公立の全日制高校の生徒ですが不登校になりました。大学受験をしたいので転校をして勉学を続けたいのですが、どういう方法があるのでしょうか。こういう主旨の電話相談をお母さんから受けました。
これは子ども(高校生)自身の要望ということです。要望にはもうひとつあって、一緒に学ぶ生徒は少ないほうがいいといいます。
この転校先の高校の条件を言い換えるとこうなります。
(1)少人数制、(2)学力は比較的高いレベルにある。
こういう条件であればこの不登校の生徒は学習に向かうということです。やや異例の条件と見えるかもしれませんが、これからの教育活動の幅のなかではだんだん大きくなる部分です。生徒の個人差がありますからこれだけの条件で十分とは言えないこともありますが…。
一部の進学校では事実上こういう方向に向かっています。公立高校はこういう方法をとりにくいのですが、全体的な学級定数の縮小を考える中で少しずつ近づいていくのかもしれません。
夜間の定時制高校の大部分は公立高校ですが、大部分は「学力は比較的高いレベル」を満たすことができません。
通信制高校には、全日型通信制高校(全日型と称します)とか通学中心型通信制高校(通学型と称します)というものが生まれました。実態はほとんど全日制高校ですが、最低限の必要登校日数は通信制高校の条件を適応させますので、欠席日数が多くても明瞭な病的な理由による不登校以外では、進級・卒業できないほど欠席は多くはならないのです。
こういう通信制高校の中に「(1)少人数制、(2)学力は比較的高いレベルにある」の2条件を満たすところがあります。このような事情は、一般の教師にはわからないし、想像もできないでしょうが確実に増えています。通信制高校とあなどっているうちにこのような進化をしているのです。
相談の生徒は学業成績が比較的高くて、対人関係に繊細で周囲の人の影響を受けやすいタイプであろうと推測されます。在籍する高校を不登校になったのはこのためと思います。現在の高校にはこのような生徒を受けとめる容量が少なくなったのです。
西国からの電話相談に答えた内容を要約しました。