります。
IPはゲームをプレーすることで稼ぐことができますが、相当数の時間をかけないとチャンピオンを獲得できるほどのIPを貯めることはできません。
そこで、IPをリアルマネーで購入することで、その手間を省き、手っ取り早くチャンピオンを獲得できるわけです。
つまり、アイテム課金を防ぐにはゲームプレー時間を長くするしかないわけです。
1日60分しかできなくなってしまえば、他県のプレーヤーよりも後れをとってしまうことは確実です。
それに追いつくためには課金するしかないわけです。
ネット・ゲーム依存症の条例を推進する人たちは、課金を抑制するための施策が課金を促す結果になってしまうことを理解していないと言えるわけです。
そもそも依存症は結果であって、予防することは難しいと考えます。
WHOのゲーム障害(依存症)についても、先の定義を読んでもらえればわかると思いますが、生活に支障がでるほどゲームに傾倒してしまう人がいて、そういう人は適切な対処が必要であると言っているだけです。
WHOが発表した国際疾病分類にあるゲーム障害の次の項目には、そのほかの障害というものがあり、すべてが対象であることがわかります。
なので、ゲームがほかの娯楽に比べて、依存症になりやすいとは言っているわけではありません。
依存症自体は、ゲームに限らず多くの事柄でみられます。
知名度の高いものでいえば、アルコール依存症、ギャンブル依存症などがあります。
タイガー・ウッズが発症したことで、セックス依存症も耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
ほかにも本ばかり読んで人とコミュニケーションをとれない人や特定のスポーツチームやアイドルを応援するあまり、社会生活がまともに送れなくなっている人もいます。
恋愛に関しては友人関係や家族関係を壊しても恋愛対象との関係を優先したり、社会的に制裁されたとしても不倫をする人が後を絶たないことをみても依存が存在することが十分わかります。
■しっかりとした議論と検証方法が必要
これらの事象で依存症と判断された人も基本的には依存症を改善するための対処をするものであって、依存症自体をなくすために依存したものそのものを禁止することは行っていません。
薬物依存症のように効果が大きく、社会復帰が難しいもの自体は法律で規制されていますが、ほとんどのものは規制されているわけではありません。
ゲーム依存症がないとは思っていませんし、ゲームをプレーすることを優先して社会生活がまともに送れない人もいると思います。
だからといって、ゲームそのものを規制すると、後々ほかの影響が出てくると思うのです。
ゲーム依存症が話題になる前は、ギャンブル依存症が取り沙汰されていました。
その結果、パチンコ業界がかなりシュリンクされました。
ゲームも同様に市場が縮小していった後は、次の嗜好品がターゲットになることは目に見えています。
それはアニメかもしれませんし、ネット動画かもしれません。
自分に興味がないものだからと言って、野放しにしていると、いつかは自分の好きなものが対象になってしまうでしょう。
そうなる前にゲーム=悪、無駄なモノと一蹴せず、しっかりとした議論と検証方法が必要だと思います。
現時点では、香川県のネット・ゲーム依存症に関する条例の素案は、子どもたちを依存症から守ることを名分に、自分たちが興味のないゲームの規制をしたいようにしかみえません。
ゲームを規制するために子どもをだしに使うのは、本末転倒どころではないことをよく考えてみたほうがよいのではないでしょうか。
〔2020年2/2(日) 東洋経済オンライン 岡安 学 :デジタルライター〕

香川県が「ゲーム規制」に必死になる根本原因
香川県では子どものネット・ゲーム依存問題に対し「ゲーム」を規制する条例を検討。
なぜ行政が規制する必要が出てきたのか(写真:Blue flash/PIXTA)
「子どもが中2になってから1度も学校に行かない。毎日ゲームをして昼夜逆転の生活を送っている。
成績が落ちたことで(母親である)私とぶつかり、逃避みたいにしてゲームにハマってしまった。
本人は『もう卒業も無理』と思い込んでいる」
「パパ活被害」なぜ甘くみてはいけない?
