新会報『ポラリス通信』を発送

NPO法人不登校情報センターの新しい会報『ポラリス通信』2013年1月号を発送しました。12月の活動報告と、主に1月の予定をお知らせするものです。
従来の会報『ひきコミ』のもっていた役割(文通の仲介、当事者会員の連載、五十田猛の名前で発表していた方針やスタンス)はホームページ上に置き換え、継続します。
4月以来とだえていた会報の発行を再開し、必要なことが継続と発展になったことは安心です。その一方で『ひきコミ』を待っていた人には失望感を与えました。このような切り替わりにおいては、全部を充足できはないものです。それでも会報の途絶えたまま全てが消滅する最悪の事態は回避できた思いです。ご了解ください。今年最後の仕事でした。
来月からは会報『ポラリス通信』(A4版2ページ程度のもの)を毎月発行します。

正月期間は、1月13日の「大人の引きこもりを考える会」の要綱作成、数人から預かっています「家族からの周辺履歴書」への返事、1月20日の愛知県武豊町での講演「長期化する引きこもり支援活動」の準備、1月に予定している訪問サポートの用意、など箱根駅伝あたりを見ながら進めようと思うところです。

引きこもり経験者と一緒に考える会

引きこもり経験者と一緒に考える会のお知らせ。
引きこもりを持つ家族の方の話を、元引きこもり当事者(30代男)がお聞きします。引きこもり当事者が何を考えているか、親(家族)に何を望んでいるか、また家族に何ができるかをお答えします。
何でも聞いてください。一緒に考えましょう。
日時:2013年1月26日(土)14:00~16:00。
対象者:引きこもりを持つ家族。
定員:3名。無料。
場所;不登校情報センター(東京都葛飾区新小岩2-3-11-503)
問い合わせ:open@futoko.info

質問コーナーへの3件の回答

質問コーナーへの3件の回答
みんなの質問コーナー」を設けるために10月にかなりの人に「不登校、引きこもり、発達障害」に関係する質問を送りました。
最初の1件の回答を得たあと回答が途絶えていたのですが、今日30日になってある人から3件の回答を得ました。回答が途絶えていましたので、「みんなの質問コーナー」を設けるのに気弱になっていたところですが、やはりやろうと気を取り直したところです。

質問への回答と、皆さんからの質問を募集します。

緊急の深夜電話を受付けます

年が変わるころになると歳月の移り行きを強く感じてしまう人が少なからずいます。似たようなことに自分の誕生日が近づくと不安感を増大させる人がいます。
精神状態の落ち込みが大きく、孤独感や無感情になる人には衝動的な行動に移すことがあります。
もしかしたらいつも服用している薬の何らかの影響があるのかもしれません。
先日、窓から飛び降りて重傷を負った20代がいます。
酸素呼吸器をつけていますので、本人の話はよく聞けませんが自殺企図が推察できる状況です。
家族からの話では、比較的低い階からであったこと、着地点に砂場を挟んでいたために一命は取り留めたということです。それにしても全治3か月、その後のリハビリが想定できる重傷です。

死にたい、生きつづけたくない、という方にどんな言葉かけができるのかはわかりません。
今日から年末年始の休日に入りました。深夜に電話をいただいてもいいことにします。28日から31日までの4日間、夜の10時から朝の6時までとします。寝ぼけたまま電話に出て話を聞くことになります。私にできそうなことはこんなことではないかと思いました。深夜に電話があって眠れなくても昼間は何もしないで眠ればいいのですから…。「03-3654-0181 松田」

プロ野球の阪神と広島の対比

プロ野球・阪神タイガースを引退した金本知憲選手がインタビューに答えていました。
「将来、監督をする予定はありますか」という質問に、冗談交じりにこう答えました。「やるとしたら広島カープ。古きよき伝統と雰囲気があります」。「阪神の監督は?」という質問には「勝ったときは広島よりも2倍か3倍は嬉しい。負けたときは広島の100倍苦しい」。
インタビューのやり取りをうろ覚えで書きましたから正確ではありませんがおおよそこんなことでした。そんな阪神に金本監督は生まれそうもありません。広島は選手を育てる名球団です。金本選手もそうですし、活躍して有力球団に移籍した人が多数います。片や阪神タイガースは、来シーズンに大リーグから2人を迎えることが決まりました。50年来のタイガースファンの一人として、この対比において、広島カープをうらやましく思います。
これはプロ野球球団のことだけではなく、企業社会の現実が「即戦力を求め、育てる力をなくしている」を衝いている点でもみごとに一致しているのです。

