「メンタル相談施設の適合基準」のイメージ-2の9

「メンタル相談施設の適合基準ノート」を再開するまでには準備が必要ですが、イメージというか極端にいえば仮説はあります。
内臓には痛いなどの動物器官が持つ感覚機能はありません。それに代わって植物器官としてもつ役割があります。生物が誕生し生存し進化してくるのに欠かせない要素です。地球上の生物として持つ条件です。脳や感覚系の外壁系器官は、身近な周囲の環境を捉えるためには有効ですが、植物器官の内臓は地球の自転とか、太陽や月の関係という感覚器官ではとらえきれない要素を捉える働きがあります。
もちろん外壁系器官は、日差しが強い、風が冷たいという周囲の環境を感覚器官として直接的に把握できます。耳の奥には地球の重力を感じ平衡感覚をとらえる機能もあります。
内臓系器官は、そういうものとは違う地球生物として必要な条件を捉えます。外壁系と違い直接的ではないためにわかりづらいので、そのために後回しにされているものです。この把握は近代科学以前には、より大きな役割を持っていました。近代の身体科学の急速な進歩により直接的に影響を持つ研究や理解が進み、いわば情報量に大きな格差が生まれたのです。
近代以前においては、身体に関する知識や理解は、経験則の役割が大きな位置を占めていました。その蓄積は近代以前のヨーロッパにおいても、中国やインドにおいても他のいわゆる未開地域においても人体に関する知識や理解の中心部分を占めていました。
西洋医学、または近代科学を突破する糸口が、これらの置き去りにされていたもの、近代科学を進めるために消去していたものを取り上げ、何かを開こうとしていると見えます。サイエンスに対するアンチサイエンスではなく、ニュートン力学に対する相対性理論や量子力学にあたるように思います。

私は、これを日常関わる心身の「メンタル相談」という対応施設の情報集めの現場からアプローチし始めました。西洋医学・医療とならんでおびただしい量の対応者が現実に存在し、日々活動をしています。これらの中にはマガイモノも多く含まれていることは確かです。とはいえ非科学・反科学だけが横行しているのではありません。そうすることで全体を無視したり、貴重な宝物を破壊する愚を犯さないことです。近代科学もまたそれ以前の星占い術や錬金術やあるいは魔術的な取り組みの中から生み出されたことを忘れないでおきたいです。もし科学的に説明できなければ存在根拠がないというのなら、西洋医学・医療にも同様に扱われるものが混ざっているので存在根拠を問われるというべきです。

心理療法室の社会的な広がりの異聞

加倉井亮央くんの「家族療法学習会」に続いて大空生子さんの「親子関係が楽になるコツ♪  セミナー」(18日)が始まります。不登校情報センターの相談活動も「不登校・ひきこもりサポート相談室」として衣替えになります。
不登校情報センターのサイトにある「メンタル相談」には、全国で約450か所の相談室・療法室を情報提供していますが、このサイトにはこの3つとも入れていません。同じように全国的には多くの心理相談員や療法家がいるのですが、相談室等により活動している、事業をする人は多くありません。サイトで紹介するレベルではないというのとは違います。事業としてのレベルの主観的な判断がそうさせるわけで、公開されている療法室であっても実際は受診者はおらず“店開き”をしていない状態のところもあります。

これは日本にいる手芸家・工芸家が、趣味の範囲にいながら高度の技術・芸術レベルに到達している状況と似ているように思います。これを知ったのはラフカディオ・ハーンが日本にきてその日用品の持つ芸術性の高さに驚いたと書いたのを読んだときです。ハーンの後、日本では柳宗悦らの民芸運動が起こりました(1930年代)。趣味の範囲にいる手芸家・工芸家と職業人・事業者としての手芸家・工芸家の境界は引けないほどのものです。それだけ趣味の手芸家・工芸家の技術的・芸術的なレベルが高いのです。

おそらく心理療法においても似たようなことが生まれていると思います。ただし、全体的にこの療法レベルが高いかどうかの判断は私にはできません。とりあえずプロとアマチュアの実力差は少ない、あるいはアマチュア範囲の人の中にレベルの高い人が少なからずいるという印象を以て、状況は似ていることの根拠とします。
日本における心理療法の広がりは、手芸家の広がりに似たようなものになると推測します。
宮本常市『絵巻物に見る日本庶民生活誌』(中公新書、1981年)のなかで伝統的な日本民衆の家庭は「土・茎皮繊維・竹などを素材とする」軟質文化(手芸品)の工場でもあり、家庭はそういうものを制作することによって成り立っていた、といいます。木材・石・金属を素材とし刃物を利用して制作する硬質文化(工芸品)は職人のものとするといいます(124ページ)。
心理療法において、ある程度の道具や設備を要するものは、事務所・療法室対応が必要になりますが、それ以外は家庭内事務所(SOHO)や出張型になるのではないでしょうか。そういう目で心理療法の〈産業化・職業化〉の動きを見ていくことになりそうです。

悠々ホルンさんのトーク&ライブ 概要を話し合い

悠々ホルンさんと12月のトーク&ライブの何度目かの準備会をしました。悠々ホルンさんが原案をもってきて、私と藤原さんがそれについていろんな方向から意見を出していきます。ホルンさんは、あまり意見をさしはさまないで静かに聞いています。
今回はテーマが「15歳からのSOS」です。それにそってホルンさんに届いた手紙からどの手紙を紹介するかで意見を出し合いました。ホルンさんはある程度方向性を定めた4通を示し、他にもこんなのがあると紹介します。
藤原さんは「15歳のいろんな問題は共通する背景を感じるから、それを示すほうがいいかも…」
私は「参加者はその場で理解するので方向性がはっきりしていないと事態を捉えにくくなる…」
このあたりが話の途中では違いになったかもしれません。それを聴いてホルンさんがどうするかは任せるとして、当日のおおよそのスケジュールは固まりました。
12月13日が本番です。その前に会場の新小岩地区センターのホールでリハーサルをしたいと申し入れることにしました。