私が講演で回った中学校で相談された事例の最多は、「ゲーム依存」と言っていい。
ゲーム依存で不登校になっている生徒は各学校に最低1人以上おり、不登校にまでならずとも予備軍の生徒も複数名いた。
中には、はるばる他県までネット依存外来に通い始めたという生徒もいた。
学業不振や友人との不和などから逃避的にゲーム依存、不登校となった生徒のほか、ゲームにハマりすぎることで結果的に不登校になった生徒もいる。
「テストの前なのに遅くまでゲームをやっていたらしい」「学校でいつも眠そうにしている」という話は何度も耳にした。
ゲーム関連のトラブルの多くは男子生徒だ。
以前取材した教員は「休日は1日10時間とか12時間遊んでいるという生徒の話はよく聞く。
平日でも夜中まで5、6時間くらいはやっているようだ」と言う。
■香川県はなぜ「ゲーム」を規制するのか?
  2020年1月9日、香川県はスマートフォンやゲーム機の利用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮)の素案を明らかにした。
4月の施行を目指しており、制定されれば全国初となる。
大阪市の松井一郎市長も、スマホの使用時間をルール化することも視野に、実効性ある対策を検討するよう市の教育委員会に指示している。
このような動きに対して、ネット上では賛否両論のようだ。
今注目を集めるネット・ゲーム依存問題について見ていきたい。
香川県の法案には、ゲームとスマートフォンの利用時間制限が盛り込まれている。
具体的には、コンピュータゲームに対して「18歳未満の使用時間の上限は平日は1日60分、休日は90分」と設定。
また「スマートフォン等の使用時間帯は中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時まで」としている。
ただし、努力義務はあるが罰則規定などはない。
大阪市内の旭区でも、2014(平成26)年にスマホやゲームを午後9時以降は使用しないなどのルールを決定している。
しかし、市教委として統一したルールなどはなく、ルール化しても罰則や制限強制などは難しいという。
制限反対派には、「制限は家庭がするもの」「行政が家庭に介入して制限すべきではない」という声が多いようだ。
確かに、子どもにスマホやゲームを持たせるのも、制限できるのも保護者しかいないし、「行政が家庭に介入」と考えれば警戒心を抱くのは当然だろう。
実質的な強制力は持たないにもかかわらず、なぜこのような条例が検討されたか。
背景として、小中学生の保護者の多くが子どもの「ゲームのやりすぎ」または「YouTubeの見すぎ」を悩んでいる実態がある。
「いくら注意してもやめない。どうしたらやめさせられるのか」と真剣な顔で相談してくる保護者はあまりにも多い。
ある保護者に制限案について聞いたところ「それで子どもが(利用時間を)守ってくれるならいい」と言っていた。
2014年にも、愛知県刈谷市が市内の小中学生を対象に、午後9時以降は携帯電話・スマートフォンの利用を禁止している。
子どもが夜中までLINE対応に負われることを言い訳として、スマホを使わないようにするのを目的にしたという。
このときは、「学校が決めてくれたほうが子どもに守れと言いやすい」と保護者の9割以上が賛成。
中学生へのアンケートでも、「勉強に集中できるようになった」(29.0%)、「睡眠時間が増えた」(19.3%)、「精神的に楽になった」(4.8%)などと全体に好評だった。
自治体がゲームを規制するのは「学校などがルールを決めて規制してくれたら助かる」という保護者が一定数いることも理由だろう。
同時に、確かに制限できるのは保護者だが、問題があったときは学校に問題が持ち込まれやすいことも影響していると考えられる。
ゲームのやりすぎで子どもが不登校になっても、LINEのやり取りでトラブルが起きても、解決を求められるのは学校や教員だ。
だからこそ、自治体が条例という形で提案せざるをえなかったのではないか。
もちろん、制限をしない保護者に対するメッセージという側面もあるだろう。
■韓国や中国も「規制」に力を入れている
ほかのアジアの国も、未成年のネット利用をすでに規制している。
韓国では、16歳未満のユーザーは午前0時から6時までオンラインゲームを禁止する「青少年夜間ゲームシャットダウン制」を導入している。