お金は人間の文化財で中立的

「お金が欲しくてつい流されました」とバイトを始め、それが続かない事情を話した人がいます。
「お金が欲しくてバイトをしたのはいいことです。お金以外のことで人が働く動機になるのは、生理的な3大欲望で、お金は人が産み出した文化財です」と答えました。3大欲望は生物として生来のものですが、お金は人間の所産です。
自己実現のため、才能を試したい、どうしても表現したい、からだを動かすことが好き、などを働く理由に挙げることもできます。事実ではありますが、そういう高尚なことは抜きにします。
お金の被害にあっている人、お金に執着する人からの精神的・物理的な被害を受けている人は、お金自体を毛嫌いしたり、嫌悪感をもったりします。だからお金のために働くなどということは、野蛮な悪徳業とでも感じるのかもしれません。
以前に会費制で食事会をするといったとき、「なぜお金なんですか!」と抗議を受けたことがあります。「あなたはお金を払わずに電車に乗ってここまで来ることができましたか」と答えて、そのときは終わりました。お金もまた被害を受けているようです。
お金はそれを得ようとするために人間の働く動機を生み出す文化財です。問題はそのバランスを崩してまで追及し、他の人を攻撃・差別する手段に悪用する人がいることです。けれどもお金自体は無罪ですし、中立的なものです。
「お金が欲しくて流されました」人には、いい機会でした。自分に適した働き方を実際の経験から考える材料を得ました。職種だけではなく、時間に関係するペースなど、自分にはどのようなことができ、どのようなことができないのかを体験できたからです。この経験は何ができ何ができないのか、自分を理解することでもありました。長い引きこもり生活をした人にお伝えしたい貴重な経験談です。
その経験をふまえて、自分にできる実際的な収入を得る方法を探しましょう。社会的な条件をつくるためにできることをしましょう。

オーバードーズの理由

Tnさんは数か月前から、建築現場で働くようになりました。初めの1か月はこれまで仕事についていなかった分を取り戻すつもりで無我夢中で過ごしました。仕事の内容はわかりませんが言われたことをわからないまま手伝ってきました。実際は仕事の周辺の物を運ぶ、片付ける、専門的なことをする人のやることを見ている、ということが多かったらしいです。

そういう状態は数か月後もほとんど変わりません。問題は1月後くらいから現場に着くと不安感がでてきたことです。そして体が固くなったり萎縮するようになりました。神経が磨り減っていく感じになったころから、仕事の現場に行く前に不安な状態が出てきました。明日またあの現場に行かなくてはならないと思うと前日から不安感が高まります。

自分を見守る家族は、今度は何とかこの仕事が続いていくように念じているのをひしひしと感じます。週5日のフルタイム仕事を、家族が認めてくれると思える週4日にようやく話したところです。もしかしたら家族はこれが実際に働ける条件と思ったのかもしれませんが、自分としてはこれしか言い出せなかったのが週4日です。とにかく仕事以外は休むことが必要で、それ以外はほとんど寝ている状態です。その休む時間を確保したいし、週3日などは家族が頭から認めないとわかるからやっと言い出した4日です。

休日が続いた後の月曜日、今日の仕事を思うとどうしようもなくなりました。言葉で伝えてわかってもらえないのならば、心身の状態でわかってもらうしかない。手元にある薬を数錠ずつ口に入れていきました。いろんなことが頭をめぐったようですが、後で思うと何を考えていたというよりも、ひたすら薬をのみ続けた時間でした。長い時間かかったと思ったのですが実は数分のことです。母親が「いっぺんに薬をのんだ」といっていました。

この日の仕事は行かないことになりました。家族はそれにより自分の状態を認めたわけではなさそうです。その日は行かなかったという受けとめ方でしょう。自分では心身の状態として仕事にいけないことをアピールしたつもりです。なんらの達成感もないし、気分は落ち着かない、気持ちは悪いものです。しかし家族と自分の間にある理解は依然として隔たりがあります。

