子どもを肯定したい3つの面

NPO法人いばしょづくり主催の「不登校生・保護者向け」講演・親睦・個別相談会に参加しました。訪問サポート・トカネットの藤原さんと一緒です。私たちは相談員になります。
私のところに相談に来たのはいずれも中学3年生で「進路相談」を期待する不登校状態の子どものお母さんです。
進路に関心が整理されているようですが、この状態でも入学できる学校はありますか、というのは子どもを追いつめやすくなります。子どもの状態を肯定的に理解する視点がわかると、子どもの進路も親子関係も余裕が出ます。その点をすこし…。
肯定することの第1は、子どもの気質や性格です。これは本来、肯定するとか否定するというものではないのですが、不登校の原因にされると否定的に見られます。人の気持ちがよくわかる、神経質といわれるのですがそれはもともと否定的なものはありません。あるとしたら、いま現在、不便に作用していることです。
ですがそれだから神経質を直すとか、人の気持ちがわからなくていいというのとは違います。
そういう気質や性格は環境によってはうまく作用します。変えるとかなくすのがいいわけではありません。変えようとすると子どもの成長を妨害します。

この気質や性格を肯定する場面は親子関係だけではなく、友人関係に表われます。この部分が進路選択の前に重視されなくてはなりません。ここが第2のところです。
第3の点もあげておきます。子どもの興味・関心を示すものを伸ばそうとすることです。親の好みや意向によっては、子どもがしていることをやめさせるのが阻止・妨害です。
気質・性格は変えるものではない、友人関係づくり、興味関心を伸ばす以上の3点を進路探しと並行して考える話になりました。
中学3年生の不登校の子どもの母親には大変な思いをしていると思います。子どもはそういう親に向けて大事な材料を自分の生活をかけて表現しているのです。それを汲み取っていけば親子関係も改善できます。

町中の学習塾を考えてみる

不登校状態から少し動き始めた生徒にとっての学習塾の役割を話しましょう。
不登校の小学生・中学生には、まず家族内での関係づくりが先になります。
子どもの状態によってその次のことはいろいろに分かれます。
家庭教師や訪問サポートのメンタルフレンドがいいときがあります。
カウンセラーや医療機関というのもあります。
比較的動けるタイプで、学習の遅れや対人関係づくりが適当と思える子どももいます。
こういう子どもの行き先は適応指導教室や学習塾がいいこともあります。

この数年の間に、不登校情報センターが知らなかった学習塾が通信制高校サポート校になりました。すべてが同じ理由ではないのですが、不登校の子どもを受入れたことがきっかけになったところが少なからずあります。
親から不登校の子どもの勉強を見て欲しいと頼まれたのがきっかけというところもあります。
塾の先生が意識的に不登校の子どもを受入れようとしていたところもあります。
受入れた後の試行錯誤の末に、高校に進学した元不登校生徒の通信制高校のサポート校になるケースです。
比較的生徒数が少ない学習塾がいいのは、生徒にとっては勉強だけではなく、友達関係づくり、対人関係の面でも有効なことがよくあります。塾の先生の目も届きやすいのです。
はじめから対人関係をテーマにして取り組むよりも、勉強をテーマにしていると友達関係づくりが楽にできることもあります。
塾の先生にもよるので、どの塾でもいいとは言えませんが、動き始めた子どもが学習の遅れと、学校復帰や高校進学前の人間関係に不安があるのなら、塾(必ずしも自宅から近くなくてもいい)に通う方法も考えてみるといいでしょう。