川上康一先生は恵那の教育として知られるすぐれた教育運動の実践者の一人でした。
私が出版社に入ったとき最初に編集の手伝いをしたのが川上康一先生の『子どもの心とからだ―レポート 恵那の教育実践』の出版でした。
1979年8月にあゆみ出版に入り、この本は12月ころの発行でした。編集の手伝いというのは、すでに印刷所に回っていた原稿のゲラの校正などです。
当時は出版の手順や仕組みを何もわからず、印刷所の植字職人や先輩編集者に教えられながら、編集と出版を勉強し始めた時期です。
恵那の教育の一つの特徴は生活つづり方を積極的に取り入れていました。
生活つづり方を取り入れている人には子どものからだとこころの様子をよく見ている教師が多かったと思います。それは恵那地域の教師だけではなく、各地の教師の名前がすぐに思い浮かびます。これは私の関心をひきつける教育活動でした。
それから子どもの登校拒否・不登校、その後の引きこもりに関心が進みました。子どものからだとこころへの関心の延長です。思うに川上康一先生はその道を最初に教えてくれた方といえるわけです。ご冥福をお祈りいたします。