中国でも、18歳未満の子どもは夜10時から朝8時までオンラインゲームを制限し、平日は1回につき90分、休日は3時間以内などに制限する指針を発表している。
どちらもオンラインゲームのみを対象としたものだ。
ところが、日本の場合はオンラインゲームに限らず、ネットやスマホの利用全般が制限対象となっていたり、少なくともそのようにとらえられるものとなっていた。
この部分に対して、「インターネット利用を制限する弊害が大きい」と反対している人が多かったため、香川県の条例案は当初の「スマートフォンやゲームなどの利用時間を制限」するものから、対象がゲームのみに変更された。
経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査「PISA2018」を見ると、日本の15歳の学生たちは、「チャット」「1人用ゲーム」「多人数でのオンラインゲーム」などの利用はOECD平均より利用率が高い一方で、「宿題や学習などでの利用」は逆に低くなってしまっている。
そもそも、子どもの間ではスマホによる消費目的でのインターネット利用が増えており、生産的な活用はほとんどできていない。
単純なスマホ・インターネット利用制限は、より一層この傾向に拍車をかける危険性もある。
香川県が利用時間制限の対象に関して、インターネット規制と間違われやすいスマートフォンをコンピュータゲームに変更したのは、妥当な判断だったのではないだろうか。
■「ゲーム障害」から抜け出すのは超困難
ゲームの長時間利用には悪影響があることがわかっている。
2019年11月、厚生労働省の補助事業として国立病院機構久里浜医療センターが10代、20代男女を対象に「ゲーム障害」についての実態を調査したところ、「6時間以上」の人は、学業や仕事に悪影響があったり、心身に不調を感じてもゲームをやめられない傾向にあった。
「学業や仕事に影響が出てもゲームを続けた」(24.8%)、「腰痛や頭痛など体の問題があっても続けた」(40.5%)、「睡眠障害や憂鬱など心の問題が起きても続けた」(37.2%)など、明らかに問題が大きいことがわかる。
長時間利用によって実生活や心身に弊害があり、弊害が生じてもやめられないことが1番の問題なのだ。
オンラインゲームは、対戦したり協力プレイするなど、相手がいることが依存を促進させると言われている。
同時に、スマートフォンでいつでもどこでも遊べることも、コントロールを難しくしている。
オンラインゲームの依存性の高さは事実であり、子どもだけでコントロールするのは困難だ。
また、1度自由に使い始めると、後から制限をかけるのが難しくなる。
使い始めの時期に利用時間についての約束を決め、制限機能なども活用しながら、保護者が利用時間をコントロールする手助けをしてあげてほしい。
子どもが、実生活や心身に支障が出ない範囲でコントロールしてネットやゲームを楽しめるようになることを願っている。
〔2020年1/23(木) 東洋経済オンライン 高橋 暁子 :ITジャーナリスト〕

条例で「ゲーム制限」の是非、家庭で制限されて育った人たちの思い
条例で「ゲーム利用制限」の動きをどう考えるか
香川県議会が依存症対策として、検討を進めているゲームなどの利用制限を含む条例案が波紋を呼んでいる。
素案では、平日は60分、休日は90分に利用を制限し、夜間利用についても、小中学生以下は夜9時以降、高校生には夜10時以降に制限する内容を想定していると報じられた。
1月15日には、大阪市でも松井一郎市長が、子どもたちの不登校問題に関連してスマホやゲームの利用時間について何らかの対策が必要かどうか、条例でルール化することも視野に検討する旨の発言をしている。
スマホやゲームの利用時間が子どもたちにどんな影響を与えているかはあらためて検証が必要だろうが、実際に家庭内のルールでゲーム時間を制限されたて育った人たちは、自治体が条例でゲームの利用制限をしようとする動きを、どう見ているのか。
30代の男性会社員・Aさんは、「僕らの時代とは環境が違う」としたうえで、今の時代に利用制限をすることは「地獄でしかない」と一蹴する。
「今、ゲームはもちろんネットまで規制したら、インフラを奪うようなものだと思います。
確かにやりすぎはよくないですが、好奇心が旺盛な時期だからこそ得られるものがある。
eスポーツも市民権を得てきている時代なのに、一律規制というのはむごいと思います」(Aさん)
