非英語圏の欧州から日本の不登校・引きこもりの研究をしたいと協力の依頼がありました。仲介者は日本人です。
「私たちは、あなた方が活動をどのように築き上げ、どのように孤立している人々(ひきこもり)に接しているのか、不登校等の生徒や両親にどのような活動やサポート、アドバイスを提供しているのかお伺いしたく、連絡を取らせていただいております。不登校を防ぐ効果的な方法に関するヒントを何かお持ちでしょうか?活動の中で、両親に対してどのような方法を提供していらっしゃるのでしょうか?」というようなことが研究対象になります。
はたしてどのような協力が可能でしょうか。この調べたいことに対して私が自信を持って答えられるのはごく限られるからです。
それで次のようなお答えをしました。どう受けとめられるかお任せの感じです。
日本における不登校や引きこもりに関心を寄せていることに感謝いたします。
その実情は支援者や研究者から学ぶよりも当事者から聞き取れるのがベストであると思います。そうすると当事者である彼ら彼女らと信頼関係ができていないと難しいでしょう。人類学の研究者には長期間(時には半生を)その人たちの中に住み、生活をしながら真実に迫ろうとした人がいます。それに似たことが必要ではないかと思うほどです。
そうでなければ彼ら彼女らは、研究者が理解できる範囲のことを答えるだけでしょう。それはウソではありませんが、必ずしも深い真実ではありません。
そう考える私に何ができるのか、どこまでできるのが、不安に思います。私はこれを20年近く続けていますが、日本に生活しているからできるフィールドワークです。
外国の人たちがこの分野の研究をするとこの方法は現実的ではないかもしれません。しかし、教育学や身体科学だけではなく日本にいるだけでは理解しがたい文化人類学的な視点も必要です。
私個人には手助けできることはほとんどありません。親の会、支援団体とのコネクションがあり、私自身は引きこもり経験者に囲まれて生活をしています。もしかしたらそれが役立つことがあるのかもしれません。わずかな可能性ですが可能な協力はいたします。資金を要することはまったくできません。参考になるでしょうか。