思うところがあって蟻塚亮二『統合失調症とのつきあい方―闘わないことのすすめ』(大月書店、2007年)を読みました。現行の日本の精神科医療の不足部分をどう見るのかという視点です。
統合失調症ということである人が入院しました。
面会の席で『入院はもういやだ、楽しみがない」と言い希死念慮が強いことを示しました。それを聞いた医師から退院は難しいと判断されたようです。面会の後の夜になって椅子を投げました。退院できない、楽しみがない状態の継続がはっきりしたことへの不満を行動で示したのです。そうしたら保護室(閉鎖病棟)に移されました。
この人に関わり始めた私たちは投薬、院内作業療法のほかに対人関係をつくる方法を考え準備していたのですが、実現は遠のきました。家族の面会も制約され、それ以外の人との接触を求めるのはできなくなったのです。
他の病院では、閉鎖病棟入院中でも面会は可能なこともあったのですが、この病院ではできないのです。
この本の著者は統合失調症への治療をはるかにオープンに考えています。それどころか「『長期保護室使用』は『院内における見捨てられ』であり、それが保護室使用の長期化につながる」点を指摘しています(171ページ)。考え方が逆なのです。
どう対応するのか、その前に統合失調症をどう理解するのか、そういうところから平易に実生活に即して書かれています。
これを参考に私たちのできることを、家族と協力しながら進めていく道を探っていきます。近く転医につながる動きをします。同行する予定です。