ゲーム利用に比較的厳しい家庭で育ったAさん。
自身については、「ゲームを規制されて育った子どもの末路ではないか」と、苦笑いしながら話す。
「僕は親にゲームで遊ぶ時間を制限されていたので、ゲームがやり放題の友達の家で遊ぶのが何よりの楽しみでした。
その友達は理系の難関国立大に進み、現在は非常に優秀なエンジニアになっています。
僕はというと、完全に幼少期の反動で、高校卒業後はゲームがしたいがために、東京から地方の大学に進学。
昼夜逆転でゲーム三昧の日々を過ごし、結果留年しました。
今でも仕事以外は“ゲーム漬け”です。
依存症をスマホやゲームのせいにして規制するのはおかしい。
規制ではなくてうまく共存していく教育が必要なのでは」(Aさん)
条例で「ゲーム制限」の是非、家庭で制限されて育った人たちの思い
また、自身が子ども時代に「ゲームに救われた」という経験から、子どもにも過度な制限はしない予定だというのは30代男性会社員・Bさんだ。
「友だちとコミュニケーションをとるうえで大切なものだし、“居場所”にもなる、価値あるものだと思います。
私自身、家庭環境が複雑で学校でいじめにあっていた時、ゲームが救いであり癒しでもありました。
人生に絶望せずに済みましたし、後にそのゲームタイトルをきっかけに友達もできました。
ゲームのおかげで今の自分がある。子どもができても、とくに極端な制限はしないと思います」(Bさん)
ゲームがひきこもりや不登校の一因とされることにも、違和感を抱かざるを得ないと苦言を呈する
「ひきこもりの原因になるというのは、首をかしげたくなります。
逃げ場がゲームだったというだけだし、逃避だとしても“希望”になり得ます。
私はフリースクールの仕事を手伝ったことがあるのですが、ゲームの持ち込みが可能。
比較的自由にプレイできる環境ということもあり、共通の話題から友達ができる子もたくさんいました。
一緒にゲームをする約束が次にその友達と会うモチベーションにつながり、すごく嬉しそうだった子の笑顔が忘れられません」(Bさん)
一方、「条件付きかつ適度な規制には賛成」というのは、40代女性会社員・Cさんだ。
中学生の子どもを持つ親の立場で、こう指摘する。
「うちの子どもは運動が苦手で、家でゲームをしたりYouTubeを観たりすることが多いので、適度な制限はやはり必要なのではないかと思います。
でも、息子が友だちにプレイをほめられたりして、ゲームで生き生きとしているのを見ると、一概に強くは言えません。
eスポーツにも興味を持っているようですし、勉強との両立を条件にゲームを許しています。
学校で友達ができたのはもちろん、オンラインでもゲーム仲間ができて、協力が必要なゲームではチーム意識や思いやる心を学んでいるようにも思いますし、何より本人の『好き』を尊重してあげたい気持ちがあります。
個人的には条例という形ではなく、あくまで各家庭の教育方針に任すべきなのではと思います」(Cさん)
まだまだ議論を呼びそうなゲーム利用制限問題。
子どもたちを依存症などから守るという建前だが、慎重な議論が必要だといえそうだ。
〔2020年1/24(金) マネーポストWEB〕

香川県のゲーム規制条例に思うこと
1日10時間のゲームが救ってくれた、ある起業家の人生。
香川県のゲーム規制条例に思うこと。
ゲームによって日常生活に障害をもたらしている状態を指す「ゲーム依存症」の対策として、香川県議会が子どものゲーム時間を制限する条例案を検討している。
1月10日にこの条例案が示されると、全国的なニュースとなって議論が巻き起こった。
20日に決定した素案では、罰則は無いものの18歳以下の子どもはゲームの利用時間を平日60分、休日90分以内などとする内容が提示された。
県議会は4月の施行を目指している。
条例案が時間制限に言及したことで、ゲームのプレイ時間が依存症の要因であるかのような誤解も広がっている。
一方、eスポーツの隆盛で、急激に活気だっているゲーム業界。
海外であれば、大会の優勝賞金が億単位になることも珍しくない。
そんななか、若手起業家の小幡和輝さんが始めた「オンラインでゲームの家庭教師をする」という画期的な取り組みが注目を集めている。
囲碁や将棋のように、ゲームを教える取り組みが始まった
不登校経験があり、自身もゲームによって救われたという小幡さんは、この条例案に驚きを隠さない。
「世代間の価値観ギャップを改めて感じる機会でした。