自分の状態を家族に伝えていないという人がいるかもしれません。週4日というのさえ実際は無理とわかっていたのにそれ以上のことは伝えていないのですから。ですがそれ以上をいえない状態があるのです。この間の溝が埋めきれない状態が陥没した(爆発した?)のが今回のオーバードーズです。オーバードーズというのは、薬の大量の服用のことです。

オーバードーズをする人、できる人というのがいいかもしれませんが、はそれなりに勢い、エネルギーを感じさせる人なのです。

ブログ制作代行とも違いますが

数人の当事者と支援者の個人ブログを、不登校情報センターページ内に設定しています。
比較的ひんぱんに更新する人は自分で運営しているのですが、数人は原稿を送ってもらいこちらでページをつくっています。
ブログを書き設定するのは躊躇するけれども、誰かがまとめるならブログを書いてみようという人はいませんか。日常の記録、詩文、趣味、エッセイなど書いて送ってください。メールで送っていただくと文書入力が助かります。
問い合わせは、「ブログの件」としてください。①ブログの題(タイトル)と②可能ならば最初の原稿、③簡単な自己紹介、④ブログに発表する名前と⑤実名、⑥住所、⑦男女・年齢を、書いてください。①・②・③・④はブログに載せます。ブログに載せたいそのほかのことがありましたらその旨を書いてください。
送り先は:〒124-0024東京都葛飾区新小岩2-3-11-503 不登校情報センター、
メール:open@futoko.info です。

斎藤晴雄さんが亡くなりました

斎藤晴雄さんが亡くなりました。
埼玉県で小学校教師をされているころ私は何度か雑誌の原稿を依頼したことがあります。
いちばんは『いじめ 発見・防止・克服のてびき』編集したときです。月刊教育誌『子どもと教育』(1985年12月臨時増刊号、A5版186ページ、あゆみ出版)です。
日常の子どもの生活や友人関係の中にいじめの兆候がある、それをどのように見るのか、その後どうするのかを意図にした企画です。教育実践記録を多数の先生に書いていただき、そのうち4本の詳しい実践記録を斎藤先生と大畑佳司先生に対談の形で見てもらいました。
斎藤先生は川口市立芝中央小学校、大畑先生は浦和市立文蔵小学校の教師でした。対談はかなり長くなった記憶がありますが、場所はどこであったのかは思い出せません。
いじめ問題はそれまでもときどき大きな社会問題として注目されていました。そのいじめを小学校の授業の場を含めた現場の先生がどうするのか、実例をあげて指導方法や紹介したものです。
いじめ問題のその当時の学校における状況を、編集の形で見ていたことになります。
この臨時増刊号の筆者の一人に白幡康則先生がいます。当時は山形県立川町立狩川小学校の教師です。現在は引きこもりへの支援活動をされているとネット上の情報で見ました。
私が不登校の子どもの問題を教育誌の編集としてかかわり始めたのはこの後のことです。このいじめの雑誌編集とは直接的なつながりはありませんが、問題をとらえていく視点を学んだ機会です。
斎藤晴雄先生に感謝し、御冥福をお祈りいたします。

江戸時代の印刷技術を見る

忘年会は東京江戸博物館の見学からスタート(20日)。館内は広く、博物館は充実していて、見所はいっぱいです。3名はガイドさんを頼んで一緒に回りましたが、半分も回っていないところで時間切れ。
私は一人であちこちを行きましたが、いちばんは江戸時代に出来上がった、印刷技術のところです。絵師、彫り師、刷り師からはじまる原稿作成と製版づくり、今でも業界で使われる言葉である丁合(帳合)などを示す製本過程、お店での店頭販売が確立していった様子が実物により展示されたところです。
知ってはいたつもりですが、実際に見るとまた違います。家内工業であり、芸術家というよりは職人的な労働です。精密な重ね刷りによる版画が、後にジャポニズモとして高い芸術的評価を得て、近代のヨーロッパ芸術に大きな影響を与えました。職人的であることが芸術的レベルであるのが日本人の特質のように思います。それは今日に続いていませんか。
この後は近くの安田庭園に入り、年末なのに比較的暖かい中で園内をゆっくり一周。
5時過ぎに平井のお好み屋さんで、まだお客さんの少ない時間から食事会。
参加者はお好み屋さんから参加の数名を加えて11名でした。