9月12日の親の会で話したことから2点。
引きこもりが長くなり、働いたことがなく20代後半以上になるとそれが原因になる状態が出てきます。いざ働こうとしたとき、週5日のフルタイム就業ができなくなる人がいます。
不登校情報センターにかかわり、そのあと仕事に就いた人にも週2、3日という人は多いです。また不登校情報センターにおける各人の作業も週1日から3日が中心です。しかも午後から夜までの半日です。
これは通所者の状況をみて徐々に定着してきた方式です。
引きこもり経験者が就労できたときの、これに近い状況が精一杯の状態と判断できます。他の支援団体から聞くことも様子は似たりよったりです。
それを基準に各人の生活と人生を考えていくのが実質的であり、有効になると考えます。
この現状認識から、2つの面の問題を見なくてはなりません。
1つは社会的、制度的な条件づくりです。
もう1つは不登校情報センターがどこまでできるのか、その目標です。
まず社会的・制度的な面から整えておかなくてはならないものを見ておきます。
障害者雇用において精神障害者に「短時間労働者」が設定されています。週20時間の就労を基準とするものです。実際は週10時間程度の人もいるようです。引きこもり経験者の就労はこれに準拠して考えるのがいいと思います。
これは“準拠する”のであって、同一とは違います。
その際、問題の一つは医師の診断です。引きこもりは状態像ですから国で基準をつくり医師以外の就労や心理相談の人にその判断者を広げなくてはなりません。医師の診断を条件とするとそれ自体が壁になります。不登校という状態像を学校において判断するように、引きこもりという状態像は相談や支援をする、相談員や支援団体に引きこもりの定義基準を設定して判断を委ねなくてはなりません。
もう一つ制度的に必要なことは、準生活保護的な制度を設定することです。精一杯働いても生活できる収入が得られない人を、仕事を止めさせる方向でなく処遇する社会的なシステムの設定です。十分な収入がないから自動的に生活保護に向かわなくてもいいようにすることです。その人なりの精一杯の仕事を評価しながら生活できる条件を社会的につくることです。
いまは生活保護になっている人もこの制度ができれば、その準生活保護に向かう人も生まれると思います。
将来的には生活保護制度の不安定感が出ています。そこに憲法で保障する国民の生存権を守る一方、精一杯の条件で働きながら生活できない人の労働権も社会的条件をつくることで保障するのです。生活保護に関する国民的な合意をつくる上からも有効になるのではないでしょうか。
準生活保護の内容は、最低限の生存権の保障と精一杯の労働することを確保する面から具体化していくものになるはずです。
不登校情報センターの目標は、次回にします。