海外では学校教育にもゲームが使われ始めていますが、時代の流れと逆行する動きでとても悲しく思っています」
ゲームの家庭教師『ゲムトレ』を始めた小幡和輝さん
今回の条例案によって沸き起こった議論では、世間に「ゲーム=悪」といった偏見が強く残っていることが露呈したが、むしろゲームと正しく向き合うことで、生活習慣の見直しや、依存症からの脱却にも期待できるという。
「ゲームのプレイ時間というのは本質的には関係なく、ゲームでどう遊んでいるのかが重要なので、プレイ時間に制限をかけるルールではなく、ゲーム依存症がなぜ起きるかの原因の解決が重要だと考えます」という小幡さん。
2019年秋に始まったゲームの家庭教師「ゲムトレ」では、ゲーマーとして技術を上達させるだけでなく、不登校に悩む子どもたちの世界をゲームによって広げ、コミュニケーションの取り方や早寝早起きの習慣をつけることも目的となっている。
野球はよくて、ゲームはダメ?同じゲームでも囲碁や将棋はよくてテレビゲームはダメ、という理論はそもそも差別的
小幡さんは、不登校で約10年間学校に通っていなかったが、そのころにゲームに目覚め、ゲームで世界が広がった経験がある。
「eスポーツが認められつつあるけれど、日本ではまだまだゲームに対する間違ったイメージや、偏見が強すぎると感じています」と小幡さんは語る。
小幡和輝さん 「ゲームをしていると目が悪くなるんじゃないか」「成績が下がる」「考える力が無くなる」――少し前であれば、犯罪とゲームを結び付けるような誤った論調もあった。
小幡さんがゲームに出会ったのは、物心がつき始めたころ。
2~3歳の時に弱視や斜視があり、ものを見る力がとても弱く、集中的にものを見る力をつけるために、医師にゲームを勧められたという。
幼稚園の頃から、なかなか家から出づらい「行きしぶり」があり、小学校2年生ぐらいには、クラスになじめず学校から足が遠のいた。
いじめられてからは完全に不登校になり、自然とゲームをする時間も長くなっていった。
利用していたフリースクールでは、朝の時間にゲームをする。
それが楽しみで、早寝早起きにもなった。
「ゲーム脳だとか、ゲームをして成績が下がる、というのは、ゲームをする時間と勉強をする時間のバランスが取れていないだけ」と振り返る。
「甲子園を目指す強豪校の球児たちだって、野球をする時間が長いほど勉強する時間が無くなる。
野球はよくて、ゲームはダメ、また、同じゲームでも囲碁や将棋はよくてテレビゲームはダメ、という理論はそもそも差別的です」
〔2020年1/31(金) ハフポスト日本版Shino Tanaka〕

香川に続き大阪も…子どものゲーム時間制限条例案に抗議の
SNSでは批判や懸念の声が溢れており……。
1月15日、大阪市の松井一郎市長(55)はスマホの使用時間ルール化について対策を検討するよう市教育委員会に指示した。
小・中学生がスマートフォンやオンラインゲームに依存し、ひいては不登校の原因の一端になることを防ぐためだと発表されている。
似たケースとして10日、香川県県議会が全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の制定に向けて条例検討委員会で審議していると報じられた。
インターネットを使ったオンラインゲームの使用時間上限は18歳未満で1日60分、土日や祝日、長期休暇などは90分に制限するなど、具体的な内容となっている。
香川県に続き、大阪市も子供のオンラインゲームやインターネット使用の規制に動き出した。
これに対してSNSでは批判や懸念の声が溢れており、香川県や大阪といったワードがトレンド入り。多くの意見が上がっている。
《香川の件、個人の時間に行政が口出しするのは違うと思う。犯罪じゃあるまいし》
《こういうところから、優秀なゲームクリエイターの芽が潰されていく…》
《オンラインゲームのせいで不登校?原因と理由が逆じゃないかな》
《私も子を持つ親だし心配だけど、このまま全国にこんな条例が広まっていったらと思うとゾッとする》
スマホの普及に伴って増えたインターネット上のトラブルや依存症は、各方面で問題視されている。
しかし行政が利用時間に口を挟んだ前例はなく、議論は続きそうだ。
〔2020年1/16(木) 女性自身〕

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